秋に刈り取ると、翌年の収量が3割以上下がることがあります。
アルファルファはマメ科の多年草で、根粒菌による窒素固定能力を持ちます。 この能力を最大限に活かすには、土壌環境の整備が欠かせません。
参考)https://livestock.snowseed.co.jp/1178
アルファルファが好む土壌はpH6.5〜7.5の中性〜弱アルカリ性で、排水性の高い環境です。 日本の農地は降雨が多く酸性に傾きやすいため、播種前に必ず土壌分析を行い、石灰資材を40〜60kg/10aを秋または春秋に分施して補正します。
つまり、土づくりが収量の土台です。
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排水が悪い圃場では根が酸素不足になり、根粒菌の活性も低下します。 深耕目標は30cm以上とし、作土層を厚くする際は急激な深耕を避け、土壌改良と同時に進めることが推奨されています。
深耕と改良を同時に行うのが条件です。
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リン酸は日本の降雨の多い酸性土壌では不足しがちな成分です。 カリとリン酸をしっかり補給しながら、定期的な土壌分析で栄養バランスを維持しましょう。
土壌分析は1〜2年に1回が目安です。
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参考:農研機構が公表するアルファルファ導入ガイド(飼料作物の施肥基準・栽培管理の公的指針)
農研機構「寒地の酪農経営におけるアルファルファ導入ガイド」
播種時期はアルファルファ栽培の成否を左右する最重要事項のひとつです。 播種可能な時期は4月下旬から8月いっぱいとされていますが、雑草対策と越冬性の両面から見ると8月頃の播種が最も適期とされています。
参考)https://livestock.snowseed.co.jp/1002
春播種の大きなリスクはこうです。 雑草の種子はすでに発芽準備が整っており、アルファルファの初期生育の遅さが仇となって雑草に負けてしまいます。 北海道立総合研究機構の試験でも、5月中旬播種は4月下旬播種より1・2番草ともに雑草割合が高くなることが示されています。 春ほど「早く播けば安心」とは言えないわけです。
意外ですね。
ただし、土壌凍結の厳しい地域では7月中の播種が推奨され、8月播種にこだわり過ぎると越冬前の生育量が不足するリスクもあります。 農研機構が公開している「牧草播種晩限日計算プログラム」を活用することで、地域ごとの最適な播種晩限を把握できます。 地域の気象データをもとに判断するのが原則です。
雑草が問題になる圃場では、グリホサート系除草剤(例:ラウンドアップマックスロード)による播種前の茎葉散布(播種床処理)が有効です。 既存草地を更新する場合やトウモロコシ跡地では特に推奨される手法です。
これは使えそうです。
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参考:北海道農業研究センター 牧草播種晩限日計算プログラム(地域ごとの最適播種時期の計算ツール)
農研機構「牧草播種晩限日計算プログラム(アメダス版)」
1年目の管理でつまずくと、草地全体の寿命を縮めることになります。 アルファルファは初期生育が遅く、一般の草地と同じ感覚で早期に掃除刈りをすると株が枯死しやすいのです。
参考)https://livestock.snowseed.co.jp/997
1年目の基本方針はシンプルです。 株を充実させることを最優先とし、1回目の刈取りはできるだけ遅らせ、播種から70日程度の生育期間を確保してから収穫します。 または、地際からの再生芽が確認できたタイミングが刈取りの目安になります。
再生芽の確認が条件です。
🌱 1年目の刈取り管理チェックリスト。
「1年目くらいなら早めに刈ってもいい」という判断が翌年の株数激減につながります。 特に8月播種では越冬前に十分な貯蔵養分を蓄えることが最優先です。
焦らないことが最大の管理です。
2年目以降は草地のポテンシャルをいかに引き出すかという段階に入ります。 道央など気象条件の良い地域では2年目から年3回刈りが可能で、乾物収量は年間800kg/10a以上を4年目まで維持できるとされています。naro.go+1
📅 2年目以降の標準刈取りスケジュール(道央基準)。
| 刈取り | 時期の目安 | 生育期間の目安 |
|---|---|---|
| 1番草 | 6月中旬(着蕾期頃) | 萌芽開始から約45日 |
| 2番草 | 7月下旬頃 | 1番刈り後40日 |
| 3番草 | 9月中旬(刈取り危険帯前) | 2番刈り後約50日 |
道東など気象条件の厳しい地域では、2年目は約60日間隔の年2回刈りとし、3年目以降から3回刈りに移行するのが安全です。
厳しいところですね。
収量と品質には負の相関がある点も知っておく必要があります。 収穫回数を増やして高収量を狙うと栄養価(粗タンパク質含量など)が下がり、反対に少ない回数でじっくり育てると品質は上がるものの収量が落ちます。 用途に応じて優先事項を決めるのが原則です。
参考)https://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2012/may/wrepo01.htm
粗タンパク質含量が約20%という高い水準を保つには、着蕾期〜開花初期での収穫が目安になります。 はがきの短辺(約10cm)ほどの再生芽が地際に見え始めたタイミングも収穫判断のひとつです。
生育段階の確認が条件です。
参考)https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/harc/2001/cryo01-19.html
参考:農研機構「アルファルファ単播草地の生産性及びサイレージ品質と乳牛への給与効果」(収量・品質データの根拠)
農研機構「アルファルファ単播草地の生産性及びサイレージ品質と乳牛への給与効果」
これは多くの農業従事者が軽視しがちなポイントです。 アルファルファには「刈取り危険帯」と呼ばれる、収穫を絶対に避けるべき時期があります。 この時期は9月下旬〜10月上旬ごろで、地域によっては道央以南で10月上旬〜下旬まで延びます。
なぜこの時期が危険なのか、仕組みはこうです。 秋になると牧草は越冬に備えて根の冠根部に貯蔵養分を蓄え始めます。この最も重要なタイミングに刈り取りを行うと、再生のために貯蔵養分を消耗してしまい、越冬に必要な養分が不足します。 結果として翌春の萌芽が著しく遅れるか、株が枯死します。
また、近年は秋の気温が高く、3番草刈り取り後もアルファルファが伸び続けることがあります。 見た目には「まだ伸びているから刈っても大丈夫」と判断してしまいがちです。 しかし草丈が40〜50cmに達しても、10月以降は刈り取らない方が越冬性は良好になるとされています。
「伸びているから刈る」はNGです。
🚫 刈取り危険帯のまとめ。
刈取りスケジュールの管理には、農業日誌アプリや表計算ソフトへの記録が有効です。 気象条件によって収穫適期がずれることもあるため、天気予報と連動して管理するのが理想的です。
計画と記録がセットで必須です。
参考:雪印種苗「アルファルファ草地の刈取り管理」(刈取り危険帯・年間スケジュールの詳細解説)
雪印種苗「3.アルファルファ草地の刈取り管理」