畦畔の草刈りが遅すぎると、アカスジカスミカメの発生を一気に増やす原因になります。
アカスジカスミカメは体長わずか5mm程度の小さなカメムシです。 大きさのイメージとしては、米粒1粒と同じくらいのサイズ感で、田んぼのなかで目を凝らさないと見落としてしまうほど小さい虫です。
参考)https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/606953.pdf
体色は黄緑色が基本で、前胸背から膜質部にかけて橙赤色の太い縦縞が走っているのが特徴です。 この縞模様が「アカスジ(赤筋)」という名前の由来になっています。アカヒゲホソミドリカスミカメよりも体幅がやや広く、現場での識別ポイントになります。
口吻(こうふん)が弱いため、籾の頂部や鉤合部(こうごうぶ)など、外皮が薄い部分から吸汁します。 割れ籾が多い圃場では被害が増加しやすい点も、見逃せない特徴です。
これが斑点米発生のメカニズムです。
参考)http://jppa.or.jp/archive/pdf/68_07_40.pdf
成虫は年4回発生し、第1世代が6月上旬、第2世代が7月中旬、第3世代が8月中旬、第4世代が9月中旬に出現します。 水稲の出穂時期(8月〜9月)と、第3・第4世代の出現時期がちょうど重なるため、この時期が最も被害リスクの高いタイミングです。
越冬はイネ科雑草の穎花(えいか)内で卵の状態で行います。 つまり、畦畔や休耕田のイネ科雑草が翌年の発生源になるということです。冬の間に発生源を絶つことが、春以降の個体数を抑える基本的な考え方になります。
成虫は半径300mを行動範囲として生活しており、水稲が出穂すると水田に侵入してきます。 水田から離れた畦畔でも、300m以内にイネ科雑草があれば発生源になり得ることを知っておく必要があります。つまり、自分の田んぼだけを管理しても、隣の休耕田が放置されていると被害は避けられません。
参考)https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/058/706/akasujikasumikame.pdf
通常、アカスジカスミカメは水田内では繁殖しません。 成虫が水田に侵入して吸汁被害は与えますが、産卵・繁殖はイネ科雑草の穂で行うのが基本です。
これが原則です。
参考)https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/tohoku102-8.pdf
ただし、水田内にノビエ(タイヌビエ)やイヌホタルイなどの雑草が残っている場合は例外です。 水田内に雑草の穂があると、成虫はその場で産卵・繁殖し、被害が大幅に増加します。
参考)斑点米カメムシ類の発生状況と防除対策 - 宮城県公式ウェブサ…
秋田県農業試験場の調査では、水田内のノビエ穂数が多いほど斑点米混入率が有意に上昇することが確認されています。 ノビエ密生地点(10株/㎡)の周囲30cmでは、ノビエがない区画と比べて斑点米混入率が4.14倍に達しました。
わずか30cmの距離で4倍以上の被害です。
さらに、密生地から90cm離れると混入率は75.6%減少し、150cm離れると密生地の影響はほぼなくなることも分かっています。
参考)https://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000008204_00/52-16.pdf
水田内の除草は単なる農地整備ではなく、斑点米被害を直接防ぐ重要な防除行為です。初中期除草を確実に行い、ノビエやイヌホタルイを水田内に残さないことが大切です。
参考:水田内のノビエ密度と斑点米被害の関係について(秋田県農業試験場)
https://www.pref.akita.lg.jp/uploads/public/archive_0000008204_00/52-16.pdf
アカスジカスミカメが引き起こす直接的な問題は「斑点米」の発生です。 吸汁された籾は黒褐色の斑点が残り、精米後も除去が難しい場合があります。
日本の米の品質検査では、斑点米の混入割合が一定基準を超えると等級が下がります。1等米と2等米では買取単価に差が生じ、農業経営への影響は小さくありません。
痛いところです。
アカスジカスミカメによる加害部位は、側部加害が約90%近くを占めているという調査データもあります。 側部とは籾の横側にあたり、外皮が薄く口吻の弱い本種でも比較的加害しやすい部位です。斑点の出方が多いほど、等級判定での不利は大きくなります。
等級格下げのリスクを最小化するためには、出穂期直前〜乳熟期の防除タイミングを逃さないことが条件です。水面施用剤を使用する場合は出穂期〜穂揃期の施用が推奨されています。 防除の「窓」は非常に短く、タイミングの管理が精度を決めます。
参考:農林水産省・斑点米カメムシ類の発生生態と防除対策(日本植物防疫協会)
http://jppa.or.jp/archive/pdf/68_07_40.pdf
アカスジカスミカメ対策のなかで、意外と見落とされがちなのが「草刈りのタイミング」の問題です。 一般的に、出穂期直前〜収穫前の草刈りは水田へのカメムシ飛び込みを誘発するとして禁止・自粛期間が設けられています。
参考)東北地域における斑点米カメムシ類:2014-2021年の発生…
しかし、秋田県の事例では、この草刈り禁止期間中に畦畔雑草が繁茂し、それがアカスジの発生源となってしまうケースが確認されています。 つまり「草刈りを禁止している間に、草がカメムシを増やしてしまう」という逆効果が起きていたわけです。
これは意外ですね。
対策として重要なのは、出穂10〜15日前よりも早い時期に畦畔の草刈りを済ませ、雑草の穂が出る前に除去しておくことです。 イネ科雑草の穂が出る前に刈ることで、産卵場所そのものを先手で除去できます。刈るタイミングが遅れると逆効果になる点は、ぜひ覚えておきたい知識です。
畦畔の雑草管理にあたっては、草刈り機の刃の高さを調整して地際まで刈り取ること、刈り取り後の草を田んぼに落とさないように注意することも細部として重要です。自治会や農協の管理区画との連携も、地域単位での被害軽減につながります。
📋 草刈りのポイントまとめ
参考:宮城県・斑点米カメムシ類の発生状況と防除対策
斑点米カメムシ類の発生状況と防除対策 - 宮城県公式ウェブサ…
参考:静岡県・アカスジカスミカメ防除マニュアル
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/058/706/akasujikasumikame.pdf
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