土のph測定器と測定方法と校正と選び方

土のph測定器で土壌の状態を数字で見える化し、測定方法や校正のコツ、選び方まで現場で迷わない基準を整理します。あなたの圃場では、いま何を基準にpHを測っていますか?

土のph測定器で測定

土のph測定器で測定:この記事でわかること
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測定方法の基本

土壌は「土に挿す」より「土と水を混ぜた上澄み液」を測るほうが再現性が出やすい手順を解説します。

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校正の実務

標準液(pH4・7・10など)を使った1点・2点校正、標準液の劣化や汚染の回避まで具体化します。

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選び方の判断軸

ガラス電極の原理、温度補償、電極の扱い、現場の失敗パターンから「買って後悔しにくい条件」をまとめます。

土のph測定器の測定方法:上澄み液で測る理由と手順


土のpHは、同じ圃場でも「どこを」「いつ」「どう混ぜるか」で数字が動きます。ここでまず押さえたいのは、現場でありがちな“土に電極を挿して終わり”が、機種と土質によっては誤差が出やすい点です。実務では、土と水(または調整液)を混ぜて懸濁させ、上澄み液を測る手順が安定しやすい、とされます。
参考:土壌pH・ECの測定では「電極は上澄み液に浸して読み取る」「土壌に挿入すると正しい測定値が得られないことがある」という注意点が整理されています。
土壌pH測定の注意点(上澄み液測定・校正の要点)
https://e-hanna.info/measure_soil
上澄み液測定の流れは、考え方としてはシンプルです。重要なのは「比率」と「混ぜ方」を固定し、毎回同じ条件で比較できるようにすることです。


  • 土をできるだけ均一にする(石や根を避け、同じ深さの土を採る)
  • 土と水を一定比率で混ぜる(例:土1に対し水2.5のような比率が紹介されています)
  • しっかり攪拌してから静置し、上澄み液に電極を入れて値が落ち着くまで待つ

    この「一定比率で作った懸濁液→上澄みを測る」という設計にすると、圃場内の比較や、施肥・石灰施用前後の差が追いやすくなります。


    参考:土1:水2.5のようなガラス電極法の測定例が示されています。


    土と水を混ぜて上澄み液を測定(比率例)
    https://takii-material.com/wp-content/uploads/2021/10/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AD%E3%82%B0%E6%8A%9C%E ...

意外と盲点なのが「攪拌しすぎ・放置しすぎ」です。攪拌が弱いと粒子の偏りが残り、攪拌が強すぎると気泡や微粒子の巻き上げで読みが安定しないことがあります。現場のコツとしては、ゆっくり攪拌して、値が落ち着くまで待つ(必要なら一度静置)という基本に戻すのが結局いちばん強いです。


参考:サンプルを均一にするためにゆっくり攪拌し、安定しない場合は攪拌後に静置して測る、というコツが説明されています。


攪拌・静置のコツ(値が安定しないときの考え方)
https://3rrr-btob.jp/archives/column/measuring-equipment/18898

土のph測定器の校正:標準液と2点校正で精度を落とさない

pH測定でいちばん差がつくのは、本体価格よりも「校正の質」です。pH計は、電極の状態(汚れ・劣化)と校正が噛み合って初めて、比較に使える数字になります。現場運用では、pH7の中性標準液に加え、試料が酸性寄りならpH4、アルカリ寄りならpH10を使う2点校正が基本として紹介されることが多いです。
参考:pH7.01(または6.86)と、pH4.01またはpH10.01(または9.18)を用いる2点校正が一般的、と説明されています。
標準液と2点校正の基本
https://www.sanko-web.co.jp/keisoku/phmetercalibration/
標準液運用の落とし穴は「繰り返し使い回す」「電極を容器に入れっぱなしにする」です。標準液は開封後に劣化しやすく、電極で汚染すると校正自体がズレてしまいます。対策は単純で、必要量だけ別容器に取り分け、終わったら捨てる、という運用に寄せるほど再現性が上がります。


参考:校正液は劣化しやすく、電極を入れっぱなしにすると汚染するため「必要量だけ取り分けて使う」と説明されています。


校正液の扱い(取り分け運用の鉄則)
https://seisui-kk.com/column/ph_measuring_device
もう一つの見落としは、校正の「頻度」です。土壌は懸濁液で測ることが多く、微粒子や有機物で電極が汚れやすいので、測定日ごと・作業ロットごとに校正するくらいの感覚が安全側です。校正しても数値が安定しない場合、原因は本体ではなく電極の汚れや寿命であることも多く、交換を前提にコスト設計しておくと現場が止まりません。


参考:精密な値を得るには、状態の良い電極と精度の高い校正が重要、と説明されています。


電極状態と校正の重要性
https://www.sanko-web.co.jp/keisoku/phmetercalibration/

土のph測定器の選び方:ガラス電極と温度とメンテナンス

「どれを買うべきか」で迷ったら、まず原理を1枚だけ押さえると判断が速くなります。一般的なpH計はガラス電極法で、ガラス電極と比較電極の電位差を測ってpHを求めます。つまり、電極が汚れたり乾燥したり、比較電極が詰まったりすると、数値がふらつきやすい構造です。
参考:ガラス電極法はガラス電極と比較電極の2本の電極で電位差を測りpHを測定する、と解説されています。
ガラス電極法の原理(pHが揺れる理由の理解)
https://www.horiba.com/uploads/media/HRA1176A_dl_03.pdf
選び方の実務ポイントは、「精度」より「継続運用できるか」です。具体的には、次の条件を満たす機種ほど、農作業の合間でも測り続けられます。


  • 自動温度補償(ATC)や温度表示がある(温度でpH電極の応答が変わるため、記録の再現性が上がる)
  • 校正が2点以上でできる(pH7+pH4/10)
  • 電極交換ができる(電極は消耗品で、測定対象が土壌懸濁液だと特に負荷が大きい)
  • 標準液・保管液を入手しやすい(運用が止まらない)

    参考:2点校正(pH7+pH4or10)が基本、校正液は取り分けて使う、という実務が説明されています。


    校正仕様と運用性のチェック観点
    https://seisui-kk.com/column/ph_measuring_device

また、「土に直接挿すタイプ」は便利ですが、土質や水分条件で難易度が上がります。土が硬い・乾きすぎている現場では、直接測定がうまくいかないケースがあるため、上澄み液測定と併用できる機材・運用を持っておくと失敗が減ります。機材の強みを活かすには、圃場では簡便測定、疑わしいときは上澄み液で再測定、という二段構えが堅実です。


参考:土壌を湿らせる必要があるなど、土壌条件によって直接測定が難しい場合があることが述べられています。


土壌条件と測定の制約(直接測定が失敗する場面)
https://www.e3s-conferences.org/articles/e3sconf/pdf/2021/37/e3sconf_icemee2021_04003.pdf

土のph測定器でpHを読む:適正と石灰と施肥の判断

pH測定の価値は「数値が出る」ことではなく、「施肥や改良の判断が説明できる」ことです。多くの作物はpH6.0〜6.5付近が好ましい、という整理がされており、ここから外れると養分の効きやすさや有害成分の溶けやすさが変わります。だから、pHを見ずに資材を入れると、効いていないのか、効きすぎているのかが判断できません。
参考:多くの作物はpH6.0〜6.5の土壌を好み、pHは養分や有害成分の溶解性に関わる、と説明されています。
作物の好適pHとpHの意味
https://agriport.jp/field/ap-16865/
pHが低い(酸性寄り)なら石灰資材で矯正しますが、ここでも「目安」があると現場は動きやすいです。例えば、pHを1上げるための苦土石灰の施用量について、土の種類(砂質・壌質・粘土質)で目安が変わる、という考え方が紹介されています。重要なのは“量”だけでなく“タイミング”で、急に変えようとすると根傷みや養分バランスの崩れにつながるので、分割施用や作付け計画とセットで組みます。


参考:pHを1上げるための苦土石灰の目安量が土質で異なる(壌質土200g/㎡、砂質土100g/㎡、粘土質土300g/㎡など)と説明されています。


石灰施用量の目安(土質別)
https://ja-kouka.shinobi.or.jp/wp/archives/news/7089/
さらに、同じ圃場でもpHは一様ではありません。畝間・畝上、施肥帯の近く、排水の流れ道などで“ムラ”が出ます。だから、pHの活用は「単発の点の数字」より「複数点の傾向」を見るほうが強く、記録(日時、地点、深さ、土水比、温度)を添えるだけで翌年の意思決定が別物になります。


参考:土壌pHは圃場内で空間的に変動し得るため、高解像度での把握が精密管理に重要、という趣旨が述べられています。


圃場内のpH変動と管理(ムラ前提の考え方)
https://www.mdpi.com/1424-8220/11/1/573/pdf

土のph測定器の独自視点:現場ログで再現性を上げる運用

検索上位の記事は「測り方」「校正」「選び方」までで止まりがちですが、農業の現場で差がつくのは“再現性の設計”です。土壌pHは、同じ圃場・同じ機材でも、採取深さ、土の乾き具合、土水比、攪拌時間、静置時間、温度で簡単にズレます。そこでおすすめは、測定器のスペックを追うより先に、作業手順をテンプレ化して“人が変わっても同じ測定”に寄せることです。
参考:ガラス電極法は電極と比較電極の状態に依存するため、条件差が測定値に影響し得ることが示唆されます。
測定が条件に左右される前提(原理理解)
https://www.horiba.com/uploads/media/HRA1176A_dl_03.pdf
現場ログのテンプレ例(紙でもスマホでもOK)を作ると、翌年の判断が一気に楽になります。下の表は、最低限これだけ書けば“比較できる測定”になる項目です。
































項目 記録例 狙い
地点・深さ 区画A、畝上、0〜10cm 採取条件の固定
土水比 土10g:水25mL 再現性の確保(比率の固定)
攪拌・静置 ゆっくり1分攪拌→5分静置 読みの安定化
校正 pH7+pH4の2点校正 測定前提の統一
温度 18℃ 季節差の説明

このログ運用は、資材の「効いた/効かない」の議論を、感覚からデータへ戻す力があります。さらに意外な効能として、測定のズレが出たときに原因が追えるようになり、「電極が悪いのか」「標準液が古いのか」「土水比がぶれたのか」を切り分けられます。結果として、測定器を買い替える回数より、失敗の修正コストが下がります。


参考:標準液は劣化・汚染し得るため取り分け運用が推奨され、校正の質が重要と説明されています。


校正トラブルの切り分け(標準液運用の重要性)
https://seisui-kk.com/column/ph_measuring_device




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