亜麻収穫機とコンバインと収穫と乾燥

亜麻収穫機の選び方から収穫時期、乾燥やレッティングまで、現場で迷いやすい判断ポイントを整理します。種取りと繊維取りで工程が変わる中、損失と品質を両立する段取りはどう組むべきでしょうか?

亜麻収穫機と収穫

亜麻収穫機の要点
🚜
繊維用と種子用で「収穫方式」が違う

繊維の長さを活かすなら抜き取り・倒伏抑制、種子を狙うならコンバイン的な刈取りと子実回収が中心になります。

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レッティングと乾燥は「収穫の続き」

レッティングは繊維を結びつける成分を分解し、乾燥で分離・加工性を安定させます。収穫機の段取りに組み込みが必要です。

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品質劣化の芽は現場の「遅れ」から出る

抜き取り後の島立て乾燥、水洗い不足による臭気残り、レッティングの漬け過ぎなど、遅れと判断ミスが歩留まりを落とします。

亜麻収穫機で抜き取り収穫の目安

亜麻は、繊維の長さを優先する場合「抜き取り収穫」が基本になりやすく、北海道の経験談では8月中〜末頃に十分成熟した段階で抜き取り収穫するとされています。
抜き取りのタイミングは、良い繊維を狙うなら「緑色の実がたくさん付いた頃あい」が目安として語られており、種子完熟まで待ち過ぎない判断がポイントです。
一方で種取り目的なら、茎が黄色くなり、さやが茶色くなって種が充実する頃まで待つ、と整理されているため、同じ圃場でも用途で収穫計画を分けると混乱が減ります。
現場で迷いやすいのは「どこからが成熟か」ですが、亜麻は栽培条件で見え方がぶれます。


例えば家庭栽培の解説でも、播種から実がなるまで約120日という時間軸が示されており、収穫判断を“播種日からの積算”で補助する考え方が使えます。


繊維用は長さと柔軟性、種子用は充実度が軸になるので、亜麻収穫機の導入前に「収益の中心(繊維か種子か)」をチーム内で固定しておくのが安全です。


参考)https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2014/201429008A.pdf

亜麻収穫機とコンバインの適用

種子を主目的にする場合、十分に乾燥した後は「コンバインが小麦やオーツ麦の収穫と同様に種子を収穫する」という説明があり、考え方としては穀類収穫に近づきます。
ただし繊維を同時に狙うと、茎(繊維)と子実(種子)を一緒に扱うため、詰まり・巻き付き・後工程の分離負担が跳ね上がりやすい点が実務上の壁になります。
海外では、通常のコンバインをベースにして、茎・種子・葉を1工程で分ける「Double Cut Combine」のような発想があり、“穀類コンバインの延長”で専用化する方向性が見えます。
また、同じ靭皮繊維作物でも、収穫機械(アタッチメント)で作物要素を分離するソリューションがあることが示されており、汎用機+改造の考え方は亜麻でも参考になります。


参考)https://www.hempflax.com/wp-content/uploads/Hemp-Harvesting-Solutions-2020B.pdf

国内で「亜麻専用の亜麻収穫機」を前提にすると選択肢が急に狭くなるため、まずはコンバインの適用範囲を“種子寄り”で見積もり、繊維は別工程(抜き取り+乾燥+レッティング)に分ける設計が組みやすいです。hisour+1​
機械側の判断軸は、(1)茎をどれだけ切るか/切らないか、(2)絡み付きに対する耐性、(3)種子回収と異物分離のしやすさ、の3点に集約できます。


参考)https://www.hempflax.com/wp-content/uploads/HempFlax-Groenoord-Double-Cut-Combine-Prospectus.pdf

亜麻収穫機の乾燥と島立て乾燥

抜き取り後の乾燥は、経験談では「種をしごき取ったあと、島立て乾燥」とされ、まずは圃場〜仮乾燥の段取りが品質の土台になります。
水洗いを伴う工程(どぶづけ等)を行う場合も、十分に水洗いしてから天日乾燥し、数日乾燥して完全に乾くと茎がきれいな色になっていく、という具体的な作業感が共有されています。
この「水洗い不足だと匂いが残る」「表皮が残ると色やざらつきが残る」という指摘は、乾燥というより“乾燥前処理”の重要性を示していて、収穫機の能力だけでは解決しない品質差が出ます。
乾燥の見落としどころは、乾かすこと自体より「乾かし方のムラ」です。

島立て乾燥は通風と排水を確保しやすい反面、束内の水分が抜けにくいと、後でレッティングや製線に入ったときに繊維の分離が揃わない原因になります。

亜麻収穫機の作業設計としては、収穫速度を上げるほど“乾燥スペースの不足”がボトルネックになりやすいので、機械導入時に乾燥ヤード面積・資材(支柱や束ね材)も同時に積算しておくTITLE:亜麻収穫機とコンバインと乾燥とレッティング


亜麻収穫機と収穫

亜麻収穫機で失敗しない全体像
「目的」を先に固定

繊維用(長繊維重視)か、種子用(収量・水分重視)かで最適な収穫機・工程・適期が変わります。

🌦️
乾燥とレッティングが品質を決める

収穫後の乾燥・露(デューレッティング)・水浸けなどの管理で、繊維の分離性と歩留まりが大きく動きます。

🛠️
「詰まり」対策が安全と効率

靭皮繊維作物は絡みやすいので、刈取り高さ・搬送負荷・異物混入を前提に、点検手順と停止判断を決めます。

亜麻収穫機の収穫時期と目的(繊維・種取り)

亜麻の収穫は、同じ畑でも「何を最優先に回収するか」で適期がズレます。繊維を長く取りたい場合は、一般に“抜き取り”で繊維長を稼ぐ考え方があり、北海道での経験談として成熟後に抜き取り収穫する記述があります。種取りを主目的にする場合は、茎が黄色くなり、さやが茶色くなって種が充実するのを待つ、という判断基準も示されています。
収穫機の選定以前に、ここを曖昧にすると後工程が破綻します。繊維狙いで遅らせすぎると繊維が固くなりやすく、逆に種狙いで早すぎると乾燥・調製の負担が増え、損失(落粒・未熟)も増えやすいからです。現場では「繊維取り用の区画」と「種取り用の区画」を分ける、あるいは一部を先行収穫して品質差を見てから本収穫に入る、といった段取りがリスクを下げます。
また、家庭栽培向けの情報でも、播種から約120日で実がなり、乾燥させて採種する流れが説明されています。規模栽培では日数そのものより圃場の熟度ムラが問題になりやすいので、同一圃場の中で倒伏部・湿害部・地力差がある場所を先に見て「最も遅い部分に合わせる」のか「平均で刈って後処理で吸収する」のかを決めると、収穫機の稼働計画が立ちます。

亜麻収穫機とコンバインの使い分け(詰まり・刈取り)

亜麻は靭皮繊維作物なので、繊維が長いほど機械に絡みやすいという“機械側の不都合”と、長繊維が欲しいという“製品側の都合”が正面衝突します。種子収穫が目的で、十分に乾燥していれば、コンバインで穀類のように種子を収穫できるという説明もあります。つまり「乾燥が進んだ作物を、穀粒主体で回す」方向に設計すると、汎用機(コンバイン)に寄せやすいです。
一方で、茎(繊維)も同時に扱う発想だと、既存コンバインをベースに改造して靭皮繊維作物を“全草で分離回収する”という機械コンセプトもあります。例えばHempFlaxの資料では、通常のコンバインをベースにしつつ、1工程で作物を分割して回収する(種・茎・葉)という設計思想が示されています。日本で「亜麻収穫機」という言葉が指す範囲も、①種子用(コンバイン寄り)②繊維用(引き抜き・スワス・レッティング前提)③全草分離(改造・専用アタッチメント)に分けて整理すると、判断が速くなります。

詰まり・巻き付き事故の予防は、機械の種類を問わず共通です。具体的には、(1)刈取り高さを一定にして土砂混入を抑える、(2)倒伏部は進行速度を落として無理に食わせない、(3)搬送負荷が上がる条件(湿り・雑草混入・密播過多)を事前に潰す、の3点が効きます。特に靭皮繊維は“少しの巻き付き”が一気に拡大しやすいので、停止判断(異音・回転落ち・吐出不良の兆候)を作業者間で統一し、止める勇気を仕組みにすることが結果的に収量を守ります。


亜麻収穫機の乾燥とレッティング(露・水・温湯)

繊維品質を決めるのは、収穫機そのものより「収穫後の分離工程」です。亜麻は収穫後、茎と繊維の分離を促すためにレッティング(発酵・微生物作用での結合成分の分解)を行うことがあり、露や湿気でしめらせる方法、水に浸す方法、温湯、蒸気・化学・微生物処理などの手段が整理されています。レッティング後に戸外または機械的に乾燥させると、繊維が木質部から分離しやすくなる、という位置づけも明確です。
現場目線で重要なのは「やり過ぎない」ことです。個人の経験記録でも、水に漬けて軟弱部を腐らせて繊維を取りやすくする(どぶづけ)際に、漬けすぎると繊維がもろくなるので注意、という趣旨が書かれています。さらに、ため水で行う場合は水交換で臭い移りを抑えられる、川や池なら固定して流されない工夫をする、といった運用上のコツも示されています。


参考)https://www1.gifu-u.ac.jp/~censs/contents_rbrc/RBRC_AnnualReport2022.pdf

あまり知られていない落とし穴は、「レッティングは天候の“振れ幅”で同じ圃場でも進み方がズレる」点です。露レッティングは太陽・雨・風・土壌微生物の影響を受けやすく、均一化のために反転(ターン)する考え方もあります(研究記事で、露レッティング中に均一化のために定期的に反転した記述があります)。ここが雑だと、同じロットでも“よくほぐれる束”と“木質が残る束”が混在し、製線工程で時間が溶けます。だからこそ、収穫機の稼働計画は「刈る日」だけでなく、「寝かせる日数」「反転の頻度」「回収日」まで含めて一体で設計します。


参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12251540/

(レッティング方法の整理・用語解説の参考)
レッティング(露・水浸け・温湯・化学等)と乾燥の位置づけが体系的にまとまっています
参考)https://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/data/53r.pdf

亜麻収穫機の抜き取りと倒伏と品質(畑の条件)

繊維取りで「抜き取り」を選ぶ理由は、少しでも長い繊維を確保するため、という説明が経験記録にあります。抜き取りの目安として、緑色の実が多く付いた頃合い、という現場感のある判断も示されており、繊維品質と種子熟度のトレードオフが読み取れます。ここを理解すると、亜麻収穫機に求める性能が「高速刈取り」なのか「根を含めた引き抜き」なのか、はっきりします。
倒伏は収穫ロスと品質低下を同時に呼びます。家庭栽培向けでも「耕深が足りないと背丈が高くなった時に倒伏の原因になる」という注意があり、圃場条件(耕深・排水・密度)が倒伏リスクに関わることが示唆されています。倒伏が増えると、収穫機は“拾い食い”になって土砂混入が増え、繊維・種子ともに調製の負担が急増します。

この対策は、機械側の工夫だけでは限界があります。播種密度や施肥設計、排水対策で倒伏を減らし、収穫適期に“刈れる姿”を作るのが結局いちばん安いです。実務では、倒伏が出やすい畦端や湿りやすい窪地を先に回って作業者の感覚を合わせ、刈り高・速度・搬送負荷の安全域を確かめてから本隊列に入ると事故が減ります。


亜麻収穫機の独自視点:自作シードクリーナーと調製の省力化

検索上位の一般論だけだと「収穫した後は乾燥して調製」と一言で片づきがちですが、実際に効くのは“調製の道具立て”です。亜麻栽培の実践記録では、種取りを「茎から籾を取る工程」と「籾から種を取る工程」に分け、道具を自作して作業した例があります。さらに、籾殻と種の分離にシードクリーナーを使い、設計図(オープンソース)に基づいて自作した、という具体的な工夫も紹介されています。
この発想を規模栽培に置き換えると、「亜麻収穫機に全部やらせる」のではなく、「収穫機=圃場から運ぶ装置」「調製ライン=品質と歩留まりを作る装置」と役割分担した方が投資対効果が見えやすい、という結論になります。特に、試験導入フェーズでは、収穫機の能力不足を無理に現場で補うより、調製側(風選・ふるい・搬送)を先に整えて“受け口”を広げる方が、結果的に収穫の停止時間が減ります。


具体策としては、以下のように「小さな改善」を積み上げると、収穫機を入れ替えるより早く効く場合があります。


✅ 省力化の小技(入れ子なし)

  • 乾燥前に大きな夾雑物を先に除去し、乾燥ムラとカビ臭のリスクを下げる。
  • 簡易な風選(送風+落下)で籾殻比率を落としてから保管し、再乾燥・再調製の手戻りを減らす。
  • 試験区のロットは「収穫日・水分感・倒伏有無・レッティング日数」をラベル化し、翌年の判断を数字で残す。

(種取り工程・簡易道具・自作シードクリーナーの参考)
亜麻の種取り工程(茎→籾→種)と、シードクリーナー自作の具体例が読めます
参考)淡路島の亜麻栽培/[4]開花後の経過|うはらアライズ

(抜き取り収穫・どぶづけ・水洗い・天日乾燥など一連の実務の参考)
亜麻の抜き取り収穫から、どぶづけ・水洗い・天日乾燥・製線までの体験ベースの要点がまとまっています