笹を「枯らす」だけでなく「戻り(再生)」まで減らしたいなら、地下茎まで移行して効くタイプを優先します。笹は竹と同じく多年生で地下茎の伸長が強く、藪状に繁茂する特性があるため、地上部だけ止めても再発が起きやすいのが厄介な点です。
現場でよく使われる軸はグリホサート系の茎葉処理剤です。理由は単純で、笹の防除で重要な「地下部をしっかり枯らす」という目的に合うからで、農家向け解説でもグリホサート系が推奨されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8618902/
一方、速効で葉が焼けるタイプ(例:グルホシネート系など)は、見た目の変化が早い反面、地下茎までの効き方が目的に合わない場面が出ます(「枯れたように見える」のに翌シーズン戻る、が起きやすい)。笹の面積が広いほど、最初から「地下茎まで」を主戦力にした方が結果的に散布回数と手戻りが減ります。
また、農耕地で使う場合は“商品名の評判”より“登録の適用”が重要です。例えばサンフーロン液剤(グリホサートイソプロピルアミン塩液剤)は、登録情報で用途や成分、適用表(使用時期・薬量・回数など)が公開されており、林木の造林地では「ススキ、ササ類等の多年生雑草」を対象に、夏~秋期(生育盛期以降)での散布条件が示されています。
参考)https://www.cambridge.org/core/services/aop-cambridge-core/content/view/CDC3D9CBEB8DB3A288066EABB6BF3C79/S0043174521000552a.pdf/div-class-title-screening-glyphosate-alternative-weed-control-options-in-important-perennial-crops-div.pdf
農耕地では作物・場所ごとに制約が異なるため、同じ“グリホサート系”でも、あなたの圃場条件(畦畔、休耕田、果樹園、造林地など)に合う登録かを必ず確認してください。農家向け解説でも「農耕地の場合は購入の際に必ず適用作物を確認」と明記されています。
効きやすいタイミングの考え方は、「笹がしっかり葉を展開していて、地下茎へ養分(同化産物)を回す時期に当てる」です。登録情報でも、林木の造林地におけるススキ・ササ類等は「生育盛期以降(夏~秋期)」が使用時期として示されており、季節設計のヒントになります。
逆に、刈った直後の“葉が少ない状態”は、茎葉処理剤の受け皿が減るため、効率が落ちやすいです。刈り払い後に散布する場合は、ある程度再生して葉面積が戻ってからの方が、結果として地下茎まで届きやすくなります(散布量の割に効かない、を避ける発想です)。
散布で差が出るのは「葉に当てる」徹底です。茎葉処理剤は葉や茎から吸収させる前提で、土に撒くものではない、という基本は必ず押さえます。茎葉処理剤と土壌処理剤は役割が別で、既に生えている笹には茎葉処理剤が“ベスト”と整理されています。
現場での失敗例として多いのが、背丈のある笹群落で“上だけ濡れて下が乾いている”散布です。霧が細かすぎるとドリフト(飛散)しやすく、濡らしたい葉に乗らないことがあるので、圃場周辺の作物や樹木がある場合は散布条件(風、ノズル、圧)をシビアに見直すのが安全側です。
笹は一度枯らしても、地下茎の残りや周辺からの侵入で“戻り”が出やすいので、仕上げの抑草設計が効きます。農家向け解説では、土壌処理剤は「まだ雑草が生えていない時期に散布し、地面に膜を張って新しく生えてくる雑草を抑える」役割として説明されています。
実務では、①茎葉処理剤で既存の笹を弱らせる→②枯死後に土壌処理剤や防草シートで再侵入を抑える、が分かりやすい二段構えです。防草シートは光を遮って光合成を抑える目的で、笹だけでなくススキ、ドクダミ、スギナ等にも有効とされています。
土壌処理剤を選ぶ際の注意点は、農地で使えるものと、空き地・道路等を想定したものが混在する点です。例えばカダン除草王は「畑、水田といった農地ではなく道路や空き地等で撒けることを想定」と明記されているため、農地での使用には向きません(“効く”以前に“使ってよい場所か”が先です)。
また、土壌処理剤は作物の根にも影響し得るため、植栽地や作付け計画とセットで考えます。農家向け解説でも、土壌処理剤は用途(樹木等の周辺地、植栽地を除く等)が個別に説明されているので、あなたの圃場の「どこを守り、どこを裸地にするか」を先に決めると失敗が減ります。
農業従事者が一番トラブルを避けられるのは、「農薬登録情報で適用を確認し、ラベルの範囲で使う」運用です。サンフーロン液剤の登録情報には、農薬の種類(グリホサートイソプロピルアミン塩液剤)、用途(除草剤)、登録番号(18814)、成分濃度(有効成分41.0%)などの基本情報が掲載されています。
さらに適用表には、作物名・適用雑草・使用時期・薬量・希釈水量・使用回数・使用方法(雑草茎葉散布など)がまとまっており、「この場所で、いつ、何回まで」を機械的に確認できます。林木の造林地では、ススキ・ササ類等の多年生雑草を対象に、夏~秋期(生育盛期以降)で、1000ml/10a・30L/10a・1回・雑草木茎葉散布といった条件が示されています。
意外に見落とされやすいのが、“同じ有効成分を含む農薬の総使用回数”という概念です。登録表には「グリホサートを含む農薬の総使用回数」欄があり、同一成分の別商品を組み合わせる運用をすると、この枠に引っかかる可能性があるため、散布計画は商品単体ではなく成分単位で管理します。
安全面では、周辺作物への飛散(ドリフト)や、非対象地への散布が最も大きな事故要因になりがちです。登録やラベルの範囲内で、対象雑草が“笹(ササ)を含むのか”、対象場所が“農耕地か非農耕地か”を詰めておくことが、結果的に現場の作業効率も上げます。
同じ除草剤でも「効きムラ」を減らす工夫として、尿素の混用が現場で使われることがあります。農家向け解説では、尿素は少量を農薬に混ぜると効果が高まると言われ、理由として「葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするため」と説明されています。
この話が“意外に知られていない”のは、尿素が肥料のイメージに寄っていて、除草の文脈で語られにくいからです。ただ、同じ解説で「速効性が出て枯れ始めが迅速」「希釈濃度を薄くしてもしっかり効果」「結果として減農薬・コスト減」といった実務的メリットが挙げられており、広面積で散布する人ほど検討価値があります。
とはいえ、混用は“自己流で何でも混ぜる”のが危険な領域でもあります。混用可否は製品ラベルやメーカー情報の範囲に従い、初回は小面積でテストし、沈殿・ノズル詰まり・薬害リスク(周辺作物)を確認してから拡大するのが堅実です。
最後に、笹は「刈って終わり」になりやすい雑草ですが、地下茎がある以上、1回で完全に消える前提を置くと計画が崩れます。茎葉処理剤で地下茎を弱らせ、再発は土壌処理剤や防草シートで抑える、という設計にしておくと、作業が“場当たり”から“管理”に変わります。
林地・造林地の笹(ササ)関連:登録の適用表(ススキ、ササ類等の多年生雑草の使用時期・薬量・回数など)
農薬登録情報提供システム(サンフーロン液剤)
笹(ササ)の特性、茎葉処理剤と土壌処理剤の考え方、尿素混用や防草シートのポイント
農家web:笹(ササ)に効くおすすめ除草剤と防除方法