アワノメイガは、雄穂・茎・雌穂に食入して被害を出し、とくに雌穂に入ると商品性が大きく落ちます。いったん雌穂内に食入した幼虫は防除が難しいため、圃場全体で絹糸抽出が進むタイミング(目安として4~5割の株が絹糸を出した日)を“逃さない”ことが重要です。
青森県の試験では、アワノメイガとオオタバコガの同時防除として、絹糸抽出期とその約7日後に2回散布すると雌穂被害を効果的に軽減できる体系が示されています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/e79ae818f8d3d66db122ef60a7f37fe9157d1208
一方で、雄穂抽出前に産卵されて雄穂に幼虫が寄生した場合、幼虫がその後に茎へ移動して食入し、折損被害(倒伏や折れ)が問題化することがあります。
つまり現場の散布設計は、単に「雌穂を守る」だけでなく、播種時期と発生世代の当たり方次第で「茎折損も守る」発想が必要です。青森県資料では、必要に応じて雄穂抽出期にも防除指針を参照し殺虫剤散布を検討する、とされています。
この“2段構え”を理解しておくと、雌穂だけ見て散布したのに後から折損が増える、といったギャップを減らせます。
散布適期の現場チェック(見落としやすいポイント)
アワノメイガ農薬を語るうえで、最優先は「登録に従う」ことです。農薬登録情報提供システムは農薬登録情報を検索するための公式の入口として案内されており、作物名・病害虫名などで検索できます。
同じ商品名・同じ有効成分でも、適用作物、希釈倍数、使用時期(収穫前日数)、使用回数、散布方法(無人航空機を含むか)などが違えば、現場での“使える・使えない”が変わります。
また、作物群の考え方(作物群Aと個別作物Bの両方に登録がある場合の扱いなど)が明記されており、「作物群だから一律OK」とはならない点が注意事項として示されています。
参考)農薬登録情報提供システム
このルールを知らないと、良かれと思って作物群の条件で指導してしまい、実は個別作物の登録条件が優先だった、という事故が起きやすいです。
登録確認を実務に落とすコツ(“省力化”の工夫)
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/3a664e8a9dadb2cf4b1d25d041f298b95e6aa806
参考リンク(最新の登録内容を自分で確認するため)
農薬登録情報提供システム:作物名・病害虫名で検索し、使用時期や回数など最新の登録条件を確認できます。
「化学農薬だけ」で押し切るより、発生状況を見える化して適期に当てる方が、結果として散布回数やムダ散布を減らしやすいです。愛媛県の資料では、フェロモントラップで発生状況を確認し、適期防除を行うことで被害軽減を図る取り組みが示されています。
青森県資料でも、成虫発生消長の把握に性フェロモントラップの誘殺数を用いた記載があり、発生ピークを掴むための手段として位置づけられています。
さらに農研機構の資料では、フェロモントラップ(ファネル式)で雄成虫を捕獲して発生調査を行うことが示されています。
BT剤(微生物農薬)の使いどころは、“効く条件”を理解した上で、適期に当てることです。農研機構資料では、BT剤は幼虫が摂食すると殺虫活性を示し、チョウ目特異的で天敵への影響が少ない一方、浸透移行性や長期残効性はない、と整理されています。
同じ資料で、防除適期(特にBT剤)は産卵最盛期(孵化最盛期を狙う文脈)で、若齢幼虫ほど薬剤感受性が高く効果が大きい、という考え方が示されています。
ここが意外と落とし穴です。農研機構の事例では、BT剤は散布が防除適期(孵化最盛期)ではなかったため効果が認められなかった可能性が述べられており、「BT剤=安全で効く」ではなく「BT剤=適期に当てるほど真価が出る」資材だと分かります。
フェロモントラップで山を掴み、産卵~孵化の波に合わせるほど、BT剤を選ぶ意味が強くなります。
運用の現実解(例)
参考)https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/74643.pdf
子実用・飼料用のとうもろこしでは、収穫形態の違いから栽培期間が長くなり、害虫被害が顕在化しやすい、という現場課題が示されています。
農研機構資料では、飼料用とうもろこしへのアワノメイガ侵入として、黄熟期より完熟期の方が幼虫が食害した株の割合が多いケースが示され、防除が必要なケースが増加しているとされています。
また同資料では、アワノメイガは地域によって発生回数が異なり、南ほど回数が多い傾向が示され、北海道1~2回、東北2回、関東以西3回、暖地4回という整理が載っています。
この“回数の差”は、同じ暦で散布を組む危険性を意味します。つまり、地域の発生ピーク(フェロモントラップ等)に合わせて散布計画を可変にするのが合理的です。
子実・飼料用で見落とされがちな論点は「品質」側の損失です。農研機構資料では、被害状況の判断材料として収量だけでなく、食害粒の発生程度、かび毒濃度などを挙げています。
特に飼料利用では、見た目の被害が軽くても、粒の食害やカビのリスクが後から問題化することがあり、被害評価を“収量だけ”に寄せない方が安全です。
参考リンク(子実・飼料用トウモロコシでの発生調査や適期の考え方)
農研機構資料:子実トウモロコシのアワノメイガ対策、フェロモントラップ調査、BT剤と化学農薬の使い分け、適期の考え方がまとまっています。
検索上位は「散布時期」や「おすすめ薬剤」に寄りがちですが、翌年の圃場リスクを下げる独自視点として“残渣処理”を強く押さえる価値があります。農研機構資料では、耕種的防除の一つとして、収穫後の速やかな残渣処理が挙げられており、残渣中で越冬した幼虫の例も示されています。
つまり、秋に被害が出た圃場ほど、冬~春にかけての残渣の扱いが、翌年の初動(越冬世代の立ち上がり)に影響し得ます。
この観点を「農薬」に接続すると、次のように設計が変わります。
意外と効く現場の小技(“やってはいけない”を減らす)
参考リンク(発生生態と同時防除の“指導に使える”要点)
青森県資料:年2回発生、播種時期と産卵の関係、絹糸抽出期2回散布の同時防除体系、適期を逃した場合の考え方が整理されています。