グリセリン脂肪酸エステル危険性と安全性、食品添加物の影響

グリセリン脂肪酸エステルは食品添加物として広く使われていますが、その安全性や健康への影響について農業従事者も知っておくべきでしょうか?本記事では、乳化剤としての役割から、豆腐への使用、腸内環境への影響まで詳しく解説します。あなたの食卓は本当に安全ですか?

グリセリン脂肪酸エステル危険性と安全性

この記事のポイント
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グリセリン脂肪酸エステルの基本情報

食品添加物として認可された乳化剤で、豆腐やパン、菓子類など幅広い食品に使用されています

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安全性の評価

厚生労働省が指定した添加物で基本的に安全とされていますが、高用量投与で肝臓・腎臓への影響が確認されています

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腸内環境への影響

乳化剤全般について腸内細菌叢を乱し、腸の炎症やメタボリックシンドロームを誘発する可能性が研究で示唆されています

グリセリン脂肪酸エステルの成分と用途

 

グリセリン脂肪酸エステルは、植物油から得られる脂肪酸とグリセリンを化学反応させて製造される食品添加物です。この物質は食品衛生法に基づき厚生労働大臣が指定した「指定添加物」の一つで、乳化剤としての使用が認められています。

 

参考)https://www.mrso.jp/colorda/lab/3563/

主な用途として、乳化剤、消泡剤、起泡剤、デンプンの品質改良剤など多岐にわたります。具体的には乳製品、乳飲料、マーガリン、菓子類、パン、豆腐など、私たちが日常的に口にする多くの食品に使用されています。農産物を使った加工品においても、このグリセリン脂肪酸エステルは製品の品質向上や製造効率化のために重要な役割を果たしているのです。

 

参考)食品添加物のグリセリンとは?メリットとデメリット、安全性や用…

グリセリン脂肪酸エステルには、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドの3種類があり、それぞれエステル化度や脂肪酸の種類によって異なる性質を持ちます。親油性から親水性まで幅広い特性を持つため、さまざまな食品の乳化状態を作り出すことができます。

 

参考)https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/shokuten/nyukazai.html

グリセリン脂肪酸エステルの安全性評価と使用基準

食品安全委員会による評価では、グリセリン脂肪酸エステルは農薬として使用する場合も含めて安全性が確認されています。各種毒性試験の結果、高用量投与により肝臓および腎臓の重量増加、尿中窒素の増加が認められたものの、通常使用される範囲では人の健康を損なうおそれはないと評価されています。

 

参考)グリセリン脂肪酸エステルの危険性は?健康への影響と安全性 &…

しかし、安全性評価は「想定される使用方法に基づき通常使用される限り」という条件付きであることに注意が必要です。国際的には、脂肪酸類、酢酸、クエン酸、乳酸及び酒石酸のグリセリンエステルの合計量として、ADI(一日摂取許容量)が設定されており、食品添加物からの酒石酸の摂取量の合計が30mg/kgを超えないことが求められています。

 

参考)公益財団法人 日本食品化学研究振興財団

生協によっては、グリセリン脂肪酸エステルを「基本的に使用不可」とする独自基準を設けているところもあります。これは安全性に絶対的な問題があるわけではなく、化学物質をできるかぎり避けるという方針に基づくものです。農業従事者が自分の作物を使った加工品を選ぶ際にも、このような基準の違いを知っておくことは有益でしょう。

 

参考)食品添加物基準 - 神奈川の生協「生活協同組合ナチュラルコー…

グリセリン脂肪酸エステルを含む豆腐の消泡剤問題

豆腐製造において、グリセリン脂肪酸エステルは消泡剤として広く使用されています。大豆を煮る過程では大量の泡が発生しますが、この泡を消すために多くの豆腐製造会社が消泡剤を添加しているのです。

 

参考)豆腐の添加物を知る|豆腐のことなら全豆連

消泡剤を使用する理由は製造効率の向上にあります。泡の監視や吹きこぼれ防止の手間を省くため、グリセリン脂肪酸エステルやシリコーン樹脂などの消泡剤が使われます。しかし本来、豆腐は大豆、凝固剤、水のみで製造できる食品であり、消泡剤は必須ではありません。

 

参考)消泡剤(グリセリン脂肪酸エステル)とは?美味しい豆腐を見分け…

消泡剤は界面活性剤として働き、泡立ちを防ぐ効果がありますが、食品表示では原材料欄に表示する義務がない場合もあります。安全な豆腐を選ぶポイントとして、「国産大豆100%」「天然にがりのみ使用」「消泡剤不使用」の3点が推奨されています。農業従事者が自ら栽培した大豆を使った豆腐を選ぶ際には、これらの表示を確認することで、より安心できる商品を見分けられます。

 

参考)https://www.tofu-tsubakiya.co.jp/particular/syouhou.html

乳化剤が腸内環境に与える影響

近年の研究では、乳化剤が腸内環境に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。2015年に科学雑誌「ネイチャー」で報告されたマウスの研究では、乳化剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)やポリソルベート80を12週間投与すると、腸の炎症とメタボリックシンドロームが誘発されることが明らかになりました。

 

参考)乳化剤は体に悪い?乳化剤による腸内環境の乱れと炎症性疾患のリ…

乳化剤を摂取したマウスでは、腸の粘液層が薄くなり、腸内細菌叢の組成が変化して腸管上皮透過性が上昇しました。その結果、腸管上皮を覆う粘液層への腸内細菌叢の侵入が進み、リポ多糖(LPS)レベルが上昇して腸の炎症が引き起こされたと考えられています。

さらに、乳化剤は腸の粘膜を傷つけ、消化管の神経細胞が食欲を調整するホルモンの分泌を阻害する可能性も示唆されています。これにより食欲調節が難しくなり、過食、体重管理の問題、メタボリック症候群のスパイラルに陥るリスクがあります。マウスによる他の研究でも、乳化剤により腸内細菌叢が乱れることで認知機能低下が加速されたり、食物アレルギーが悪化したりする報告があります。

 

参考)身近なあの食材が腸内環境を悪化させている!?「乳化剤」のリス…

グリセリン脂肪酸エステルを避ける農業従事者の選択

農業従事者として、自分が育てた作物がどのように加工されるかを知ることは重要です。グリセリン脂肪酸エステルは法的に安全とされていますが、できるだけ避けたいと考える消費者も増えています。

実際に、添加物を気にする消費者向けに「消泡剤不使用」を明記した豆腐や、「乳化剤不使用」のパン製品が市場に登場しています。コープ自然派のような生協では、原材料欄に表示義務のない消泡剤まで不使用にこだわった商品を提供しています。

 

参考)301 Moved Permanently

📌 食品選びのチェックポイント。

  • 原材料表示で「乳化剤」「グリセリン脂肪酸エステル」の記載を確認
  • 豆腐は「消泡剤不使用」と明記されたものを選ぶ
  • 国産大豆、天然にがり使用の商品を優先する
  • 有機栽培や無農薬栽培の原料を使った製品を選ぶ

農業従事者が自分の作物を原料とする加工品を選ぶ際、これらの基準を満たす製品を選択することで、消費者により安心できる食品を提供できます。また、自ら加工品を製造する場合には、添加物を最小限に抑えた製法を採用することで、付加価値の高い商品作りが可能になるでしょう。

 

参考)安全でおいしい豆腐の選び方!知っておきたいお豆腐の添加物のこ…

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