作土深測定で収量が変わる正しい方法と基準

作土深の測定は農業の収量に直結する重要な作業です。正しい測定方法や基準値を知らないと、施肥設計や耕起深さを誤るリスクがあります。あなたの田畑の作土深、正確に把握できていますか?

作土深の測定方法と基準を正しく理解する

作土層が深いほど収量が上がると信じている農業者は多いですが、実は作土深15cm未満の圃場でも適切な管理次第で収量差がほぼ出ないケースが報告されています。


🌱 作土深測定の3つのポイント
📏
適切な測定深さの基準

水田では15〜20cm、畑作では20〜30cmが目安。測定箇所は圃場内5点以上が推奨されています。

🔧
測定に使う道具

土壌硬度計・土壌断面観察・簡易スコップ法など、目的に合わせた測定ツールを選ぶことが重要です。

📊
測定結果の活用

作土深データは施肥設計・耕起深さ・排水計画に直結します。記録を残して年次比較することで圃場管理の精度が高まります。

作土深測定の基本:なぜ深さを測ることが収量に直結するのか


作土深とは、耕起・施肥・根の活動が主に行われる表層土壌の深さのことです。一般的に水田では15〜20cm、畑では20〜30cmが「理想的な作土深」とされています。この数値はA4用紙の縦幅(約29.7cm)と比べるとイメージしやすいですね。


作物の根は作土層の中で養分と水を吸収します。作土が浅いと根域が制限され、乾燥ストレスや養分不足が起きやすくなります。つまり作土深は収量の土台です。


農研機構の研究では、水稲の作土深が1cm深くなるごとに約2〜3%の増収効果が見られたデータもあります。10aの水田で考えると、作土を5cm深くすることで収量が10%以上改善する可能性があります。これは使えそうです。


一方で、やみくもに深く耕せばいいわけではありません。心土(作土層の下)をむやみに混入させると土壌の物理性が悪化するリスクがあります。深さの管理が条件です。


作土深の正しい測定方法:スコップ・硬度計・土壌断面の使い分け

測定方法は主に3種類あります。目的と予算に応じて使い分けることが大切です。


  • 📌 スコップ断面観察法:最も簡単でコストゼロ。スコップで土を掘り、色や質感が変わる層(明色化・締まり具合)を目視で確認する。精度は低いが現場で素早く判断できる。
  • 📌 土壌硬度計(山中式):コーン型の金属部分を土に押し込み、抵抗値(mm)を読み取る。硬度23mm以上で根の伸長が困難になる目安。1台5,000〜15,000円程度で入手可能。
  • 📌 土壌断面調査(ピット法):幅50cm×深さ50cm以上の穴を掘って層位を記録する。最も精度が高く、農試や普及センターが行う圃場診断で標準的に使われる。

スコップ法だけで十分と思いがちですが、色の変化が明確でない黒ボク土や灰色低地土では判断を誤ることがあります。意外ですね。


硬度計を使う場合、測定は必ず圃場内の5か所以上で行い、平均値を出すことが推奨されています。1か所だけで判断すると、圃場の局所的なばらつきに引きずられる危険があります。測定点数が条件です。


農業改良普及センターや都道府県農業試験場では、土壌断面調査を無料または低コストで依頼できる場合があります。まず最寄りの普及センターに相談する、という行動1つで済みます。


作土深測定の基準値:水田・畑・果樹園ごとの目標深さ

作物の種類によって目標とする作土深の基準は異なります。一律に「深ければよい」は間違いです。


作物・圃場種別 目標作土深 備考
水稲(水田) 15〜20cm 15cm未満は収量低下リスク大
大豆・麦(畑) 20〜25cm 排水性確保も同時に必要
野菜(根菜類) 30cm以上 ダイコン・ニンジンは特に重要
果樹園 40〜60cm 深根性のため深耕が効果的

水田では20cmを超えると「深耕」と分類され、専用の深耕ロータリーが必要になります。通常のロータリー耕では15〜18cm程度が上限です。道具の限界が基準です。


畑の大豆栽培では、作土深が20cm未満だと根粒菌の活動域が狭まり、窒素固定量が減少するという研究結果があります。施肥コストの増加につながるため、見逃せないポイントです。


根菜類を栽培する場合、作土深30cm未満ではダイコンが曲がったり二股になったりする「又根」が多発します。出荷規格外品が増え、収益に直接影響します。痛いですね。


農林水産省の「農業生産基盤整備」指針でも、汎用耕地の作土深確保は生産性向上の基本条件として位置づけられています。


農林水産省:農業生産基盤整備に関する情報(作土深確保・排水対策の基本方針を確認できます)

作土深測定の結果を活かす:深耕・心土破砕・施肥設計への応用

測定結果が基準を下回っていた場合、対策は大きく3つに分かれます。どの場面の問題なのかを先に確認することが重要です。


まず、作土が単純に浅い場合は「深耕(しんこう)」が有効です。サブソイラーや深耕ロータリーを使って耕起深を20〜30cmに拡大します。ただし1回の深耕では土壌構造が不安定になるため、2〜3年かけて段階的に深めるのが原則です。


作土深は十分だが硬盤層(こうばんそう)が問題の場合は「心土破砕(サブソイリング)」が効果的です。硬盤層とは、耕起・機械走行の繰り返しで固まった非透水性の層で、深さ25〜40cm付近に形成されます。これが排水不良や根の伸長障害を引き起こします。つまり作土深だけ測っても不十分なケースがあります。


  • 🔩 サブソイラー:硬盤破砕専用アタッチメント。トラクター後部に装着し、深さ40〜50cmまでスリット状に土を破砕する。
  • 🌾 深耕ロータリー:通常の耕起深より10〜15cm深く耕せるロータリー。
  • 🌱 緑肥作物の利用ソルゴーやダイコンなどの根系が深い作物を輪作に入れ、生物的に硬盤を破砕する低コスト手法。

施肥設計への応用も重要です。作土深が浅い圃場では肥料の保持容量も少なく、施肥した窒素が流亡しやすい傾向があります。分施(施肥を分割して行う)や緩効性肥料の利用が有効です。肥料コストと環境負荷の両方を下げられます。これが条件です。


農研機構:土壌管理技術パンフレット(作土深・硬盤破砕に関する実証データが掲載されています)

作土深測定を年1回やるだけで変わる圃場管理:記録と比較の重要性

測定は一度やって終わりではありません。年1回の定点観測が圃場の変化を早期に捉える鍵です。


測定結果を記録せずに「だいたい覚えている」で管理している農業者は少なくありません。しかし作土深は年間0.5〜1cmずつ浅くなることがあり、5〜10年で気づかないうちに5cm以上損失しているケースがあります。これは見逃せない変化です。


記録の方法はシンプルで構いません。


  • 📋 圃場ごとに測定日・測定箇所・深さ(cm)・硬度(mm)をメモ
  • 📋 スマホのカメラで断面写真を撮影して保存
  • 📋 年次比較で「前年比マイナス1cm以上」なら対策を検討

記録さえあれば問題ありません。農業日誌スマート農業アプリ(例:agri-note、クボタのKSAS)を活用すると、圃場ごとのデータを一元管理できます。確認するという行動1つで十分です。


また、地域の農業改良普及員や農協の営農指導員に測定結果を共有することで、地域全体の土壌改良計画と連携できます。個人の記録が補助金申請(農地中間管理機構関連の基盤整備事業など)の証拠書類になる場合もあります。記録が条件です。


作土深測定は特別な技術がなくても始められます。まずスコップ1本で圃場を掘ってみることが、収量改善の第一歩になります。


新潟県農林水産部:土壌診断と作土深改善の手引き(現場レベルの測定手順と記録方法が詳しく解説されています)




高儀(Takagi) 簡易土壌酸度計 水分測定機能付き 野菜作りは土作り 水分も測定できる2WAY 野菜などの育成管理に 土壌酸度、土壌水分測定