「柿のヘタムシの消毒は何がいいですか?」の答えは、銘柄の人気順ではなく、幼虫が果実に入る前に当てられる薬剤(=登録があり、時期と回数を守れる薬剤)が“いちばん良い”です。
カキノヘタムシガは、芽に産卵→ふ化幼虫が芽を食害→3齢幼虫になる頃に果実(ヘタ付近が多い)へ食入、という流れなので、果実被害を見てからの消毒は遅れがちになります。
さらに厄介なのは、果実内部に入った幼虫には散布した薬液が十分到達しにくい点で、ここが「消毒してるのに効かない」最大の原因になりやすいです。
現場で押さえる基本は次の3つです。
・散布の狙い:芽を加害している時期〜果実食入が始まる直前。
参考)https://www.mdpi.com/2309-608X/11/2/138
・判断の目安:成虫発生ピークの“約10日後”に果実への食入が始まる、という考え方が使えます。
参考)301 Moved Permanently
・対策の前提:農薬は必ず「作物:かき」「害虫:カキノヘタムシガ」で登録がある薬剤を、ラベル通りの希釈・回数・収穫前日数で使います(ここを外すと効果以前にNGです)。
薬剤を何にするか以上に、散布時期が結果を左右します。
香川県の技術資料では「成虫発生最盛期の約10日後に幼虫の果実への食入が始まる」ため、そこに遅れない防除が重要だと整理されています。
同資料では、カキ「富有」の第1世代幼虫は「満開10日後」が防除適期の目安になる、とされています。
岐阜県の資料だと、より“現場運用しやすい”表現で、防除適期を「第1世代幼虫:発蛾最盛期より7〜14日後」「第2世代幼虫:発蛾最盛期より3〜10日後」としています。
この「第2世代は摘果終了後で影響が大きい」という注意書きが重要で、夏以降に“落果・着色異常が急に増えた”園は、ここで取り返しがつかない形になりがちです。
時期を外さないための実務メモ(よくある園の動きに寄せます)。
・開花〜満開期:満開日を記録し、「満開+10日」をまずカレンダーに固定する(富有の目安)。
・5月〜6月:成虫のピーク確認ができるなら、ピーク日(または50%発生日近辺)+約10日を第1の山とみなす。
・7月〜8月:第2世代は期間が長引く傾向があるとされるため、発蛾最盛期からの“ズレ”も想定し、必要なら追加防除も視野に入れる。
家庭園芸の解説としては、早めに「オルトラン水和剤」や「モスピラン液剤」を散布する、という紹介があり、ポイントは“実の中に入る前”です。
モスピラン液剤(アセタミプリド)は、商品ページの適用表で「かき/カキノヘタムシガ/500倍/200〜700L/10a/収穫前日まで/3回以内」といった条件が明記されています。
つまり「何がいいか」を安全に言い切るには、あなたの栽培規模(SSか手散布か)、散布できる回数、収穫前日数の制約の中で、登録条件を満たす薬剤を選ぶのが答えになります。
薬剤選びで失敗を減らすコツを、現場用に具体化します。
✅「効く・効かない」はまず時期:ふ化直後〜果実食入前に当てるのが最優先です。
✅「当たってない」を疑う:ヘタ周り・樹冠内側・葉裏に薬液が回らないと、タイミングが合っても取りこぼします(SSの風量やノズル角度も見直し対象)。
✅「連用」を避ける:同じ系統ばかりだと効きが落ちたように見える要因になるので、地域の指針・防除暦も確認しながらローテーションを組みます。
参考)カキノヘタムシガを防除する方法
参考:散布時期の重要性は、公的資料でも「果実内部に食入した幼虫には薬液が十分到達しないため、食入前までに実施」と明記されています。
「消毒=薬剤」だけで押し切ろうとすると、年によっては発生期間が長引いたり、散布の谷間に食入されたりして、どうしてもムラが出ます。
そこで効いてくるのが、越冬密度を下げる作業で、岐阜県資料では冬期の「粗皮削り」によって、枝基部など樹皮下・粗皮下で越冬する幼虫の密度低下を図る、とされています。
この作業は地味ですが、薬剤散布回数を増やさずに“翌年の初動を軽くする”方向に働くので、毎年やられる園ほど費用対効果が出やすいです。
さらに、被害果の除去も対策として挙げられており、多発園では被害果を除去して埋設し密度低下を図る、とされています。
意外に見落とされがちなのが「本虫はカキ単食性で、発生園から大きく移動しにくい」という点で、つまり“自園の密度管理”が翌世代に響きやすい害虫です。
周辺に放任園があると、そこから成虫が飛来する注意点も明記されているので、地域での情報共有(最低限の声かけ)も、長期的には防除コストを下げる方向に働きます。
検索上位の多くは「薬剤名」と「散布時期」を中心に書きますが、現場で“効かない”と感じる原因は、実は複合です(ここを切り分けると再現性が上がります)。
そこで、柿のヘタムシ対策を「診断」するチェック項目を置きます。
【チェック1:時期は合っていたか】
・満開日(富有)や発蛾最盛期を記録していたか、散布がその目安(満開10日後、または発蛾最盛期から7〜14日/3〜10日)に乗っていたか。
・成虫発生が長期化する年に、1回で終わらせていないか(谷間に食入されると「効かなかった」体感になります)。
【チェック2:当て方は合っていたか】
・樹冠の外側だけ濡れて、ヘタ周りや内側の果実まで薬液が入っていない、という散布ムラがないか(特に大木・込み合い樹形)。
・散布後すぐの強い降雨や強風条件で、付着が落ちていないか(天候選びも実力差になりやすい)。
【チェック3:園内密度を下げているか】
・冬の粗皮削りを毎年ルーチン化できているか(越冬場所を減らす)。
・被害果の除去を「見つけたら即」できているか(次世代の母数を減らす)。
【チェック4:ラベル運用が現実的か】
・収穫前日数や回数制限のせいで、適期に散布できない設計になっていないか(例:収穫が早い品種・直売で出荷がタイト)。
参考)モスピラン液剤 - ニッソーグリーン
・同系統ばかりで回していないか(抵抗性・効きムラの体感につながるため、RAC/IRACの考え方でローテーションを検討)。
公的資料の「果実内部に入ると薬液が届きにくい」という前提を踏まえると、上の診断でズレを1つずつ潰すのが、最短で“効く年を増やす”手順になります。
防除適期(満開10日後など)の根拠を押さえる(公的研究成果)。
満開10日後を防除適期とする考え方(富有)
発生生態・越冬場所・粗皮削り・防除適期の目安(発蛾最盛期からの日数)がまとまっている(県資料)。
カキノヘタムシガの生態と防除対策(粗皮削り・適期・被害果除去)
「成虫発生最盛期の約10日後に食入が始まる」「果実内部に入ると薬液が届きにくい」など、時期重視の根拠が明文化(県資料)。
防除適期の考え方(成虫ピーク後〜食入前)