鶏糞肥料成分と窒素リン酸カリ石灰EC

鶏糞肥料成分を、窒素・リン酸・カリだけでなく石灰やECまで含めて整理し、施肥設計とトラブル回避の要点を現場目線でまとめます。鶏糞を「速効き」で終わらせず、土壌診断と組み合わせて使い切れていますか?

鶏糞肥料成分と施肥設計

鶏糞肥料成分の要点
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三要素だけで判断しない

鶏糞は窒素・リン酸・カリに加え、石灰(カルシウム)など塩基類も効いて土壌反応を動かします。

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ECは「塩」ではなく肥料成分

塩類(硝酸塩・硫酸塩など)は多くが肥料成分で、堆肥分の分だけ化成を減らす設計が重要です。

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肥料焼け・塩類集積を避ける

速効性を活かしつつ、施用位置・タイミング・土壌pH/ECの確認でリスクを先に潰します。

鶏糞肥料成分の窒素リン酸カリ目安


鶏糞は家畜ふん堆肥の中でも「肥料成分が高い」側に位置づけられ、牛ふん→豚ふん→鶏ふんの順で成分が増え、C/N比は低くなり窒素肥料的性格が強くなる、と整理されます。
この「C/N比が低い=窒素を放出しやすい」性質は、同じ有機物でも牛ふん中心の堆肥とは効き方が変わるという意味で、追肥元肥の組み立てに直結します。
現場でよくあるズレは、「鶏糞=窒素が多い」という一点で施肥量を決め、リン酸過多や石灰過多を同時に招くことです。


参考)飼料や発酵方法から鶏糞の成分を考える

特に鶏糞はリン酸が多い特徴が語られることが多く、実物の成分(保証値や分析値)に沿って、作物のリン酸要求と土壌のリン酸蓄積を見ながら調整するのが安全です。


参考)鶏糞の基本知識:種類別の特徴と効果的な使い方完全ガイド

次のチェックリストで“成分設計”の精度が上がります。


  • 肥料袋の保証票(窒素・りん酸・加里)を確認し、10a当たり投入成分量を一度計算する。

    参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9102058/

  • 土壌分析でリン酸(可給態)とpHを見て、リン酸と石灰の「上限側」を把握する。​
  • 鶏糞を入れる分だけ化成(特に窒素や加里)を減らす前提で施肥設計する。

    参考)Redirecting...

参考:肥料の保証票・公定規格、造粒で硝化が遅れる、リン酸肥効が高い理由(粒内部が還元的、土壌との接触が限られ固定が減る)がまとまっています。


NARO:混合堆肥複合肥料(造粒で硝化が遅延、リン酸肥効、保証票・公定規格)

鶏糞肥料成分の石灰とpH

鶏糞(特に採卵鶏由来)は、飼料として炭酸石灰やリン酸石灰が関わるため、石灰が多くなりやすいという現場指摘があります。
実際に紹介されている分析例でも、石灰全量が高いこと、pHが高めになりやすいことが示されており、「窒素肥料として安く使う」だけの運用だと石灰過剰の障害に寄りやすい、という注意が出ています。
石灰が効くのは悪いことではなく、酸性化しやすい圃場では“副次効果”になります。

一方で、pHを押し上げる方向に働きうるため、苦土・微量要素(マンガン、ホウ素など)の吸収や、作物の適正pHから外れるリスクも含めて設計する必要があります。

実務でのポイントは「鶏糞を入れたらpHが動くかもしれない」ではなく、「動く前提で測って決める」です。


  • 連用している圃場ほど、pHの推移(年1回でも)を記録する。​
  • 既にpHが高い圃場では、鶏糞の量を落とすか、石灰資材の施用は止める。​
  • 石灰の“入れ過ぎ”は戻すのが難しいため、最初から控えめに設計して追加入れで調整する。​

参考:高窒素鶏糞に石灰等が含まれ、肥料成分換算で有利性が増す、また「現物100kgで有効態窒素3kg相当」など、成分の捉え方の例が載っています。


新潟県:高窒素鶏糞(石灰等の換算、有効態窒素の目安)

鶏糞肥料成分とEC塩類集積

「堆肥を使うと塩類障害が出る」という話で誤解されやすいのは、塩類=食塩ではなく、硝酸塩・硫酸塩などの無機塩類を指し、EC(電気伝導度)でその傾向を見ている点です。
そして堆肥に含まれる無機塩類の多くは、窒素・リン酸・カリ・苦土など“肥料成分そのもの”だと説明されています。
つまり、鶏糞を入れてECが上がることがあるのは「肥料成分を入れているから」であり、問題は“総投入量の過剰”になりやすい設計ミスです。

追加で堆肥を入れるなら、その肥料成分の分だけ化成肥料を減らすことで塩類集積を防げる、という整理は非常に実務的です。

鶏糞は家畜ふん堆肥の中でもECが高い特徴がある、という研究報告もあり、資材選択と施用量の管理が重要になります。


参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/46/1/46_134/_pdf

EC対策として現場で効く行動は次の通りです。


  • 施用前に「いまの土壌EC」を把握し、上がりやすい圃場(施設、連作、排水不良)を特定する。​
  • 鶏糞の成分を施肥設計に反映させ、化成肥料を減らす(“足し算”ではなく“置き換え”)。​
  • 追肥で使う場合は根に触れない位置に施し、濃度障害(肥料焼け)を避ける。​

参考:塩類=無機塩類、ECの意味、堆肥分だけ化成を減らす考え方が簡潔にまとまっています。


LEIO:家畜ふん堆肥と塩類集積(EC、塩類の正体、化成の減肥)

鶏糞肥料成分の元肥追肥と肥料焼け

鶏糞は「堆肥(改良材)」というより有機物肥料としての性格が強く、即効性が高いので元肥だけでなく追肥にも使える、という整理がされています。
一方で、追肥は便利な反面、根に近い位置で濃度が上がると肥料焼けのリスクがあるため、畝間や株間など根に触れない位置に散布するのがポイントだとされています。
元肥・追肥で使い分けるときは、鶏糞の「窒素の形」と圃場条件に目を向けると事故が減ります。

発酵や処理の程度で、アンモニア態窒素が多いイメージのもの、硝酸態窒素+有機物のイメージのもの、といった違いが語られており、同じ“鶏糞”でも効き方が変わりうる前提で扱うのが現場的です。

施用作業での実践ポイント(入れ子なしで整理します)。


  • 元肥:全面施肥なら耕うんでよく混和し、局所的な高濃度を作らない。​
  • 追肥:株元に寄せない、雨前にドカ入れしない(流亡・濃度障害の両面で不利になりやすい)。​
  • 施設栽培:ECが積み上がりやすいので、鶏糞+化成の合計投入量を“作期トータル”で管理する。​

鶏糞肥料成分と粒状ペレット独自視点

検索上位では「成分(NPK)」「使い方(元肥・追肥)」「注意点(肥料焼け・塩類)」が多い一方、現場の差が出るのは“形状”です。
粒状・ペレット状の資材は、粒の内部が施用後に還元的になり、硝酸化成(アンモニア態窒素→硝酸態窒素)が遅れるため、硝酸態窒素の流亡が減り窒素利用率が上がりうる、という説明があります。
また、造粒されることで肥料のりん酸成分と土壌の接触が限られ、土壌によるりん酸固定が減って、リン酸の肥効が高くなる方向に働く、という整理も示されています。

この視点を鶏糞に当てはめると、「同じ鶏糞成分」でも、粉状・バラ資材とペレット資材で、効きの立ち上がり・局所濃度・作業性(散布ムラ)まで変わるため、成分表だけでなく形状も“施肥設計の変数”として扱う価値があります。

独自視点としての運用例を一つだけ挙げます。


最後に、鶏糞肥料成分を扱ううえで最も効くのは「自分の圃場の数字」を持つことです。保証票(成分)+土壌分析(pH/EC/リン酸)をセットにして、鶏糞を“足す資材”ではなく“置き換える資材”として使うと、コストと収量の両方が安定します。





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