まず前提として、シマジン粒剤は農林水産省の「農薬登録情報提供システム」で、登録番号(失効)7038として掲載され、失効年月日が令和7年03月25日、失効理由が「今後の販売予定がないため」と明記されています。つまり、現場に在庫が残っていたとしても「これまで通りに買い足して運用する」設計は成立しません。代替品検討は“効く効かない”以前に、制度上の入口が変わったことを起点に組み直すのが安全です。
また、日産シマジン粒剤1も登録番号(失効)5820として、失効年月日が令和7年03月25日、失効理由が「既に販売を終了しており、今後の製造・販売予定が無いため」とされています。メーカー違いの製品名が複数あっても、出口(失効)が揃っている点から、単なる一時欠品ではなく“供給の前提が終わった”と理解する方が現実的です。
参考)Ferimzone (Third Edition) (Pes…
代替を探す際は「シマジンの代わり」という言い方をいったんやめて、ラベルに書かれている“適用作物”“適用雑草”“使用時期”“使用方法”“総使用回数”の一致を取りに行きます。特に土壌処理系は、散布直後の降雨・灌水、土質(砂質か粘土質か)、有機物量で効き方と残り方がブレるため、同じカテゴリの剤でも再現性が変わります。
シマジン(CAT)は「水質汚濁性農薬」に指定され、使用には都道府県知事の許可が必要になる旨が説明されています。代替品の選定では、単に効果だけでなく「周辺に河川・用水路・ため池がある」「傾斜があり流亡しやすい」「暗渠や排水が早い」といった圃場条件が、使える剤・使い方を強く縛る点を先に押さえると、後戻りが減ります。
加えて、行政資料でもCAT(シマジン)について、河川・湖沼などに飛散・流入するおそれのある場所では使用しない、といった注意喚起が整理されています。ここが意外に重要で、代替へ切り替えるときほど「飛散・流入リスクの見積り」が甘くなりがちです。
参考)https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/693102.pdf
現場での代替戦略としては、化学的な“置換”だけでなく、作業設計もセットで替えます。例えば、風の強い日を避ける、散布幅を欲張らない、圃場の端から水系方向へ向けて撒かない、などは地味ですが効きムラとクレームを同時に減らします。
代替候補を探す近道は、まず「シマジン=CAT」という同義語を理解し、農薬データベースで“有効成分CATの製品一覧”を確認して、現時点で入手可能な登録農薬へ視点を切り替えることです(ただしCATそのものが失効している製品も混在するため、最終判断は必ず登録情報とラベルで行います)。実務では、同系統・近い用途の土壌処理剤、あるいは土壌処理+茎葉処理の体系処理へ組み直す方が、シマジンの運用思想(「先に抑える」)に近づけやすいです。
具体例として、トリアジン系(近縁の考え方)を含む製品情報では、とうもろこし向けにアトラジンとS-メトラクロールの混合剤「ゲザノンゴールド」が、土壌処理でも生育期処理でも使用可能で、使用時期・希釈水量・総使用回数まで整理されています。重要なのは、このレベルで“使い方が規定された世界”に乗り換えることで、同じ「代替」でも事故率が大きく変わる点です。
参考)ゲザノンゴールド|シンジェンタジャパンの農業用農薬(殺虫剤・…
また、粒剤にこだわる場合でも「粒剤=安全」ではありません。粒剤は散布が楽でドリフトが減る一方、斜面や強雨での粒の移動(流亡)によって効きムラが出ることがあります。代替の粒剤を選ぶなら、散布後の天候見込みと圃場の排水設計まで含めて判断するのが、結果的に作業コストを下げます。
切替え初年度の基本は「いきなり全面更新しない」です。1枚の圃場でも、雑草が強い場所・水が溜まる場所・土が軽い場所で反応が違うので、まずは一部区画で薬量・散布タイミングを振り、効きと薬害の出方を見てから面積を広げます。
次に、同じ作物でも“雑草のステージ”がズレると評価が崩れます。土壌処理は「雑草が出る前に抑える」が基本で、散布が遅れるほど茎葉処理要素の強い体系に寄せる必要が出ます。つまり代替品の比較は、薬そのものより「散布日程が守れる作業体系か」という管理面の比較が本質になります。
記録は、上司チェックでの説得材料にもなります。最低限、(1)散布日、(2)天候と降雨、(3)土の状態(乾き/湿り)、(4)対象雑草、(5)薬量と散布ムラ対策、(6)2週間後・1か月後の写真、を残すと、翌年の再現性が上がり“代替探し”が“自圃場に合う標準化”に変わります。
検索上位の多くは「何が代替になるか(商品名・成分名)」に寄りがちですが、現場で地味に効くのは“調達リスク”の管理です。今回の失効理由は、いずれも「今後の販売予定がない」「今後の製造・販売予定が無い」と明記されており、これは価格高騰や供給不安定ではなく「継続運用が前提として組めない」タイプです。だからこそ、代替は単剤一本槍より、複数候補(A案:土壌処理中心、B案:体系処理、C案:非選択性で畦畔対応など)を持ち、作業暦に合わせて切り替えられる設計が強いです。
さらに、在庫が残っている場合でも「登録の範囲外の使用は不可」という考え方がSDS等でも明示されているため、過去の慣行に引きずられた“ついで使い”が事故の入口になります。代替へ移行する年は、倉庫の棚卸しと、ラベル・登録の突合をセットで実施し、使えるもの/使えないものを明確化してから現場へ出す運用に変えると、ヒヤリハットが減ります。
参考)https://www.nichino.co.jp/products/query/db/sds/20180910065056003.pdf
【参考:公式に失効日と失効理由が確認できる】
農林水産省 農薬登録情報提供システム「シマジン粒剤1(失効)7038」
【参考:同系統の別製品名でも失効が確認できる(置き換えでは解決しない根拠)】
農林水産省 農薬登録情報提供システム「日産シマジン粒剤1(失効)5820」
【参考:水質汚濁性農薬としての位置づけと許可が必要な旨(制約条件の把握)】
シマジン(水質汚濁性農薬・許可等の解説)