シダ植物一覧有名!人気の種類図鑑と庭や室内の特徴

シダ植物の魅力とは?室内や庭で楽しめる人気の種類を一覧で紹介。初心者でも失敗しない育て方から、実は食べられる意外な品種、歴史的な「シダ熱」まで深掘り解説します。あなたのお気に入りはどれですか?

シダ植物の一覧と有名

シダ植物一覧有名!人気の種類図鑑と庭や室内の特徴
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室内の人気種

アジアンタムやビカクシダなど、インテリア性が高く育てやすい観葉植物としてのシダを詳解。

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庭・屋外の品種

シェードガーデンで活躍するクサソテツやニシキシダなど、耐寒性のある品種を一覧で紹介。

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管理と歴史

水やりのコツから、19世紀英国の「シダ熱」ブーム、意外な食用利用までマニアックに深掘り。

シダ植物の有名な種類と室内で人気の観葉植物

 

室内で楽しむ観葉植物として、シダ植物はその美しい葉の形状と耐陰性の高さから非常に人気があります 。ここでは、特に有名でインテリアとしても評価の高い種類を厳選して紹介します。

 

参考)【プロが選ぶ】神秘的な美しさ! 育てたい魅力あるシダ“マスト…

  • アジアンタム(Adiantum)

    イノモトソウ科ホウライシダ属に分類される、レースのように繊細で薄い葉が特徴的なシダ植物です 。英語では「Maidenhair Fern(乙女の髪のシダ)」と呼ばれ、その名の通り黒く光沢のある葉柄が髪の毛のように見えます。原産地は世界の温帯から亜熱帯にかけて広く分布しており、日本でもホウライシダなどが自生しています。室内での育成においては、空気中の湿度を保つことが最も重要であり、乾燥するとチリチリになって枯れてしまうため、こまめな葉水が欠かせません 。浴室やキッチンなどの水回りに置くと元気に育ちやすい品種です。
  • ビカクシダ(コウモリラン / Platycerium)

    ウラボシ科ビカクシダ属に属し、樹木に着生して育つ独特の生態を持つシダ植物です 。名前の通り「鹿の角(美角)」のような胞子葉と、株元を覆うように広がる貯水葉の2種類の葉を持つのが最大の特徴です。貯水葉は水分や養分を蓄える役割があり、茶色くなっても取り除いてはいけません。近年、インテリアプランツとして爆発的な人気を博しており、板付けにして壁に飾るスタイルが主流です。直射日光を避けた明るい場所を好み、風通しの良さが育成の鍵となります。
  • タマシダ(Nephrolepis cordifolia)

    ツルシダ科タマシダ属の常緑性シダで、ボストンファーンとも呼ばれるネフロレピスの仲間です 。長く伸びる羽状の葉が優雅に垂れ下がる姿が美しく、ハンギングバスケットでの栽培に最適です。乾燥に比較的強く、初心者でも育てやすいのが特徴ですが、根元に「玉(塊茎)」を作り、そこに水分を蓄える能力があります。この玉があることで水切れに対する耐性が高くなっています。明るい日陰を好みますが、全く光が入らない暗すぎる場所では葉が黄色くなりやすいため、レースカーテン越しの光が当たる場所が理想的です。
  • アスプレニウム(Asplenium)

    チャセンシダ科に属し、タニワタリ(谷渡り)の仲間として知られています。葉が放射状に広がり、中央が窪んでいる形状が鳥の巣に見えることから「バードネストファーン」とも呼ばれます。葉は厚みがあり光沢を持っており、他のシダ植物に比べて乾燥に強い傾向があります。新芽がゼンマイのように渦巻いて出てくる様子は非常にユニークで、観賞価値が高いポイントです。耐陰性が強いため、オフィスのデスク周りやトイレなど、光の少ない場所でも比較的元気に育ちます。

NHK出版 みんなの趣味の園芸:アジアンタムの育て方と詳細情報
参考リンク:NHK出版によるアジアンタムの基本データ、栽培カレンダー、主な品種解説など、信頼性の高い栽培情報が網羅されています。

 

シダ植物の有名で人気がある庭や屋外の品種

シダ植物は室内だけでなく、庭のシェードガーデン(日陰の庭)を彩る植物としても優秀です 。直射日光が当たらない建物の北側や、樹木の下草として、独特の質感と涼しげな雰囲気を提供してくれます。

品種名 特徴と庭での活用法 耐寒性
クサソテツ(Matteuccia struthiopteris) 別名コゴミとしても知られる大型のシダです 。春に渦巻き状の新芽を展開し、鮮やかな緑色の葉を漏斗状に広げます。非常に丈夫で、和風庭園だけでなく洋風のガーデンにもマッチします。地下茎で増えるため、グランドカバーとしても利用可能ですが、広がりすぎる場合は根域制限が必要です。
ニシキシダ(Athyrium niponicum 'Pictum')
(ジャパニーズ・ペインテッド・ファーン)
葉に銀白色や紫色の斑が入る美しい品種で、海外のガーデナーから「Japanese Painted Fern」として絶大な人気を誇ります。暗くなりがちな日陰の庭を明るく照らすような色彩効果があり、ホスタ(ギボウシ)やヒューケラとの混植相性が抜群です。日本原産のため気候に合っており、放置しても育つほど強健です。
ベニシダ(Dryopteris erythrosora) 新芽が赤褐色に染まることからその名が付きました。成長すると緑色に変化しますが、春の芽出しの時期の色彩変化は非常に美しいものです。常緑性であるため、冬の庭でも緑を保ちたい場合に重宝します。乾燥した場所でも比較的育ちやすく、石組みの隙間や生垣の下などに適しています。 中~強
オニヤブソテツ(Cyrtomium falcatum) 分厚く光沢のある濃い緑色の葉が特徴で、革質で硬い質感を持っています。海岸近くの崖などにも自生するほど潮風や乾燥に強く、非常にタフなシダ植物です。和風の庭園でよく見られますが、その幾何学的な葉の並びはモダンなコンクリート打ちっぱなしの空間などにも意外とマッチします。

GardenStory:プロが選ぶ育てたい魅力あるシダ植物図鑑
参考リンク:ガーデンデザイナーなどのプロが推奨する、庭づくりに役立つシダ植物の具体的な品種と、他の植物との合わせ方が解説されています。

 

シダ植物の有名な種類の育て方と管理のコツ

シダ植物を枯らさずに美しく育てるためには、彼らが自生している「森林の樹冠下」や「湿った岩場」の環境を再現することが鍵となります。多くの初心者が失敗する原因は「湿度不足」と「日照管理」にあります 。

 

参考)TikTok - Make Your Day

  • 湿度管理(葉水)の重要性

    シダ植物の多くは、根から水を吸うだけでなく、葉からも水分を吸収したり、葉からの蒸散をコントロールしたりしています。エアコンが効いた室内はシダにとって砂漠のような乾燥地帯です。土への水やりとは別に、霧吹きを使って葉全体に水をかける「葉水(はみず)」を1日1回、冬場など乾燥する時期は1日2回以上行うことが推奨されます 。特にビカクシダやアジアンタムは、葉水を行うことでハダニやカイガラムシなどの害虫予防にもつながります。
  • 水やりのメリハリ

    「湿気が好き」といっても、常に土が水浸しになっている状態は根腐れの原因になります 。基本は「土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと与える」ことです。受け皿に溜まった水は必ず捨ててください。休眠期に入る冬場は、土の表面が乾いてから2~3日待ってから水やりをするなど、季節に応じた水分のコントロールが必要です。ただし、水切れには弱いため、完全にカラカラに乾燥させるのは厳禁です。
  • 光のコントロール(遮光)

    「日陰が好き」というイメージがありますが、全く光のない真っ暗な場所では光合成ができずに弱ってしまいます。理想的なのは「木漏れ日」程度の光です 。室内であればレースのカーテン越し、屋外であれば遮光ネット(50%~70%遮光)を利用するか、落葉樹の下などが適しています。特に真夏の直射日光は葉焼け(葉の細胞が死滅して茶色くなる現象)を即座に引き起こすため、絶対に避ける必要があります。
  • 肥料の与え方

    シダ植物はそれほど多くの肥料を必要としません。成長期の春から秋にかけて、緩効性の固形肥料を2ヶ月に1回置くか、既定の倍率よりも薄めた液体肥料を2週間に1回程度与えるだけで十分です。冬場は成長が止まるため、肥料を与えると根が肥料焼けを起こす可能性があります。肥料よりも、活力剤(メネデールなど)を水やりの際に混ぜて与える方が、根の張りを良くする効果が期待できます。

シダ植物の有名ではないが実は食べられる種類

シダ植物と聞くと観賞用のイメージが強いですが、日本には古来より食用として親しまれてきた種類が存在します 。スーパーで「山菜」として売られているものの多くが、実はシダ植物の新芽なのです。ただし、食用にする際には毒性への理解と適切な下処理が不可欠です。

 

参考)http://www2.kobe-c.ed.jp/shizen/shida/shida/03126.html

  • ワラビ(Pteridium aquilinum)

    最も有名な食用シダの一つですが、実は生食は厳禁です。ワラビには「プタキロサイド」という発がん性物質が含まれており、またビタミンB1を破壊する「アノイリナーゼ」という酵素も持っています 。しかし、重曹や木灰を使った伝統的な「あく抜き」処理を行うことで、これらの毒性成分を無毒化・除去し、美味しく食べることができます。根茎から取れるデンプンは「わらび餅」の原料となりますが、本蕨粉は非常に貴重で高価です。

     

    参考)食べられるシダを探せ!|はんだあゆみ

  • ゼンマイ(Osmunda japonica)

    ゼンマイ科のシダで、綿毛に覆われた新芽を採取します。ワラビと同様に強いアクがあるため、重曹や灰でのあく抜きに加え、天日で乾燥させて揉み込む工程を経て「干しゼンマイ」として保存食にされます 。乾燥と揉み込みを繰り返すことで繊維が柔らかくなり、煮物などに適した独特の歯ごたえが生まれます。ナムルの材料としても有名です。

     

    参考)https://adeac.jp/nagano-city/text-list/d100010/ht005610

  • クサソテツ(Matteuccia struthiopteris / コゴミ)

    観賞用としても紹介したクサソテツの若芽は「コゴミ」と呼ばれ、山菜の中でも特に人気があります。その理由は、ワラビやゼンマイと違ってアクがほとんどないため、下処理なしで天ぷらやお浸しにして食べられる手軽さにあります 。クセが少なく、マヨネーズ和えやパスタの具材としても優秀で、現代の食卓に取り入れやすい「美味しいシダ」の代表格です。

  • 珍しい食用種:ツクシ(スギナの胞子茎)

    スギナ(トクサ科)も広義のシダ植物の仲間です。春に出てくる胞子茎であるツクシは、ハカマを取り除いてアク抜きをすれば、佃煮や卵とじとして食べることができます。ただし、スギナ本体は硬くて食用には向きません。

     

農林水産省:野菜・山菜とそれに似た有毒植物
参考リンク:農林水産省による公式情報で、食用可能な山菜と、誤食しやすい有毒植物(シダ類含む)の見分け方や注意喚起が掲載されています。

 

シダ植物の有名な歴史「シダ熱」と繁殖の仕組み

シダ植物は、単なる植物以上の熱狂的な歴史と、種子植物とは全く異なる驚異的な繁殖システムを持っています。この章では、あまり知られていないシダのディープな世界を紹介します。

 

19世紀イギリスの「シダ熱(Pteridomania)」

19世紀のビクトリア朝時代のイギリスでは、「シダ熱(Pteridomania / テリドマニア)」と呼ばれる社会現象が巻き起こりました 。産業革命によって都市が汚染される中、人々は自然の神秘と清浄さを求めてシダに熱狂しました。

 

参考)観葉植物が叶える、心と体のリセット術!科学が証明するグリーン…

このブームを後押ししたのが「ウォードの箱(Wardian case)」の発明です。これは現在のテラリウムの原型であり、ガラスケース内で湿度を保つことで、煤煙の多いロンドンでも繊細なシダを育成することを可能にしました。貴族や中産階級の女性たちは、こぞって珍しいシダを収集し、シダ柄の陶磁器、ドレス、家具などが大量に生産されました。当時の図鑑や押し葉帳は、現在でも骨董的価値を持っています。

 

胞子による「世代交代」のミステリー

シダ植物には花が咲かず、種子もできません。代わりに「胞子」で増えますが、そのプロセスは非常に複雑でSF的です 。

 

参考)http://www.ha.shotoku.ac.jp/~kawa/KYO/SEIBUTSU/syokubutsu/SogoZukan/shida/index2.html

  1. 胞子体(私たちが普段見ているシダ): 葉の裏に胞子嚢を作り、そこから胞子を飛ばします。
  2. 前葉体(ハート形の小さな植物): 胞子が湿った地面に落ちると、シダの姿にはならず、数ミリ~1センチ程度のコケのような「前葉体(ぜんようたい)」という別の植物体に成長します。
  3. 受精: 前葉体には造精器と造卵器があり、雨などで水膜ができると、精子が泳ぎ出して卵細胞に到達し受精します。植物でありながら、精子が泳ぐという動物的な段階を経るのです。
  4. 新しい胞子体の誕生: 受精して初めて、私たちが知る「シダの形」をした芽が出てきます。

このように、シダは「親(胞子体)」と「子(前葉体)」で全く姿形が異なる「世代交代」を行っています。この原始的かつ精巧なシステムこそが、恐竜時代から現代まで生き延びてきたシダ植物の生命力の秘密なのです。園芸店で売られているシダの葉の裏に茶色い粒々(胞子嚢群)がついていることがありますが、それは病気ではなく、次の世代へ命をつなぐための重要な器官です。

 

国立科学博物館:日本産シダ植物図鑑
参考リンク:国立科学博物館が提供するデータベースで、日本に自生するシダ植物の詳細な分類、分布、標本画像などが閲覧できる学術的なリソースです。

 

 


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