スギナにラウンドアップ(有効成分グリホサート)が「効くかどうか」は、草丈よりも“地下茎にどれだけ成分を届けられたか”で決まります。農研機構の資料でも、地下茎で繁殖する多年生雑草にはグリホサートのような吸収移行型の茎葉処理剤が利用され、根まで枯らせることが説明されています。実際、スギナは地下50cm以下にも地下茎が多いことが示され、地上部だけ枯れても地下部が温存されると再生する点が強調されています。
ここで重要なのは、「グリホサートは移行する=いつ撒いても同じ」ではないことです。スギナは夏〜秋にかけて地上部で稼いだ養分を地下に送り、地下茎を伸ばす季節性があります。この“地下へ養分が動く時期”に地上部へ処理できると、地下部へ成分が届きやすくなり、翌年の繁殖源を削れます。逆に、地上部が少ない時期や、他草に隠れてスギナに十分かからない条件では、狙った量が吸収されず結果が割れます。
また、現場でよく起きる誤解として「スギナは酸性土壌が好きだから石灰で中和すれば消える」がありますが、農研機構資料は“スギナが酸性を好む”は誤りと明確に記しています。酸性そのものが原因というより、耕起や土壌改良が行われない場所にスギナが多い、という状況(相関)が俗説になっている、という整理です。土づくりは大切ですが、pHだけで勝負すると外します。
参考リンク(スギナの地下茎の深さ、季節消長、グリホサート適期・薬量、酸性土壌俗説の訂正がまとまっています)
農研機構「除染後畑地のスギナ防除対策(改訂増補版)」PDF
「ラウンドアップを撒いたのに、翌年スギナだけが増えた」という話は珍しくありません。農研機構資料には、一般的な休耕地管理で“前年夏〜秋にグリホサート散布→耕耘→翌春作付”という体系を取っても、スギナは根絶できず再生・繁茂しやすいことが説明されています。さらに、スギナ以外がよく枯れるほど、翌春にスギナが優占する状況が起き得る点も具体例とともに示されています。
失敗パターンは大きく分けて次の5つです(現場チェック用に、あえて「あるある」表現で書きます)。
さらに、意外に見落とされがちなのが「輪作や耕起など、他の防除手段を組み合わせる価値」です。農研機構(NARO)の解説記事では、抵抗性雑草の観点からも、特定の除草剤に偏らず輪作・耕起・土壌処理などを組み合わせる管理が重要だと述べています。スギナは“抵抗性だから効かない”というより、そもそも生態が手強く、やり方を外すと「効いたように見えて、翌年残る」タイプです。
参考リンク(除草剤に偏らない管理、適正濃度で使う重要性の説明があります)
農研機構 GMO情報「除草剤抵抗性雑草 正しく使えば問題なし」
スギナ防除で“いつ撒くか”は、実務上ほぼすべてです。農研機構資料では、スギナに対しては生育盛期(東北地域の例で5〜6月)に、グリホサートカリウム塩液剤を一定薬量で処理する必要があると記されています。さらに、それ以外の時期や、他の雑草に覆われてスギナが見えにくい条件、あるいは多年生雑草対象の低い薬量では、スギナ以外だけが防除され、スギナが優占し得ることが明示されています。
つまり「スギナが元気で、単独で見えて、薬量がスギナ仕様」という3点セットが最低条件です。散布の段取りとしては、次のように“現場の判断軸”で整えると事故が減ります。
ここでの“意外なポイント”は、秋のグリホサート散布が万能ではないことです。農研機構資料は、秋季のグリホサート散布はスギナの茎葉が少ない時期で吸収量が少なく、スギナ防除には不適になりやすい、と具体的に述べています。「秋に全部枯らして翌春ゼロ」を狙うより、春の盛期に確実に当てて地下部を削り、必要なら別手段を組み合わせる方が合理的です。
農業従事者向けの記事として外せないのが、登録内容と適用場所の確認です。農研機構資料でも、スギナ等に効果があってもラベルに「休耕田」と記載のない除草剤は、長期残効型成分が含まれて処理翌年の作物に薬害を及ぼす可能性がある、と注意書きがあります。つまり「効く」だけで選ぶと、次作で痛い目を見ます。
加えて、スギナが“畑の中(作付地)”なのか、“畦畔・法面・休耕地”なのかで、選べる薬剤ややり方が変わります。スギナは非選択性の茎葉処理であるグリホサートを使う場合、作物にかかれば作物にも影響が出ますから、散布位置・風・ノズル・遮蔽が実務の肝になります。安全面では、ラベル記載の希釈・散布量・防護具・再入場(作業再開)まで含めて“製品の指示どおり”が前提です(この記事では個別製品ラベルの全文引用は避け、考え方のみ書きます)。
現場でのヒヤリを減らすチェック項目を、作業前の1分確認として置いておきます。
検索上位は「ラウンドアップの希釈や時期」に寄りがちですが、現場で差がつくのは“ラウンドアップで削った後、どう戻さないか”です。スギナは地下茎が深く、耕起で切り刻むと圃場全体に拡げてしまう場合が多い、と農研機構資料は指摘しています。つまり、やみくもな耕起は「スギナの増殖に加担」する局面があります。
そこで独自視点として、スギナの再侵入・再優占を抑える「圃場設計」と「作業順」をセットで考えます。ポイントは、“スギナが強い場所”を先に特定して、そこでだけ対策を厚くすることです。具体的には、5〜6月にスギナが目立つ区画は、資料が述べる通り作付再開前にしっかり防除が必要な圃場で、放置すると翌年確実に繁茂しやすいタイプです。圃場全体を一律に処理するより、スギナ優占域を地図化して薬量・回数・作業タイミングを寄せた方が、コストと結果が一致しやすくなります。
また、ラウンドアップ一本で詰めるより、「秋冬の土壌処理」という選択肢もあります。農研機構資料は、塩素酸塩粒剤(例:クロレートS)が休耕田に登録があり、秋冬期の処理で翌春のスギナを激減させ得ること、さらに秋冬処理の利点(茎葉が枯れていても高い防除が得られる)を具体的に示しています。秋冬のグリホサートが不利になりやすいという話と対になっており、「秋冬は土壌処理、春は茎葉処理」という発想は、スギナの季節性と噛み合います。
最後に、スギナ対策は“根絶”より“営農上の許容レベルまで落とす”目標設定が現実的です。農研機構資料では、作付再開後に多年生雑草を防除するのは困難で、事前防除が重要と繰り返し述べています。来季の作付・中耕・防草シート・畦管理まで含めて、スギナの地下茎に「稼がせない」「増やさない」「優占させない」を年単位で回すと、ラウンドアップの効きも安定してきます。