水槽用の濾過器は「上部フィルター」「外部式フィルター」「外掛け式」「底面フィルター」「投げ込み式・スポンジ式」などに大別され、それぞれ水流の強さやろ過能力、メンテナンス性が異なります。
多くの解説では、外部式と上部式がろ過能力が高く、大型水槽や魚を多く入れる環境に向く一方、スポンジフィルターや投げ込み式は立ち上げが簡単で小型水槽や稚魚飼育向きとされています。
農業従事者の現場で特徴的なのは、ハウス内や作業場が土やほこりで汚れやすく、フィルターの目詰まりが早く進みやすい点です。
参考)フィルターを選ぼう
そのため、メカニカルろ過(物理ろ過)部分を簡単に洗える上部式フィルターや、ろ材バスケットを丸ごと取り出せる外部式フィルターが重宝されます。
参考)外部式フィルターのろ過槽、ホースの掃除方法とタイミング
代表的な濾過器・フィルターのイメージを箇条書きで整理すると次のようになります。
市販品では「生物ろ過(バクテリア)」「物理ろ過(ゴミ除去)」「化学ろ過(活性炭など)」を組み合わせ、水の濁りだけでなくアンモニアや亜硝酸といった有害物質も減らせる点が強調されています。
参考)ろ過器(フィルター)
農業畜舎のそばなどアンモニア負荷が高くなりやすい場所では、生物ろ過容量を多くとれる外部式や上部式を選ぶことで、水質トラブルをかなり抑えられます。
参考)水槽用ろ過材の交換や洗浄のタイミング|汚れたろ材のトラブルも…
水槽用ろ過フィルターの種類を図付きで確認したい場合に役立つ専門サイトです。
参考)水槽用ろ過フィルターの種類のすべて【外部式・上部式など全7種…
水槽用ろ過フィルターの種類のすべて|トロピカ
濾過器と水槽の相性を考える際、推奨されるのは「水槽容量の少なくとも数倍の水を1時間で循環できる流量」を基準にする方法で、多くの選び方ガイドでもこの考え方が紹介されています。
ただし農業現場では、魚の密度やエサの量だけでなく、土ぼこりや井戸水の鉄分など水質を悪化させる要因が多いため、同じ水量でも一般家庭より一段階上のろ過能力を確保しておくと安心です。
また、水槽用フィルターには「静音設計」や「ろ材交換のしやすさ」「自動呼び水」など、日々の使い勝手に関わる機能が豊富にあり、早朝・深夜の作業が多い農家ほど騒音やメンテの手間を軽くしておく価値があります。
参考)水槽用フィルターのおすすめ人気ランキング【2025年12月】…
以下のようなイメージで水槽サイズ別に濾過器を選ぶと、失敗しにくくなります。
参考)最強のろ過装置とは|水槽ろ過フィルターの種類別・強力な製品を…
| 水槽・タンク規模 | おすすめ濾過器・フィルター | 農業現場でのメリット |
|---|---|---|
| 30cm前後の小型水槽(事務所のメダカなど) | 外掛け式フィルター or スポンジフィルター+小型投げ込み式 | 構造がシンプルで停電復帰後も立ち上がりやすく、事務作業スペースでも音が比較的静か。 |
| 45〜60cm水槽(休憩所の熱帯魚・金魚) | 上部フィルター or 小型外部式フィルター | ろ材容量が大きく、来客用の見せ水槽でもコケや濁りが出にくい。エサを多めに与えても水質が安定しやすい。 |
| 90cm以上の大型水槽・飼育槽 | 外部式フィルター+上部フィルター併用、オーバーフロー方式など | 採卵用親魚や観賞用の錦鯉など高価な魚でも水質を安定させやすく、アクアポニックス導入時の基礎設備としても活用しやすい。 |
| 簡易な農業用貯水タンク(数百Lクラス) | 大型外部フィルター、加圧式ビーズフィルターなど循環ろ過装置 | 養殖用やアクアポニックス向けに設計された濾過装置を組み合わせることで、タンク水を肥料源兼用の循環水として維持しやすい。 |
選び方で意外と見落とされがちなのが「水源」の違いで、井戸水や沢水を使う場合は鉄・マンガンや微細な砂粒を先に沈殿・粗ろ過してから水槽濾過器に通すと、本体フィルターの寿命を大きく延ばせます。
参考)アクアポニックス 塩ビ配管Lab 株式会社宮田工業所
農薬や殺虫剤のドリフトが起こる可能性があるハウス内では、水槽ふたや飛沫防止カバーを併用し、濾過器のろ材に農薬成分が蓄積しないよう注意すると魚やバクテリアを守りやすくなります。
参考)アクアポニックス~水産養殖と水耕栽培の統合による新たな食料生…
濾過器の性能を長く維持するうえで重要なのが、ろ材とフィルター本体のメンテナンスで、メーカーや専門サイトでも「ろ材は汚れや劣化を感じたら交換」「フィルター掃除は定期的に」といった指針が示されています。
ただし、ろ材を一度に全て新品に替えたり、水道水で強く洗いすぎると、アンモニアや亜硝酸を処理してくれる硝化バクテリアまで一気に失われてしまい、水槽がリセット状態になってしまう点には注意が必要です。
実務的には、次のようなサイクルが現場で採用しやすいメンテナンス例です。
「頑張って掃除しすぎない」ことが、結果的に水槽の安定につながるという指摘もあり、特に生物ろ過を担うスポンジや多孔質ろ材には、あえて多少の茶色いバイオフィルムを残しておく方が安全です。
農業従事者の現場では、作業の忙しさから水換えや掃除のタイミングが遅れがちですが、フィルターの流量低下や異音が出始めた時点で早めに小まめなメンテナンスを挟むと、大掛かりなトラブルを防ぎやすくなります。
意外な活用法として、フィルター掃除で出た「汚れた飼育水」をそのまま捨てず、花壇やプランターにかける例も紹介されています。
参考)https://aquaponics.co.jp
魚の排泄物由来の窒素やリン、カリウムなどが溶け込んだ水は、アクアポニックスのような考え方で適度に薄めて散布すれば、液肥に近い効果を期待できる一方、病原菌リスクや塩分濃度には注意が必要です。
参考)https://www.ebara.com/content/dam/ebara/grand-masters/entities/ja/media/pdf/sankikou202510-01.pdf
ろ過材の交換タイミングや洗浄方法を写真付きで詳しく確認したい場合の参考資料です。
水槽用ろ過材の交換や洗浄のタイミング|東京アクアガーデン
アクアポニックスは、水槽で魚を飼育し、その排泄物を濾過器と微生物の働きで分解し、植物が栄養として吸収することで水を浄化し、再び水槽へ戻す循環型の農業システムとして世界的に注目されています。
日本語の解説でも、魚用の飼育槽・ろ過槽・循環ポンプ・水耕栽培ベッドを一体のシステムとして扱い、従来の水耕栽培に比べて大幅な節水と肥料削減が可能とされています。
この仕組みの根幹を支えているのが「生物ろ過」を担う濾過器とろ過槽で、アクアポニックス向けには大容量の生物フィルターやビーズフィルター、流動床フィルターなどが専用装置として販売されています。
養殖水槽から出た水は、まず物理フィルターで固形物を除去した後、大きなろ材タンク内で硝化バクテリアによる生物ろ過を受け、その後に栽培ベッドへ送られる構成が一般的です。
農業従事者の立場から見ると、既に持っている濾過器付き水槽を小規模アクアポニックスに発展させる方法として、例えば次のようなステップが考えられます。
既に国内でも、イチゴ専用のLEDと水槽・濾過循環器を組み合わせたアクアポニックスシステムなど、特定作物に特化した商用システムが開発されています。
参考)https://aquaponics.co.jp/strawberry-production-system/
また、プラスチック加工業者が水槽・ろ過槽一体型の装置をオーダーメイドで製作し、清掃性や安全性に配慮したアクアポニックス設備を農場向けに提供する事例も報告されています。
参考)アクアポニックス装置をプラスチック加工で支える:循環型農業と…
アクアポニックスの設計や構造を農業者向けに解説している専門サイトです。
参考)【アクアポニックスシステムの設計と構造】効果的なシステム設計…
アクアポニックスシステムの設計と構造|アクポニ