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卸売市場と農業の関係を整理しつつ、直売所や市場外流通との違い、これからの農家の販路戦略について実例を交えて考えてみませんか?

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卸売市場と農業流通の要点
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卸売市場の基本機能

中央卸売市場と地方卸売市場の役割、全量引き受け機能や価格形成の仕組みを押さえ、農業経営にどう効いてくるのかを解説します。

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市場出荷と直売所の違い

卸売市場経由と直売所・産直・ネット販売など市場外流通を比較し、コスト構造やリスク分散の観点から販路の組み合わせ方を整理します。

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これからの販路戦略

卸売市場法改正後の変化やデジタル化、ニッチ産地戦略など、今後5〜10年を見据えた農家の現実的な出口戦略の考え方を提案します。

卸売市場 農業の仕組みと役割

 

卸売市場は、全国から集まる青果物や花きなどの生鮮食料品を一括で取引する流通拠点として位置づけられており、都市部の食料供給インフラでもあります。
法令上は、生鮮食料品等の卸売のために開設される市場で、卸売場や駐車場など流通に必要な施設を備えることが求められています。
農家側から見ると、卸売市場は多数の買い手が集まることで販路を安定的に確保できる場であり、物流や代金回収をまとめて担ってくれる点が大きな特徴です。
卸売市場は大きく「中央卸売市場」と「地方卸売市場」に分けられ、中央は農林水産大臣の認可を受けた大規模市場、地方は地域の実情に応じた中小規模市場として機能しています。

 

参考)3度目の「卸売市場法改正」がもたらす農家、消費者にとってのメ…

取引の基本フローは、生産者→出荷団体(JAなど)→卸売市場→仲卸業者・買参人→小売店・外食産業→消費者という流れで、特に青果物ではこのルートが今なお主流です。

 

参考)農家から食卓まで 〜知ってるようで知らない卸売のヒミツ2|マ…

日本の野菜は約7割以上が卸売市場を経由しており、直売所やネット販売が増えていても、市場流通の比重は依然として高い水準にあります。

 

参考)優れた流通システムは直売所?卸売市場?小売店?-「見えない」…

価格形成の面では、原則としてせりや相対取引を通じて需要と供給のバランスに基づく「合理的な価格形成」を目指す仕組みが採用されています。

 

参考)https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2025pdf/20250425029.pdf

特に青果物のような日々価格が動く品目では、入荷量や天候、需要期などの情報が集中する卸売市場だからこそ、市場全体の水準を示す指標価格としても機能します。

 

参考)https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sijyo/info/attach/pdf/index-82.pdf

一方で、生産者が価格決定に直接関与しづらいという側面もあり、その利点と不利な点を理解しながら利用することが重要です。

 

参考)卸売市場に出荷するメリットについて。生産に専念したい人におす…

卸売市場 農家が感じるメリットとデメリット

農家にとっての代表的なメリットは「全量引き受け」機能で、規格に沿っていれば基本的に出荷した分をすべて受け入れてもらえるため、廃棄リスクを大きく減らせます。
集荷、選別、販売、代金回収などを卸やJAが一括して行うことで、農家は生産により専念でき、規模拡大や複数作目の導入もしやすくなります。
また、全国規模の流通網に乗せられるため、地元だけでは吸収しきれない出荷量でも大都市圏の需要に対応しやすい点もメリットです。
一方のデメリットとしては、市場価格に依存するため、豊作や需要減少で相場が崩れた際には収入が大きく変動することが挙げられます。

 

参考)農産物流通と卸売市場の機能(2)直売所に「見えにくいコスト」…

委託出荷が多い場合、生産者が価格決定に関与できず、「手取りが読みにくい」「原価計算しづらい」といった経営上の悩みに直結しやすくなります。

 

参考)https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0410re3.pdf

加えて、選別や箱詰め、輸送コストなど見えにくい費用が積み上がることで、「思っていたほど利益が残らない」という声も少なくありません。

 

参考)https://www.cri.ehime-u.ac.jp/old/wp-content/uploads/2020/04/17536d30f84aa1ed02f0fbae8ce39d1d.pdf

興味深いのは、「卸売市場の価格は安いから儲からない」というイメージがある一方で、同じ市場出荷でも情報収集や取引先との信頼関係構築によって高単価を実現している農家もいる点です。

 

大規模流通をうまく活用している農家は、作型や出荷時期を市場のニーズに合わせたり、等階級を安定させることで「選んでもらえる産地」になろうとしています。

このように、卸売市場は「儲からない仕組み」ではなく、使い方次第で武器にも負担にもなりうる流通インフラだと捉えるのが現実的です。

 

参考)農業と卸業の発展を支える最新ビジネスモデルと課題解決策

卸売市場 農業 直売所・市場外流通との違い

直売所や産直販売、ネット通販などの市場外流通は、卸売市場を通さずに生産者と消費者・小売が直接取引する仕組みで、近年その比率が高まっています。
生産者直売所では、卸売市場経由に比べて中間マージンが少ないことから、消費者にとって価格が1〜2割ほど安く見える一方で、生産者の取り分が増えるケースもあります。
ただし、直売所やネット販売には、販売員の人件費、什器、在庫ロス、決済や配送といった「見えにくいコスト」がかかっており、単純比較で「直売の方が得」とは言い切れません。
年間の流通量で見ると、直売所で扱われる生鮮野菜は100万〜150万トン規模と推計されるのに対し、卸売市場を経由する生鮮野菜は約1000万トン前後と桁違いです。

小売店が卸売市場から仕入れている量だけでも、直売所の7〜15倍程度にのぼるとされており、大量出荷や安定供給という観点では市場流通に優位性があります。

したがって、規模の大きな部会や産地が直売のみで成り立たせるのは難しく、卸売市場と産直・契約栽培を組み合わせたポートフォリオが現実的です。

また、市場外流通が拡大する一方で、卸売市場の経由率は徐々に低下しており、農産物流通全体で「市場内」と「市場外」の二本立て構造が進んでいます。

 

参考)https://www.alic.go.jp/content/001156825.pdf

高齢農家の小口出荷や、規格外品・少量多品目の扱いにおいては、直売所やネット販売が再評価されており、地域農業の維持・所得補完の役割も指摘されています。

こうした流れを踏まえると、卸売市場に全量を依存するのではなく、「市場+直売・ネット+業務用契約」といった複線的な販路設計が鍵になります。

卸売市場 農業 卸売市場法改正とデジタル化のインパクト

2018年の卸売市場法改正では、条文が大幅に削減されるなど規制緩和が進み、市場制度そのもののあり方を問う規模の見直しが行われました。
従来のような厳格な中央卸売市場制度から、民間事業者も含めた多様な流通チャネルの競争を促す方向へ舵が切られ、卸売市場間の連携や新規参入も後押しされています。
その結果、各市場の経営努力やサービス競争が求められるようになり、単に「場を提供するだけ」から、産地支援や情報提供といった付加価値が重要になっています。
デジタル化の面では、市場間ネットワークやオンライン受発注システムの整備が進み、需給に合わせて市場間で農産物を融通し合う仕組みが期待されています。

 

参考)(7)水産物の流通・加工の動向:水産庁

これにより、ある市場で余剰となった品目を別地域の市場や量販店へ振り向けるなど、従来よりきめ細かな在庫調整が可能となり、価格急落リスクの抑制にもつながります。

一部ではオンラインせりやWeb入札を導入する市場も現れ、距離の制約を超えて買参人が参加できる環境づくりが進行中です。

 

参考)卸売市場情報:農林水産省

農家の立場から見ると、市場法改正とデジタル化は「ただ任せる」のではなく、市場情報を主体的に取りに行き、作付けや出荷タイミングを戦略的に決めることを促す変化とも言えます。

 

市場側が提供する相場速報、入荷動向、需要期の分析を活用することで、同じ市場出荷でも手取りを大きく変えられる可能性があります。

加えて、ネット直販や産直ECと卸売市場出荷をデータで結びつけ、どの販路がどの時期・品目で最も収益性が高いかを可視化する取り組みも徐々に増えています。

卸売市場 農業 ニッチ産地の戦略と独自視点

検索上位ではあまり触れられていませんが、中小規模の産地や個別農家にとって、卸売市場は「量の出口」だけでなく「情報の入口」として活用する余地があります。
たとえば、市場の担当者や仲卸との関係を深め、どの規格・荷姿・ロットが評価されているか、どの時間帯に入荷すると有利かといった現場の感覚を聞き出すことで、小さな産地でも差別化のヒントが得られます。
市場の「目利き」が評価するポイントを把握し、それを生産現場にフィードバックすることで、限られた面積でも高単価を狙える作り方に寄せていくことができます。
さらに、ニッチな品種や特定の料理用途に特化した農産物を、特定の仲卸や外食チェーンと連携して育てるケースも増えつつあります。

 

参考)http://ohizumi.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/08/20180524-0605-0615%E3%80%80%E8%BE%B2%E6%9E%97%E6%8A%8418%E5%B9%B4%E5%8D%B8%E5%A3%B2%E3%82%8A%E5%B8%82%E5%A0%B4%E6%94%B9%E9%9D%A9.pdf

この場合、卸売市場を「マス向けの販路」としてだけでなく、「専門店やシェフとつながるハブ」として捉え、試験的な量から始めてニーズを探ることが可能です。

市場での反応を見ながら、反響のある品目だけを増産し、逆に動きの悪いものは早めに縮小するといった、アジャイルな産地運営が実践できます。

 

また、直売所やネット販売と組み合わせて、「規格外品や小ロットは直販」「まとまった量と標準規格は市場」という役割分担を明確にすることで、廃棄を減らしつつ全体の粗利を底上げする戦略も有効です。

地域ブランド認証や地理的表示(GI)制度などを活用し、卸売市場経由でもラベルやPOPで差別化することで、産地として付加価値を乗せやすくなります。

こうした「小さな工夫の積み重ね」が、同じ市場出荷でも数年単位で大きな収益差を生むことは、現場の成功事例からも確認されています。

地域の卸売市場の役割や仕組みの詳細を知るには、農林水産省や都道府県が公開している解説資料が参考になります。

農林水産省「卸売市場情報」公式ページ(卸売市場の制度・役割の詳細解説)
卸売市場法改正の背景や価格形成の考え方について、政策的な視点から整理した資料も公開されています。

参議院調査室「合理的な価格形成の実現に向けて ― 食品等流通法・卸売市場法の改正」

 

 


〝適者生存〟戦略をどう実行するか: 卸売市場の〝これから〟を考える