米油 原料 稲作 米ぬか 集荷 製造

米油の原料である米ぬかが、稲作と精米のどこで生まれ、なぜ鮮度管理と集荷が要になるのかを整理します。副産物の行き先まで含めて、現場の判断が変わるポイントはどこでしょうか?

米油 原料 稲作

米油の原料を稲作から逆算する要点
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原料は「米ぬか」=精米の副産物

玄米のぬか層・胚芽が削られて米ぬかになり、ここからこめ油が取れます。稲作→収穫→乾燥調製→精米の流れの中で「精米」が分岐点です。

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鮮度が勝負:発生後すぐ劣化

米ぬかは精米直後から品質が落ちやすく、製油はスピードと集荷網が品質を左右します。

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副産物まで含めた循環が収益を作る

脱脂糠は飼料などに回り、さらに精製工程の副産物も別用途に活用されます。稲作地帯の資源循環の設計が「米油の伸びしろ」になります。

米油 原料の米ぬかは稲作と精米のどこで生まれるか


米油(こめ油)の原料は、稲作で収穫した米そのものではなく、玄米を精米するときに発生する「米ぬか」です。農林水産省の整理では、米ぬかは精米(搗精)工程で玄米表面のぬか層(果皮・種皮・糊粉層)と胚芽が削り取られて発生する副産物で、通常の精米では玄米重量の約10%ほど出るとされています。つまり、稲作現場の視点では「主産物(精米)を作った結果として出る副産物を、油脂原料として高度利用する産業」が米油です。


ここで重要なのは、「稲作の収穫量=米ぬかの発生ポテンシャル」だという点です。米ぬか量は米の生産量に連動し、さらに食用米の消費動向や生産調整の影響を受けます(米の消費減や転作で米ぬか発生が減る)。実際、業界側の説明では、玄米の8~10%が米ぬかになる一方、売買用に出回る米ぬかは推計60万トン程度で、用途配分の結果としてこめ油向けに回せる数量は約30万トンにとどまる、といった供給制約が語られています。


稲作従事者向けに言い換えるなら、米油は「水田から直接採れる油」ではなく、「地域の精米インフラ(精米所・カントリー・ライスセンター等)で発生する資源をどれだけロスなく回収し、製油につなげられるか」で原料力が決まります。米どころでも、精米が分散していたり、集荷距離が長かったりすると、同じ作付でも“油になりにくい”地域が生まれます。


・ポイント(現場での見え方)
🌾 稲作:収穫量が母数になる
🏭 精米:米ぬかが発生する地点(原料の発生源)
🚚 集荷:地域内の回収効率が、品質とコストを決める

米油 原料の劣化と集荷はなぜ難しい(リパーゼ・24時間)

米ぬかは「精米されて米ぬかになった瞬間から、油分の分解が始まりやすい」という扱いにくさを持っています。業界団体の説明では、精米直後から米ぬか中でリパーゼが働き、時間とともに品質が急速に劣化するため、迅速な集荷が必要だとされています。さらに別資料では、一般に米ぬか発生後24時間以内に搾油(製油)することが望ましい、といった目安も示されています。


この「時間制約」は、稲作側というより“精米側のオペレーション”に強く依存します。たとえば、消費地近くで小規模精米所が増えると、製油側は少量の米ぬかを小刻みに回収する必要が増え、運搬コストが上がるという課題が指摘されています。結果として、原料はあっても「鮮度・回収・物流」の三重制約で油にしにくい状況が起きます。


ここは上位記事でも触れられやすい論点ですが、農業現場に引き付けると“意外と盲点”があります。精米所側で米ぬかが行き場を失うと、産業廃棄物として処理されてしまう可能性にも触れられており、米ぬかは「放っておくと価値がゼロどころかコストになる資源」です。稲作地帯の6次産業化や地域内循環を考えるなら、品質以前に「廃棄にならない導線」を作っておくことが、米油原料化の第一歩です。


・現場で効く対策の考え方(一般論)
⏱️ “いつ出た米ぬかか”が価値を決める
📦 少量分散は物流コストに跳ねる
🧹 行き先がないと処理費が発生する(資源→廃棄物化)

米油 原料の製造は抽出・精製と副産物(脱脂糠)

米油は、集荷した米ぬかから「こめ油原油」を抽出し、その原油を精製して製品化されます。業界団体の説明では、抽出工程で発生する脱脂糠は飼料用・肥料用などに利用され、精製工程で発生するロウ分や遊離脂肪酸などの副産物も石けん・化粧品原料等に有効利用されるとされています。つまり、米油は“油だけのビジネス”ではなく、副産物まで含めた多段階の出口設計で成立しています。


この点が稲作側にとって重要なのは、「米ぬかの用途が競合するほど、製油向け原料が細る」からです。実際、こめ油関連データでは、米ぬか処理量・こめ原油生産量・脱脂糠生産量などが年次で整理されており、2024年は米ぬか処理量414,614トン、こめ原油生産量78,585トン、脱脂糠生産量324,935トンといった数量が示されています。こうした数字は、稲作の収量だけでなく、集荷・処理能力・需要(油・飼料等)の組み合わせで動きます。


“意外に効く”のは、脱脂糠の出口の安定が、結果として米油の増産余地を左右しうる点です。米ぬかは「油を取る」だけで終わりではなく、油を取った後の脱脂糠が滞留すると、製油側は処理を増やしにくくなります。米油の話をするのに飼料・肥料まで踏み込むのは遠回りに見えますが、現実にはそこがボトルネックになりやすいので、稲作地域の関係者ほど押さえておきたい論点です。


・副産物の整理(覚え方)
🛢️ 原料:米ぬか
🏭 抽出:こめ原油+脱脂糠
🧴 精製:こめ油+ロウ分等(別用途へ)

米油 原料と稲作の需給:国産原料の限界と数字

米油は「国産原料(米ぬか)で作れる食用油」という性格を持つ一方で、原料制約がはっきりしています。業界側の解説では、米の消費減退や転作奨励で米の生産量が減少傾向となり、米ぬか量もそれに連動するため、こめ油を増やしたくても数量に限界がある、という問題提起がされています。また、需要に対して一部を輸入で補っていることにも触れられています。


数字で現状感を持つには、こめ油関係データの年次表が便利です。たとえば2024年のこめ油供給では、生産量(原油)78,585トン、輸入量41,948トン、供給量120,533トンと整理されており、「国産だけで市場を100%賄う」設計にはなっていないことが読み取れます。同じページに米の主食用収穫量の推移(2024年は6,792千トン)も載っているため、稲作のボリュームと油脂原料の動きが同じ資料内で俯瞰できます。


稲作側の戦略としては、“米油用の米を作る”というより、「米ぬかを安定的に油へ回せる地域構造を作る」ことが現実的です。具体的には、精米発生点の集約、迅速集荷の動線、米ぬかの用途競合(飼料・きのこ培地など)を踏まえた地域内の配分設計が効いてきます。ここまでやって初めて、稲作の努力(品質・収量)が、米油という別市場の価値に変換されやすくなります。


・需給を読むチェック項目
📉 米の生産量・消費量のトレンド
🚚 米ぬかの回収可能量(売買用に出回る量)
🧩 競合用途(飼料・肥料・培地等)との取り合い
🌍 不足分を輸入で補う構造かどうか

米油 原料の独自視点:精米所の分散と運搬費が稲作収益に跳ねる

検索上位では「米ぬかは精米の副産物」「劣化が早い」「こめ油は健康的」といった説明が中心になりがちですが、稲作現場にとって本当に効く独自視点は“精米の分散がコスト構造を変える”点です。業界側の説明では、消費地に近いところに小規模の精米所が増えたことで、少量の米ぬかをこまめに集める作業が増え、運搬費の増加につながっているとされています。つまり、精米の立地・規模の変化が、米ぬかの物流費を押し上げ、結果的に「米ぬかの買い取り条件」や「回収の可否」に影響しうるということです。


これを稲作側に引き付けると、次のような現象が起きます。米ぬかが“価値ある原料”として回りやすい地域は、製油側が集荷しやすい(集荷密度が高い)地域で、逆に分散・少量化が進むと「回収できない→廃棄」へ落ちやすくなります。稲作の所得向上を考えるとき、田んぼの外の話に見えるかもしれませんが、精米拠点の配置や共同回収の仕組みづくりは、地域で米ぬかを“資源として扱い続ける”ためのインフラ投資です。


現場でできるアクションとしては、個々の農家が単独で製油に参入するより、地域として「米ぬかの発生情報(いつ・どこで・どれだけ)」を見える化し、回収頻度・保管方法・引き取り条件を揃えるほうが現実的です。米ぬかは軽くて嵩張りやすいと言われるため、集荷効率の改善はそのまま経済性に直結します(“軽い=運ぶ空気が多い”状態になりやすい)。結果として、稲作の副産物が地域内で循環し、米油という出口に乗る確率が上がります。


・独自視点の要点
🏭 精米所が分散すると、米ぬか回収が“割高化”しやすい
🚚 運搬費が上がると、原料としての競争力が下がる
🗺️ 地域で集荷密度を上げる仕組みが、米油原料化の近道
(参考:米ぬか=精米副産物、劣化、国産原料の考え方)
農林水産省「米ぬかとこめ油(原料の説明)」の参考:https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/okome_summary/04/functio_nality_07.html
(参考:こめ油・米ぬか処理量などの年次データ)
日本こめ油工業会「こめ油関係データ(米ぬか処理量/こめ原油/供給量など)」の参考:http://www.nikkome.or.jp/rbodata.html
(参考:米ぬかは発生直後から劣化しやすく迅速集荷が必要、副産物の有効利用)
日本こめ油工業会「SDGsへの取り組み(集荷の理由・副産物利用)」の参考:http://www.nikkome.or.jp/SDGs
(参考:米ぬか供給制約、24時間目安、工場規模の制約などの背景)
日本植物油協会「こめ油の原料不足と鮮度課題」の参考:https://www.oil.or.jp/info/62/page05.html




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