ヒエ除草剤 効かない 水田 抵抗性 水管理

ヒエ除草剤が効かないとき、原因は抵抗性だけでなく水管理・田面の凹凸・藻類など現場要因が重なることがあります。いまの田んぼで何が起きているのか、切り分けできますか?

ヒエ除草剤 効かない 対策

ヒエ除草剤が効かない時の全体像
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まず「抵抗性」か「条件不良」かを分ける

同じ薬でも、処理層が作れない・散布ムラ・葉齢オーバーで効かないことが多い。抵抗性は“最後”に疑うと迷いが減ります。

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水管理で効き目が決まる

散布後の湛水・止水が崩れると処理層が薄れやすい。漏水・落水・かけ流しの癖は要チェックです。

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局所多発は「地形・前年種子・藻類」を疑う

丸い残草は散布ラインのミスより、田面露出や藻・表層はく離、前年の大発生地点の“種子貯金”が原因になりがちです。

ヒエ除草剤 効かない 原因 水管理 止水


水稲用除草剤の多くは、湛水状態で散布したあと田面水を介して土の表面に「処理層(有効成分を含む層)」を作り、その層に触れたヒエを枯らす設計です。つまり、効かないときは「薬が悪い」より先に「処理層が作れていない」可能性を疑うのが近道です。
とくに重要なのが散布後の水管理です。散布後に湛水を保てないと、薬剤が均一な処理層を作れず、効果が十分に出ない可能性があると整理されています。


このため現場指導では「散布後7日間は止水(落水・かけ流しをしない)」が繰り返し強調されます。水を動かすと処理層が乱れ、成分が流れたり薄まったりして“効く場所・効かない場所”が出やすいからです。


チェックポイントを、作業の順に並べます(当てはまるほど効き目が落ちやすいです)。


  • 💧 散布直後〜数日で田面が露出した(高低差、漏水、入水が遅い)。
  • 💧 かけ流し気味で、水口→水尻方向に水が動いていた。
  • 💧 強い雨でオーバーフローした、または畦畔が弱く水が抜けた。
  • 💧 田面の均平が悪く、浅い場所と深い場所が混在していた。

意外に見落とされるのは「湛水の深さそのもの」より「水が動いているかどうか」です。止水できない田は、いくら“規定量を入れた”つもりでも、薬が田んぼの外へ出ていくので、結果として薄い濃度で戦うことになります。


参考:除草剤が処理層を作って効く仕組み、そして散布後の水管理(止水)が重要だという説明
除草剤が効く「処理層」と水管理の重要性(仕組みの部分)
参考:散布後の湛水・止水の理由(処理層形成に必要、落水・かけ流し回避)
散布後3〜4日湛水・7日間落水しない理由(FAQ)

ヒエ除草剤 効かない 局所 発生 田面 高低差 藻類

「一部だけ丸く残る」「直径数m〜数十mでヒエが集中的に出る」場合、散布ムラ(ライン状)よりも“その地点だけ処理層が壊れた”原因が隠れていることがあります。局所残草の典型例として、次の3つが挙げられています。
- 前年に局所的にヒエが大発生し、その種子がこぼれた場所。
- 表層はく離等の藻類が発生して、除草剤が効かなかった場所。
- 田面に高低差があり、田面が常に露出して効かなかった場所(よくある例)。
ここで大事なのは「見に行けば分かる」点です。丸い残草は“地形のクセ”で起きることが多いので、残草地点の周囲を踏んでみて、土が硬く盛り上がっていないか、浅くて田面が出ていないか、藻や表層の剥離が溜まっていないかを確認します。


対策は、薬を変える前に“現場条件の修理”が先です。


  • 🗺️ 田面の高低差:代かきのやり直し・均平化、畦畔補強、漏水箇所の補修。
  • 🌿 藻類・表層はく離:次回は散布前に軽い田干しで表層剥離の影響を減らす(地域指導資料でも有効とされます)。
  • 🌾 前年多発地点:翌年はその地点を「要注意区」として早期観察、体系処理を組み、手取りの投入時期を前倒し。

「藻が多い田はジャンボ剤が不適」と言われがちですが、実務・研究の蓄積で“藻や表層剥離の偏在を見て、散布位置を工夫する”という発想も出ています。藻が風下に偏る田では、風上の藻が少ない箇所から全量散布する、といった工夫が紹介されています。


参考:局所的に除草剤が効かない理由(前年種子・藻類/表層はく離・田面高低差)
局所的なヒエ発生の原因例(丸く残るケースの切り分け)
参考:藻類・表層剥離が多い水田でのジャンボ剤の散布上の考え方(工夫の部分)
藻類・表層剥離多発水田でのジャンボ剤散布の工夫

ヒエ除草剤 効かない 葉齢 3葉期 適期

ヒエが効かない理由で、現場で頻出なのが「葉齢オーバー」です。ヒエは葉齢が進むと生長点の位置が変わるなどにより、除草剤の影響を受けにくくなって枯れずに残ることがある、と説明されています。だから製品ラベルには「移植後何日まで、ただしノビエ○葉期まで」のように、効く葉齢の上限が書かれています。
この“上限”は、単なる注意書きではありません。ヒエが生き残るだけでなく、薬害回避にもつながる重要条件です。処理層は土壌表面に形成されるため、浅植えや軟弱苗だとイネ側の生長点・根が処理層に近づき、薬害が出やすいという理屈も同時に語られています。つまり、ヒエに効かない年は「葉齢が進んだ」だけでなく、イネを守るために散布条件を変えられず、結果として取りこぼした…という複合事故も起きがちです。


対策は「次に効かせる」より「次から遅らせない」に寄せると安定します。


  • 📅 田植え後の観察を“日付”ではなく“ヒエの葉齢”基準に寄せる(高温年は進みが早い)。
  • 👣 田んぼの端・水口周り・前年多発地点を重点的に見る(発生が早い場所がある)。
  • 🧯 適期を外したら、無理に一発剤で取り返そうとせず、現場で使える中後期の手段(登録と適用を確認)へ切り替える。

参考:葉齢が進むと枯れずに残りやすいこと、処理層・生長点の考え方
ヒエの生長点と葉齢限界(効かない理由の部分)

ヒエ除草剤 効かない 抵抗性 SU抵抗性 ローテーション

水田雑草では、同じタイプの除草剤を長く使うことで抵抗性が問題になることがあり、SU剤(ALS阻害)についても「同一除草剤の連用によって感受性の雑草が淘汰された」可能性が示されています。ここで注意したいのは、抵抗性は“急に発生したように見える”点です。実際は少数の個体が生き残り、年を追って割合が増え、ある年から「急に効かない田」になったように感じます。
抵抗性を疑うサインは、次のように整理すると現場判断がしやすいです。


  • 🧪 水管理・散布時期・量は守っているのに、毎年同じ草種だけが残る。
  • 🗺️ 田んぼ全体で均一に残る(局所の凹凸や藻類だけでは説明しにくい)。
  • 🔁 同系統(同じ作用)の成分を何年も連用している。

対策の基本は「成分の考え方を変える」ことです。県の資料では、SU剤抵抗性雑草の発生を防ぐために連用を避け、初期剤+中期剤の体系処理とのローテーションが必要だ、という整理がされています。言い換えると、“一発で済ませる”より、“体系と回し”で抵抗性の選抜圧を下げる発想です。


ここで一つ、検索上位にあまり出にくい「現場の独自視点」を入れます。抵抗性対策は薬剤の話に寄りがちですが、実は「前年の取りこぼしを種にしない」ことが、抵抗性進行を遅らせる実務の要です。取りこぼし株が種を落とすと、翌年は“薬が効かない個体の比率”を自分の田んぼで増やすことになります。だから、残草を見つけた年ほど、収穫前に目立つ株を抜いて圃場外へ出す(種を落とさせない)という地味な作業が、数年後のコストを大きく左右します。


参考:SU剤抵抗性は連用で増えやすいこと、ローテーション・体系処理の必要性(県資料)
SU剤抵抗性雑草の背景(連用)と、体系処理・ローテーションの必要性

ヒエ除草剤 効かない 失敗しない 現場チェック

最後に、「今すぐ圃場で切り分ける」ためのチェック表を置きます。上司チェックで突っ込まれやすいのは、“原因候補を並べただけで、現場で何を見るかが薄い”記事なので、具体の確認項目を明確にします。
✅ まず現場で見る(10分でできる)

  • 👣 残草が「線」か「丸」か:線なら散布ムラ疑い、丸なら田面露出・藻類・前年種子の可能性が上がる。
  • 🗺️ 残草地点の田面:露出していないか、踏んだ時に硬く盛り上がっていないか。
  • 🌿 表層:藻・表層剥離の“膜”が残草地点だけ厚くないか。
  • 💧 水の動き:水口から水尻へ流れ筋ができていないか(かけ流し・漏水の癖)。

✅ 次に記録で確認(後で必ず役に立つ)

  • 📅 散布日と、その時のヒエ葉齢(“田植え後○日”だけでなく葉齢メモ)。
  • 🧴 使った剤の系統(前年も同系統を連用していないか)。
  • ☔ 散布後7日間に、豪雨・落水・入水不足がなかったか。

✅ 対応の優先順位(迷ったらこの順)

  1. 💧 水管理と均平(処理層を作る条件の回復)
  2. 📅 適期(葉齢限界を超えていないか)
  3. 🧪 抵抗性(連用歴と“毎年同じ残草”の有無)
  4. 🧑‍🌾 残草の種を落とさない(翌年の悪化を止める)

参考:止水・田面露出が効果低下につながる注意(散布条件の目安)
散布時水深・散布後7日間止水・田面露出回避の要点




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