オーソサイドの使い方!球根消毒の希釈倍率と浸漬時間の手順

球根の病気対策に必須のオーソサイド。希釈倍率や浸漬時間はどうすればいい?植え付け前や掘り上げ時の消毒手順、ベンレートとの使い分けや粉衣処理のコツまで、失敗しない使い方を徹底解説しますか?
オーソサイド球根消毒の要点
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基本の希釈は800倍

水4Lに薬剤5gが目安。球根の種類で調整。

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浸漬時間は15~30分

土を洗い流してからしっかり漬け込む。

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粉衣処理で長期保管

水を使わない粉末コーティングでカビを防ぐ。

オーソサイドの使い方と球根

球根植物を育てる上で避けて通れないのが、カビや腐敗病といった病気のリスクです。せっかく購入したチューリップやユリの球根が、植え付け前や保管中にカビてしまった経験はありませんか?こうしたトラブルを未然に防ぐためにプロの農家や園芸愛好家が愛用しているのが、殺菌剤「オーソサイド水和剤80」です。

 

オーソサイドは、有効成分キャプタンを含む保護殺菌剤で、病原菌の感染を未然に防ぐ「予防効果」に優れています 。特に球根の表面に付着した青かび病や、土壌中の腐敗病菌から球根を守るバリアのような役割を果たします。しかし、正しい希釈倍率や浸漬時間を守らなければ、十分な効果が得られないだけでなく、逆に球根を傷めてしまう可能性もあります。

 

参考)https://www.greenjapan.co.jp/ososaido_s80.htm

本記事では、初心者でも迷わないオーソサイドの具体的な使い方と、植え付け前掘り上げ時に行うべき消毒手順を徹底的に深掘りします。水に溶かして使う一般的な方法から、プロが行う「粉衣(ふんい)」というテクニック、さらには類似薬ベンレートとの使い分けまで、球根を長く楽しむための知識を網羅しました。

 

オーソサイドの基本的な消毒手順と希釈

オーソサイド水和剤80を球根の消毒に使用する際、最も一般的で確実なのが「薬液への浸漬処理」です。これは、水で薄めた薬剤の中に球根を沈め、一定時間漬け込むことで表面を殺菌する方法です。

 

まず、準備するものを見ていきましょう。

 

  • オーソサイド水和剤80
  • バケツ(薬液を作る容器)
  • ゴム手袋(薬剤が肌に触れないように)
  • 計量スプーン(またはデジタルスケール
  • かき混ぜ棒

希釈倍率の目安と作り方
球根の消毒におけるオーソサイドの標準的な希釈倍率は、作物によって異なりますが、一般的には400倍~1000倍です。家庭園芸で最も親しまれているチューリップの場合、800倍~1000倍が推奨されています 。

 

参考)チューリップの球根消毒剤の特徴【効果の違い】【取り扱い方】 …

例えば、4リットルの水を用意した場合の計算は以下のようになります。

 

  • 1000倍液を作る場合: 水4リットルに対して、オーソサイド水和剤を4g溶かします。
  • 800倍液を作る場合: 水4リットルに対して、オーソサイド水和剤を5g溶かします。
  • 400倍液(ユリなど)の場合: 水4リットルに対して、オーソサイド水和剤を10g溶かします。

薬剤は非常に細かい粉末状(水和剤)ですので、いきなり大量の水に入れるとダマになりやすい傾向があります。少量の水でペースト状によく溶いてから、規定量の水に混ぜ合わせると均一な薬液が作れます 。

 

参考)【花と野菜:保存版&#12305…

参考リンク:【グリーンジャパン】オーソサイド水和剤80の詳しい適用表と希釈倍率
※適用病害名や希釈倍率の一覧が表形式で掲載されており、作物ごとの正確な使用量が確認できます。

 

浸漬の手順とポイント
薬液ができたら、いよいよ球根を投入します。ここで重要なのが「土を落とす」ことです。球根に泥がついたままだと、薬液の効果が薄れたり、汚れの中に病原菌が残ったりする原因になります。あらかじめ水道水で優しく土を洗い流し、軽く水を切ってから薬液に入れましょう 。

ネット(みかんネットや排水溝ネットなど)に球根をまとめて入れておくと、浸漬後の引き上げ作業が非常にスムーズになります 。薬液には展着剤を加える必要は通常ありませんが、球根の表面は水を弾きやすい性質があるため、薬液の中で球根を軽く転がし、全体に液が行き渡るようにしてください。

 

参考)球根花の花後管理のコツ。正しい掘り上げと保管方法!

オーソサイドの植え付け前と掘り上げ後の浸漬

球根の消毒には、大きく分けて2つのタイミングがあります。「植え付け前」と「掘り上げ直後」です。それぞれのタイミングで行う消毒には異なる目的があり、浸漬時間や処理後の対応も変わってきます。

 

1. 植え付け前の消毒(予防の最終防壁)
秋植え球根(チューリップ、スイセン、アネモネなど)や春植え球根(グラジオラス、ダリアなど)を土に埋める直前に行う消毒です。これは、保管中に付着してしまったカビ菌や、購入した球根に最初から付いていた雑菌をリセットし、土壌中の病原菌から守るために行います 。

 

  • 浸漬時間: 15分~30分が目安です。チューリップは15分程度、ユリなど皮のない球根や大型のものは30分程度しっかり漬け込みます 。

    参考)https://www.sc-engei.co.jp/assets_shelf/7/dd7d467b.pdf

  • 処理後の手順: 薬液から取り出した球根は、濡れたまま植え付けても問題ありません(「風乾」といって表面を軽く乾かす程度でOKです)。薬剤の成分が球根の表面をコーティングしている状態で土に入れることが、初期の腐敗防止につながります。

2. 掘り上げ後の消毒(長期保管への備え)
花が終わり、葉が枯れた後に球根を土から掘り上げた直後に行う消毒です。このタイミングでの消毒は、夏越しや冬越しの保管中に発生する腐敗病かび病を防ぐために極めて重要です 。

 

参考)球根腐敗病|KINCHO園芸

  • 浸漬時間: こちらも15分~30分が基本です。
  • 処理後の手順(最重要): 掘り上げ時の消毒で最も失敗しやすいのが「乾燥不足」です。薬液に浸した球根は水分を吸っています。これを生乾きのまま箱や袋に入れて保管すると、逆にカビが大繁殖する原因になります。処理後は、風通しの良い日陰で数日間、完全に乾燥するまで乾かしてください 。ここで手を抜くと、秋に箱を開けたときに球根がドロドロに溶けているという悲劇が起こります。

    参考)【センチュウ】球根に付いた白い虫の正体は?〜保管前の球根消毒…

参考リンク:【GardenStory】球根の正しい掘り上げと保管方法、消毒のコツ
※掘り上げ後の乾燥の重要性や、ネットを使った効率的な作業方法が写真付きで解説されています。

 

オーソサイドの水和剤による粉衣処理の効果

「水に漬けて、また乾かすのが面倒くさい」「乾燥に失敗して腐らせるのが怖い」。そんな方に強くおすすめしたいのが、オーソサイド水和剤を粉のまま使用する「粉衣(ふんい)処理」というテクニックです。

 

粉衣処理とは?
通常は水で薄めて使う水和剤を、薄めずに粉末のまま球根にまぶす方法です。農業の現場では、ジャガイモの種芋やショウガの種生姜の消毒で広く行われているプロの技ですが、家庭園芸の球根にも応用可能です 。水を使わないため、処理後の乾燥作業が不要という絶大なメリットがあります。

 

参考)ラナンキュラスとアネモネの魅力や球根の植え方をご紹介

粉衣処理の手順

  1. ビニール袋を用意する: 丈夫なビニール袋に、汚れを落として表面が乾いている球根を入れます。
  2. 薬剤を投入する: 球根の重量の0.2%~0.4%程度のオーソサイド水和剤を袋に入れます。目安としては、球根全体がうっすらと白くなる程度の量です。大量に入れる必要はありません。
  3. シャカシャカ振る: 袋の口をしっかり閉じ、唐揚げ粉をまぶす要領で全体を振ります。球根の表面全体に白い粉が薄く付けば完了です 。

    参考)秋植え球根|HowTo情報|コメリドットコム

粉衣処理のメリットと注意点

  • メリット: 乾燥の手間が省けるため、掘り上げ直後の処理や、湿気を嫌う球根(ラナンキュラスなど)の保管前処理に最適です。また、成分が濃厚なまま表面に付着するため、長期間の保護効果が期待できます。
  • 注意点: 粉末が舞い上がりやすいため、必ずマスクとゴーグル、手袋を着用し、屋外で風上に立って作業してください。吸い込まないよう厳重な注意が必要です。また、植え付け時に粉が手に付きやすいので、手袋は必須です。

オーソサイドとベンレートの使い分けと青かび病

園芸店に行くと、オーソサイドと並んでよく見かけるのが「ベンレート水和剤」です。どちらも球根の消毒に使われますが、その性質と得意分野は異なります。これらを適切に使い分けることで、防除効果を最大化できます。

 

1. オーソサイド(キャプタン剤)の特徴

  • 作用: 「保護殺菌剤」。球根の表面を覆い、外からの菌の侵入や、表面に付いた菌の増殖を防ぎます。
  • 得意な病気: 青かび病立枯病、腐敗病など、土壌や保管中に発生するカビ類 。​
  • 最大の強み: 薬剤耐性菌(薬が効かない菌)が発生しにくいこと。複数の作用点を持つため、繰り返し使用しても効果が落ちにくいのが特徴です。

2. ベンレート(ベノミル剤)の特徴

  • 作用: 「浸透移行性殺菌剤」。植物の内部に成分が浸透し、すでに侵入してしまった病原菌を叩く「治療効果」と「予防効果」を併せ持ちます 。

    参考)ふたたびベンレートとオーソサイドについて

  • 得意な病気: 多くのカビ病に効きますが、耐性菌が出やすいという弱点があります。
  • 使い分けのポイント:
    • 予防ならオーソサイド: まだ発病していない球根のコーティングや、保管中の予防にはオーソサイドが適しています。特に青かび病の予防にはオーソサイドが定評があります。
    • 心配ならベンレート: すでに少し傷んでいる球根や、過去に病気が多発した場所へ植える場合は、内部まで効くベンレートを選ぶ、あるいはオーソサイドとベンレートを混用(または交互に使用)することもあります。

    実際の運用例
    多くのロザリアン(バラ愛好家)や球根愛好家は、「保管前の消毒には耐性菌リスクの低いオーソサイド」を使い、「植え付け時や生育期の病気にはベンレート」を使うといった使い分けをしています 。迷ったら、まずは予防の基本であるオーソサイドから始めると良いでしょう。

    参考リンク:【住友化学園芸】球根腐敗病の症状と対策
    ※球根の腐敗病に対するオーソサイドとベンレートの使用例や、感染した球根の見分け方が解説されています。

     

    オーソサイドを活用した保管中の腐敗病対策

    最後に、検索上位の記事ではあまり深く触れられていない「保管中のリスク管理」という視点からオーソサイドの活用法を解説します。球根栽培の失敗の多くは、実は土の中ではなく、夏の休眠(保管)中に起きています。

     

    見えない敵「貯蔵病害」
    掘り上げた球根は、一見きれいに見えても、目に見えない微細な傷から腐敗菌が侵入しています。特に高温多湿な日本の夏は、倉庫や物置の中で腐敗病やフザリウム菌が爆発的に増殖しやすい環境です。ただ乾燥させるだけでは、内部に潜む菌までは抑え込めないことがあります。

     

    保管特化のオーソサイド活用術
    ここで有効なのが、先ほど紹介した「粉衣処理」を保管開始時に行うことです。

     

    1. 掘り上げた球根を水洗いし、泥を落とす。
    2. 数日間しっかり陰干しして完全に乾燥させる(ここまでは通常通り)。
    3. 保管箱(ネットや紙袋)に入れる直前に、オーソサイド水和剤を薄くまぶす(粉衣)。

    この「乾いた状態での薬剤コーティング」は、保管中の湿気によるカビの発生を強力に抑制します。特に、傷口がふさがりにくい大型の球根や、高価な希少種の球根を保存する場合、このひと手間が生存率を劇的に高めます。

     

    また、保管中に時々球根をチェックし、もし青かび病が発生している球根を見つけたら、すぐに取り除いて廃棄してください。そして、残った球根には再度オーソサイドを粉衣し直すことで、被害の拡大(隣の球根への感染)を食い止めることができます 。オーソサイドは「カビのパンデミック」を箱の中で防ぐための、頼れる番人となってくれるのです。

    注意点:センチュウ対策との兼ね合い
    オーソサイドは殺菌剤であり、虫(センチュウやダニ)には効果がありません。もし保管中の球根にネダニやセンチュウの被害が心配な場合は、殺虫剤との併用が必要になりますが、まずは基本の「殺菌」をオーソサイドで徹底することで、虫が好む腐敗臭の発生を抑え、結果的に虫害のリスクも減らすことにつながります 。

    正しい希釈倍率、適切な浸漬時間、そしてプロの技である粉衣処理。これらを駆使して、大切な球根を病気から守り抜き、来春には見事な花を咲かせてください。