佐渡農業協同組合(JA佐渡)とJA羽茂は、2024年3月1日に合併し、新生「JA佐渡」として1島1JA体制をスタートさせました。
佐渡島内1JA構想自体は半世紀近く前から議論されてきた長期構想であり、人口減少・高齢化・組合員減少の中でようやく実現した統廃合と言えます。
合併に向けては、2019年(平成31年)に「佐渡地区JA合併研究会」が立ち上がり、2023年2月には「佐渡地区JA合併協議会」が発足するなど、数年単位で協議と財務確認、組合員向け説明が行われました。
参考)JA佐渡(佐渡農業協同組合):令和6年度合併について
その後、2023年9月に合併予備契約調印式、10月の統一総会・総代会承認、2024年2月の新潟県からの合併認可を経て発足に至っており、「拙速な統廃合」ではなく段階的な合意形成プロセスが踏まれています。
参考)新JA「北新潟」「えちご上越」「佐渡」へ新潟県が合併認可書交…
新生JA佐渡は合併ビジョンとして、「地域農業の発展」と「組合員・地域の目指す姿の実現」に一層貢献し、持続可能な農業と地域の活性化を掲げています。
あわせて、健全な経営基盤を確立し、「信頼され、選ばれ、必要とされるJA」を目指すと明記しており、単なる規模拡大ではなく経営健全化とサービス維持を両立させる方針です。
ディスクロージャー誌では、JA佐渡が「農業メインバンク」として、佐渡の農業が島の経済に与える影響の大きさを踏まえ、地域に貢献していく社会的責任を担うと位置付けています。
参考)http://www.ja-sado-niigata.or.jp/php/index-asso-info/pkobo_news/upload/33-0link_file.pdf
具体的な基本目標として「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」を掲げ、ブランド化や生産コスト削減、共同利用施設の活用など、金融と営農支援を組み合わせた支援が柱になっています。
参考)https://org.ja-group.jp/challenge/wp_challenge/wp-content/uploads/2019/03/20190318013740803.pdf
この部分の詳細な数字や取組方針は、JA佐渡のディスクロージャー誌や経営情報に整理されています。
JA佐渡 ディスクロージャー誌(農業メインバンクとしての方針や合併の経過が確認できる資料)
統廃合や合併とセットで進むのが「店舗再編」で、JA佐渡では2022年5月30日に店舗再編を行い、一部店舗を他店舗に継承する形で整理しています。
店舗再編はコスト削減だけでなく、将来の職員確保やデジタル化への対応を見据えた配置転換でもあり、窓口の減少とサービス維持のバランスを取る難しい舵取りになっています。
JAバンク側では、合併や店舗統廃合のタイミングで「解約・各種手続きができない期間」や「口座番号の変更」が発生しうることが注意喚起されています。
参考)解約手続きについて|JA佐渡|JAネットバンク
また、合併後にJA佐渡とJA羽茂の両方の組合員であった人は、出資金残高や組合員コードの統合手続きが必要であり、一律ではなく個別対応となる点も現場での見落としポイントです。
参考)https://www.ja-sado-niigata.or.jp/php/index-import-finance/pkobo_news/upload/39-0.pdf
農家としては、以下のような点をあらかじめチェックしておくと混乱を減らせます。
JAネットバンク「JA佐渡 解約手続きについて」(合併・店舗統廃合時の口座・解約手続き上の注意点の参考)
新潟日報の記事によると、佐渡島はコシヒカリに加え、おけさ柿などの果樹や畜産も盛んな地域であり、合併によって島全体を一体とした農業振興と販売戦略が求められています。
組合員数の減少が続く中で、分散した組織では販売・指導・集出荷体制の維持が難しくなっており、統廃合は「人手とコストを集中してブランド強化を図る」ための前提条件になっています。
JA佐渡の経営情報では、佐渡産農畜産物のブランド化と生産流通コストの低減、多様な販売先の確立が重視されており、統廃合はこれらを一体的に進める土台と位置付けられています。
参考)http://www.ja-sado-niigata.or.jp/php/index-asso-info/pkobo_news/upload/38-0link_file.pdf
特に、共同利用施設の運営・利用率改善による収支改善や、スマート農業導入による生産コスト削減は、農家の所得に直結するテーマであり、合併後のJAとの連携次第でメリットが変わってきます。
販売・経営面で農家が意識したいポイントを整理すると、次のようになります。
JA佐渡の概要ページ(事業内容や農業ビジョン、経営ビジョンの確認に役立つ基本情報)
統廃合は「スケールメリット」が強調されがちですが、現場の農家にとっては、きめ細かい相談窓口が遠くなる、担当者が変わる、自分の地区の声が届きにくくなるといった不安も現実的な課題です。
一方で、1島1JAとなることで、これまで別々だった施策や補助事業が整理され、条件が明確になり、若手就農者向け支援や法人化支援が「島レベルで戦略的に」組まれる可能性も高まります。
意外なポイントとして、合併・統廃合のタイミングは「自分の経営を棚卸しするチャンス」になりやすいことが挙げられます。
さらに、JAグループ全体では自己改革の一環として、「リーダーシップ・マネジメント機能の強化」「新たなJA合併構想の推進」が掲げられており、佐渡の統廃合も単発ではなく全国的な流れの中に位置付けられます。
この流れを逆手に取って、「佐渡発のモデル的な取り組み」として島一体の環境保全型農業やカーボンニュートラル対応、観光と連携したブランド戦略などを提案していくことも、農家側の主体的な動きとして重要になってくるでしょう。
参考)https://www.city.sado.niigata.jp/uploaded/attachment/35187.pdf
JAグループ「第38回JA全国大会 議案書」(JAグループ全体の合併・自己改革の背景や方向性を理解するための参考資料)