コガタルリハムシの害虫被害と農地防除の正しい知識

コガタルリハムシは農地や牧草地に潜む厄介な害虫です。ギシギシ類を食害するだけでなく、だいおうなど作物への被害も報告されています。正しい防除法を知っていますか?

コガタルリハムシの害虫としての生態と農地での防除対策

コガタルリハムシを駆除すれば畑のギシギシも同時に減る、と思っていませんか?実はその逆で、コガタルリハムシを「味方」にした方が除草コストを年間で大幅に節約できます。


コガタルリハムシ 害虫の基本まとめ
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体長5〜6mmの小型甲虫

北海道〜九州に広く分布。春の約2ヶ月だけ活動し、残り10ヶ月は土中で休眠する特殊な生態を持つ。

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主な食害対象はギシギシ類・スイバ

農地・牧草地に蔓延る難防除雑草ギシギシ類を特異的に食べる。一方でだいおう(ダイオウ)への加害も確認済み。

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生物的防除への応用研究が進行中

秋田県立大学などが「コガタルリハムシを利用したギシギシ類の生物的制御」を研究。除草剤に頼らない農業への活用が期待されている。

コガタルリハムシの基本的な生態と農地での発生時期


コガタルリハムシ(学名:Gastrophysa atrocyanea)は、体長5〜6mm程度の小さな甲虫です。 体の表面は青〜紫藍色の金属光沢を持ち、一見するとおしゃれな虫に見えますが、農地では無視できない存在になることがあります。biome+1
発生時期は主に4月から6月北海道では5月から7月)の春先に集中します。 この2ヶ月間で、越冬成虫・幼虫・新成虫と3段階にわたってギシギシ類を食べ、残り約10ヶ月は土中で休眠成虫として静かに過ごします。agri.hro+1
活動期間が短い点が、この虫の最大の特徴です。 年1化(年に1回しか世代交代しない)で、幼虫は孵化から約20日で土中に入り蛹になります。 蛹化後さらに1週間ほどで羽化しますが、その新成虫はそのまま土中で越冬するというサイクルを繰り返します。


参考)コガタルリハムシ - 仙台市秋保ビジターセンター


ステージ 時期(本州基準) 主な行動
越冬成虫 3〜4月 土中から出てギシギシ類の葉を食べ、交尾・産卵
幼虫 4〜5月 孵化後、集団でギシギシ類の葉を食害(約20日)
新成虫 5〜6月 羽化後にギシギシ類を摂食し、土中へ潜り休眠開始
休眠成虫 6月〜翌春 約10ヶ月間、土中で休眠

コガタルリハムシの農業被害と食害を受けやすい作物

コガタルリハムシの主な食害対象は、農地・牧草地に生える難防除雑草のギシギシ・エゾノギシギシ・スイバ・イタドリです。 これらはタデ科の多年生植物で、化学的防除が困難なため農家を長年悩ませてきました。 つまりコガタルリハムシは、基本的には作物ではなく雑草を食べる虫です。


参考)短期決戦でギシギシ食べるコガタルリハムシ- 株式会社バイオー…


しかし注意が必要な例外もあります。 2013年(平成25年)には、北海道大樹町の露地栽培のダイオウ(だいおう)にコガタルリハムシの成虫が葉を食害し、さらに幼虫が集団で葉を食い荒らした被害が記録されています。 これは北海道において、ギシギシ以外の作物への加害が確認された事例として注目されました。


参考)http://www.agri.hro.or.jp/boujosho/sinhassei/html/H25/25-04.htm


ダイオウはタデ科の植物です。 同じタデ科であることから、コガタルリハムシがダイオウを代替食草として利用したと考えられています。 ダイオウを栽培している農家は、近隣にギシギシ類が自生していないか確認しておくことが大切です。


食害の特徴としては次のとおりです。


  • 🌿 葉が穴だらけになる「食痕」が現れる
  • 🥚 葉裏に白黄色の卵塊(長径1.5mm程度の楕円形)が密集して産みつけられる
  • 🐛 孵化した黒褐色の幼虫が集団で葉を食べ、葉が茶色く枯死することもある

    参考)https://www.syngenta.co.jp/cp/articles/20161001_02


  • ⏰ 被害は主に4〜6月の2ヶ月間に集中する

コガタルリハムシの防除方法と農薬・物理的対策

コガタルリハムシへの防除は、発生時期が春の2ヶ月に限られるため、タイミングを外さないことが基本です。 一般的な防除手段としては以下の方法が挙げられます。


まず物理的防除として、発生初期に成虫を手で捕殺する方法があります。 体長5〜6mmと小さいですが、葉の上に集団でいることが多く、見つけやすいのが特徴です。


葉裏の卵塊を葉ごと除去するのも有効です。


次に耕種的防除として、農地周辺に自生するギシギシ類を早期に除草することで、コガタルリハムシの発生源を断つことができます。 ギシギシ類の防除には除草剤の使用が一般的ですが、多年生植物のため根まで枯らすことが難しく、繰り返しの対策が必要になります。


これが厳しいところですね。


農薬を使用する場合は、他のハムシ類(クロウリハムシなど)と同様の殺虫剤が参考になります。 ただし、コガタルリハムシは主に雑草を食べることから、作物への直接散布よりも雑草の発生源管理と組み合わせた対策が効果的です。


参考)クロウリハムシを駆除・防除するには?生態と被害の特徴 | コ…


シンジェンタジャパン:ギシギシとコガタルリハムシの生態(農地での観察と研究内容)
防虫ネットの活用は、ダイオウなどコガタルリハムシが食害しうるタデ科作物に対して有効です。 春の産卵時期(3〜5月)に作物を物理的に覆うことで、成虫の飛来を防ぐことができます。


コガタルリハムシを「雑草防除の味方」に変える生物的制御の最前線

ここが最大の意外ポイントです。 コガタルリハムシは害虫として知られる一方、除草昆虫として農業に役立てる研究が国内で積極的に進んでいます。


秋田県立大学の露崎浩教授らは、コガタルリハムシを利用してギシギシ類の成長を生物的に制御する研究を行っています。 ギシギシ類は化学的・機械的防除が非常に難しく、特にエゾノギシギシは外来生物法で「要注意外来生物」に指定されているほどです。


コガタルリハムシは春の2ヶ月で「越冬成虫→幼虫→新成虫」の3段階にわたってギシギシ類を食害するため、ギシギシ類の成長を強く抑制し、枯死させることもあるとされています。 これは化学的除草剤なしで難防除雑草を抑制できる可能性を示しています。


科学研究費助成事業(KAKEN):コガタルリハムシを用いた難防除雑草ギシギシ類の生物的制御研究
上記の研究では、コガタルリハムシの越冬成虫が帰化植物のエゾノギシギシよりも、在来種のギシギシを好んで摂食・産卵することも明らかになっています。 生物的防除昆虫として活用するためには、人工餌の開発・休眠成虫の保管技術・効果的な放虫技術の確立が今後の課題となっています。kaken.nii+1

コガタルリハムシと農業の長期的な付き合い方——独自視点:休眠期間を逆手に取った発生予測

コガタルリハムシのユニークな点は、成虫のまま土中で約10ヶ月間休眠することです。 この特性を逆手に取ると、前年の発生量から翌春の被害を予測することが可能になります。


具体的には、春(4〜6月)の活動期に農地周辺のギシギシ類上での成虫・幼虫の個体数をカウントしておきましょう。 個体数が多い年は、翌春も大量発生する可能性が高くなります。


これが条件です。


前年から準備できれば、被害を最小限に抑えやすくなります。


牧草地では、コガタルリハムシがエゾノギシギシを抑制してくれる面もあります。 一方で、ダイオウなどのタデ科作物を栽培している農家では、春の2ヶ月間を重点的な監視期間と位置づけることが大切です。


参考)https://japr.or.jp/wp-content/uploads/shokucho-shi/10/shokucho_10-07.pdf


農地の記録管理という観点では、スマートフォンアプリ「biome(バイオーム)」のような生き物記録アプリを使って、発生場所・時期・個体数を毎年記録しておくと、次年度の防除計画に役立ちます。 記録を積み重ねることで、自分の農地に合ったコガタルリハムシとの付き合い方が見えてきます。


biome公式ブログ:コガタルリハムシの春の生態と観察記録の参考に
最終的に重要なのは、コガタルリハムシを「駆除すべき害虫」と一括りにせず、農地の状況に応じて活用と防除を使い分ける視点です。 ギシギシ類が問題になっている農地では、むしろコガタルリハムシの存在が雑草防除コストの削減につながることもあります。


知っていれば得する情報ですね。






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