樹園地内運搬用機と収穫運搬と省力化

樹園地内運搬用機の種類と選び方、傾斜地や狭小園地での運用のコツまで整理します。現場の省力化と安全性を両立するには、どこを見て導入判断すべきでしょうか?

樹園地内運搬用機と収穫運搬

樹園地内運搬用機の要点
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目的は「人の移動」を減らす

運搬の主役は荷物よりも作業者の歩行距離。追従・自律走行・モノレール等で移動を削減し、収穫運搬の詰まりを解消します。

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傾斜地は車輪よりクローラ優位

傾斜・段差・ぬかるみでは接地圧とトラクションが重要。クローラ運搬車や園内モノレールが選択肢になります。

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導入は「運用設計」が8割

通路幅・旋回・積み下ろし点・トラック位置を先に決めると失敗しにくい。安全基準と点検もルール化します。

樹園地内運搬用機の種類と特徴(クローラ・運搬車)

樹園地内運搬用機は大きく「運搬車(人が運転)」「追従・自律走行ロボット(人を補助)」「モノレール(レール上搬送)」に分けて考えると整理しやすいです。
このうち運搬車は導入・運用が比較的シンプルで、収穫物コンテナ・資材・堆肥などの搬送に幅広く使えます。
特に傾斜地や不整地では、タイヤよりクローラのほうが空転しにくく、荷重がかかった状態でも路面追従性を確保しやすいのが強みです。js-soilphysics+1​
一方でクローラは「旋回時に路面を傷めやすい」「草やツルが絡むと駆動抵抗が増える」など、運搬路の整備と日常の清掃・点検が効いてきます。


参考)https://js-soilphysics.com/downloads/pdf/022001.pdf

また、樹園地では“運ぶ物”が季節で変わります(肥料、薬液タンク、収穫コンテナ等)。


参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/arfe/59/4/59_188/_pdf

荷台の拡張・アタッチメント対応や、積載上限(最大作業能力)と登坂の余力を見ておくと「収穫期だけ足りない」事故を避けられます。monotaro+1​

樹園地内運搬用機の省力化と作業時間(肥料散布・除草剤散布)

樹園地内運搬用機の“省力化”は、単に早く運ぶより「人の往復を消す」ほうが効く場面が多いです。
実証研究では、追従機能を持つ運搬補助ロボットを使うことで、肥料散布の作業時間が最大9.5%削減され、歩行距離も35%削減された例が示されています。
さらに除草剤散布では、ロボットが動力噴霧機・薬液タンクを追従運搬することで、ホースの繰り出し・巻取り工程が減り、散布時間が最大45%削減されたと報告されています。

この結果が示す意外なポイントは「運搬=収穫だけの話ではない」ことで、管理作業(肥料・除草)に運搬用機を絡めたほうが投資回収の説明がしやすくなる点です。

導入設計のコツは、作業フローを“分解”して、運搬用機が消せる工程(往復、巻取り、補給の移動)を先に特定することです。

たとえば慣行では肥料が切れるたびにトラックまで往復して補給する工程が入りやすく、そこがロボット追従・資材同伴で削りやすいポイントになります。

樹園地内運搬用機の収穫運搬と積載(コンテナ・ケース)

収穫運搬は、作業時間全体の中で占める割合が大きくなりやすく、実証でも「収穫・運搬は作業時間全体の半分近くを占める」と整理されています。
収穫運搬の改善は、運搬車の速度よりも「積載単位(ケース数)」「積み下ろし点」「戻りの待ち時間」で決まることが多いです。
運搬補助ロボットを自律走行させ、収穫コンテナを複数ケースまとめてトラックまで往復搬送する方式では、経営体によって収穫運搬時間が同等〜6.9%削減という結果が示されています。

加えて、運搬担当者の移動距離が大きく削減(例:66%削減)されるケースもあり、身体負担の軽減に直結しやすい点は見逃せません。

ただし“自律で運ばせる”方式は、収穫側の供給が追いつかないとロボットが待ち状態になり、期待したほど時間短縮にならないことも報告されています。

ここは現場で差が出るので、導入前に「何人で収穫し、何人で積載し、何台で往復するか」を、収穫量(ピーク時)で一度だけでも机上計算しておくと失敗が減ります。

運搬車(乗用・歩行型)を選ぶ場合も、園内の最小通路幅、旋回半径、荷台高さ(積み下ろし姿勢)を揃えると、結果的に収穫速度が上がります。


参考)https://www.yanmar.com/jp/agri/products/truck/

「最大作業能力(kg)」の数字は魅力的ですが、実際は積載物の体積(コンテナの積み方)と段差・傾斜で上限が先に来るため、現場のコンテナ規格で載せ方を決めてから機械を当てはめるのが現実的です。yanmar+1​

樹園地内運搬用機の傾斜地とモノレール(基盤整備)

中山間の樹園地は傾斜地が多く、運搬そのものが身体負担になりやすいという前提があります。
この条件では「クローラ運搬車で路面を走る」以外に「モノレールで搬送する」選択肢があり、傾斜地果樹向けの多目的モノレールのように、園地条件に合わせて運搬インフラを組む発想が取れます。
モノレール系の強みは、土質・ぬかるみの影響を受けにくく、一定の搬送能力を安定して出しやすい点です。naro+1​
一方で、レールや支線の設置・維持管理(雑草対策を含む)が前提になるため、「作業者がどこで載せてどこで降ろすか」まで含めた動線設計が必須です。


参考)https://www.naro.go.jp/org/iam/kinpuro/pamph/img/019.pdf

意外と見落とされがちなのが、樹園地内運搬用機の導入が“園地整備の優先順位”を逆転させる点です。

たとえばロボットや運搬車を先に入れても、積み替え場所が狭い・段差が多いと結局人が持ち上げる工程が残るため、最小限のスロープや荷下ろしスペースづくりが効果を左右します。naro+1​

樹園地内運搬用機の独自視点:追従ロボットを「道具運び」に転用

検索上位では収穫運搬が主役になりがちですが、追従型の樹園地内運搬用機は「道具運び」に寄せると現場適用が早い場合があります。
実証研究でも、運搬補助ロボットは肥料・薬液タンク・収穫コンテナなど複数の工程にまたがって使われており、汎用性が特徴として述べられています。
そこで独自の運用案として、次のように“人が持って歩く物”を優先して載せると、労働負担が読みやすくなります。


  • 肥料袋・追肥資材(補給往復を消す)​
  • 動力噴霧機+薬液タンク(ホース巻取り作業の削減につなげる)​
  • 剪定整枝の道具一式(脚立、鋸、回収袋など)※作業自体は変えず「持ち運び負担」だけ落とす​

“意外な効きどころ”は、収穫期よりもむしろ管理作業期(肥料・除草)にあります。

理由は、収穫は人員投入で吸収されがちなのに対し、管理作業は少人数で回すことが多く、往復のムダがそのまま残りやすいからです。

また経営面の見方として、ロボット導入は省力化だけでは所得が増えにくく、削減した時間を規模拡大に振り向けると所得増につながる、という試算結果も示されています。

つまり、樹園地内運搬用機は「楽になる機械」で終わらせず、「面積維持・拡大のための時間を作る装置」として導入目的を言語化すると、上司・家族・共同出荷組織にも説明しやすくなります。

運搬補助ロボットの実証(省力化・経済性評価、追従/自律走行、削減率の具体データ)。
ミカン園での運搬補助ロボット実証試験による省力化と経済性評価(J-STAGE PDF)
傾斜地果樹でのモノレール活用(多目的モノレール、支線移動、雑草対策の考え方)。
傾斜地果樹用多目的モノレール(農研機構系PDF)