水稲の中干しは、分げつ期後半に一時的に水を抜いて田面を乾かすことで、過剰な分げつを抑え、根を健全に保つための水管理作業です。 中干しを適切な時期に行うことで、無効分げつの増加や倒伏を防ぎ、登熟を安定させて品質・収量を守る効果が期待できます。 また田面を固めることで、収穫期のコンバイン作業をスムーズにし、作業時間や燃料コストの低減にもつながります。
中干しでは水を完全に切るのではなく、「土に亀裂が入る程度」「足跡が軽くつく程度」を目標にして、稲に過度なストレスを与えない範囲で乾かすことが重要です。 水を抜くことで土中に酸素が供給され、根腐れを防ぎつつ、細根の発達を促すことで、その後の養分吸収力を高める副次的なメリットも得られます。 一方で、乾かし過ぎや時期のズレは収量低下につながるため、「なぜ中干しをするのか」「自分の圃場でどの程度まで干せるのか」を毎年の生育観察と合わせて整理しておくことが大切です。
一般的な水稲栽培では、中干しの開始時期は田植え後約30〜40日、もしくは出穂の約1か月前を目安とし、1株あたりの茎数が20本前後に達した頃が適期とされています。 このタイミングは、目標穂数の約80%が確保された段階ともされ、これ以降は無効分げつが増えやすくなるため、中干しで一旦ブレーキをかけるイメージです。 実際のほ場では「田面の水がうっすら見える頃」「分げつの小さな茎が十分に揃った頃」といった視覚的な指標も併せて判断材料にすると精度が上がります。
期間はおおむね5〜7日間程度が標準ですが、排水性や土質、天候によって調整が必要です。 水抜けのよい砂質土や暗渠の効いたほ場では、短期間でも田面が急激に乾くため、亀裂の入り具合を見ながら3〜5日程度に抑えるケースもあります。 逆に排水不良田では、溝切りを併用しながら7日以上かけて徐々に乾かし、「軽い田干し」を繰り返して中干しの効果を確保する方法が有効です。
参考)http://www.town.misasa.tottori.jp/files/48831.pdf
実際の水抜きでは、水尻の堰板を外し、暗渠の栓を抜くなどして、できるだけ一気に落水し、田面のムラを減らすことが推奨されています。 そのうえで、8〜10条ごとに溝切りを行い、排水路につながる溝を確保すると、圃場全体を均一に乾かしやすくなり、局所的な過湿やガス害のリスクを減らせます。 溝切りは中干し開始直前か開始数日後に行うと効果的で、後半の水管理でも排水路として機能するため、作業の「先行投資」として考える価値があります。
中干し中は雨の影響も大きく、降雨で田面が再び冠水した場合は、中干しの期間を1〜2日延長してトータルの乾田日数を確保するとよいとされています。 水抜き後に乾き過ぎてしまった場合は、かけ流しで軽く水を通すことで、土壌の極端な乾燥を緩和しながら酸素供給の効果を維持できます。 こうした「微調整」を行うには、田面の亀裂の深さ、足跡の入り方、土色の変化など、アナログな観察が意外に有効で、センサーや水位計がなくても経験と記録を重ねれば高い再現性が得られます。
中干しをいつ止めるかは、出穂前の生育ステージと幼穂形成期を意識することが重要で、幼穂形成期の3日前までには再び湛水状態に戻しておくことが望ましいとされています。 この時期に乾き過ぎると穂の形成に必要な水分と養分の供給が不足し、穂数・籾数の減少や登熟不良を招くおそれがあります。 葉色を観察し、急激な黄化や萎れが見え始めた場合は中干しが行き過ぎているサインとして捉え、早めに水を入れる判断も必要です。
中干し終了後は、出穂15日前頃までを目安に、足跡に1cm程度水が溜まるタイミングで入水する「間断かん水」を行うと、根の活力を保ちながら倒伏リスクを抑えられます。 この間断かん水は、常時湛水よりも根の酸素供給を確保しやすく、施肥後のガス発生抑制にもつながるため、近年は各地の指導資料でも推奨される水管理として位置づけられています。 収穫前には落水期を設けますが、中干しや間断かん水で地固めができていると、落水後の田面が早く締まり、コンバインのわだちやスタックを大幅に減らせる点も見逃せません。
参考)https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1286665/suitosiryo2.pdf
近年では、生育予測モデルや衛星・ドローン画像、IoT水位センサーを活用して、中干しの開始・終了時期を数値的に判断する試みが広がりつつあります。 例えば、クラウド型生育予測サービスで幼穂形成期を事前に把握し、その3日前までに中干しを終えるスケジュールを組むことで、作業の平準化と収量リスク低減を両立させる事例も報告されています。 こうしたツールは「感覚頼み」の中干しを、データに基づく水管理へと変えていく手掛かりになりつつあります。
あまり知られていない視点として、中干しの有無や強弱が、田面に生える雑草の構成や水田生物の多様性に影響することが指摘されています。 乾田期間をしっかり取ることで中期除草剤の効きが安定し、ヒエ類やホタルイなどの水生雑草の発生を抑えられる一方で、水生生物相は湛水継続田とは異なる構成になるため、環境保全とのバランスを考慮した中干し設計が求められる場面も増えています。 将来的には、「収量・品質・環境」の三つの指標を同時に満たす中干しのタイミングを、地域ごとのデータから設計するような取り組みが、スマート農業の一部として進む可能性があります。
水稲栽培における中干しの基礎とポイントを整理した解説(時期・目的・水管理の流れの参考)。
JA全農大阪「水稲栽培における中干しについて」
分げつ期〜出穂期の水管理や、中干しの開始時期・程度を写真付きで示した技術解説。
アグリくまもと「水稲の分げつ期~出穂期の管理」
中干し開始・終了時期の判断や、水抜き方法、注意点をまとめた自治体の栽培暦資料。

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