エーゼットシリコンスプレーの滑りと潤滑と艶出しと種類の違い

農機具のメンテナンスや収穫作業の効率化に欠かせないエーゼットシリコンスプレーですが、黄色と緑色の缶の違いや、素材ごとの正しい使い分けを完全に理解して活用できていますか?

エーゼットシリコンスプレーの滑り

この記事の重要ポイント
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圧倒的な作業効率化

土や泥の付着を防ぎ、農具の滑りを劇的に改善することで疲労を軽減します。

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黄と緑の成分の違い

溶剤入りの黄色と無溶剤の緑色を素材によって使い分けることが長持ちの秘訣です。

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防錆と保護効果

金属部分のサビを防ぎ、プラスチックやゴム製品の劣化を抑制するメンテナンス術です。

エーゼットシリコンスプレーの滑りと潤滑の効果


農業現場において、作業効率を阻害する最大の要因の一つが「摩擦」と「付着」です。エーゼットシリコンスプレーは、その主成分であるシリコーンオイルが対象物の表面に極めて薄く、かつ滑らかな被膜を形成することで、これらの問題を解決します。一般的な潤滑油(グリースやマシン油)とは異なり、シリコンスプレーの最大の特徴は「速乾性」と「非粘着性」にあります。塗布した直後は液状ですが、すぐに溶剤が揮発し(※黄色缶の場合)、サラサラとしたドライな被膜が残ります。これにより、埃やゴミを寄せ付けないという特性が生まれます。


農作業において、この「ベタつかない潤滑」は非常に重要です。例えば、泥を含んだ土壌で使用するクワやスコップに粘度の高い油を塗ってしまうと、かえって土が付着しやすくなり、重くなって作業効率が落ちてしまいます。しかし、エーゼットシリコンスプレーであれば、土離れが良くなり、驚くほど軽い力で作業を継続することが可能になります。


具体的なメカニズムとしては、シリコーン分子が素材の微細な凹凸に入り込み、表面を平滑化することで摩擦係数を大幅に低減させます。これは単なる滑り向上だけでなく、摩耗の防止にもつながります。


  • 土壌付着の防止:泥汚れが金属表面に固着するのを防ぎ、使用後の水洗いが容易になります。
  • 収穫物の滑走性向上選果機やコンテナのシュート部分に使用することで、農作物が傷つくのを防ぎながらスムーズに移動させることができます。
  • 切断抵抗の低減:鎌や剪定ハサミに塗布することで、植物のヤニ(樹脂)の付着を防ぎ、軽い切れ味を持続させます。

メーカーの公式サイトでは、製品ごとの詳しい粘度や特性が公開されています。用途に合わせて確認することをおすすめします。


株式会社エーゼット公式サイト:製品安全データシートや詳細な製品カタログで成分を確認できます

エーゼットシリコンスプレーの黄と緑の種類の違い

ホームセンターの売り場でよく見かけるエーゼットのシリコンスプレーには、大きく分けて「黄色い缶(イエロー)」と「緑色の缶(グリーン)」の2種類が存在します。これらは単なるパッケージの違いではなく、成分構成、特に「石油系溶剤」の有無に決定的な違いがあり、誤った使い方をすると農機具の部品を破損させる原因になります。


黄色缶(スタンダードタイプ)の特徴
最も安価で一般的に普及しているのが黄色い缶のタイプです。これにはシリコーンオイルと共に「石油系溶剤」が含まれています。溶剤が含まれているため、浸透性が高く、洗浄効果も期待できますが、溶剤はゴムや一部のプラスチックを膨潤(ふやけさせる)させたり、溶かしたりする性質があります。したがって、金属同士の潤滑や、溶剤に耐性のある素材に限定して使用する必要があります。


緑色缶(無溶剤タイプ)の特徴
緑色の缶は「溶剤を含まない」タイプです。主成分はシリコーンオイルと噴射剤のみで構成されています。溶剤が入っていないため、ゴムパッキン、プラスチックパーツ、発泡スチロール、樹脂製の部品に対しても安心して使用できます。また、溶剤特有の臭いがほとんどないため、ハウス内や閉鎖空間での作業にも適しています。


以下の表に、それぞれの特性と推奨される用途をまとめました。







































比較項目 黄色缶 (Yellow) 緑色缶 (Green)
主成分 シリコーンオイル + 石油系溶剤 シリコーンオイル (無溶剤)
ゴム・プラへの影響 ❌ 攻撃性あり (劣化・膨潤の恐れ) ⭕ 安全 (素材を傷めない)
乾燥速度 速い (溶剤が揮発するため) やや遅い (オイルが留まる)
洗浄効果 あり (油汚れを溶かす) なし
主な推奨用途 金属製の農具、敷居、雪かきスコップ ゴムパッキン、樹脂製ギア、Oリング
価格帯 非常に安価 黄色よりやや高価

農機具には、金属部品だけでなく、シール材としてゴムや樹脂が多く使われています。例えば、噴霧器のパッキン部分や、播種機のプラスチック製の繰り出しロールなどに、安易に黄色のシリコンスプレーを多用すると、部品が変形し、液漏れや動作不良を引き起こすリスクがあります。場所に応じて「黄」と「緑」を使い分ける知識は、農機具を長く使う上で必須の技術です。


プラスチック製品への適合性については、専門的な知見が必要です。以下のリンク先では樹脂への影響について詳しく解説されています。


MonotaRO:プラスチックの耐薬品性一覧(溶剤による影響を確認する際に有用です)

エーゼットシリコンスプレーで農機具の防錆とメンテナンス

シリコンスプレーは滑りを良くするだけでなく、優れた撥水効果による「簡易的な防錆」の効果も期待できます。農機具は常に水分、泥、肥料などの腐食原因物質にさらされています。使用後に水洗いをした後、そのまま放置すると翌日には赤サビが発生していることも珍しくありません。


エーゼットシリコンスプレーを金属表面に吹き付けると、シリコーンの被膜が水を弾き、空気中の酸素や水分が直接金属に触れるのを防ぎます。本格的な長期防錆には専用の防錆油の方が適していますが、頻繁に使用する農具の日々のメンテナンスとしては、シリコンスプレーの手軽さが勝ります。ベタつかないため、次に使う際に土汚れが付着しにくいというメリットが、防錆油よりも優れている点です。


具体的な農機具メンテナンス活用例

  • コンバインやバインダーの刈刃
    • 稲や麦の収穫時、ワラ屑やシブ(樹液)が刃に付着して切れ味が悪くなります。作業前と作業の合間にシリコンスプレーを塗布することで、シブの付着を防ぎ、駆動ベルトへの負荷を減らします。
  • 管理機のロータリー爪軸
    • 草やツルが巻き付きやすい軸部分に予めスプレーしておくことで、巻き付いた草の除去が格段に楽になります。
  • 運搬車の荷台やダンプ機構
    • 土砂や堆肥を排出する際、荷台の滑りが悪いと全量排出されずに残ってしまいます。荷台の床面にたっぷりとスプレーし、乾いた布で拭き上げておくことで、驚くほどスムーズに滑り落ちるようになります。
  • 冬場の除雪用スコップ・スノーダンプ
    • 湿った雪がスコップに張り付くと作業効率が著しく低下します。雪かき前にスコップ全体にシリコンスプレーを塗布し、乾燥させておくと、雪離れが良くなり腰への負担が軽減されます。

    ⚠️ 注意点
    ブレーキローターやブレーキパッド、タイヤの接地面、あるいはVベルトのプーリー接触面(滑ってはいけない動力伝達部)には絶対にかからないようにしてください。摩擦が必要な部分に付着すると、重大な事故につながる恐れがあります。


    エーゼットシリコンスプレーのゴムとプラスチックへの影響

    ここまでの内容で「緑缶(無溶剤)」であればゴムやプラスチックに安全であると説明しましたが、農業現場特有の視点として、より踏み込んだ「素材への長期的影響」と「独自のリスク管理」について解説します。これは一般的なDIY記事ではあまり語られない、プロ農家が意識すべきポイントです。


    農業用ビニールハウスで使用される「農ビ(農業用塩化ビニルフィルム)」や「POフィルム(ポリオレフィン系フィルム)」は、耐候性を持たせるために特殊な添加剤が含まれています。ここに、たとえ無溶剤であっても、大量のシリコーンオイルが付着し続けると、フィルムの可塑剤と反応したり、あるいはシリコーンの撥水性が仇となり、結露水がフィルムを伝って流れ落ちる「流滴性」を阻害したりする可能性があります。


    独自視点:ハウス資材への微細な影響

    1. 流滴性能の阻害リスク

      ハウスのフィルムは、結露した水滴がボタボタと作物に落ちないよう、水が膜状になって流れる加工(流滴加工)が施されています。シリコンスプレーは強力な「撥水性(水を弾く性質)」を持つため、フィルム内面に付着すると、その部分だけ水を弾いてしまい、水滴となって作物に落下し、病気の原因になることがあります。ハウスの開閉駆動部(ユニバーサルジョイントなど)にスプレーする際は、フィルムに飛散しないよう、段ボールなどで養生することが重要です。


    2. 灌水チューブ・ドリップホースへの影響

      ポリエチレン製の灌水チューブは化学薬品に強い素材ですが、長期間紫外線に晒されて劣化した状態でオイル成分が付着すると、クラック(ひび割れ)の進行を早める可能性があります。特に継手(ジョイント)部分のOリングには、必ず「無溶剤(緑缶)」を使用し、過剰な塗布は避けるべきです。


    3. 収穫コンテナと「加水分解」の誤解

      プラスチックコンテナが白化してボロボロになる現象は主に紫外線による劣化ですが、一部の安価な溶剤入りスプレーは、この劣化を加速させます。収穫コンテナを重ねた際の滑りを良くするためにスプレーする場合も、必ず溶剤を含まないタイプ、あるいは食品機械用規格(NSF H1など)に準拠したシリコンスプレーを選択するのが、食の安全と資材寿命の観点から賢明な判断です。


    プラスチック素材の劣化メカニズムについては、以下の化学メーカーの技術資料が参考になります。


    住友化学:樹脂製品の取り扱いと耐薬品性についての技術情報

    エーゼットシリコンスプレーの効率的な使い方と注意点

    エーゼットシリコンスプレーの性能を100%引き出し、無駄なく使い切るためのプロフェッショナルな使用手順と、やってはいけない注意点をまとめます。ただ吹きかけるだけでは、効果は半減してしまいます。


    効果を最大化する4つのステップ

    1. 下地処理(クリーニング)
      • 最も重要な工程です。泥や古い油汚れ、水分が残っている上からスプレーしても、被膜が定着しません。パーツクリーナー等で油分を除去し、水分を完全に拭き取って乾燥させてから塗布してください。
    2. 薄く均一に塗布する
      • 「多ければ多いほど良い」は間違いです。厚塗りは液垂れの原因になり、逆にゴミを寄せ付ける原因になります。20~30cm離して、サッと薄く吹きかけるのがコツです。
    3. 拭き上げ(定着)
      • スプレー直後に、きれいなウエス(布)で塗り広げるように拭き上げます。これにより、余分なオイルが除去され、均一で強固な薄い被膜が形成されます。特に「艶出し」を目的とする場合は、この拭き上げ工程で仕上がりの美しさが決まります。
    4. 乾燥時間を置く
      • 黄色缶(溶剤入り)の場合、溶剤が揮発してドライな状態になるまで数分待つことで、本来の「ベタつかない」滑走性能が発揮されます。

    農業現場での具体的な注意点(NG行為)

    • 床面への付着
      • 選果場や作業小屋のコンクリート床にシリコンスプレーの霧が散布されると、驚くほど滑りやすくなります。長靴での作業中に転倒事故に繋がるため、室内で使用する場合は必ず新聞紙などを広く敷いて養生してください。もし床に付いてしまった場合は、家庭用洗剤などで念入りに油分を洗い流す必要があります。
    • 電気接点への使用禁止
      • トラクターやコンバインの電装系、スイッチ、カプラー内部には絶対に使用しないでください。シリコーンは絶縁体(電気を通さない物質)であるため、接点不良を起こします。また、アーク放電により酸化シリコンが生成され、接触抵抗が増大して故障の原因となります。電気接点には専用の「接点復活剤」を使用してください。
    • 塗装作業前の使用
      • 農機具の再塗装を考えている場所の近くでは使用しないでください。シリコーン成分が空気中を漂って塗装面に付着すると、塗料を弾いてしまい(ハジキ現象)、きれいに塗装できなくなります。塗装現場ではシリコンスプレーは「禁忌」です。

      以上のポイントを押さえることで、エーゼットシリコンスプレーは農作業の強力な味方となります。たった数百円の投資で、作業時間の短縮と農機具の長寿命化を実現できる、コストパフォーマンス最強のメンテナンス用品と言えるでしょう。




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