水持ちの悪い田んぼで除草剤が「効かない」最大の理由は、土壌処理剤が作るべき“処理層(田面表層の有効成分の層)”が安定する前に、田面水と一緒に成分が外へ出てしまうことです。水稲の初期剤や一発処理剤は、水を介して土壌表面に処理層を作り、そこに雑草の芽が触れて枯れる仕組みなので、散布直後の流出はそのまま効力低下につながります。
実際、処理層ができるまで24~72時間かかるという説明があり、その前に水が流れ出ると成分が流亡しやすい点、さらに水の流れで薬害リスクが上がる点も指摘されています。だから「水持ちが悪い=薬が悪い」と決めつけるより、まずは散布直後の数日を“守れる圃場条件に寄せる”のが最短ルートです。
ここで意外と見落とされるのが「水の動き=濃度ムラ」です。田面水が動くと、田んぼの一部は濃く、一部は薄くなります。濃い側では稲に生育抑制などの薬害が出やすく、薄い側では残草が増えてしまう、という二重苦が起きます。水持ちが悪い圃場ほど、除草剤そのものより“水の挙動の設計”が結果を支配します。
参考リンク(散布後に水が流出すると除草効果が低下しうること、散布後の水管理の考え方)
https://www.jeinou.com/benri/rice/2008/06/041000.html
水持ちが悪い田んぼでは、「散布後3~4日」と「散布後7日」という2つの区切りを身体で覚えると、効きが安定します。メーカーの使用上の注意として、散布後少なくとも3~4日間は通常の湛水状態を保ち、散布後7日間は落水・かけ流しをしない、という趣旨が明記されています。これは“気合いの話”ではなく、処理層を作って維持するための条件です。
水深も重要で、ジャンボ剤の例では散布時にやや深めの湛水(水深5~6cm)で水の出入りを止める、散布後は3~4日は湛水(水深3~5cm)を保ち、7日間は落水・かけ流しをしない、と具体的に示されています。深さが足りないと拡散不良や処理ムラになりやすく、逆に水が動けばせっかくの均一性が崩れます。
一方で「7日も水が持たない」圃場は現実にあります。その場合でも、現場向けには“2~3日程度の田面露出なら効果に影響しにくい”という説明もあり、完全に諦める前に運用でカバーできる余地があります。ただし、田面が乾いてひび割れが進むと、さらに漏水が増えたり、再入水で水が走ってムラを作ったりするため、露出させるなら「静かに足す」「オーバーフローさせない」がセットになります。
参考リンク(散布後3~4日・7日の止水、水深の具体条件、漏水田での注意)
https://www.kumiai-chem.co.jp/products/document/priority_jm.html
漏水田では「どの成分が強いか」より先に、「剤型がその圃場の水の動きに合うか」を見ます。一般論として、ジャンボ剤やフロアブル剤、豆つぶ剤は水中で広がってから沈殿して処理膜を作るため、粒剤より湛水を深めに保つ必要があるとされています。水持ちが悪いのに浅水だと、広がり切る前に薄まったり、沈む前に流れたりして、効かない・ムラが出る条件を自分で作ってしまいます。
一方、粒剤は水中での移動が少なく、散布と同時に土壌に定着してから水に溶けて処理膜を張るため、手間は増えるが効果は持続しやすい、という整理がされています。つまり「水が暴れる田んぼほど、動かない剤型が相性が良い」場面が出てきます。
ただし、ジャンボ剤にも利点があります。投げ入れタイプは散布の省力化ができ、適期を逃しにくいのが強みです。だから最適解は一つではなく、あなたの圃場が「水深を確保できるが止水が弱い」のか、「水深が浅くなりがち」なのかで選び方が変わります。迷ったら、まず次の2点で判断すると外しにくいです。
参考リンク(粒剤・ジャンボ剤・フロアブルの特性差、漏水田での考え方)
https://www.noukaweb.com/herbicide-leeking-paddy-field/
水持ちが悪い田んぼほど、取りこぼしは「薬が弱い」ではなく「時期が遅い」「効く環境が守れない」の複合で起きます。ジャンボ剤の製品情報でも、雑草発生前から生育初期に有効で、ノビエ3.5葉期までに時期を失しないよう散布、といった“葉齢の締切”が強調されています。つまり、葉齢が進んだノビエを初期一発だけでどうにかしようとすると、圃場条件が悪いほど失敗しやすいのが前提です。
現場で現実的なのは、初期の一発処理剤で土壌処理の“面”を作り、残ったものを後処理剤(茎葉処理)で“点”として潰す考え方です。例として、漏水田では初期一発・初期剤は土壌吸着性の高い成分が入ったものが向きやすい、取りこぼしは落水して使う茎葉処理剤で除草する、といった体系が提示されています。これは、漏水田では土壌処理の条件が揺らぐため、後段の保険を前提にする、という戦略です。
さらに、意外と効くのが「圃場内の高低差の是正」です。田んぼが凸凹だと水深に差が出て、薬害や効きの差が大きくなるという指摘があり、除草剤の話に見えて実は整地の話でもあります。高いところが露出しやすい田ほど、そこだけ処理層が薄くなり、雑草の“逃げ場”になります。
検索上位の記事では「効かせ方(止水・水深・剤型)」が中心ですが、もう一段踏み込むなら“使ってはいけない条件を先に確認して、対策の優先順位を決める”のが実務的です。あるジャンボ剤の注意事項では、砂質土壌の水田および漏水田(減水深が2cm/日以上)では薬害が発生するおそれがあるので使用をさける、という条件が明記されています。これは「効かない」以前に「危ない」可能性があるラインで、現場ではここを境に意思決定が変わります。
ここから逆算すると、あなたの圃場で最初にやるべきは“減水深の見える化”です。難しい測定機器は不要で、朝に水深を揃えて夕方にどれだけ下がったかを数日メモするだけで、2cm/日ラインを超えているかの当たりを付けられます。もし超えるなら、除草剤の選定以前に、畦畔の穴・水口水尻の止水・代かきの丁寧さなど、漏水対策のコスパが急上昇します(そこを直せば、以後の年もずっと楽になるからです)。
また、独自の工夫として「散布日を“雨予報”で選ぶ」のではなく、「散布後に水を止め続けられる日」で選ぶのが漏水田では効きます。注意事項には、梅雨時期など散布後に多量の降雨が予想される場合は効果低下のおそれがあるので使用をさける、ともあります。雨は入水の手間を減らす一方で、水が動く・溢れる・濁るといったリスクを増やし、結果として処理層を壊します。だから“雨で助けてもらう”発想より、“水が動かない日程”を作る発想が、漏水田の勝ち筋になります。
参考リンク(減水深2cm/日以上の漏水田で使用回避の注意、散布後の止水条件、降雨時の注意)
https://www.kumiai-chem.co.jp/products/document/priority_jm.html

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