葡萄肥料時期と施肥量と追肥時期

葡萄肥料時期を軸に、基肥・追肥・お礼肥の考え方と施肥量の決め方を現場目線で整理します。樹勢と土壌診断で迷いが減る施肥設計にできていますか?

葡萄肥料時期

葡萄肥料時期の全体像(基肥・追肥・礼肥)
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基肥は「収穫後〜秋」が基本

多くの地域基準では、基肥は収穫後なるべく早く10〜11月に施用し、翌年の芽・根・貯蔵養分づくりを支えます。

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追肥は「効かせる時期」を狙う

結実確定後(6月下旬)〜8月上旬など、吸収効率が高い時期に少量で調整します(樹勢が強い園は控えめが安全)。

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礼肥(お礼肥)は「回復」目的

収穫後に弱った樹勢を回復させ、貯蔵養分を確保する狙いで行いますが、秋伸びを助長する施肥は避けます。

葡萄肥料時期の基肥と施肥量の目安(10〜11月)


葡萄の基肥は、収穫後なるべく早く10〜11月に施用するのが標準とされます。
この時期は葉がまだ働ける園では、根の活動や貯蔵養分の積み上げに回りやすく、翌春の立ち上がり(発芽〜新梢伸長)の土台になりやすいからです。
一方で、基肥を「多めに入れておけば安心」という発想は危険です。ぶどうは、樹体へ入る窒素の多くを地力窒素(いわゆる土から湧いてくる分)に頼っており、施肥窒素は一部にすぎないという前提で設計する必要があります。長野県の地域慣行基準では、土壌から吸収される窒素のうち75〜85%が地力窒素、施肥窒素は15〜25%とされ、施肥量決定では地力窒素の多少を考慮すべきだと明記されています。


ここで現場で効くのが「施肥量=カレンダー固定」からの卒業です。まず、前年の樹勢(新梢の伸び、葉色、棚下の下草の勢いではなく樹の勢い)を見て、次に土壌診断(可能なら可給態窒素や無機態窒素の把握)で“土がどれだけ供給できるか”を押さえます。土が供給できるのに上から足すほど、効きすぎのリスクだけが増えます。


施肥量の「数字の目安」を置くなら、地域の施肥基準をベースにしてください。長野県の資料では化学肥料の窒素成分量は、巨峰・ピオーネ等で10kg/10a、その他品種で14kg/10aを地域慣行基準として示しています(県下全域)。ただし同資料は、地力窒素の影響が非常に大きいことを強調しているため、数字は“上限の目安”として扱い、土壌診断と樹勢で減らす判断が重要です。


また、流亡が心配される砂質土壌や多積雪地帯では、基肥を60〜80%、残りを春先に20〜40%へ分けてもよいとされています。これは「一度に入れるほど失われやすい」条件への対策で、同じ施肥量でも効き方が変わるポイントです。


有機質肥料堆肥や有機配合など)を主体にする場合は、分解が緩やかなので9〜10月中に施用する、という考え方も提示されています。化成の感覚で遅く入れると、春に効かせたいのに冬に分解が進まず、狙いの時期に間に合わないことが起きます。


【参考リンク:都道府県の施肥基準一覧(地域基準に当たる入口)】
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/

葡萄肥料時期の追肥時期(6月下旬〜8月上旬)と樹勢の見極め

追肥は「足りないものを足す」より、「狙った時期に、狙った分だけ効かせる」ための技術です。基肥の反省点が出るのがこのフェーズで、樹勢が強すぎる園ほど、追肥が“とどめの一撃”になりやすい点に注意が必要です。
長野県の地域慣行基準では、非黒ボク土壌において、窒素の残りを樹勢を見ながら結実確定後(6月下旬)から8月上旬に追肥で施用するとしています。つまり、追肥は「やる前提」ではなく“樹勢を見ながら”が条件で、ここが読み飛ばされやすい重要語です。


追肥の判断材料は、少なくとも次の3つを揃えると失敗しにくくなります。


  • 新梢の伸びが止まるべき時期に止まっているか(止まらずに伸び続けるなら窒素過多側の疑い)
  • 葉色が濃すぎないか(濃い=良いではなく、過繁茂のサインになり得る)
  • 結実後〜肥大期に、樹が必要量を供給できているか(葉が薄い、伸びが極端に弱いなら不足側の疑い)

追肥の現場でやりがちなミスは、天候と水分条件を無視することです。追肥は天候によって吸収が左右され、干天が続く場合などにはかん水をして吸収促進を図る必要がある、と長野県資料に記載があります。つまり、肥料だけ入れても水がなければ動かず、逆に雨が多い条件では流亡リスクが上がるため、施肥量そのものを控える判断が合理的になります。


「カリは追肥で動かす」設計も覚えておくと便利です。長野県資料では、カリは基肥に30〜40%、残りを6月中旬〜7月上旬に追肥する、としています。リン酸は全量基肥が基本、という整理も同資料にあります。ここは“施肥成分ごとにタイミングが違う”ことを示しており、N-P-Kを全部同じ日に入れる発想から抜けると精度が上がります。


【参考リンク:長野県「ぶどう 地域慣行基準」(基肥・追肥・礼肥の時期、地力窒素の考え方)】
https://www.pref.nagano.lg.jp/nogi/documents/06budou.pdf

葡萄肥料時期の礼肥(お礼肥)と収穫後の貯蔵養分

礼肥(お礼肥)は、収穫を終えた樹を回復させ、貯蔵養分を確保する狙いで行う施肥です。長野県資料でも、礼肥(追肥)の狙いは「収穫後に弱った樹勢を回復」「貯蔵養分の確保の上でも効果が高い」と説明されています。
ただし礼肥は“万能薬”ではありません。タイミングと量を誤ると、秋伸び(生育のだらだら伸び)を誘発し、枝の充実が遅れたり、結果的に翌年の芽の質に悪影響が出たりします。長野県資料でも「秋伸びをさせるような礼肥では好ましくない」と明記されており、ここが礼肥の最大の落とし穴です。


実務では、礼肥の要否を次のように分けると判断しやすいです。


  • 必要になりやすい:着果負担が重かった、収穫期の葉が早く弱った、樹勢が明らかに落ちた
  • 控えめでよい/不要になりやすい:樹勢が強い(副梢が多い、葉が濃い)、土が肥えている、前年に多肥気味だった

また晩生種は収穫早々に落葉してしまうことがあり、その場合は収穫前に礼肥を施用してもよい、という運用も長野県資料に記載があります。ここは意外に現場差が出る部分で、「収穫後に礼肥」と固定していると、そもそも葉が働かない(=吸収の窓が閉じている)ケースが出ます。


礼肥で多い失敗は「窒素中心で速効を入れすぎる」ことです。礼肥は回復を狙う一方で、来年用の貯蔵に回すには“葉が健全で、伸びが落ち着いている”条件が要ります。葉がまだ青くても、新梢が伸び続ける勢いがあるなら、礼肥は量を落とすか、やらない方が結果が良いことも珍しくありません。


葡萄肥料時期の土壌診断と地力窒素(過剰施肥を避ける)

施肥設計の精度を一段上げるなら、土壌診断を「年1イベント」ではなく、施肥の意思決定に直結させる運用が鍵です。長野県の地域慣行基準は、ぶどうの窒素吸収は地力窒素の影響が非常に大きく、施肥量を決定する上で地力窒素の多少を考慮する必要がある、と強調しています。つまり、土が出せる窒素が多い園ほど、施肥窒素を減らすほどバランスが取りやすい作物です。
土壌診断で見たいのは、少なくとも「pH」「EC」「無機態窒素(可能なら)」「リン酸・カリの過剰蓄積の有無」です。長野県資料でも、リン酸・カリが土壌中に過剰蓄積している傾向があるので、土壌診断結果に応じて減肥する、と明言されています。ここを無視すると、肥料代がかさむだけでなく、樹勢過多→日照不足→着色不良や成熟遅れ、といった品質側のトラブルに波及しやすくなります。


「効かせる」より「効かせない」技術が必要になる局面もあります。例えば、短梢せん定による無核栽培は強樹勢になりやすいので、移植後数年間は窒素施肥を行わない、というかなり踏み込んだ方針が長野県資料に書かれています。施肥は常に足すものではなく、“やらない方が良い時期・樹”が確実に存在します。


意外に見落とされるのが「樹体の貯蔵窒素」の存在です。長野県資料では、樹体へ入る窒素のうち約20%は樹の貯蔵窒素である、とされます。つまり前年の管理(葉を健全に残す、秋伸びさせない、過繁茂で消耗させない)が、翌年の春のスタートに直結します。肥料を増やすより、貯蔵が貯まる樹の状態を作る方が、長期では安定しやすいのがぶどうの難しさであり面白さです。


葡萄肥料時期の独自視点:施肥×新梢管理で糖度と着色を守る(やりすぎ防止)

検索上位は「いつ肥料をやるか」に寄りがちですが、実際に品質を分けるのは“施肥した後、樹をどういう姿に保つか”です。特に窒素は、効きすぎると樹勢が上がりすぎ、結果として棚内が混み、光が入らず、糖度・着色・成熟に不利な方向へ進みやすくなります。
ここで現場的に効く考え方は、「施肥=アクセル」「新梢管理=ブレーキ」をセットで設計することです。追肥を入れる可能性がある園ほど、次のチェックをルーティン化すると事故が減ります。


  • 芽かき摘心・副梢整理の強度を、追肥量と連動させる(追肥したら“整理も必要”)
  • 施肥後2週間の新梢伸長の変化を記録する(翌年の判断材料になる)
  • 葉色が濃いのに追肥していないかを自問する(濃い=不足ではない)

また、礼肥でも同じで、「礼肥で回復させる」なら、葉を健全に残しつつ秋伸びさせない、という相反しがちな目標を両立させる必要があります。長野県資料が礼肥について「秋伸びをさせるような礼肥では好ましくない」と釘を刺しているのは、まさにこの綱渡りがあるからです。


最後に、施肥設計を“言語化”しておくと、担当者が変わってもブレにくくなります。例えば次のように、園ごとに短いルールを作ると実務が回ります。


  • 「この園は地力が高いので、窒素は基肥中心で上限の6割、追肥は原則なし」
  • 「この園は砂質で流れやすいので、基肥7割+春先3割、追肥は樹勢が落ちた樹だけ」
  • 「晩生で落葉が早いので、礼肥は収穫“後”固定ではなく、葉の残りを見て前倒しも検討」

こうした運用は派手さはありませんが、葡萄肥料時期の迷いを減らし、過剰施肥による品質・病害リスク・コストの三重苦を避けるための、現場で最も再現性の高い方法です。




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