農作業で「濡れない靴」を探すとき、ゴアテックス(GORE-TEX)は定番ですが、強みは防水だけではなく「透湿(蒸れにくさ)」までセットで設計されている点です。ゴアテックスのメンブレンは非常に小さな孔を多数持ち、水滴が入り込む余地がない一方で、汗の水蒸気は通れるサイズとして説明されています。実際に、1インチ四方に90億個の孔があり、水滴の約2万分の1の大きさ、蒸気分子よりは十分大きい、という説明が公式にあります。
参考リンク(透湿防水の根拠:メンブレンの孔の考え方・数値の説明)
https://www.gore-tex.com/jp/articles/the-gore-tex-membrane
ただし、農作業で体感を左右するのは「素材の理屈」だけではありません。例えば、雨天や朝露の畑で、靴の中が蒸れる原因は汗だけでなく、濡れたズボン裾からの水の伝い、履き口からの泥水侵入、泥がソールやアッパーに貼り付いて放熱しにくくなる、など複合要因が多いです。ここを理解すると、ゴアテックス採用=万能ではなく、「どの部位から濡れるのか」「どの作業で蒸れるのか」を先に分解して選べるようになります。
また、透湿は“勝手に無限に抜ける”わけではなく、靴の内外に湿度差があるほど働きやすい性質です。気温が高く湿度も高い梅雨のビニールハウス内は、外側も湿っているので差が作りにくく、透湿素材でも蒸れやすく感じます。逆に、風が通る露地で、朝露→日中乾燥のように環境が変わる現場では、蒸れ戻りが減って価値が出やすいです。
農作業の足元は大きく分けて「長靴(ラバー/PVC系)」と「作業靴・安全靴(ブーツ型)」で思想が違います。長靴は水・泥に強い反面、密閉度が高く蒸れやすく、インソールが薄いモデルだと畝間の歩行や長時間作業で疲れやすい傾向があります。一方で、ゴアテックス採用の安全靴・作業靴は、防水と透湿の両立を狙いながら、ソールの耐滑・耐摩耗や、つま先保護(先芯)など現場向け仕様を盛り込みやすいのが利点です。
実例として、ミドリ安全の「RT935防水反射靴」はゴアテックスファブリクスを使用し、防水・透湿をうたいつつ、耐摩耗性・耐熱性・耐滑性に言及したソール(ラバーテックソール)を採用すると説明されています。こういう“雨の日でも湿度の高い環境でも靴内を快適に保つ”狙いの安全靴は、ぬかるみが軽度〜中程度で「歩く量が多い」「段取りで脱ぎ履きもある」現場で選択肢になります。
参考リンク(作業靴でのゴアテックス採用例:防水透湿・耐滑などの設計の説明)
https://ec.midori-anzen.com/shop/e/ea256_001/
選び方を現場別に、判断が早くなる形で整理します。
・水田・代かき・用水路清掃のように「浸かる」:基本は長靴(高さ・泥吸い対策優先)
・露地野菜・果樹・畜産周りで「濡れるが浸からない」:ゴアテックス作業靴(歩きやすさ優先)
・収穫調整・選果・資材運搬で「コンクリ床・濡れ床」:耐滑ソールの作業靴(滑り対策優先)
・冬の外作業で「冷え+濡れ」:防水に加えて保温・インソール調整(蒸れ過ぎない範囲で)
この切り分けを先にやると、検索でよく見る「長靴が最強」「ブーツが万能」論争に巻き込まれず、道具として合理的に決められます。
農作業の事故で多いのが、濡れたコンクリ・泥の畝間・刈草の上でのスリップです。滑りにくさは「靴底の素材」と「溝の設計」で体感差が大きく、溝には排水性(水の膜を逃がす)とグリップ力(地面を掴む)の役割があると解説されています。つまり、防水が強くても、ソールが滑れば転倒し、結果として足元が泥だらけになって作業継続が難しくなります。
参考リンク(滑りにくい靴底の考え方:溝の役割=排水性・グリップ力)
https://www.swallowchain.com/sentakun/archives/67
畑の「泥の質」も見落とされがちです。粘土質で泥が団子状に詰まる圃場だと、深い溝が逆に泥を抱え込み、結果として“スリックタイヤ化”して滑ることがあります。その場合は、溝の深さだけでなく「泥離れ(詰まりにくさ)」や、波形・ブロック形状のような自己排出しやすいパターンが効きます。家庭菜園向けの記事でも、ぬかるみやすい畑では凹凸がしっかりしたソールが安心で、溝が浅いと滑りやすい、という趣旨の説明があります(プロ農家の圃場でも理屈は同じです)。
参考リンク(畑の状態別:ぬかるみとソール・丈の考え方)
https://greenlifelab.kasipika.com/home-vegetable-rainboots-choice/
現場で効く“滑りにくい運用”も一緒に押さえると、靴選びの失敗が減ります。
・畝間がぬかるむ日は、移動量が少ない作業を午前に寄せ、午後に歩行量が増える段取りを回す(圃場が乾くと滑りが激減)
・泥が詰まったら、その場で棒や水で落とす(詰まりっぱなし=滑る時間が長い)
・濡れたコンクリは「泥付きのまま入らない」(泥+水膜で最も滑りやすい状態を作る)
・足首を捻りやすい人は、ローカットよりミドル〜ハイカット(ただし脱ぎ履き頻度と相談)
「ゴアテックスかどうか」より前に、ソールと現場導線を合わせると、転倒リスクと疲労が目に見えて下がります。
ゴアテックスの靴は、防水だから放置でいい…と思われがちですが、むしろ農作業では逆です。泥・肥料・堆肥の粉・農薬の飛沫・植物の樹液などが表面に残ると、表生地の撥水低下や目詰まり感につながり、結果として「濡れやすい」「蒸れやすい」体感になります。公式のフットウェアケアでは、靴の状態を良く保つことで足を保護し、靴内をドライで快適に保てる、という趣旨で手入れを推奨しています。
参考リンク(公式ケア:フットウェアのお手入れ方法)
https://www.gore-tex.com/jp/support/care/footwear
ゴアテックス プロフェッショナル側のケア手順では、ぬるま湯に液体洗剤を含ませて靴を漬け、スポンジやブラシで表面の汚れを落とす、といった洗浄手順が示されています。さらに内側も洗う場合は、靴を1足ずつ完全に水に浸す、という記述もあり、「内側を洗う=絶対NG」ではないことが読み取れます(ただしメーカーの洗濯表示や構造によるので、最終判断は靴側に合わせるのが安全です)。
参考リンク(ケアの具体:ぬるま湯+液体洗剤、内側を洗う場合の注意点)
https://www.goretexprofessional.com/jp/support/care/footwear
農作業向けに、現実的な手入れ手順を“やり切れる形”に落とします。
意外と差が出るのが「乾かし方」です。靴の中が半乾きの状態で次の現場に行くと、蒸れ+冷え+臭いが一気に増えます。2足運用(雨用・乾燥用)にすると、結果として靴の寿命も伸び、作業中の集中も落ちにくくなります。
検索上位では「ゴアテックス=蒸れない」と一言で片付けられがちですが、農作業では“透湿が落ちる落とし穴”がいくつかあります。まず、靴下の選び方です。綿比率が高い厚手ソックスは汗を吸って冷えやすく、乾きにくいので、透湿膜が働く前に足裏が湿ったままになりがちです。汗を「水蒸気として逃がす」素材の強みを活かすなら、化繊やウール混など、汗を保持しすぎない素材を選ぶほうが体感が安定します。
次に、インソールの“吸い込み過ぎ”問題です。クッション性の高いインソールほど多孔質で水分を抱え込み、乾きが遅くなることがあります。すると、ゴアテックス膜が優秀でも、足のすぐ下(インソール)が湿ったスポンジ状態になり、蒸れ感が続きます。対策は単純で、雨の日・露の日は「乾きやすいインソールに替える」「替えインソールを持っておく」だけで改善します。
もう一つは、泥の付着が“透湿を邪魔する”点です。透湿は湿度差と空気の流れに左右されるので、アッパー表面が泥膜で覆われると、表生地の撥水が死んだ状態に近くなり、結果として外側が常に湿ったままになりやすいです。これは公式が示す「手入れで機能をより長く維持する」という考え方にもつながります。防水のために買った靴ほど、汚れを落として乾かす、という当たり前の運用が性能差に直結します。
最後に、意外と盲点なのが「履き口」です。ゴアテックスが入っているのは靴の内側ライニングで、履き口から上は構造上どうしても弱点になります。ぬかるみで片膝をつく、用水路の段差をまたぐ、雨具の裾が靴の中に入り込む、といった動作が多い人は、履き口を絞れる設計やゲイター併用まで含めて“侵入口を潰す”と、体感の濡れが一段減ります。ここまでやって初めて、「ゴアテックスの靴にしたのに濡れる」という不満が消えていきます。

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