大阪ヘルスケアパビリオンでは、子どもたちに自然界のサステナブルな循環の大切さを伝え、SDGs達成への貢献を目指す取り組みの一つとして、寄付を活用してアクアポニックスを設置する計画が示されています。
ここで重要なのは、「展示=装置の紹介」ではなく、「循環を体感させる教材」としての位置づけであり、農業者が自分の圃場や直売所で導入を考える際も、単なる生産設備としてではなく“説明できる循環”として設計する発想が役立つ点です。
また、公式説明ではアクアポニックスは“水産養殖(Aquaculture)と水耕栽培(Hydroponics)を組み合わせた循環型生産システム”とされ、微生物が魚の排泄物を分解し、植物が養分を吸収して水が浄化される流れが核だと整理されています。
参考:万博の公式側が示す「寄付で設置する計画」と、アクアポニックスの定義(養殖×水耕×微生物循環)がまとまっています。
大阪ヘルスケアパビリオン「アクアポニックス」(公式News)
公式の説明では、微生物に分解された魚の排泄物を養分として植物が吸収し、植物が成長することで水が浄化され、魚にとって快適な水環境が保たれる、とされています。
つまり運用の勘所は、魚でも植物でもなく「微生物が機能する水質レンジ」を維持することで、現場の管理は“水質=見えない家畜”を飼う感覚に近づきます。
農業従事者向けに具体へ落とすなら、最低限押さえる観点は次の通りです。
・🧪水質:アンモニア→亜硝酸→硝酸の変化が破綻しないように、急な給餌増・急な収穫減を避ける(循環の入力と出力のバランスを崩さない)
・🌡️温度:水温・気温が変わると微生物の働きも変わるため、季節で“同じ給餌”が同じ結果を出さない前提で計画する
・🧼衛生:植物側だけの病害虫対策ではなく、水槽・配管・フィルターの詰まりや酸素不足が全体に波及する点をリスクとして扱う
公式には、アクアポニックスは「陸上養殖」と「水耕栽培」を組み合わせ、自然の仕組みを活用して“節水、無農薬”を実現でき、SDGs達成に貢献するサステナブルな生産システムだと説明されています。
農業の現場でこの説明を活かすなら、SDGsを“飾りの言葉”にせず、数値や運用ルールに翻訳して示すのが信頼につながります(例:換水頻度、排水量、農薬不使用のための防虫・衛生動線、飼料の出どころなど)。
また、万博という公の場の展示は「見学者の理解」を前提に組み立てられるため、農業者が導入する際も、直売所・学校連携・研修受け入れなど“説明価値”をセットで設計すると収益の柱が増えやすい、という示唆になります。
参考:大阪府の報道発表として、寄付活用でアクアポニックスを設置する計画の骨子(子ども、循環、SDGs)が確認できます。
大阪府「寄附を活用した…展示『アクアポニックス』について」(報道発表)
大阪府の発表では、大阪ヘルスケアパビリオンが「ご寄附を活用し、アクアポニックスを設置する計画」であることが明示されています。
公式Newsでも同様に「ご寄附により設置する計画」とされており、技術の良し悪し以前に、寄付という資金で“公共性の高い目的”を実現する筋道が前提条件になっている点が特徴です。
農業従事者がここから学べるのは、寄付・協賛・ふるさと納税型の資金を集める際の論点で、特に次の3点は最初から言語化しておくと強いです。
・🧾使途の明確化:装置費なのか、運用費(電気・飼料・苗)なのか、教育プログラム費なのかを分ける
・🔍透明性:データ(収穫量、飼育尾数、水質)を定期公開できる設計にしておく
・🧯安全性:停電・漏水・病害・酸欠などの“想定事故”を先に示し、対策(バックアップ電源、警報、冗長ポンプ)を説明する
万博の公式説明が強調するのは、循環を“自然界の縮図”として伝える点であり、これは農業従事者がアクアポニックスを導入する際に、単なる生産効率だけでなく「見せ方=理解の導線」を最初から設計する価値を示しています。
例えば、圃場で同じ仕組みを回すときも、見学者が一目で理解できるように「魚→微生物→植物→浄化→魚」を矢印で示したパネル、給餌量と硝酸の推移、収穫した葉物の用途(加工・直売・給食)を同じ場所に置くと、寄付や協賛の説得力が上がります。
さらに意外に効くのが“運用者の物語”で、魚や野菜の説明ではなく「なぜ循環が必要か(渇水、肥料高騰、排水規制、労働力不足)」を、自分の地域課題として語れると、万博のような大きな舞台の話題を、地域の農業の現実に接続できます。