すじまき機の最大の価値は、条播(すじまき)で「列」を作れる点で、発芽後に苗がきれいに並び、生育状況の把握がしやすいことです。
散播や点播と比べると、株の並びが読みやすいので、間引き・除草・追肥・中耕など“次の作業”を設計しやすく、作業計画が崩れにくくなります。
一方で、条播は「条間」と「播種量」がズレると一気に結果が悪くなります(密播で徒長、疎播で面積当たりの株数不足など)。
現場で起きがちな落とし穴を先に挙げると、次の通りです。
参考)https://www.snowseed.co.jp/wp/wp-content/uploads/use/035cfe02d9004011fde073467e3f82ca.pdf
参考)https://www.suzutec.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/12/mente_m02.pdf
条播が効く作物の考え方としては、「条で管理したい作物」ほど相性が良く、特に小さめの根菜類などで条播が使われやすいとされています。
参考)播種(はしゅ)とは? やり方のコツや発芽しない原因を農家が解…
ただし“相性が良い”と“設定が合っている”は別なので、次のH3で条間・播種量の決め方を詰めます。
条播(すじまき)でまず押さえるべきは、条間が狭い(20〜30cm程度)と散播に近い播種量になりやすく、条間が広い(60〜70cm程度)と必要播種量が変わる、という考え方です。
つまり、同じ「10aあたり○kg」で考えるだけではなく、条間が変われば条の本数が変わり、1条あたりに落ちる種の量(線密度)も変わるため、発芽後の混み具合が別物になります。
このため、すじまき機は「条間を先に決めてから播種量を合わせる」順番にすると失敗が減ります。
機種によっては条間を調節できる仕様があり、例として条間8〜20cmの調節ができる人力野菜播種機もあります。
参考)人力野菜播種機 2条(ロール交換式)
また、播種量は繰出しロール等の調節で設定する方式が一般的で、カタログでも「播種量は繰出しロールの調節で簡単設定」と説明されています。
参考)https://www.agri-style.com/agri-style/common/photo/kcfinder/files/2021kizaisougou(2).pdf
したがって、現場では「条間(機械構造)」「繰出し(ロール・ギヤ等)」「作業速度」の3点がセットで播種量を決める、と理解するとズレにくいです。jcam-agri+1
条間・播種量の現場調整を、作業前に短時間で詰めるやり方(小面積テスト)を、実務に寄せて整理します。
意外と見落とされがちなのが「条間が固定か可変かは機種の仕様で決まる」という点で、そばの栽培マニュアルでも、施肥播種機の仕様によって条間が固定の場合と可変の場合がある、と整理されています。
参考)https://www.town.tadami.lg.jp/lifeguide/2023/03/21/21683d8a19005b61a3aad0b6866f7f8c.pdf
つまり、条間を詰めたいのに機種が固定条間だと、繰出し調整だけで無理やり合わせようとして詰むことがあるため、機械の仕様確認が先です。
すじまき(条播)では、作溝深さと覆土の厚みが発芽の揃いを左右し、浅すぎると潅水後に種が動き、深すぎると出芽力の弱い種で揃いが落ちやすくなります。
具体例として、すじまきの溝の深さを1〜1.5cm程度を目安にする解説があり、浅すぎる場合のリスクにも触れられています。
また、ほうれん草の例では、条間15cmで深さ1.5cmにまき筋をつけてすじまきする、といった具体的な深さ・条間の提示があり、標準値の参考になります。
「溝の形」も、精度に効きます。V溝作溝器により種子の散らばりを防止して播種精度が向上する、という説明があり、作溝器のタイプが条のシャープさを左右することが分かります。
覆土は厚すぎると欠株が増え、薄すぎると乾燥で発芽が飛ぶため、土質(砂質・粘土質)と潅水方法に合わせて“薄め安定”に寄せるのが無難です。
参考)タネのまき方|株式会社 宇都宮農園
夏場は乾燥・高温で表層が固まりやすいので、寒冷紗等で覆うなど、季節で播種後管理を変える提案もあり、機械設定だけで解決しない部分として押さえておく価値があります。
現場で「深さが合っているか」を確認する簡単な方法です。
参考)ホウレンソウ
すじまき機で「急に播けない」「条が途中から薄い」などのトラブルは、目詰まり・異物・清掃不足が起点になりやすく、作業後の清掃が翌日の精度に直結します。
播種機の故障診断資料でも、フィルターの目詰まり等が原因になり得ること、外して清掃することが処置として示されています。
また、実際の現場日記として播種機の分解清掃が紹介されており、「分解して掃除する」という行為自体が、精度維持の現実的な手段であることが分かります。
目詰まりの“入口”を減らすために、作業前・作業中・作業後で、やることを分けます。
意外な盲点は、「詰まり=種だけの問題」と決めつけやすい点です。
種そのものより、前作の残土・微粉・湿気で繰出しが渋くなっているケースがあり、ここは“機械の癖”として毎回同じ箇所に出るので、清掃の重点ポイントを固定すると改善が早いです。
メーカーや機種で構造が違うため、取扱説明書に沿った点検が前提になります(安全のためにも、分解範囲は無理をしない)。
検索上位の記事は「条播とは」「条間」「深さ」など“正しいやり方”の説明が中心になりやすい一方、現場で効くのは「ズレたときに、何から疑うか」という診断の順番です。
条播(すじまき)は列が見える分、診断もしやすいので、条の乱れ方を“症状”として使うと復旧が速くなります。
ここでは、すじまき機を前提に、条の見え方から原因を絞る実務フローを提案します。
診断の見取り図(条の症状 → 疑う順番)
この「症状→順番」が効く理由は、播種精度が“設定値だけでなく作業条件に依存する”からです。
施肥(繰出し)でも、既定量を正確に投下するために、作業速度を一定にした条件で事前に繰り出しロール回転数等を綿密に調整した、という記述があり、速度固定の重要性が裏づけられます。
つまり、すじまき機でも「設定をいじる前に、速度と詰まりを潰す」だけで直るケースが多く、ここに時間を使う方が結果的に早いです。jcam-agri+1
最後に、権威性のある日本語リンクを、用途が分かる形で置きます。
条播(すじまき)と播種量の考え方(条間20〜30cm/60〜70cmの違い)がまとまっている。
https://www.snowseed.co.jp/wp/wp-content/uploads/use/035cfe02d9004011fde073467e3f82ca.pdf
播種機の不具合(目詰まり等)の診断と処置が具体的。
https://www.suzutec.co.jp/wp/wp-content/uploads/2017/12/mente_m02.pdf
条播・条間・深さの具体例(ほうれん草:条間15cm、深さ1.5cm)が確認できる。
ホウレンソウ