ネットを高く張れば侵入を完全に防げると思っていませんか?実はワラビーは1.5m以下のネットを軽々と飛び越えます。
ワラビーは本来オーストラリア原産の有袋類ですが、日本国内でも一部地域(特に北海道・長野県など)で野生化した個体群が確認されており、農作物への深刻な被害が報告されています。
被害の特徴として、ワラビーは草本類・野菜・牧草を好んで食べます。北海道の一部農家では、牧草地への侵入が相次ぎ、1シーズンで30〜50万円相当の牧草が食い荒らされた事例も報告されています。
これは見過ごせない数字です。
ワラビーは夜行性の傾向が強く、日中は茂みに潜んでいるため発見しにくいという特性があります。被害に気づいたときにはすでに相当な量が食べられていた、というケースが多く報告されています。また、繁殖力が比較的高く、放置すると個体数が増加して被害が拡大するリスクがあります。
被害を受けやすい作物は以下のとおりです。
早期発見が原則です。フィールドカメラ(センサーカメラ)を設置して侵入経路を特定することが、対策の第一歩になります。
防護柵はワラビー対策の中心となる手段です。ただし、「とりあえずネットを張ればいい」という発想は危険で、素材・高さ・設置方法を誤ると費用をかけても効果がほぼゼロになることがあります。
主な防護柵の種類と費用相場を整理します。
| 種類 | 高さの目安 | 設置費用(100m当たり) | 耐用年数 |
|---|---|---|---|
| 金属メッシュ柵 | 1.8〜2.0m | 30〜60万円 | 15〜20年 |
| 電気柵(ワイヤー複数段) | 1.5〜2.0m | 10〜25万円 | 10〜15年 |
| ネット柵(ポリエチレン製) | 1.5〜2.0m | 5〜15万円 | 3〜7年 |
金属メッシュ柵は初期コストが高い反面、維持費が低く長期的にはコスパが優れています。一方、ネット柵は安価ですが、ワラビーが柵をよじ登ったり、根元を掘って潜り込む場合があるため、下部を地面に20〜30cmほど埋め込む「埋め込み施工」が必須です。
電気柵は費用対効果が高く、農家の間で採用が広がっています。ワラビーの体高(約60〜90cm)を考慮し、地面から20cm・50cm・100cm・150cmの4段にワイヤーを張る設定が効果的とされています。
ただし電気柵には注意点があります。電気柵を設置する際は「電気柵の安全管理に関するガイドライン」(農林水産省)に基づき、漏電防止と感電事故防止の措置が法的に義務付けられています。設置後は月1回以上の点検が推奨されています。
つまり設置して終わりではありません。
農林水産省:鳥獣被害対策の手引き(電気柵設置ガイドライン含む)
上記リンクでは、電気柵の安全な設置方法・法的要件・管理義務について詳細が確認できます。防護柵設置を検討する前に必ず目を通しておきましょう。
防護柵の設置費用は農家にとって大きな負担です。ただし、国・都道府県・市町村の補助金を活用すれば、実質負担を大幅に減らせます。
利用できる主な補助制度は次のとおりです。
補助金申請の基本的な流れは以下のとおりです。
申請には期限があります。多くの補助制度は年度の前半(4〜7月)に申請を締め切るため、春先の被害確認後すぐに動くことが重要です。
補助金を活用した実例として、長野県のある農家では金属メッシュ柵100m分の設置費用約40万円のうち、国と県の補助を合わせて約28万円(70%)の補助を受け、実質負担を12万円に抑えた事例があります。
これは使えそうです。
農林水産省:鳥獣被害対策交付金の概要と申請窓口一覧
このページでは補助金制度の詳細と、都道府県別の担当窓口情報が確認できます。
申請前の情報収集に役立ちます。
防護柵を設置したのに被害が続く——そういった農家の声が現場では少なくありません。
原因の多くは「侵入経路の見落とし」です。
ワラビーの侵入経路として見落とされやすい箇所は次のとおりです。
ワラビーの体は意外と柔軟で、体高の約半分(30〜40cm)程度の隙間があれば通り抜けられるとされています。はがきの短辺(約10.5cm)の3〜4枚分の隙間、というイメージです。
侵入経路の特定には、センサーカメラの活用が効果的です。1台あたり1〜3万円程度で購入でき、夜間の動きも記録できます。カメラの映像をもとに侵入箇所を絞り込んでから補強工事を行うことで、無駄な費用を避けられます。
また、柵の設置後も月1回程度の「柵点検パトロール」を習慣化することが基本です。特に積雪・台風・大雨の後は柵が破損・変形しやすく、そこから侵入されるリスクが高まります。
点検の際は以下を確認します。
点検記録を残しておくと、補助金の再申請時や被害確認の証拠としても役立ちます。記録は手帳でもスマートフォンのメモアプリでも構いません。
防護柵で農地を守ることが基本ですが、個体数が増えた場合は捕獲・駆除も視野に入れる必要があります。ただし、ここには多くの農業従事者が見落としている法的ルールがあります。
ワラビーは「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」の対象ではありませんが、鳥獣保護管理法の管理対象となる場合があります。無許可での捕獲・駆除は同法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
罰金100万円は痛いですね。
捕獲を行うには、都道府県知事が発行する「鳥獣捕獲許可」を事前に取得することが必須です。申請は市町村の農林担当窓口または都道府県の自然環境担当部署で受け付けています。
許可取得の手順は以下のとおりです。
わな猟・銃器猟のどちらを使うかによっても必要な資格が異なります。わな(箱わななど)の場合、狩猟免許(わな猟免許)が原則必要です。免許取得には各都道府県が実施する試験に合格する必要があり、費用は受験料・講習費を合わせて1〜2万円程度が目安です。
捕獲許可が条件です。
地域によっては、市町村が主体となって「鳥獣被害対策実施隊」を組織しており、農家が直接捕獲を担う仕組みが整っている場合もあります。所属すれば許可取得や装備費用の一部が支援されるケースもあるため、地元の農業委員会や市町村窓口に確認しておくと有利です。
環境省:鳥獣の保護及び管理に関する法律の概要と捕獲許可手続き
このページでは、鳥獣保護管理法に基づく捕獲許可の申請方法・必要書類・罰則規定について詳しく解説されています。捕獲を検討する前に必ず確認しておきましょう。

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