芋肥料を元肥と追肥で施肥管理

芋肥料の基本は「やり過ぎない」設計です。サツマイモとジャガイモで必要成分・タイミングが大きく違うのに、同じ感覚で施肥していませんか?

芋肥料の元肥と追肥

芋肥料の元肥と追肥:現場で迷う3点を先に整理
作物で「正解」が変わる

サツマイモは少肥・追肥ほぼ不要、ジャガイモは初期~中期に肥効が効く設計が重要です。

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窒素・リン酸・カリの優先順位

サツマイモは窒素過多で「つるぼけ」リスク、ジャガイモは初期リン酸・適正カリが収量に直結しやすいです。

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追肥の合図は「見た目」

サツマイモは黄化など不足サインが出た時だけ、ジャガイモは生育ステージに合わせて過不足を抑えます。

芋肥料と施肥量の目安(サツマイモ)


サツマイモの芋肥料設計は、まず「入れ過ぎない」を前提に組み立てます。サツマイモは栄養吸収力が強く、施肥量が少なくてすむ作物で、元肥の目安は10㎡当たり成分量でチッソ30~60g、リン酸40~80g、カリ80~120gとされています。
そして重要なのが、チッソ(窒素)が多いと「つるぼけ」になり収量が低下する点です。前作の肥料分が残っている圃場では、無肥料でも栽培できる場合があるため、まずは残肥の有無を疑うのが安全です。
現場での実装としては、次の順で考えると失敗しにくいです。


・①前年~前作の施肥が多かった畑か(特に野菜跡)
・②元肥は「少なめの上限」を決め、あとは生育で微調整する
・③追肥で帳尻合わせを狙わない(サツマイモは追肥自体が例外運用)
「たくさん入れた方が太るはず」という直感が、サツマイモでは逆に働きます。芋肥料は“塊根を太らせる”以前に“茎葉を太らせる”方向にも効くので、窒素が勝つと地下部の利益が薄くなります。


参考:サツマイモの施肥量(元肥)と、チッソ過多によるつるぼけの注意点
タキイ種苗 野菜栽培マニュアル(サツマイモ)

芋肥料とつるぼけ(チッソ)の見分けと対策

つるぼけは「茎葉ばかりが生育して、イモが十分に育たない」状態で、サツマイモの施肥失敗として典型です。主な要因として、曇雨天が続く、水はけが悪い、前作の肥料分が多く残っている、耐肥性の劣る品種を栽培する、などが挙げられています。
ここで誤解されやすいのは、「サツマイモは肥料が要らない作物」という極端な理解です。実際は“養分が少なくてすむ”というより、“吸収力が強いから過剰になりやすい”という性格であり、芋肥料が効き過ぎること自体が事故になります。
つるぼけを圃場で見分けるポイントは、葉色と茎葉量です。


・葉色が濃く、茎葉が旺盛に伸び続ける
・畝がつるで過密になり、地表が厚く覆われる
・(掘ってみると)塊根の太りが弱く、形が乱れがち
対策は「窒素を止める」だけでなく、要因別に打ち手が変わります。


・窒素過多が疑わしい:追肥はしない、次作以降は元肥から窒素を削る
・水はけ要因:排水対策(高畝、明渠)を優先し、肥料で挽回しない
・前作残肥:土づくり時点で“前年の設計”を見直す(特に堆肥・有機質連用)
あまり知られていない現場の盲点として、「自分が入れた窒素」より「残っていた窒素」の方が厄介なケースがあります。前作で多肥だったり、分解が進みやすい条件が揃うと、サツマイモ側は勝手に吸ってしまい、結果として“施肥していないのにつるぼけ”が起きます。


参考:つるぼけの要因(曇雨天・排水・残肥など)と、チッソ肥料を控える基本
タキイ種苗 野菜栽培マニュアル(サツマイモ)

芋肥料と追肥の判断(葉が黄色い・7~8月)

サツマイモの追肥は、原則として“しない”設計が基本です。追肥は基本的に行いませんが、7~8月に葉が黄色くなってきた時は追肥するとよい、という運用が示されています。
この「葉が黄色い」というサインは、窒素不足だけでなく、根域環境の悪化(過湿など)でも出るため、追肥を入れる前に観察を挟むと精度が上がります。
追肥するなら、狙いは“茎葉を再加速させる”ことではなく、“光合成を維持して塊根肥大の燃料を切らさない”ことです。つまり少量・局所・短時間で効かせ、過剰に引っ張らないのがコツです。


・追肥の前に確認:排水不良や冠水歴がないか、株元が蒸れていないか
・追肥の量:一気に入れず、少量から(追肥で取り返す発想を捨てる)
・追肥の目的:葉色を戻す=“最低限の回復”までで止める
意外性のある話を一つ入れるなら、サツマイモは「乾燥気味の方がデンプンが蓄積しやすい」性質があるため、追肥と同時に潅水や過湿が続くと、狙いと逆方向に振れることがあります。追肥は“肥料だけの話”に見えますが、実は水分条件とセットで効き方が変わる作業です。


参考:追肥は基本不要だが、7~8月の黄化時は追肥可、乾燥気味でデンプン蓄積が進む点
タキイ種苗 野菜栽培マニュアル(サツマイモ)

芋肥料と施肥量の目安(ジャガイモ)

同じ「芋肥料」でも、ジャガイモはサツマイモと設計思想が変わります。ジャガイモの1回の栽培に必要な施肥量(全体)の目安は、10㎡当たり成分量でチッソ70~100g、リン酸100~120g、カリ90~120gとされています。
さらに、完熟堆肥を20kg施用できるなら、化成肥料は約20%減らせる、とされており、有機物投入の有無が“施肥の足し算”ではなく“化成の引き算”として扱われています。
ジャガイモの芋肥料で重要なのは、塊茎が太る前段階の「初期生育の土台」を崩さないことです。初期に根が弱いと、その後いくら追肥しても、吸い上げが追いつかず、収量が伸びない・品質が荒れるという形で返ってきます。


そのため、現場では次のように考えると管理しやすいです。


・元肥:基準の範囲で“欠かさない”(特にリン酸・カリ)
・堆肥:入れたら化成を減らす(20%減の目安を出発点に)
・pHや病害:肥料で解決しようとしない(別管理の領域)
参考:ジャガイモの施肥量(N-P-K)と、堆肥施用時の化成肥料20%減の考え方
タキイ種苗 野菜栽培マニュアル(ジャガイモ)

芋肥料の独自視点:残肥と圃場診断で「入れない技術」を作る

検索上位の芋肥料記事は「おすすめ肥料」「元肥・追肥の時期」「成分比(NPK)」に寄りがちですが、現場で差が出るのは“入れる前の診断”です。特にサツマイモは、前作の肥料分が多く残っている畑では無肥料でも栽培できる場合があるため、「何を入れるか」より「入れなくていい根拠」を持つ方が収量・品質を安定させます。
この“入れない技術”を作るための実務ステップは次の通りです。


✅ 圃場の履歴を見える化する(ノートで十分)
・前作の作物、施肥量、堆肥投入量、追肥の回数
・降雨が多かった年か、排水改良の有無
・つるぼけ、肥大不良などの失敗履歴
✅ 小面積で試験区を作る(全面で冒険しない)
・畝2~3本だけ「元肥少なめ」「無肥料」「通常」を並べる
収穫時に重量だけでなく、形・肌・食味(粉質/粘質感)もメモする
✅ 追肥は“原因が複数ある”前提で打つ
・黄化=即追肥、ではなく「過湿」「根傷み」「残肥バランス崩れ」を疑う
・追肥するなら少量で、反応を見て止める(効き過ぎが最大リスク)
意外な効き方として、サツマイモでは「耐肥性の劣る品種」だと同じ施肥でもつるぼけしやすい、という指摘があります。つまり芋肥料は圃場だけでなく、品種選定ともセットで最適化するテーマです。


参考:前作残肥で無肥料栽培が成立する場合がある点、つるぼけ要因(品種含む)
タキイ種苗 野菜栽培マニュアル(サツマイモ)




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