地方卸売市場 農業と流通変化とDX戦略

地方卸売市場と農業経営の関係を整理しつつ、直販やDXの進展も踏まえたこれからの市場活用戦略を農家目線で考えるとどうなるのでしょうか?

地方卸売市場 農業の現在とこれから

地方卸売市場と農業の概要
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地方卸売市場の基本機能

生産者の販売拠点としての役割や、価格形成・決済・物流の要としての仕組みを整理し、農家が押さえるべきポイントをまとめます。

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直販と市場の使い分け

オンライン直販や産直と地方卸売市場の違いを比較し、販路分散とリスクマネジメントの観点から戦略的な組み立て方を解説します。

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DX時代の市場活用

卸売市場法改正や業界DXの動きを踏まえて、データ活用・オンライン取引・省力化につながる具体的な打ち手を紹介します。

地方卸売市場 農業の基礎と中央卸売市場との違い

 

地方卸売市場は、都道府県知事の認可を受けて開設される生鮮食料品の集配拠点で、青果や水産物などを地域単位で扱う公的インフラに近い存在です。
中央卸売市場が広域から大量に集荷して大都市圏の消費を支えるのに対し、地方卸売市場は中小規模の都市や産地に根ざして、地元産物と外部産地の品を組み合わせながら地域の実情に合った流通を担います。
市場内には、開設者(自治体など)、卸売業者、仲卸業者、関連事業者、買受人・買出人といった多様な主体がおり、それぞれが許可や承認を受けて役割分担し、農家に代わって販売や代金回収を行うのが特徴です。
地方卸売市場は、生鮮食料品の需給を一本化して受け止めることで、天候などで変動しやすい収穫量や価格の振れ幅をならし、日々安定した取引と供給を実現する役割を持ちます。

 

参考)岐阜県の卸売市場 - 岐阜県公式ホームページ(農産物流通課)

また、セリ売りや相対取引などのルール化された取引方法を通じて「相場」を形成し、消費者には適正価格での供給を、生産者には継続的で安定的な販売ルートを確保する仕組みが整えられています。

 

参考)京都市:中央卸売市場の役割

このように、市場は単なる「物を置いておく場所」ではなく、情報・信用・物流・決済をまとめて提供することで、個々の農家では負担しきれない機能を肩代わりしている点が押さえるべき基礎と言えます。

地方卸売市場 農業者にとってのメリットとリスク分散

農業者にとって地方卸売市場を利用する第一のメリットは、日々の出荷量や規格に多少ばらつきがあっても、一定の受け皿として引き受けてくれる点で、個人営業では難しい「数量対応力」が確保できることです。
市場では、複数の小売・飲食・加工業者が一度に集まって購買するため、個別に営業に回らなくても販路が確保でき、農家側は生産と出荷に集中できるのも大きな利点です。
加えて、市場の精算会社や金融機関が決済を支えることで、販売代金の支払いが迅速かつ確実になるよう設計されており、売掛金回収リスクを軽減している点も見過ごせません。
一方で、インターネット直販や産直ECの普及により、農家と消費者が直接つながるルートが増え、「市場を通さない」販売の比重が高まりつつあるのも現状です。

 

参考)https://www.appdeveloper-recommend.com/case/wholesale.html

その結果、市場経由だけに依存していると、相場下落時の単価低下や出荷物の選別強化といった影響を一気に受けやすく、販売戦略の自由度が下がるというリスクも浮かび上がっています。

 

参考)青果市場のDX(2)〜DXは「夜明け前」 業界の課題改善に期…

理想的には、地方卸売市場を「ベースとなる安定出荷先」と位置づけたうえで、規格外品や小ロット、高付加価値品などは直販・ECに振り分けるなど、販路を複線化してリスク分散を図ることが現実的なアプローチと言えます。

 

参考)青果市場のDX(最終回)〜業界の未来を変えよう 経営戦略に沿…

地方卸売市場 農業現場が直販やECとどう使い分けるか

直販やECは、一つひとつの取引単価を高く設定しやすい反面、販売・顧客対応・発送・在庫管理など、農家自身が担う業務が増え、特に繁忙期には労力負担が急増しがちです。
対して地方卸売市場は、単価は相場に左右されるものの、一括集荷・一括販売・一括決済が可能で、規模の大きい農家や法人経営にとっては、収穫・選別・出荷のオペレーションを組みやすい基盤となります。
例えば、サイズや見た目が揃ったメイン規格品を市場へ、少量多品目やストーリー性のある商品を産直ECへ振り分けることで、「回転の早い主食材」と「付加価値型商品」を両立させる設計が可能です。
地方卸売市場は、地域ごとに得意とする品目や消費パターンが異なるため、「この市場ではこの品目が評価されやすい」といったローカルな傾向を把握しておくと、出荷計画に厚みが出ます。

 

参考)三重県地方卸売市場

また、市場間ネットワークや広域連携が進んできており、一つの地方市場に出荷しても、需要に応じて他の市場へ融通されるケースも増えているため、産地としての生産計画を組む際には、複数市場の動きを視野に入れることが重要です。

 

参考)全国卸売市場総覧

直販・ECを伸ばしたい農家ほど、ベースとなる市場出荷量や時期をあらかじめ決めておくことで、収穫量の読み違いや販売不振時の「逃げ場」を確保でき、結果的に挑戦しやすい体制になります。

 

参考)3度目の「卸売市場法改正」がもたらす農家、消費者にとってのメ…

地方卸売市場 農業DXとデータ活用で変わる現場

近年の卸売市場法改正や業界全体のDX推進により、卸売業界ではオンライン受発注システムや在庫管理のデジタル化が進みつつあり、「紙と電話中心」のやり方からの転換が始まっています。
しかし、多くの市場や卸売業者では、老朽化したシステムやIT人材不足が課題となり、「2025年の崖」と呼ばれるDX遅れによる経済損失リスクの一部を担っていると指摘されており、コスト面のハードルも小さくありません。
一方で、青果市場向けの専用クラウドサービスなどが登場し、市場内の取引データや在庫状況をリアルタイムに把握して、需給調整や廃棄ロス削減に活用する試みが増えているのは、農業者にとっても大きなチャンスです。
デジタル化された市場では、日々のセリ値・取引量・入荷産地などの統計が蓄積され、価格動向や需要の山谷を可視化しやすくなるため、生産計画や品目構成を見直す材料として利用できます。

また、オンラインでの受発注や事前商談が普及すれば、農家が市場に出向かなくても取引条件を確認しやすくなり、遠隔地からの出荷や新規参入のハードルを下げる可能性があります。

 

参考)卸売業界のDX最前線:デジタル技術が解決する課題と、成功事例…

市場側がDXを進める過程で、産地や農家との情報共有が密になると、規格や荷姿、収穫タイミングのすり合わせがしやすくなり、「せっかく作ったのに値が付かない」というミスマッチの削減にもつながります。

地方卸売市場 農業者が現場で活かす独自視点の連携術

多くの解説では、地方卸売市場を「出荷先」としてだけ語りがちですが、現場の農業者にとっては、市場を地域の情報ハブ・人材ハブとして活用する視点が、今後の経営差別化につながりやすくなります。
例えば、市場の仲卸業者は、小売店や飲食店の動向、人気品種や規格変更の兆しに敏感なため、定期的にヒアリングや試験出荷を行うことで、新品種のテストマーケティングや加工向け規格の開発パートナーとして機能させることができます。
さらに、市場内の関連事業者や金融機関との関係を深めることで、設備投資や販促の相談窓口としても活用でき、単なる「荷物の受け渡し場所」から、「地域のフードビジネスの出会いの場」へと位置付けを変えることが可能です。
DXの文脈では、地方卸売市場と産地が共同でデータ収集や分析を行い、収穫量予測と需要予測をすり合わせる「共通ダッシュボード」のような仕組みを構想すると、作付け過多や品薄の振れ幅を小さくできる余地があります。

また、市場が持つ冷蔵・冷凍・加工などの設備を、農家や農業法人が「シェアするインフラ」として捉え直し、規格外品の加工や二次製品の試作、フードロス削減の取り組みに結びつけることで、新たな収益源や補助金事業の対象になり得ます。

こうした連携は、検索上位の一般的な解説ではあまり触れられていませんが、地方卸売市場・農業双方が人口減少と人手不足の中で生き残るための「共創の方向性」として、現場から仕掛けていけるテーマと言えるでしょう。

地方卸売市場の制度や機能の全体像を確認するには、農林水産省の卸売市場情報が参考になります。

農林水産省「卸売市場情報」(卸売市場制度や流通政策の解説に関する参考リンク)

 

 


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