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海藻肥料の作り方で最初に分岐するのが「そのまま土に入れる」か「液肥にする」かですが、どちらでも共通して重要なのは🧂塩分対策です。海藻は海水由来の塩をまとっており、塩分が多い状態で畑に入ると作物の水分吸収が阻害され、根に負担が出やすくなります(塩分過多は水分吸収を妨げ根を傷める、海藻は塩抜きが重要)。
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現場での基本手順はシンプルで、①真水でよく洗う→②風通し良く乾燥→③細かく刻む、です。乾燥は「軽く握っても水がしみ出ない」くらいを目安にし、刻む理由は表面積を増やして抽出・分解を速めるためです(洗って乾かし、細かくして堆肥に混ぜると分解が早まる)。
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発酵させて液肥化する場合は、密閉しすぎずガス抜きできる容器を使い、温度で期間を見積もります(夏は短く、冬は長い)。一般的な発酵液肥では、材料を混ぜてフタをして空気を遮断し、夏1~2週間・冬1か月ほどで進む例が示されています。海藻だけで発酵が鈍いと感じたら、糖(黒糖・糖蜜など)を少量足して微生物の立ち上がりを助ける設計が現実的です(黒糖や砂糖を発酵促進に使う例)。
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意外と見落としがちなのが、発酵の目的は「腐敗させる」ではなく「分解を進め、液として安定運用する」ことです。臭いが強烈に腐敗方向へ振れたら、攪拌頻度・糖量・原料量・水量のバランスが崩れている可能性があるので、次バッチで調整します(発酵液肥は定期的に攪拌する例、臭いが出る注意)。
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海藻肥料が「化学肥料の代替」というより、作物の調子を整える資材として評価される背景には、海藻に特有の成分があります。市販の海藻系資材では、アルギン酸・ラミナリン・マンニット・フコイダンなどの多糖類や、各種ミネラル・アミノ酸が含まれることが示されています。これらは単純なN-P-Kの話だけでなく、土壌中での働き(微生物の餌になりやすい等)を通じて効かせ方が変わるのがポイントです(海藻由来の多糖類が土壌微生物の活動を活発化させる)。
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液肥として自作するなら、海藻を刻んで水に漬け、抽出液を取り出す方向が扱いやすいです。発酵を組み合わせる場合は、米ぬか・油かす・糖などの一般的な発酵液肥の設計と同じ考え方で、海藻は「ミネラル・多糖類の供給源」として位置付けると失敗が減ります(米ぬか+油かす+水+糖で発酵→こして液肥、という手順例)。
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また、海藻だけで作るより、畑で不足しがちな成分を補う“混ぜ方”も現実的です。例えば発酵液肥の情報源としては、油かす:水=1:10を基本にペットボトルで作れるような簡易レシピも示されており、海藻抽出液を「仕込み水の一部」として使う発想ができます。こうすると、海藻の成分を活かしつつ、発酵の進みやすさや肥効の読みやすさを確保できます。
参考)液肥(液体肥料)の作り方と与え方。基本と応用をご紹介!
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⚠️注意点として、海藻由来の液は濃いと粘性が出ることがあります。個人の試行例として、原液はヌルヌルし、50~100倍希釈で扱いやすいという感触も報告されています。この「粘り」は悪ではありませんが、濃度が高いまま株元に大量投入すると酸素不足や過剰反応を招きやすいので、最初は薄め・少量が安全です。
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海藻液肥は、原液をそのまま使うより希釈して運用する方が安定します。一般的な発酵液肥の使い方として、5~10倍に薄めて株元に与える目安が紹介されています。ただし海藻を強めに抽出した液は、成分だけでなく塩分も含み得るため、最初はさらに薄い倍率(例:20倍、50倍)から作物の反応を見て詰めるのが現場的です(海藻系で50~100倍希釈の例)。
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葉面散布は、狙いが「根からの肥効」ではなく「微量要素や生理的なサポート」に寄るため、濃度が濃いほど良いわけではありません。希釈しても作物が反応しないときは、濃度を上げる前に散布回数・散布時間帯(高温時を避ける)・展着の有無を先に見直すとトラブルが減ります。
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塩分の話を具体化すると、海水利用の文脈では希釈倍率100倍以上は安全側という経験則に触れつつ、40倍程度までは注意が必要という記述もあります。もちろん海藻液肥=海水そのものではありませんが、「塩の影響は薄め方で大きく変わる」という点は同じなので、海藻液肥の希釈設計にも応用できます。
参考)https://www.saltscience.or.jp/images/2023/07/3-kitano.pdf
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施用のタイミングは、作物のステージで考えると組み立てやすいです。例えば、活着期は薄めで根を守り、茎葉が伸びる時期は回数で支え、果菜類なら着果前後は急に濃くせず安定運用に寄せます。いきなり“効かせにいく”より、“調子を落とさない”発想が海藻の長所を引き出します。
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注意点の1つ目は塩分で、先述の通り「洗う・乾かす・薄める」が基本です(海藻は塩抜きが重要、洗って乾燥させると影響を軽減)。塩分の影響は作物や土質で出方が違うので、同じ圃場でも区画を切って小さく試し、EC(電気伝導度)や葉色の変化を見ながら進めると再現性が上がります。
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注意点の2つ目は腐敗です。発酵液肥の例では、密閉して発酵させ、発酵後に布でこして液体だけを使う流れが示されていますが、ここで「こし」が甘いと散布機器の詰まりや腐敗の再燃を招きます(発酵後にこして液肥にする例)。臭いが強すぎる、泡が異常、虫が寄りすぎる等のサインがあれば、無理に畑へ入れず、希釈して土の片隅で試す・次回設計を直す方が結果的に早いです。
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注意点の3つ目は法令です。自家使用だけなら肥料法に基づく登録や届出が不要とされる一方、他者に譲り渡す場合は有償・無償を問わず手続きが必要と明記されています。また「肥料を販売する場合」は、販売業務開始届出書の提出が必要であるとも説明されています。つまり、仲間内で配る・イベントで配布する・ネットで小分け販売する等は、規模が小さくても法的には論点になり得るので、事前にFAMICや都道府県窓口へ確認するのが安全です。
参考)https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdfdirect/10.1111/sum.12882
参考:肥料の登録・届出が必要か(自家使用/譲渡、販売届出などの判断基準)
http://www.famic.go.jp/ffis/fert/sub2_qa/sub2_qa.html
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検索上位の多くは「レシピ」中心になりがちですが、現場で差が出るのは“効かせ方の設計”です。海藻由来の多糖類(アルギン酸、ラミナリン、マンニット、フコイダン等)は、土壌中で微生物の餌になり、微生物活性を後押しするという整理がされています。つまり海藻液肥は、単体で「肥料成分を入れる」より、土の働きを立ち上げる補助輪として使うと再現性が上がります。
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具体的には、①堆肥・有機物が少ない圃場ほど“効きが読みにくい”、②微生物が動ける水分・通気がないと“効かない”、③温度が低い時期は“反応が遅い”、という当たり前を前提に、海藻液肥の投入量よりも投入タイミングを合わせます。たとえば、潅水後に土が締まる圃場では、液肥の前に浅く中耕してガス交換を確保するだけで、同じ希釈倍率でも反応が変わります。
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また、海藻資材は「微量要素が入る」ことが売り文句になりやすい一方で、微量要素は“足りないと効くが、過剰だと効かない・害が出る”領域です。市販海藻エキスの成分例として、ヨウ素・鉄・マンガン・亜鉛・モリブデン・銅などが挙げられており、入っているから良いではなく、作物の不足症状や土壌診断の結果と接続して初めて武器になります。
参考)海藻エキス肥料販売 葉面散布・灌水用
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最後に、意外な実務ポイントを1つ。海藻液肥を“毎回同じ濃さ”で作ろうとすると失敗します。海藻の種類・乾燥具合・刻み方で抽出濃度が揺れるため、最初から「薄め固定(例:50倍以上)+回数で調整」にしておくと、塩分・過剰反応・臭いのトラブルを同時に減らせます(海藻系で50~100倍希釈の例)。作物が良い反応を示した条件だけをメモし、次作で同じ“手触り”に寄せるのが、海藻肥料を道具として使いこなす近道です。