りん肥料(リン酸)は、窒素・リン酸・カリの三要素の一つで、核酸や酵素の構成、エネルギー伝達、光合成、呼吸、糖代謝などの重要な生理作用に関わります。
現場で体感しやすい効果は、根の生育の改善、発芽・初期生育の促進、開花・結実の改善、成熟促進、品質向上です。
一方で、欠乏すると典型的には葉が赤紫色化(アントシアン系の発現として現場では「紫がかる」)、果実の成熟遅れなどが出て、生育・収量・品質が落ちます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9735692/
この「初期の根」と「後半の実・品質」に効く性格があるため、りん肥料は“いつでも同じように効く肥料”ではなく、狙う生育ステージに合わせた設計が必要になります。
また、りん肥料は土壌中で移動しにくく、根の近くにいないと吸われにくい前提があります。
参考)化学肥料(単肥)の種類と特徴・使い方
そのため「追肥で上から振ったのに効かない」「条施・局所のほうが効いた気がする」といった差が出やすく、施し方(配置)が結果を左右しがちです。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10675352/
りん肥料が効かない最大要因として、土壌中でリン酸が金属イオン(例:アルミニウム等)と強く結び付いて利用しにくくなる「リン酸固定」があります。
特に火山性土ではリン酸固定が起きやすく、その起きやすさの目安として「リン酸吸収係数」が高い、つまりリン酸が効きにくい土壌だと説明されています。
さらに、アルミニウムは土壌pHが低いほど溶け出しやすく、リン酸固定が強まりやすいので、炭カル等でpHを適切に保つ重要性が挙げられています。
ここが意外な落とし穴で、「りん肥料を増やす」よりも「pHを整える」「固定されにくい形を選ぶ」ほうが、同じコストで効きが上がるケースが現実に起こり得ます。
たい肥には腐植酸などリン酸固定を抑える物質が含まれるため、たい肥施用はリン酸の有効利用という面でも意義がある、と整理されています。
加えて、堆肥中のリン酸は化学肥料より効率が良いリン酸資源になり得る、という見方も提示されており、化学肥料のリン酸を堆肥で置き換え、不足分の窒素を化学肥料で補う施肥設計が望ましいとされています。
「リン酸は過剰害が出にくい」と言われてきた一方で、リン酸過剰で収量や品質が低下する事例が報告されている、という注意点もあります。
また、日本ではリン酸肥料が過剰投与されがちで、畑地・樹園地でリン酸肥沃度が上昇する傾向、過剰蓄積、病害助長などの問題提起もされています。
土壌診断をして「足りないから入れる」だけでなく、「固定で効いていないのか」「既に土に溜まっているのか」を分けて考えるのが、りん肥料設計の中核になります。
化学肥料のリン酸成分は「水溶性リン酸」「可溶性リン酸」「く溶性リン酸」に分けられます。
水溶性リン酸は作物に最も早く吸収されますが、土壌中にリン酸固定されやすい性質がある、とされています。
く溶性リン酸は根から出る弱い酸に溶けて吸収されるため吸収は遅い一方、土壌中に固定されにくい性質がある、と整理されています。
可溶性リン酸は水溶性とく溶性の中間の肥効です。
この違いから、栽培期間の短い作物やリン酸固定力の小さい土壌では水溶性リン酸、栽培期間の長い作物や長期的な土づくり目的ではく溶性リン酸を選ぶ、という使い分けが示されています。
また、一般的な化成肥料やBB肥料は、く溶性または可溶性リン酸と、水溶性リン酸の両方を含むことが多い、とされています。
代表的な単肥の扱いとして、過リン酸石灰は水に溶けやすく速効性があり、リン酸不足を早めに補える一方、リン酸は土の中でほとんど移動しないため追肥に使っても根まで届きにくく、主に元肥として施すのが基本、という説明があります。
熔成リン肥は効果がゆっくり現れるため元肥として使い、作付けの3〜4週間前に施して深く耕して土と混ぜ込む、という実務寄りの目安も示されています。
ここでのポイントは「資材の優劣」ではなく、「速効(初期の立ち上がり)」「持続(後半の維持)」「固定されやすさ」を、圃場条件と作型に合わせて組み合わせることです。
参考:リン酸の役割、欠乏症状、リン酸固定とpH・たい肥の考え方
https://agriport.jp/field/ap-13284/
りん肥料は「土の中でほとんど移動しない」性質があるため、追肥で表層に撒いても根域に届きにくく、元肥中心で設計するのが基本とされています。
この性質は、裏を返すと「根が伸びる場所に先回りして置いておく」ほど効きが上がりやすい、ということです。
施肥の現場での組み立て方(考え方の型)は、次の順で迷いが減ります。
特に“意外に差が付く”のは、たい肥のリン酸評価です。
堆肥中のリン酸は、化学肥料のように水に溶ける形態ではないことが一因で、土壌中で鉄やアルミニウムとすぐに結合して難溶化しやすい化学肥料リン酸とは挙動が異なる、と説明されています。
また、牛糞堆肥では窒素の年間無機化が約30%とされる一方で、リン酸は90%以上という報告が多い、という指摘があり、窒素とリン酸で「効き方の前提が違う」ことが重要だとされています。
この発想に立つと、りん肥料の削減=単純な減肥ではなく、「堆肥リン酸で置き換える」「不足分の窒素を化学肥料で補う」という再配分の最適化になります。
独自視点として現場で役立つのは、「りん肥料を入れたのに効かない」時に、すぐ追加投入ではなく“固定対策の優先順位”を持つことです。
具体的には、pHが低い圃場でリン酸を足しても固定されやすい前提があるため、pH管理と有機物の活用(たい肥)が“効かせるための施肥”として先に効く場合があります。
参考:堆肥中リン酸の使い方、リン酸過剰・病害助長、局所施用の考え方
https://www.yanmar.com/jp/agri/agri_plus/soil/articles/11.html

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