オレンジ色さつまいもの品種と特徴と栄養と味の比較

市場で注目を集めるオレンジ色さつまいもの魅力とは?高単価での販売を目指す農家に向けて、主要品種の特性から栽培のポイント、加工適性までを徹底解説します。あなたの圃場に最適な品種はどれですか?

オレンジ色さつまいもとは

オレンジ色さつまいもの導入メリット
📈
市場差別化

一般的な赤系品種との明確な視覚的差別化が可能

🥕
栄養価訴求

β-カロテン豊富で健康志向の消費者にアピール

🏭
加工適性

ペーストや干し芋にした際の色鮮やかさが維持される

近年、青果市場や菓子製造業界で需要が高まっているのが「オレンジ色さつまいも」です。従来の「紅はるか」や「鳴門金時」といった黄色い果肉の品種とは異なり、その名の通り鮮やかなオレンジ色の果肉を持つことが最大の特徴です。この色は、カボチャやニンジンに含まれる色素成分と同じ「β-カロテン」によるものです。サツマイモには大きく分けて「高デンプン品種(白・淡黄色)」「一般食用(黄色)」「アントシアニン品種(紫)」がありますが、オレンジ色品種はそのどれとも異なる第4のカテゴリーとして確立されつつあります。
農業従事者にとって、このオレンジ色さつまいもを導入する最大のメリットは、既存のサツマイモとの「明確な差別化」にあります。焼き芋ブームにより「甘さ」の競争が激化する中、オレンジ色品種は「色」と「香り(特有のカロテン臭)」、そして「機能性成分」という付加価値で勝負ができます。特にハロウィン時期の製菓材料としての引き合いや、離乳食・介護食向けのペースト原料としての需要は年々増加傾向にあります。
しかし、栽培においては品種ごとに特性が大きく異なり、土壌条件や貯蔵性が収益に直結します。単に「珍しいから植える」のではなく、出荷先(青果か加工か)や圃場の病害リスク(特にネコブセンチュウ)を考慮した品種選定が不可欠です。以下では、プロの農家が知っておくべき具体的な品種データと栽培技術について深掘りしていきます。

オレンジ色さつまいもの品種と特徴の比較


現在、日本で種苗が入手可能なオレンジ色さつまいもには、数多くの品種が存在します。それぞれの品種は、開発された目的(青果用、加工用、焼酎用など)が異なるため、ターゲットとする市場に合わせて選定する必要があります。ここでは、主要な品種の特性を比較し、それぞれの強みを解説します。
代表的な品種の特性一覧











































品種名 特徴 肉質・食感 収量性 主な用途
ハロウィンスイート 早掘りが可能で、初期出荷に向く。鮮やかなオレンジ色。 ややねっとり
(粘質)
青果、焼き芋、菓子
アヤコマチ 皮色も鮮やかで外観が良い。ネコブセンチュウに強い。 中質~やや粘質 多収 青果、ペースト、焼酎
サニーレッド 病害虫に比較的強く、安定生産しやすい。 やや粉質
(ホクホク寄り)
多収 青果、加工
ほしあかね 干し芋専用に育成された新品種。加工後の色が美しい。 粘質 極多収 干し芋、加工
べにきらら 高カロテンで色が濃い。製菓ペースト向き。 中質 加工(ペースト)

1. ハロウィンスイート

近年、直売所やスーパーで急速に知名度を上げている品種です。最大の特徴は「早生性」にあり、通常のサツマイモよりも早い時期から収穫・出荷が可能です。名前の通り10月のハロウィン商戦にジャストタイミングで出荷できるため、イベント需要を取り込みたい農家にとって非常に強力な武器になります。味はカボチャのような風味があり、甘みも強いため、焼き芋としての評価も高いです。
2. アヤコマチ

農研機構によって育成された品種で、生産者にとって非常に扱いやすい特性を持っています。特筆すべきは「サツマイモネコブセンチュウ」への抵抗性が強い点です。連作障害や土壌環境に悩む圃場でも比較的安定した収量が期待できます。果肉の色が濃く、加熱しても退色しにくいため、加工業者からの引き合いも強い品種です。
参考:農研機構「アヤコマチ」の品種特性とセンチュウ抵抗性について
3. ほしあかね

茨城県などの干し芋産地向けに開発された最新品種です。「べにはるか」などの既存品種で課題となっていた、加工後の「黒ずみ」や「シロタ(白化現象)」が少なく、非常に鮮やかなオレンジ色の干し芋に仕上がります。Lサイズ以上の大玉比率が高く、加工歩留まりが良いのも特徴です。加工用として契約栽培を目指すなら、今最も注目すべき品種と言えます。

オレンジ色さつまいもの栄養とβ-カロテン

オレンジ色さつまいもを販売する際、消費者への最大の訴求ポイントとなるのが「栄養価」、特にβ-カロテンの含有量です。一般的な黄色いサツマイモにも微量のカロテンは含まれていますが、オレンジ色品種の含有量は桁違いです。
β-カロテンの含有量と健康機能

品種によって差はありますが、オレンジ色さつまいも100gあたりに含まれるβ-カロテンは、数千〜数万マイクログラムに達するものもあります。これは、野菜の中でもトップクラスの含有量を誇るニンジンやかぼちゃに匹敵、あるいは凌駕する数値です。


  • 抗酸化作用:体内の活性酸素を除去し、細胞の老化を防ぐ効果が期待されます。

  • プロビタミンA:体内で必要に応じてビタミンAに変換され、視力の維持や粘膜の健康を守ります。

  • 免疫賦活:免疫機能をサポートし、風邪などの感染症予防に役立つとされています。

調理による栄養素の変化と訴求方法

農家がPOPや直売所で説明する際に重要なのが、「加熱に強い」という点です。ビタミンCは加熱で壊れやすいイメージがありますが、サツマイモに含まれるビタミンCはデンプンに守られているため、加熱調理でも残存率が高いのが特徴です。さらに、β-カロテンは脂溶性(油に溶ける性質)であるため、バターや油と一緒に調理(天ぷらやソテー)することで吸収率が飛躍的に向上します。


「油との相性が抜群の美容野菜」というキャッチコピーは、特に女性層への販売促進に効果的です。
参考:調理加熱による野菜のカロテン含有量の変化に関する研究

オレンジ色さつまいもの栽培と苗の選び方

オレンジ色さつまいもは、一般的な品種と比較して栽培難易度が極端に高いわけではありませんが、品種ごとの「癖」を理解していないと、期待した収量や品質が得られないことがあります。特に「苗の確保」と「収穫適期」が重要なポイントになります。
苗の確保とウイルスフリー苗の重要性

オレンジ色品種は、「紅はるか」や「シルクスイート」に比べて流通している苗の絶対数が少ないのが現状です。ホームセンター等で入手するのは難しいため、種苗会社へ早期(前年の冬~春先)に予約を入れる必要があります。また、自家採種を繰り返すと、品種特有のオレンジ色が薄くなったり、ウイルス病による収量低下(帯状粗皮病など)が起きやすくなったりします。


品質を維持し、ブランド価値を保つためには、定期的に「ウイルスフリー苗(バイオ苗)」を導入し、母本を更新することが推奨されます。初期投資はかかりますが、A品率の向上で十分に回収可能です。
土壌条件と施肥設計

基本的には一般品種と同様、水はけの良い火山灰土や砂質土壌を好みます。しかし、窒素過多には特に注意が必要です。窒素が効きすぎると「つるぼけ」を起こしやすく、イモの肥大が悪くなるだけでなく、特徴であるオレンジ色の発色がくすむ原因にもなります。


推奨施肥(10aあたり成分量):


  • 窒素(N):3~4kg(控えめに)

  • リン酸(P):5~6kg

  • カリ(K):8~10kg(カリは色付きと肥大に重要)


特に「アヤコマチ」などの多収品種は、肥料食いな側面もあるため、元肥は控えめにしつつ、葉色を見ながら必要であれば追肥で調整する技術が求められます。

収穫時期の判定と貯蔵

オレンジ色品種は、寒さにやや弱い傾向があります。霜が降りるまで畑に置いておくと、貯蔵中に腐敗するリスクが高まります。地温が15℃を下回る前、関東以西の一般地であれば10月下旬~11月上旬までには収穫を完了させることが鉄則です。


収穫後は、必ず「キュアリング処理(温度30~33℃、湿度90%以上で3~4日間)」を行い、傷口をコルク化させてから貯蔵します。これにより、冬場を超えて春先まで出荷が可能になり、単価の高い時期を狙うことができます。

オレンジ色さつまいもの加工適性と市場の需要

ここ数年、加工用サツマイモの市場では「色の差別化」がキーワードになっています。特に製菓メーカーや食品加工業者にとって、着色料を使わずに鮮やかなオレンジ色を出せる原料は非常に魅力的です。
「退色しにくい」という強力な武器

紫芋(アントシアニン系)は、pHの変化(酸性・アルカリ性)によって色が変色しやすく、加工時の品質管理が難しい側面があります。一方、オレンジ色さつまいも(カロテン系)は、pHによる変色が少なく、加熱やレトルト加工を経ても色が安定して残ります。


例えば、プリン、モンブラン、スイートポテトなどの洋菓子だけでなく、ポタージュスープやスナック菓子の原料としても非常に優秀です。農家が加工業者へ売り込む際は、「着色料不要で、加熱後も鮮やかな色が残る」という点をサンプル(ペースト等)を添えて提案すると、成約率が高まります。
干し芋市場での「ほしあかね」の革命

特筆すべきは、干し芋市場におけるオレンジ色品種の台頭です。従来の干し芋は、時間が経つと黒ずんだり、白く粉を吹いたりして見栄えが悪くなることが課題でした。


新品種「ほしあかね」は、蒸して干した直後から透明感のある美しい琥珀色〜オレンジ色になり、その色が長期間保持されます。「べにはるか」の黄金色とは異なる、宝石のような見た目の干し芋は、贈答用や高級スーパー向けの商品として極めて高い付加価値がつきます。


もし加工設備を持っている、あるいは地域の加工業者と連携できるのであれば、青果出荷だけでなく「高級オレンジ干し芋」としての6次産業化は、収益性を劇的に向上させる可能性があります。
参考:農研機構 オレンジ色の加工用サツマイモ新品種「ほしあかね」

オレンジ色さつまいもの味と調理のコツ

最後に、消費者へ直接販売する際に伝えるべき「味の特徴」と「美味しい食べ方」について解説します。これを知っているか否かで、リピーターの獲得率が変わります。
独特の「カロテン臭」と「ねっとり感」

オレンジ色さつまいもには、品種特有の香りがあります。これはニンジンやかぼちゃに似た香りで、専門的には「カロテン臭」とも呼ばれます。これを「クセがある」と感じるか、「風味豊か」と感じるかは調理法次第です。


食感に関しては、多くのオレンジ色品種(特にハロウィンスイートや安納芋系のオレンジ変異種)は、水分が多く「ねっとり系」あるいは「しっとり系」に分類されます。ホクホク感を求める人には向きませんが、濃厚な甘みを求める層には強く刺さります。
おすすめの調理法:低温でじっくり加熱

オレンジ色さつまいものポテンシャルを最大限に引き出すのは「焼き芋」です。しかし、高温短時間で焼くよりも、160℃程度の低温で90分以上かけてじっくり火を通すことで、β-アミラーゼという酵素が働き、デンプンが麦芽糖に変わります。これにより、ねっとりとした食感と濃厚な甘みが生まれます。


また、油との相性が良い特徴を活かし、「素揚げ」や「大学芋」にすると、カロテンの吸収率が上がるだけでなく、特有の香りがマスキングされ、香ばしさと甘みが際立ちます。直売所のPOPには「天ぷらやフライドポテトにすると、ニンジンが苦手なお子様でも美味しく食べられます!」と記載すると良いでしょう。
注意点:電子レンジ調理は避ける

電子レンジでの急速加熱は、オレンジ色品種には不向きです。水分が急激に飛び、せっかくのねっとり感が失われてパサパサになりがちです。また、酵素が働く時間が短いため、甘みも十分に引き出せません。消費者に販売する際は、「レンジではなく、トースターや炊飯器での調理」を推奨することが、美味しく食べてもらい、次の購入につなげるための重要なポイントです。




ITANSE さつまいも切苗 品種:ハロウィンスイート 約250本【納期:4月下旬①】【品種で選べる野菜苗/切苗/約250本(25本×10束)】果肉の綺麗なオレンジ色は、カロテンの色で、見ただけで違いが分かります。「紅はるか」と違い、保存熟成しなくても掘り上げてすぐの「新芋」でも甘いのも大きな特徴です!【※苗は手作業で束ねていますので、表記より苗本数が1~2本増減することがあります】