ホウ素欠乏症対策に効果的な予防方法と施肥管理のポイント

農作物のホウ素欠乏症は、収量と品質を低下させる深刻な生理障害です。適切な土壌管理と予防施肥で欠乏症を防ぐことができるのをご存知ですか?

ホウ素欠乏症対策

この記事でわかること
🌱
ホウ素欠乏症の発生メカニズム

土壌pH、乾燥、カルシウム過剰など欠乏の主な原因を理解できます

🔬
作物別の具体的な症状

ダイコン、ブロッコリー、白菜など作物ごとの特徴的な欠乏症状がわかります

💡
効果的な予防と対処法

基肥施用、葉面散布、土壌管理など実践的な対策方法を習得できます

ホウ素欠乏症の原因と発生しやすい条件


ホウ素欠乏症は、土壌中のホウ素が不足している場合だけでなく、土壌条件によってホウ素が植物に吸収されにくくなることで発生します。特にアルカリ性土壌ではホウ素の可溶性が低下し、pH7.5を超えると植物が利用できる形態のホウ素が大幅に減少します。


参考)島根県:ホウ素欠乏症(B欠乏症)(トップ / 農業技術センタ…

土壌の乾燥も重要な発生要因です。ホウ素は水に溶けた状態で根から吸収されるため、土壌水分が不足すると吸収効率が著しく低下します。また、石灰の多量施用によるカルシウム過剰状態では、カルシウムとホウ素の拮抗作用により、ホウ素の吸収が阻害されやすくなります。


参考)ホウ素欠乏

日本の農耕地では、特に雨の多い西日本や火山灰土壌で潜在的なホウ素欠乏が広範囲に見られます。砂質土壌では降雨によるホウ素の溶脱が起こりやすく、土壌中の絶対量が不足しがちです。


参考)ミネラル第12回 植物とホウ素

島根県農業技術センター・ホウ素欠乏症の発生条件詳細

ホウ素欠乏症が発生しやすい作物と症状の特徴

アブラナ科野菜はホウ素の必要量が多く、欠乏症が特に発生しやすい作物群です。ダイコンとカブでは、根部の肥大不良、表皮の亀裂、内部の褐色芯腐れや空洞化(スの発生)が典型的な症状として現れます。


参考)https://www.takii.co.jp/tsk/bugs/ada/seiri/houso_ketsubou/

ブロッコリーカリフラワーでは、定植30日頃から株全体の生育が悪化し、葉縁部が黄化して葉全体が縮れた状態になります。さらに進行すると、花蕾部の品質低下や茎の表面にかさぶた状の症状が発生します。白菜では、新梢先端から3〜4枚目の葉に油浸状の黄色い斑点が多数発生し、その後褐色斑点に変化します。


参考)https://www.ja-aichi.or.jp/hiryounouyaku/fert/sick.html

トマトでは、発症初期に上位葉の葉柄側から黄化症状が現れ、生長点が枯死して生長が停止します。果樹では、果実の芯部にコルク化や褐変が生じ、新梢の先端枯れや花の奇形も観察されます。


参考)https://note.com/gentle_thyme2834/n/n5fb7fdcd5c85

タキイ種苗・ハクサイのホウ素欠乏症詳細と写真

ホウ素欠乏症の予防対策と基肥施用方法

ホウ素欠乏症は発生してからの治療では手遅れとなることが多いため、生育初期からの予防的な施用が極めて重要です。基肥施用では、ホウ素入り複合肥料の使用や、三要素肥料と併せて総合微量要素肥料(FTE)を施用することが効果的です。


参考)ブロッコリーのホウ素欠乏症について

施用量の目安として、ホウ砂では10a当たり0.5〜1kg程度が一般的です。FTEを使用する場合は4〜6kg、BMようりんでは60〜80kg程度が推奨されます。ただし、ホウ素は適正量の範囲が狭く過剰症が出やすい要素であるため、施用量には十分な注意が必要です。


参考)https://www.takii.co.jp/tsk/bugs/aha/seiri/houso_ketsubou/

キャベツやブロッコリーの栽培では、1作あたり240〜300mg-B₂O₃/m²のホウ素を施用することで、土壌診断基準値未満であってもホウ素欠乏症の予防効果が得られます。栽培前の土壌分析を行い、土壌の可給態ホウ素含量を把握しておくことが計画的な施肥管理につながります。


参考)https://icl-growingsolutions.com/ja-jp/agriculture/categories/the-importance-of-boron-in-plant-nutrition/

JAあいち経済連・作物の生理障害と対策(ホウ素欠乏症含む)

ホウ素欠乏症発生時の葉面散布による対処法

生育途中で欠乏症が発生した場合、ホウ酸やホウ砂を水に溶かした葉面散布が即効性のある対処法となります。0.1〜0.25%のホウ砂溶液、または0.2%のホウ砂水溶液を日をおいて数回散布することが推奨されています。


参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/kana_18.pdf

ホウ素は水に溶けにくいため、あらかじめ少量の温湯に溶かしてから水で薄めて使用すると効果的です。薬害を防ぐため、同量の生石灰を添加し、散布液のpHを0.3%程度に調整することが重要です。散布時間帯は、午前中に朝露が乾いた後が最も吸収効率が高くなります。


参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/attach/pdf/aki3-26.pdf

果樹の場合、散布時期が重要で、開花時と結実時の細胞分裂期に施用することで効果が最大化されます。柑橘類では満開後30日と50日の2回散布が有効とされています。葉面散布では葉の裏面からの吸収が盛んなため、新しい葉に十分散布することがポイントです。


参考)https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/2347.pdf

ICL公式・ホウ素の重要性と葉面散布の詳細

ホウ素欠乏症を防ぐ土壌管理とpH調整の実践ポイント

土壌のpH管理は、ホウ素の可給性を維持する上で最も重要な要素の一つです。最適なpHレベルはpH6.0〜7.0の範囲であり、pH7.5を超えるアルカリ土壌ではホウ素の利用率が著しく低下します。石灰の過剰施用を避け、次作前には必ず土壌診断を実施してpH矯正を行うことが予防の基本です。


参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/attach/pdf/yamanashi01-9.pdf

土壌水分の管理も欠乏症予防に直結します。土壌が乾燥している場合は多めに灌水し、マルチ栽培を実施して土壌水分の保持に努めることが効果的です。特に少雨期間には、果樹や野菜でホウ素欠乏症などの生理障害が発生しやすくなるため注意が必要です。


参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/03160104chap2saibaigijutsu3.pdf

有機物の施用もホウ素の可給性向上に貢献します。堆肥を施用した圃場では、ホウ素欠乏の発生株数が少なくなる傾向が報告されています。また、連作はマグネシウムやホウ素の欠乏を招きやすいため、2〜3年の輪作体系を組むか、定期的に微量要素肥料を補給することが推奨されます。


参考)https://www.pref.tokushima.lg.jp/file/attachment/986353.pdf

ホウ素入り肥料の継続的な施用により、土壌中のホウ素レベルを適正範囲に維持できます。しかし過剰施用は逆効果となるため、土壌診断に基づいた計画的な施肥設計が不可欠です。

農林水産省・微量要素欠乏対策の技術指針(PDF)




ほう素肥料 プラスB 500g 葉面散布 果樹 ほう素欠乏症の予防に 結実安定 果形安定 りんご オウトウ キウイフルーツ 和ナシ