肥料尿素 価格と国産 輸入 変動 要因

肥料尿素の価格は「国産」と「輸入」で動き方が違い、国際市況・為替・LNG・物流費が絡みます。現場での買い方と施肥設計をどう組み替えると損を減らせるでしょうか?

肥料尿素 価格

肥料尿素 価格で押さえる要点
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国産と輸入で値動きが別

同じ尿素でも、国際市況・為替の影響を強く受ける「輸入」と、原料LNGや国内製造コストの影響が出る「国産」で、改定の理由が分かれます。

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「前期比」は現場価格と一致しない

公表される変動率は、県JA・経済連向け供給価格ベースで、JA単協・農家向けの実売とズレる前提で読み解く必要があります。

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施肥は「価格」だけで決めない

窒素成分の単価、効き方(流亡・揮散)、作業性、保管リスクまで含めると、尿素の使いどころが見えます。

肥料尿素 価格と国産 輸入の違い


尿素は同じ「窒素質」の代表格でも、調達構造が違うため価格の動き方が分かれます。JA全農の公表では、令和7肥料年度の秋肥(6~10月)で「尿素(輸入・大粒)」は前期比+8.0%、一方で「尿素(国産・細粒)」は前期比▲2.5%と、同じ尿素でも方向が逆になっています。
ここが重要で、「輸入」は国際市況や為替の影響を受けやすく、「国産」は原材料や国内製造コストの交渉結果が効きやすい、という分離が起きます。JA全農も、海外肥料原料は国際市況上昇で尿素などを値上げとしつつ、国産の尿素は原材料LNG価格の値下げを受けて値下げで決着した、と明確に書いています。


参考)2025肥料年度春肥 高度化成は4.3%値上げ|JAcom …

現場感としては「尿素が上がった/下がった」で一括りにしがちですが、購入伝票に載る尿素が“どちらの系列か”で、来期の見通しの立て方が変わります。たとえば、輸入尿素中心で施肥している経営は、国際入札や輸出規制のニュースがそのままコストに跳ねやすい一方、国産尿素中心なら、燃料・電力・国内物流の比重を厚めに見ます。

実務では「国産か輸入か」を聞くのが気まずい場面もありますが、肥料設計を守るための情報です。JA側も価格変動率は供給価格ベースであり、JA・農家向け供給価格の変動率と一致しないと注記しているので、数値を絶対視せず、傾向を読む材料として使うのが安全です。

肥料尿素 価格 変動の要因:国際市況 為替 LNG 物流

価格を動かす要因は大きく4つに整理すると、判断が速くなります。JA全農の説明では、尿素を含む肥料原料の国際市況の上昇、外国為替相場の不安定さ、国産尿素では原材料LNG価格の変化、さらに人件費・物流費・電力など国内の製造諸経費の上昇が挙げられています。
まず国際市況側は、需給逼迫の材料が出ると一気に反応します。JA全農は、尿素の国際市況について「中国の輸出規制が継続」「東南アジアや米国で春肥向け調達が本格化」「インドの新規入札で再び反発」と、上昇要因を具体的に列挙しています。

次に為替です。円安方向なら輸入原料の円建てコストが上がりやすく、円高方向なら逆、という単純化はできますが、実務では「いつの為替で、どのタイミングの契約が反映されるか」がずれます。JA全農は、選挙後の円安進行、その後の利上げ等を背景に円高基調へ転じたこと、さらに相互関税などで金融市場が不安定で見通しにくい、としています。

国産側ではLNGが鍵になります。国産尿素は原材料のLNG価格の値下げが交渉に反映され、値下げで決着した、と書かれているため、「国産=安定」ではなく「燃料市況と国内コストの綱引き」と捉える方が現実に合います。

最後に物流・電力・人件費などの国内コストは、じわじわ効くタイプです。輸入尿素が国際要因で下がっても、国内の製造諸経費や流通費が上がると、末端の実感は“あまり下がらない”になりやすいので、仕入れ先との会話では「原料」だけでなく「物流・保管・荷姿」までセットで確認するとブレが減ります。

肥料尿素 価格 情報の見方:農林水産省 価格情報と単価の計算

「尿素の値段が高いか安いか」は、店頭の袋価格だけだと比較が崩れます。農林水産省は肥料の主要原料(尿素など)の国際価格の状況を月次で掲載しており、令和6年は尿素が月ごとに上下し、令和7年も継続して推移が出ています。
現場で役に立つのは、“袋の価格”を“窒素1kgあたりのコスト”に置き換えることです。尿素は窒素成分が46%のため、例として20kg袋なら窒素は約9.2kgで、袋価格÷9.2が「窒素1kg単価」の目安になります(複合肥料と比べるときの共通通貨になります)。JA全農の表でも尿素の成分は46と示されているので、この換算はズレにくい基準になります。

ただし、同じ窒素1kg単価でも、効き方のロスで実質コストは変わります。水田・畑地・施設、土壌水分、施用時期、散布方法で揮散・流亡の出方が違うので、「単価が安いから尿素に寄せる」と決め打ちすると、収量や品質のブレで逆に高くつくことがあります。ここは地域の普及指導や自分の圃場データ(収量・タンパク・糖度など)と合わせて判断するのが堅い運用です。


また、公表資料の「前期比」は非常に便利ですが、JA全農自身が“県JA・経済連向け供給価格ベース”であり、JA・農家向け供給価格の変動率とは一致しないと注記しています。つまり、資料を見て「来月から必ず同率で動く」と読むのではなく、「上げ要因・下げ要因がどちらか」「輸入と国産の方向が割れているか」を読むのが正しい使い方です。

肥料尿素 価格 高騰時の施肥と購入の工夫(窒素質)

尿素の価格が上がる局面では、「買い方」と「使い方」を同時にいじると損失が縮みます。買い方の基本は、施肥計画の確度が高い作型ほど早めに数量を固め、天候で施肥量が振れやすい作型は“追肥の自由度”を残す、という二段構えです(全部を前倒しすると、過剰在庫や別用途転用のロスが出ます)。
購入の工夫としては、輸入・国産のどちらかに偏りすぎないことがリスク分散になります。先ほどの通り、同じ秋肥でも輸入尿素は+8.0%、国産尿素は▲2.5%と、動きが割れ得るため、施肥体系の中で「どの工程を尿素で担うか」を分散させると、価格ショックが一点集中しません。

使い方の工夫は、ロスを減らして“実質単価”を下げる方向です。具体的には、散布タイミングを雨前に寄せて土壌に取り込ませる、浅くでも速やかに混和する、圃場条件によっては分施でピークを作らない、といった基本動作が効きます。これは新技術というより、価格が高いときほど基本が利益に直結する、という話です。


さらに、肥料全体で見ると尿素だけがコスト要因ではありません。JA全農の資料では、国内の製造諸経費(人件費・物流費・電力)の上昇が価格に影響したとされ、尿素以外の肥料も含めて“コストの底上げ圧力”があることが示唆されています。だから、尿素の置換だけでなく、作業回数や散布工程の効率化(同時散布、共同防除に合わせるなど)も、経営の粗利改善に効きます。

肥料尿素 価格と保管:固結 リスクと意外なポイント

価格が動くと「安い時に多めに買って保管したい」という発想になりますが、尿素は保管品質の理解がないと逆に損します。意外なポイントとして、単一成分の化学肥料(尿素など)は、注意事項どおりに保管すれば成分含有量が減ることはない、という説明があり、密閉容器で長期保管した実験で成分含有量の変化がみられないデータにも触れられています。
一方で、現場で起きがちなトラブルは“成分が減る”よりも“扱いにくくなる”です。尿素は吸湿・固結しやすく、袋の破れや湿気でダマになれば散布ムラや機械詰まりにつながり、結果として追肥の遅れ・生育ムラのリスクが上がります(ここが実質コストを押し上げます)。


参考)http://bsikagaku.jp/f-knowledge/knowledge81.pdf

保管の実務ポイントは、乾燥・結露対策を最優先にして、床から離す、直置きしない、開封後は早めに使い切る、という当たり前を徹底することです。特に雨前後や昼夜の温度差が出る倉庫では、袋の表面結露が起点になりやすいので、換気とパレット運用で“濡らさない”設計に寄せます。


価格高騰期に在庫を持つ判断は、相場観だけでなく保管能力(倉庫環境・害獣・水害リスク・人手)とセットで考えると事故が減ります。「肥料に消費期限がない」タイプの情報は在庫判断を後押ししがちですが、実際の損益は“作業性の劣化”で出ることが多いので、そこまで含めて在庫量を決めるのがプロっぽい判断です。

肥料原料の国際価格推移(尿素など、月次データ)
農林水産省「肥料の価格情報」
令和7肥料年度の秋肥における尿素(輸入・国産)の前期比、値上げ・値下げの理由(国際市況、LNG、製造諸経費、為替)
JA全農「令和7肥料年度秋肥(6~10月)の肥料価格について」




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