畑でドバミミズを購入しようとしても、実は釣具店では大型のものはほとんど売っていません。
農業に携わっていると、畑を掘ったときに出てくる大きなミミズと、堆肥の中にいる細めのミミズを見かけることがあります。この2種類は同じ「ミミズ」でも、性質がまったく異なります。
ドバミミズ(フトミミズ科)は、体長が10〜20cmほどになる大型のミミズです。成長した個体は、ちょうどボールペンくらいの太さになることもあります。土の中深くに縦穴を掘りながら移動し、有機物を含んだ土壌を食べ続けます。地中を縦横に掘り進む過程で、土の通気性と排水性を高め、栄養分の豊富なフンを残していくのが最大の特徴です。
一方のシマミミズは、体長5〜10cmほどで体に縞模様があります。堆肥の中や生ゴミの周辺などに生息し、腐敗しかけた有機物を好んで食べます。ミミズコンポストに使われるのはこちらです。重要なのは、ドバミミズは生ゴミなどの未分解有機物をコンポストで処理するのには向いておらず、農地の土壌改良に適した種だということです。
つまり農業での役割が違います。畑の土を耕し豊かにするのがドバミミズ、生ゴミを堆肥化するのがシマミミズと覚えておけばOKです。
釣具店で「大関」「ミミズキング」などのパッケージを購入した場合、ほとんどはシマミミズです。全5種以上のパッケージのうちドバミミズ(フトミミズ)が入っているのは「極太ミミズ大関」など限られた商品だけという実態があります。農業目的でドバミミズを求めている方は、この点を特に注意してください。
以下の表にフトミミズ(ドバミミズ)とシマミミズの主な違いをまとめました。
| ドバミミズ(フトミミズ) | シマミミズ | |
|---|---|---|
| 体長 | 10〜20cm | 5〜10cm |
| 生息場所 | 土の中(深層) | 堆肥・腐葉土の周辺 |
| 農業での役割 | 土壌改良・耕運・排水性向上 | ミミズコンポスト・生ゴミ分解 |
| 繁殖力 | 弱い(寿命約1年) | 強い(寿命約2年) |
| 釣具店での入手 | 「大関」など一部商品のみ | ほとんどのパッケージに入っている |
マイナビ農業の記事では、フトミミズ科とシマミミズの違いが農家にとって非常に重要であることが解説されています。
参考:マイナビ農業「ミミズがたくさんいる畑は良い畑?」(フトミミズとシマミミズの違い・農業への影響を詳しく解説)
ドバミミズを購入できる販売店はそれほど多くありません。知らずに釣具店へ足を運んで「ドバミミズをください」と言っても、キャスティングや上州屋などの大手チェーンでは大型のドバミミズはほぼ取り扱いがないのが現実です。
では、どこで手に入れられるのでしょうか?現在ドバミミズを購入できる主な場所を整理すると、以下のとおりです。
これが条件です。大量に農業目的で必要な場合は、通販かジモティーの方がコスパが良いです。釣具店のパッケージ購入は少量でよい場合か、急ぎの場合に向いています。
購入前に注意したいのは、「天然ドバミミズ」と記載されていても、出品者によってサイズや品質にばらつきがあることです。評価数が多く、説明文に「大きさ○cm前後」など具体的な記載のある出品者から購入することをおすすめします。
農業従事者がドバミミズに注目する理由は、その強力な土壌改良効果にあります。ドバミミズは生きた「天然の耕運機」とも呼ばれる存在です。
ドバミミズが土の中で動き回ることで、以下のような変化が畑にもたらされます。
ただし、「ミミズは多ければ多いほど良い」は間違いです。これは意外ですね。
畑にドバミミズが過剰に増えている状態は、未分解の有機物(堆肥の入れすぎなど)が多いことを意味します。有機物が多すぎる環境では、センチュウやカビ菌も増えやすく、野菜にとって必ずしも良い環境とは言えません。また、ミミズを目当てにモグラやアナグマが侵入するリスクも高まります。
ドバミミズが「一定数いる状態」が最適です。過剰な有機物の投入を続けると、ミミズが増え、次第に害虫や動物被害のリスクが上がっていきます。有機物を入れるのを一旦止め、時間をかけて土が熟成するのを待つのが正しい対処です。
購入コストをゼロにしたいなら、自分でドバミミズを採取するのが最善策です。場所さえ見つかれば、1回で100〜200匹まとめて採れることもあります。
採取のコツは「場所の選び方」にあります。ドバミミズは以下のような環境に多く生息しています。
Googleマップで「○○山公園」「緑公園」など広葉樹がありそうな地名を検索し、ストリートビューで傾斜地の下や側溝の有無を確認してから現地へ向かう方法が効率的です。
採取に最適な時期は春〜夏前(6〜7月の梅雨時期)です。ドバミミズは気温30度を超えると地中深くへ潜るため、夏の盛りは採りにくくなります。また、雨の翌朝の早い時間帯がもっとも地表近くに出てきているタイミングです。朝6時〜8時に探すと効率が良いです。
採取時に必要な道具は最小限で十分です。
採取した後の保管は注意が必要です。ドバミミズは直射日光と乾燥に非常に弱く、ベランダなど日当たりの良い場所に放置すると半日で全滅することがあります。採取した場所の土と枯れ葉を一緒に容器に入れて日陰の涼しい場所で保管することが基本です。
農業従事者が「ドバミミズをどこで手に入れるか」を判断するには、目的と規模によって選択肢が変わります。ここでは費用対効果の面から整理します。
まず、農業目的でドバミミズを少量試したい場合は、釣具店の「極太ミミズ大関」(666円・6〜7匹)を購入して畑の土の様子を確認してみるのが手軽です。ただし、1匹あたり約100円と割高になります。
農地に本格的に定着させたい場合は、通販(ヤフオク・メルカリ・Amazon)で100匹単位を購入するほうがコスパが高くなります。100匹セットで1,500〜3,150円程度であれば、1匹あたり15〜31円の計算です。
コストをかけずに安定供給したい場合は、自分でドバミミズポイントを複数見つけて採取することが最も賢い方法です。1か所で100〜200匹採れる場所を2〜3か所確保しておくと、農閑期も含めて安定して確保できます。
注意してほしいのは、ドバミミズを畑に「投入しすぎない」ことです。前述のとおり、ドバミミズが過剰になると有機物が多すぎるサインです。適切なバランスを保つためには、最初は少量(50〜100匹)から始めて、1か月後に畑を掘り返して個体数を確認する方法がおすすめです。
また、ドバミミズ自体を増やして継続的に活用したい農家には、畑の周辺に腐葉土を適度に置いておくと自然に集まりやすくなります。米ぬかや鶏糞などの有機物も有効ですが、過剰投入は逆効果になります。少しずつ、が原則です。
ドバミミズを活用した農業改善の科学的根拠についてはトプコンのメディアサイトにわかりやすい解説があります。
参考:トプコン「畑でも水田でも大活躍 ミミズの生態に注目」(農業・水田でのミミズの科学的効果を詳しく解説)