すじまき機で条播と条間と播種量

すじまき機を使った条播(すじまき)の基本から、条間・播種量・作溝深さの決め方、失敗しやすい目詰まり対策と整備の要点までを、現場目線で整理します。あなたの圃場条件と作物に合う設定はどれでしょうか?

すじまき機と条播

すじまき機の要点(最短で失敗を減らす)
🌱
条播は「見える化」

条播(すじまき)は列が揃うため、生育ムラ・欠株・病害の早期発見に強い。管理作業の判断が速くなります。

📏
条間・深さが収量を左右

条間(すじとすじの間隔)と作溝深さは、発芽の揃いと後半の株張りに直結。まずは「標準」から合わせ、圃場ごとに微調整します。

🧰
目詰まり対策は整備で勝つ

播種機トラブルの多くは目詰まり・異物混入・清掃不足が起点。作業後の分解清掃と、詰まりやすい部位の点検が効きます。

すじまき機の条播のメリットとデメリット


すじまき機の最大の価値は、条播(すじまき)で「列」を作れる点で、発芽後に苗がきれいに並び、生育状況の把握がしやすいことです。
散播点播と比べると、株の並びが読みやすいので、間引き・除草・追肥中耕など“次の作業”を設計しやすく、作業計画が崩れにくくなります。
一方で、条播は「条間」と「播種量」がズレると一気に結果が悪くなります(密播で徒長、疎播で面積当たりの株数不足など)。
現場で起きがちな落とし穴を先に挙げると、次の通りです。


条播が効く作物の考え方としては、「条で管理したい作物」ほど相性が良く、特に小さめの根菜類などで条播が使われやすいとされています。


参考)播種(はしゅ)とは? やり方のコツや発芽しない原因を農家が解…

ただし“相性が良い”と“設定が合っている”は別なので、次のH3で条間・播種量の決め方を詰めます。

すじまき機の条間と播種量の決め方

条播(すじまき)でまず押さえるべきは、条間が狭い(20〜30cm程度)と散播に近い播種量になりやすく、条間が広い(60〜70cm程度)と必要播種量が変わる、という考え方です。
つまり、同じ「10aあたり○kg」で考えるだけではなく、条間が変われば条の本数が変わり、1条あたりに落ちる種の量(線密度)も変わるため、発芽後の混み具合が別物になります。
このため、すじまき機は「条間を先に決めてから播種量を合わせる」順番にすると失敗が減ります。
機種によっては条間を調節できる仕様があり、例として条間8〜20cmの調節ができる人力野菜播種機もあります。


参考)人力野菜播種機 2条(ロール交換式)

また、播種量は繰出しロール等の調節で設定する方式が一般的で、カタログでも「播種量は繰出しロールの調節で簡単設定」と説明されています。


参考)https://www.agri-style.com/agri-style/common/photo/kcfinder/files/2021kizaisougou(2).pdf

したがって、現場では「条間(機械構造)」「繰出し(ロール・ギヤ等)」「作業速度」の3点がセットで播種量を決める、と理解するとズレにくいです。jcam-agri+1​
条間・播種量の現場調整を、作業前に短時間で詰めるやり方(小面積テスト)を、実務に寄せて整理します。


  • まず条間を決める(管理機の中耕幅、除草体系、収穫体系から逆算)。​
  • 次に繰出し設定を「標準」に合わせ、一定速度で2〜3mだけ試し播きして条の濃淡を見る。

    参考)畝立同時作条施肥による秋冬ハクサイの施肥量低減技術

  • 濃い/薄いが出たら、繰出し側で微調整し、速度はできるだけ固定する(速度ブレは散布・播種の精度を壊す)。​

意外と見落とされがちなのが「条間が固定か可変かは機種の仕様で決まる」という点で、そばの栽培マニュアルでも、施肥播種機の仕様によって条間が固定の場合と可変の場合がある、と整理されています。


参考)https://www.town.tadami.lg.jp/lifeguide/2023/03/21/21683d8a19005b61a3aad0b6866f7f8c.pdf

つまり、条間を詰めたいのに機種が固定条間だと、繰出し調整だけで無理やり合わせようとして詰むことがあるため、機械の仕様確認が先です。

すじまき機の作溝深さと覆土のコツ

すじまき(条播)では、作溝深さと覆土の厚みが発芽の揃いを左右し、浅すぎると潅水後に種が動き、深すぎると出芽力の弱い種で揃いが落ちやすくなります。
具体例として、すじまきの溝の深さを1〜1.5cm程度を目安にする解説があり、浅すぎる場合のリスクにも触れられています。
また、ほうれん草の例では、条間15cmで深さ1.5cmにまき筋をつけてすじまきする、といった具体的な深さ・条間の提示があり、標準値の参考になります。
「溝の形」も、精度に効きます。V溝作溝器により種子の散らばりを防止して播種精度が向上する、という説明があり、作溝器のタイプが条のシャープさを左右することが分かります。

覆土は厚すぎると欠株が増え、薄すぎると乾燥で発芽が飛ぶため、土質(砂質粘土質)と潅水方法に合わせて“薄め安定”に寄せるのが無難です。


参考)タネのまき方|株式会社 宇都宮農園

夏場は乾燥・高温で表層が固まりやすいので、寒冷紗等で覆うなど、季節で播種後管理を変える提案もあり、機械設定だけで解決しない部分として押さえておく価値があります。

現場で「深さが合っているか」を確認する簡単な方法です。


  • 播種直後に数か所掘り、種が同じ深さ帯に入っているか確認する(ばらつきが大きいと揃いが崩れる)。

    参考)ホウレンソウ

  • 土が乾きやすい圃場は、覆土を“薄く均一”にし、鎮圧で毛管水をつなぐ意識を持つ。​
  • 粘土質でクラストが出る圃場は、深くしすぎない(出芽で負けやすい)。

すじまき機の目詰まりとメンテナンス

すじまき機で「急に播けない」「条が途中から薄い」などのトラブルは、目詰まり・異物・清掃不足が起点になりやすく、作業後の清掃が翌日の精度に直結します。
播種機の故障診断資料でも、フィルターの目詰まり等が原因になり得ること、外して清掃することが処置として示されています。
また、実際の現場日記として播種機の分解清掃が紹介されており、「分解して掃除する」という行為自体が、精度維持の現実的な手段であることが分かります。
目詰まりの“入口”を減らすために、作業前・作業中・作業後で、やることを分けます。


  • 作業前:種子を乾いた状態で用意し、ゴミ・砕粒が多い場合はふるい等で除く(異物は詰まりの核になる)。​
  • 作業中:条が薄い箇所が出たら、そのまま距離を稼がず、すぐ停止して原因部位を特定する(続行すると欠株が固定される)。​
  • 作業後:ホッパー・繰出し部・ホース類を空にして清掃し、固着させない(翌回の“最初の数m”で差が出る)。

    参考)播種機の分解清掃: 無肥料無農薬栽培の米農家・わたか農園の作…

意外な盲点は、「詰まり=種だけの問題」と決めつけやすい点です。


種そのものより、前作の残土・微粉・湿気で繰出しが渋くなっているケースがあり、ここは“機械の癖”として毎回同じ箇所に出るので、清掃の重点ポイントを固定すると改善が早いです。

メーカーや機種で構造が違うため、取扱説明書に沿った点検が前提になります(安全のためにも、分解範囲は無理をしない)。

すじまき機の独自視点:条播の「診断」手順(最短で直す)

検索上位の記事は「条播とは」「条間」「深さ」など“正しいやり方”の説明が中心になりやすい一方、現場で効くのは「ズレたときに、何から疑うか」という診断の順番です。
条播(すじまき)は列が見える分、診断もしやすいので、条の乱れ方を“症状”として使うと復旧が速くなります。
ここでは、すじまき機を前提に、条の見え方から原因を絞る実務フローを提案します。
診断の見取り図(条の症状 → 疑う順番)

  • 条が途中から薄くなる:まず目詰まり・異物、次に繰出し部の抵抗、最後に種子の状態。​
  • 条が全体に薄い:繰出し設定の不足、作業速度の想定以上の上げすぎ(一定速度条件が崩れている)。​
  • 条が蛇行する:条間や線引き・ガイド不足、圃場の凹凸(次条の基準がズレる)。

    参考)https://agritechno.co.jp/data/AP-2_AP-21.pdf

  • 条の濃淡が周期的:繰出しロール・ギヤの組み合わせ不整合、回転系の引っ掛かり。​

この「症状→順番」が効く理由は、播種精度が“設定値だけでなく作業条件に依存する”からです。

施肥(繰出し)でも、既定量を正確に投下するために、作業速度を一定にした条件で事前に繰り出しロール回転数等を綿密に調整した、という記述があり、速度固定の重要性が裏づけられます。

つまり、すじまき機でも「設定をいじる前に、速度と詰まりを潰す」だけで直るケースが多く、ここに時間を使う方が結果的に早いです。jcam-agri+1​
最後に、権威性のある日本語リンクを、用途が分かる形で置きます。


条播(すじまき)と播種量の考え方(条間20〜30cm/60〜70cmの違い)がまとまっている。
https://www.snowseed.co.jp/wp/wp-content/uploads/use/035cfe02d9004011fde073467e3f82ca.pdf
播種機の不具合(目詰まり等)の診断と処置が具体的。
https://www.suzutec.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/12/mente_m02.pdf
条播・条間・深さの具体例(ほうれん草:条間15cm、深さ1.5cm)が確認できる。
ホウレンソウ




家庭菜園向き、簡単種まき器! RSハンドシーダー