アルドン酸は、アルドースの1位にあるアルデヒド基(ホルミル基)がカルボキシル基(-COOH)に酸化された糖酸です。代表例として、D-グルコースから生成されるD-グルコン酸があり、還元末端の1位炭素のみが酸化されています。合成には次亜ヨウ素酸ナトリウムや臭素水などの穏やかな酸化剤が用いられ、電解酸化法も利用されます。
参考)ウロン酸 - Wikipedia
アルドン酸は6員環または5員環のラクトンへ分子内環化する傾向があり、強塩基の作用で2位のエピ化が起こる場合があります。オリゴ糖の場合、鎖長によらずカルボキシル基の導入位置は還元末端に1カ所のみであるため、モノカルボン酸として機能します。
ウロン酸は、単糖の主鎖末端にあるヒドロキシメチル基(-CH₂OH)がカルボキシ基(-CO₂H)に酸化された糖酸の総称です。代表的なものにD-グルクロン酸やガラクツロン酸があり、炭素鎖が5つ以上のウロン酸は通常ピラノースやフラノースのような環状構造を形成します。
参考)ウロン酸とは何? わかりやすく解説 Weblio辞書
ウロン酸の合成では、単糖の炭素鎖を開裂させない程度の適切な強度の酸化剤を用い、末端のヒドロキシメチル基を2段階で酸化します。特にアルデヒド基を有する1位には予め保護基を付けて、関係ない部位の酸化を防ぐ必要があり、酸化後に保護基を除去します。オリゴ糖ウロン酸の場合は分子内に複数のカルボキシル基を有することが可能です。
アルドン酸の代表であるグルコン酸は、農業分野でミネラル補給剤として注目されています。グルコン酸カリウムやグルコン酸カルシウムは、水溶性のミネラルとして葉面から効率的に吸収され、カルシウム欠乏症の予防や栄養補給に利用されます。
参考)https://patents.google.com/patent/JP5100987
葉面に残ったグルコン酸は、乳酸菌やその他の有用微生物のエサとなり、微生物相の改善に寄与します。酢酸菌やグルコノバクター属の微生物を用いて、オリゴ糖からアルドン酸を効率的に生産する技術も開発されており、工業的な供給が可能な状態にあります。
参考)[531]グルコン酸カリウムとグルコン酸カルシウムのハナシ
グルコン酸カリウムとカルシウムの農業利用に関する詳細情報
ウロン酸は植物の細胞壁を構成する重要な成分で、特にペクチンの主鎖を形成するガラクツロン酸は、細胞の形や大きさの決定、細胞接着に深く関わっています。ペクチンは、ガラクツロン酸とラムノースが交互に連結した構造を持ち、カルシウムによる架橋でゲル状の性質を示します。
参考)根の先端を保護する細胞が自ら剥がれ落ちる仕組みを解明、細胞壁…
ヒアルロン酸では、D-グルクロン酸とD-N-アセチルグルコサミンがβ-1,4とβ-1,3のグリコシド結合で交互に連結し、分子内水素結合と溶媒との相互作用によって堅い骨格構造を形成します。細胞壁分解酵素であるポリガラクツロナーゼは、ガラクツロン酸を主鎖とするペクチンを分解し、根冠の形成や細胞の成長に関与しています。
アルドン酸とウロン酸は、土壌改良において異なる機能を発揮します。グルコン酸などのアルドン酸は、土壌微生物の炭素源として働き、微生物の急激な増殖を促します。この作用により土壌の硝酸態窒素が微生物に取り込まれ、植物体内の硝酸濃度を半分近くまで低減できることが報告されています。
参考)硝酸トーク第5回『硝酸を減らすための水溶性糖類の効果は?』
一方、ウロン酸を含む多糖類は、キレート作用を持つ腐植酸などと複合的に機能し、土壌のCEC(陽イオン交換容量)向上に貢献します。酸性土壌では、有機酸がアルミニウムと錯体を形成することで、アルミニウムによる根の障害を軽減し、植物の栄養素吸収を助けます。土壌pHの緩衝作用により、カルシウムやマグネシウムなどの塩基類の流失を防ぎ、リン酸の固定化も抑制します。
参考)腐植酸とは?肥料としての効果と使い方を解説 - アグリスイッ…
腐植酸と糖酸による土壌改良効果の詳細