球根植物は、肥大化する部位によって5つのタイプに分類されます。この分類を理解することで、それぞれの球根に適した栽培方法を選択できます。
参考)球根の基礎知識 -球根の特長|ヤサシイエンゲイ
鱗茎(りんけい)は葉が肥大化したタイプで、タマネギ、チューリップ、ヒヤシンス、スイセン、ユリなどが該当します。鱗片が重なり合った構造が特徴で、最も一般的な球根形態です。
参考)球根|園芸用語集
球茎(きゅうけい)は茎の基部が肥大化したもので、グラジオラス、クロッカス、フリージアなどが代表的です。鱗茎と異なり、内部が均質な組織で構成されています。
塊茎(かいけい)は地下茎が肥大化したタイプで、ジャガイモやシクラメンが該当します。地下茎全体が栄養貯蔵器官として機能します。
塊根(かいこん)は根が肥大化したもので、ダリアやパキポディウムなどが含まれます。根の部分に栄養を蓄える特徴があります。
根茎(こんけい)は地下茎全体が肥大化するタイプで、カンナやハスなどが該当します。
球根植物は植え付け時期によって、春植え、秋植え、夏植えの3つに大別されます。それぞれの特性を理解することが、栽培成功の鍵となります。
参考)https://www.dcm-hc.co.jp/howto/guide/g_gardening/20200529121249.html
秋植え球根は9月下旬から11月上旬に植え付け、翌春3月から5月にかけて開花します。チューリップ、ヒヤシンス、スイセン、ムスカリ、アネモネ、フリージアなどが代表的な品種です。これらの球根は冬の寒さに当たることで栄養を蓄積し、春に美しい花を咲かせます。
参考)春咲き・秋植え球根の上手な買い方と植え方
春植え球根は3月から5月に植え付け、夏から秋にかけて開花します。ダリア、グラジオラス、カラー、アマリリスなどが該当し、寒さに弱いため遅霜の心配がなくなってから植え付けます。
参考)球根を植える
夏植え球根は7月から9月に植え付け、秋に開花する品種です。リコリス(彼岸花)、サフラン、コルチカムなどが代表的で、比較的短い栽培期間で開花を楽しめます。
参考)【おすすめの球根の花25選】春・夏・秋植えごとに紹介します
日本で栽培されている球根植物は117種類以上にのぼり、それぞれに特徴的な花姿や栽培特性があります。
参考)https://www.shuminoengei.jp/?m=pcamp;a=page_p_search_categoryamp;txtSearchGenre=%E7%90%83%E6%A0%B9
秋植え球根の主要品種として、チューリップは球根の3倍の深さ、間隔10〜15cmで10月から12月に植え付け、3月下旬から5月に開花します。ユリは球根の4〜5倍とかなり深めに植え付ける必要があり、5月から8月に開花します。スイセンは排水の良さが絶対条件で、2〜3年は植えたままで楽しめる利点があります。
春植え球根では、ダリアは5〜10cmの深さ、50〜60cmの間隔で4月から5月に植え付け、5月から10月の長期間開花します。グラジオラスは5〜10cmの深さ、10〜15cmの間隔で4月から7月に植え付け、6月から10月に開花します。アマリリスは球根の肩が見えるくらいの浅植えで、5月から7月、10月に開花する特徴があります。
夏植え球根のリコリスは7〜10cmの深さで6月から9月に植え付け、7月から9月に開花します。数年間植えたままにした方が花立ちが多くなる特性があります。
球根植物の栽培成功には、適切な水やり管理が不可欠です。栽培環境によって水やり方法が大きく異なります。
参考)球根の基礎知識|HowTo情報|コメリドットコム
地植えの場合、植え付け直後や成長中も基本的に水やりは不要です。ただし、夏や冬に晴天が続いて土が乾燥したときに、月1〜2回程度水を与えます。チューリップなど秋植え球根では、植え付け後2週間は根が伸びる大事な時期なので、たっぷりと水やりをすることが重要です。冬場の水やりを怠ると根が乾燥してしまい、その後いくら水をあげても回復しません。
参考)https://www.tba.or.jp/staffblog/1348/
鉢植えやコンテナ栽培の場合、土の表面が乾いたタイミングで水やりします。特に生育期にあたる春に水が不足すると花が咲かなくなることもあります。
参考)【球根】【カラーの育て方】基本の栽培方法やお手入れのポイント…
水耕栽培では、球根の底面がぎりぎり水に触れる程度が基本です。根が4〜5cm伸びたら、球根と水面の間が数cmあくように水を減らすと、根が水を求めてより生長します。水換えの目安は2〜3日に1回です。
参考)球根のお手入れ方法
植え付け深さは、一般的に球根の高さの3倍が基本目安となります。ユリ科の球根は上に根が出るので、4〜5倍と深めに植える必要があります。
参考)園芸ネット本店|「球根の植付け」の栽培ガイド【公式】
球根植物栽培における最大の脅威は球根腐敗病です。この病気は土中で球根が腐ってしまい、発芽しなくなるか、芽が出ても葉や茎全体が退色して早期に枯死します。
参考)球根腐敗病|KINCHO園芸
チューリップの球根腐敗病では、露地栽培で開花後の気温が上昇する時期に発病が認められます。赤い色素を産生する品種では葉の先端から次第に赤く変色し、最後には地上部全体が赤褐色から褐色になり枯死します。発病株を掘り取ると、球根の根盤部や茎の基部、根や新球の基部などが腐敗しており、容易に引き抜くことができます。
参考)https://www.takii.co.jp/flower/bugs/tulip/disease/kyukonhuhai/index.html
貯蔵中の球根にも発生し、球根全体が腐敗すると白灰色に乾腐します。すでに感染している球根から分かれた子球にも感染しているため、翌年この子球を植えると発病します。
予防対策として、植えた球根が腐っている場合は、球根腐敗病や害虫・害獣にかじられた可能性を考慮します。地際部に白いカビのようなものがついている場合は白絹病の疑いがあり、糸状菌によってガーベラ、キク、クレマチス、パンジー、ユリなどほとんどの草花が被害を受けます。
参考)【第12回・最終回】生育中の植物が枯れる|こんな症状の時どう…
根の害虫としては、ネグサレセンチュウやコガネムシ幼虫が代表的です。根が腐ったり食べられてなくなるため、水分が十分に吸収できず植物が枯れます。
球根腐敗を防ぐ基本は「過湿対策」です。排水性の良い土壌を選び、適切な植え付け深さと間隔を守ることが重要です。健康な球根を選ぶ際は、表面に傷や変色がなく、しっかりと重みのあるものを選びます。
参考)育て方プロ直伝チューリップがもっと長く咲く水やり土選び植え付…
日本の球根市場は2000年代以降停滞傾向にあり、球根価格も下落していますが、近年では輸入球根価格の上昇や為替相場の影響で仕入れコストが増加しています。そのため、栽培技術の向上により失敗率を下げることが、農業経営において重要性を増しています。
参考)https://toyama.repo.nii.ac.jp/record/1953/files/56-1Niisato.pdf
球根草花の知識 - タキイ種苗
球根草花の基礎知識と栽培の詳細な解説が掲載されています。本記事の球根分類と栽培方法の参考情報として有用です。
球根腐敗病の詳細情報 - タキイ種苗
チューリップの球根腐敗病について、症状写真と詳細な解説が提供されています。病害虫対策の具体的な参考資料です。

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