マトリン 農薬 適用 害虫 使用方法 注意点

マトリン農薬の適用害虫や使用方法、効き方の特徴、注意点、現場で失敗しない使い分けまでを整理します。登録やラベル確認の要点も押さえつつ、なぜ効きムラが出るのかまで一緒に見直してみませんか?

マトリン 農薬 適用 使用方法 注意点

マトリン農薬を現場で迷わず使う要点
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まず「登録ラベル」起点で判断

作物・害虫・希釈倍率・収穫前日数は、製品ごとに異なります。最初に登録とラベルを確認し、現場の慣行だけで決めないのが安全です。根拠のある運用に切り替えましょう。

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効き方は「即効一発」より「行動抑制」寄り

マトリンは植物由来成分として知られ、文献では接触・摂食で神経系に作用し麻痺に至ることが示されています。害虫の動きが鈍る・摂食が落ちるなど、観察のポイントが変わります。

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効かない原因は「薬剤」より「条件」も多い

濡れ不足、散布タイミング、葉裏到達、発生世代のズレで体感効果が変わります。特に小型害虫は葉裏・芯部に潜るため、散布設計が重要です。

マトリン 農薬の有効成分と作用の特徴(植物由来・神経系)


マトリンは、植物成分(苦参=クララ由来のアルカロイドとして知られる)で、マトリンやオキシマトリン等が含まれることが整理されています。
文献では、マトリンは「接触毒・摂食毒(胃毒)として作用し、神経活動を麻痺させ、中枢および末梢神経系に作用する」と説明されています。
このため、散布後すぐに“大量に落ちる”見え方にならない場合があり、摂食低下・動きが鈍い・次の被害の伸びが止まる、といった視点で効果確認すると判断がブレにくくなります。
また、マトリン系の製剤は害虫種によって感受性差が大きい可能性が示されており、ある研究ではダニ類に対して相対的に高い活性が示唆されています。


参考)https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0261219414003226

ここは重要で、「同じ散布をしたのに作物や圃場で評価が割れる」原因になりやすいため、対象害虫が何か、発生ステージが何かを揃えて比較することが現場では効率的です。

必要に応じて論文:Synthesis of Halopyrazole Matrine Derivatives and Their Insecticidal Activity(マトリンの作用説明を含む)
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9370413/

必要に応じて論文:Bioactivity of a matrine-based biopesticide(害虫種で効き方が変わる示唆)

マトリン 農薬の適用と登録の確認ポイント(作物・害虫・使用回数)

農薬の運用で最優先は、製品ラベル(登録内容)にある「作物」「適用病害虫」「希釈倍率または使用量」「使用時期(収穫前日数など)」「総使用回数」を、そのまま守ることです。
都道府県の防除指針でも、ラベルに記載された使用時期(収穫前日数等)の遵守が明記されています。
さらに、収穫前日数の読み替え(例:「前日まで」は「収穫の24時間前まで」)のような運用上の注意も示されています。
「マトリン 農薬」で調べる人が混同しやすいのが、“商品名にマトリンが入っている/似ている”別系統の農薬です。


例えば「ネマトリンエース粒剤」は名称が似ていますが、有効成分はホスチアゼートで、線虫対策の土壌処理剤として整理されており、マトリンとは別物です。


参考)ネマトリンエース粒剤の適用表|農薬の検索|農薬インデックス

しかも適用表は作物ごとに細かく、使用量・使用時期・回数まで一覧化されているため、名称の印象で判断すると防除設計が崩れます。

この“名称の似ている別剤”は、現場での聞き間違い・メモの転記ミスからトラブルになりやすいので、発注・保管・散布計画の段階で「有効成分名」を併記して管理すると事故が減ります。

参考:ラベル遵守(希釈倍数・収穫前日数・回数)の考え方がまとまった資料
農林水産省:農薬適正使用(希釈倍数・収穫前日数・回数の基本)
参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/attach/pdf/risk_survey-23.pdf

マトリン 農薬の使用方法で差が出る点(散布設計・葉裏・濡れ)

マトリン系は「植物由来=安全」という先入観で雑に扱われがちですが、実際には“どう当てるか”で効果が大きく変わるタイプの薬剤設計になりやすい点を意識したいところです。
一般に、小型害虫(アザミウマコナジラミアブラムシ等)は葉裏・芯部・新芽周りに偏在しやすく、ここに薬液が届かないと「効かない」と評価されます(薬剤の良し悪し以前の問題)。
散布作業としては、葉裏に風を入れる、ノズル角度を変える、作業速度を落として“濡れ”を確保する、といった基本が効き方の再現性を上げます。
また、効果判定は「翌日すぐ」だけで決めない方が安全です。

文献では致死だけでなく“亜致死(sublethal)影響”が評価対象になっており、摂食や活動性が落ちるタイプの影響があり得るため、被害の伸び・新規食害の止まり・個体の動きなども合わせて見ます。

現場目線では、散布後に「被害痕が増えていないか」「新葉の傷が止まったか」「芯部にまだ生体が残っていないか」を、同じ時間帯・同じ株位置で比較すると判断がブレにくいです。


参考)https://ooigawa.ja-shizuoka.or.jp/anchor/assets/uploads/doc/202101hatake.pdf

マトリン 農薬の注意点(収穫前日数・防除指針・安全)

農薬の事故や行政トラブルで多いのは、成分そのものより「収穫前日数」「回数」「対象作物の誤り」で、ここは各県の防除指針でもラベル遵守が繰り返し強調されています。
収穫前日数の解釈(「前日まで」=「収穫の24時間前まで」)のような細部も、記録・監査や出荷基準で問題になり得るため、作業日報に“収穫予定日”と“散布日”をセットで残す運用が堅いです。
また、GAPの観点でも希釈倍数・散布量・使用可能な収穫前日数・使用回数の限度など、守るべきポイントが体系的に整理されています。
「マトリンは天然由来だから自作抽出で代替できるのでは?」という話題も出ますが、例えば東邦大学の薬用植物園の解説では、苦参(クララ)の利用法として煎じ液を農業用殺虫剤に使う例が紹介される一方、毒性が強い旨も明記されています。


参考)クララ

この種の自作資材は、濃度・成分・効果が一定にならず、作物安全性や防除効果の再現性、さらに出荷・取引先基準の観点でもリスクが増えやすいので、圃場で使うなら“登録農薬のラベル通り”に寄せるのが結局は省力です。

マトリン 農薬×抵抗性対策の独自視点(IRACではなく“ローテ設計”で考える)

抵抗性対策は「同じ系統を連用しない」が基本ですが、現場では“系統が分からない薬剤”や“天然物・生物由来っぽい薬剤”が間に入るとローテが形骸化しがちです。
IRACは殺虫剤・殺ダニ剤などを含む薬剤の作用機構分類体系として公開されており、作用機構をそろえて使い続けない運用の土台になります。
ただし実務では、IRACコードを暗記するより「①今効いている剤のグループ(作用点)」「②次に替えるグループ」「③同一グループの総使用回数」を、作物暦に落として“見える化”する方が、担当者が変わっても崩れません。
ここでの独自視点は、マトリンを「便利な中間材」として扱いすぎないことです。

文献で示されるように害虫種で効き方が変わり得るため、ローテの穴埋めで多用すると、効かない害虫が残って“次剤への負荷”が上がる(=抵抗性リスクを押し上げる)ことがあります。

つまり、マトリンをローテに入れるなら「どの害虫・どの世代・どの密度で、どの指標(被害の止まり)を合格にするか」を先に決め、合格しない時は早めに別系統へ切り替える“運用ルール”が効きます。

参考:作用機構分類(IRAC)の考え方
IRAC:作用機構分類体系(日本語ページ)
参考)https://irac-online.org/documents/irac-moa-classification-japan/




コーダ あいのうた(吹替版)