柑橘類の肥料 施肥基準 土壌診断

柑橘類の肥料は、施肥基準と土壌診断を軸に、時期別の施肥で品質と樹勢を両立できます。春肥・夏肥・秋肥をどう設計し、過剰や不足をどう見抜き、コストも抑えますか?

柑橘類の肥料 施肥基準

柑橘類の肥料の全体像(施肥基準×診断)
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まず「施肥基準」を土台にする

県の施肥基準は、収量・樹齢・作型(通常/高畝/ハウス等)に応じた窒素・りん酸・加里の目安が整理されています。ここから外す時は理由を言語化できる設計にします。

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土壌診断で「減らす・足す」を決める

同じ園でもpHや塩基、リン酸の蓄積はバラつきます。土壌診断の結果を見て、過剰なら減肥、不足なら土づくり資材で底上げします。

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時期別の狙いを明確にする

春肥・夏肥・秋肥は「効かせたい時期」と「効かせたくない時期」が違います。特に夏〜秋に窒素が残ると品質に響きやすいので、肥効の出方まで含めて設計します。

柑橘類の肥料 施肥基準と土壌診断の基本


柑橘類の肥料設計は、経験だけで「多めに入れて安心」に寄せると、コスト増だけでなく品質や樹勢のブレにつながりやすいです。そこで土台になるのが、都道府県の「施肥基準」と、定期的な「土壌診断」です。施肥基準に沿って施肥時期・施肥量を設計し、土壌分析結果を「土壌診断基準値」と照らして、過剰蓄積があるなら「減肥基準」を参考に見直す——この流れが基本になります。
土壌診断を軽視しがちな理由は「見た目の樹勢で判断できる」という感覚ですが、柑橘は土壌中にリン酸や塩基類が蓄積していても、樹がすぐに枯れるような症状が出にくいのが落とし穴です。結果として、樹は“それなりに”育つのに、糖度・着色・浮き皮・日持ちといった商品性で損をするケースが出ます。施肥基準は“標準値”であり、土壌診断は“あなたの園の現状”なので、この2つが揃って初めて施肥が設計になります。


参考)https://www.mdpi.com/2077-0472/11/12/1207/pdf


ここで意外に効く小技は「土壌pHの目標値を守る」ことです。福岡県の果樹向け資料では、常緑果樹の土壌pH(H2O)の改善目標値を5.5〜6.5としています。

pHが外れると、同じ肥料を入れても効きが変わり、微量要素の不足・過剰、根の傷み、塩類集積など“肥料以外の問題”に見える形で出るため、施肥のやり直しが効きにくくなります。

参考:施肥基準・土壌診断の考え方(基準に則し、土壌分析で見直す重要性)
都道府県施肥基準等(農林水産省)

柑橘類の肥料 窒素 りん酸 加里の役割と注意点

柑橘の肥料で、現場の意思決定を一番左右するのは窒素です。福岡県のウンシュウミカン(通常栽培)では、収量・樹齢に応じて年間の窒素・りん酸・加里の目安が表で示されており、例えば目標収量4,000kg/10aの普通種では年間「窒素23、りん酸18、加里14(kg/10a)」が示されています。
このように「NPKを同量」ではなく、収量や品種で幅がある前提で設計するのがプロの出発点です。
一方で、窒素は“効きすぎ”が品質に直結します。福岡県資料でも、施肥時期が遅れた場合の影響や、秋肥の施用期限(地温条件)に触れながら、適期施用を強く促しています。

ここでの現場あるあるは「秋肥が遅れて効かない→翌春の樹勢が不安→春肥を増やす→夏以降に残肥が出る」の負の連鎖です。対策は、秋肥を遅らせない設計と、遅れた時に“増肥”ではなく液肥の葉面散布など別ルートを検討することです(資料にも、遅れた場合の葉面散布が言及されています)。

りん酸は、土壌中で蓄積しやすく、気づくと“過剰なのに入れ続けている”状態になりがちです。福岡県資料でも、県内果樹園土壌の実態として、化学性に着目した場合「リン酸は過剰傾向」とされています。

つまり、りん酸は「毎年入れる前提」より「診断で要否を決める前提」に置き換えるだけで、コスト低減と根の健全化につながる可能性があります。

加里(カリ)は、施肥の“効かせ方”を間違えると別の要素欠乏を誘発しやすい点が意外です。福岡県資料の留意事項では、ブドウでカリ過剰の実態が出たり、苦土(Mg)とのバランスに触れる箇所があり、塩基バランスの重要性が読み取れます。

柑橘でも「カリを入れているのに樹が弱い」場合、実はpHやMg不足、根域の物理性(硬盤・排水)など、カリ以外がボトルネックになっているケースがあります。肥料を増やす前に、土壌診断で“効かない理由”を潰すのが近道です。


柑橘類の肥料 春肥 夏肥 秋肥の施肥時期と施肥量

ウンシュウミカンの施肥は、一般に春肥・夏肥・秋肥の分施で設計します。福岡県の基準では、普通種(通常栽培、目標収量4,000kg/10a想定の時期別例)で「春肥40%、夏肥20%、秋肥40%」という配分で、施用時期は春肥が3月上旬、夏肥が6月上旬、秋肥が10月下旬と整理されています。
この配分は、どの時期に樹が養分を必要とし、どの時期に品質を守るため肥効を落としたいか、という考え方が背景にあります。
早生についても、福岡県資料では春・夏・秋の3回施肥で、施用時期と分施割合が明記されています。

さらに留意事項として「収穫時期が遅い普通温州など秋肥を速やかに効かせたい場合」の扱いや、「秋肥は地温12℃以上を維持している11月下旬までに施用する」といった“効かせる条件”が書かれています。

ここが実務では重要で、カレンダーだけ追うと「撒いたのに効かない」事態が起きるため、地温・降雨・マルチの有無まで含めて施肥の成否を判断します。

マルチや高畝など作型が変わると、施肥量の考え方も変わります。福岡県の高畝栽培では、根域が狭く土壌水分を調整しやすいこと、シートマルチの被覆で流亡が少ないことから、施肥量は一般露地の60〜70%を目安に樹勢診断で調整するとしています。

つまり「同じ木だから同じ量」ではなく、「根域・水分・流亡リスクが違うから設計を変える」が正解です。

ここで、検索上位には多い“定番の説明”に加えて、現場で差が出る意外なポイントを1つ入れるなら、夏肥の扱いです。福岡県資料では極早生は「夏肥は原則施用しない」が、樹勢衰弱樹では年間窒素の20%を5月下旬に追加施用すると明記しています。

このように、品種群や樹勢で「夏肥を入れない設計」も成立するため、夏肥は“毎年必ず入れる行事”ではなく、樹勢と作型でオンオフするスイッチとして扱うと施肥が締まります。

柑橘類の肥料 マルチ 高畝 かん水同時施肥の省力化

省力化の方向性は大きく2つで、「施肥回数を減らす」か「施肥作業を灌水に寄せる」かです。福岡県資料では高畝栽培の留意事項として、マルドリ方式(周年マルチ+点滴かん水同時施肥)に触れ、低濃度液肥を多回数施用すること、窒素成分で150〜200ppm程度を基準とし、場合によっては300ppmまで濃度を高めることも可能、といった具体が書かれています。
この記述は、肥料の“量”だけでなく“濃度と回数”で樹をコントロールする発想が、すでに基準資料に入っている点が重要です。
また、かん水同時施肥は「水の管理」と一体なので、品質狙い(増糖)とも相性が良い一方、失敗すると塩類集積や根傷みが起きやすいのも事実です。福岡県資料でも、ハウス栽培でカリなど塩類集積が進み根障害を招きやすいので定期的に土壌診断を行い、有機物の補給や施肥量を調節して回避する、と明記しています。

つまり省力化を進めるほど、土壌診断は“保険”ではなく“運転計器”になります。

もう一つ、作型と施肥の関係で押さえたいのが「秋肥後に雨がないと効きが落ちる」問題です。福岡県資料では、シートマルチ栽培の留意事項として「秋肥施用後に降雨がない場合は、かん水を行って肥効を高める」と書かれています。

この一文は見落とされがちですが、肥料代を無駄にしないための超実務的なチェックポイントです。秋肥のあとに天気予報を見て、雨がなければ“肥料を増やす”のではなく“水で効かせる”という判断ができるようになります。

参考:ウンシュウミカンの作型別施肥量(通常・高畝・マルドリ方式の考え方)
福岡県果樹施肥基準(PDF)

柑橘類の肥料 独自視点:土壌pHと塩基バランスで“効かない施肥”を減らす

独自視点として強調したいのは、「肥料を入れているのに効かない園」の多くが、肥料銘柄の問題ではなく“土壌の受け皿”の問題だという点です。福岡県資料は土壌診断の章で、土壌改善目標値(pH、塩基飽和度、可給態リン酸、腐植、ECなど)を整理し、土壌診断が不可欠だと明確に述べています。
この“受け皿”を整えると、同じ施肥量でも樹の反応が良くなり、結果的に減肥できる余地が生まれます。
特にpHは、上げる時も下げる時も「一気に矯正しない」のが事故を減らします。福岡県資料では、石灰質資材を一度に多量施用すると微量要素の欠乏症等の恐れがあるため、一回当たり施用量の目安を示し、1年後に再度土壌診断を行う流れを提示しています。

つまり、pHは“毎年少しずつ、診断しながら寄せる”運用が安全で、施肥の効果を安定させます。

また、土壌診断値の実態として、福岡県のカンキツでは土壌pHが目標値を下回る圃場が多いこと、腐植や石灰・苦土・カリの不足が一定割合で見られることが示されています。

これが意味するのは、「NPKだけ整えても、CaやMg、腐植が不足していれば根が弱り、結局NPKの効率が落ちる」可能性があるということです。

肥料費が上がった年ほど、NPKを削る前に“効率を上げる土づくり”で、同じ施肥を無駄にしない考え方が現場で効きます。

最後に、現場で使えるチェックリストを置きます(入れ子にせず、作業に落としやすい形にします)。


✅ 柑橘類の肥料:効かせるための確認

  • 土壌診断を取ったか(pH、EC、可給態リン酸、塩基など)。
  • 作型(通常・高畝・マルチ)に応じて施肥量を調整したか(高畝は一般露地の60〜70%目安など)。​
  • 秋肥の施用が11月下旬までに収まる設計か、遅れた場合の手当(葉面散布等)を用意したか。​
  • マルチ園で秋肥後に雨がない場合、かん水で肥効を出す段取りがあるか。​
  • りん酸は“慣習で入れる”ではなく、過剰傾向の前提で診断を見て判断しているか。​

(記事はここで終わりです。タイトルやまとめ、書き出しは指示により出力していません。)




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