国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点研究と石垣島農業連携の未来

国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点が石垣島や熱帯・亜熱帯地域の農業にもたらす技術と連携の可能性をどう生かせるか?

国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点の役割

熱帯・島嶼研究拠点の全体像
🌏
石垣島に位置する国際的な研究拠点

沖縄県石垣市に立地し、熱帯・亜熱帯の気候条件を活かして国内外の農林水産業の課題に取り組む研究拠点であることを解説。

🌱
熱帯性作物と島嶼環境の実証フィールド

試験圃場やライシメーターなどを備え、熱帯作物の品種や栽培技術、資源循環・環境保全技術を現場レベルで検証している点を紹介。

🤝
地域農業と開発途上地域の橋渡し

石垣島農業で蓄積された知見を、アジア・太平洋島嶼国などの現場へ展開し、国際協力・連携の中核として機能している視点を整理。

国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点の基本情報とミッション


国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点は、国立研究開発法人国際農研(JIRCAS)の一拠点で、所在地は沖縄県石垣市字真栄里川良原1091-1にある。
本所を茨城県つくば市に、熱帯・島嶼研究拠点を石垣島に置くことで、温帯と亜熱帯の両方の環境を活用しながら研究を進めている。
この拠点は、熱帯・亜熱帯地域や島嶼地域に共通する「高温多湿」「台風等の極端気象」「脆弱な土壌・水資源」といった条件を活かし、開発途上地域の農林水産業に応用可能な技術の開発をミッションとしている。


参考)https://www.jircas.go.jp/sites/default/files/publication/outline/outline20222023-_-_0.pdf

同時に、日本国内の南西諸島の農業振興や気候変動適応にも貢献することが明確に掲げられており、近年は食料システム全体を視野に入れた環境負荷低減や資源循環にも力を入れている。


参考)食の窒素フットプリントにより熱帯島嶼の窒素負荷削減効果の可視…

国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点の施設とライシメーターがもたらす知見

国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点には、約30ヘクタールの敷地と、そのうち約21ヘクタールの試験圃場、温室群、そして「島嶼環境技術開発棟」に設置されたライシメーターなどの高度な観測施設が整備されている。
ライシメーターは土壌下層へ浸透する水を採取できる装置で、土壌中の水や養分の動態、地下水への栄養塩負荷の実態を定量的に評価できるため、サンゴ礁を守る観点からも重要な役割を担っている。
この設備を活用した研究では、ピジョンピーとトウモロコシの間作における水ストレス時の収量低下の要因を、水と光資源の競合の観点から解析するなど、作物生産と資源管理を一体的に捉えた成果が蓄積されている。


参考)ライシメーターを備えた「島嶼環境技術開発棟」

さらに、西アフリカなどサバンナ地帯の保全農業や、太平洋島嶼地域の傾斜圃場における沈砂池堆砂の再利用システムの研究にもつながっており、石垣島の実証結果が遠く離れた地域の技術提案に役立っている点は、現場感のある農業者にとっても興味深いポイントだ。


参考)アジア・太平洋島嶼水利用制限地域における資源保全管理技術の開…

国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点と熱帯作物・果樹研究の実際

国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点では、サトウキビや熱帯果樹といった熱帯性作物を対象に、品種・系統の評価と栽培技術の開発が進められており、特にマンゴーやパッションフルーツなどの果樹研究が国内外向けに展開されている。
石垣島の亜熱帯環境を活かし、国内の南西諸島向けの栽培技術だけでなく、開発途上国の熱帯果樹生産に応用可能な管理技術や遺伝資源の活用方法も検討されている。
国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点には、サトウキビやインディカ稲、熱帯果樹、ブラキアリア(熱帯イネ科牧草)などの多様な遺伝資源が保存されており、「熱帯作物遺伝資源」プロジェクトの中核的なフィールドにもなっている。


参考)熱帯・島嶼研究拠点

これらの遺伝資源から有望系統を選抜し、ストレス耐性や高付加価値化(糖度・食味・加工適性など)を重視した新品種・育種素材の開発、さらにはそれらの特性を十分に引き出す栽培体系の設計が一体的に進められている。


参考)13. Tropical Fruits Research a…

国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点と窒素フットプリント・資源循環の最前線

国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点が位置する石垣島は畜産が盛んで、輸入飼料や島外からの食料流入に伴う窒素の持ち込み量が大きく、その一部が地下水や沿岸海域へ流出してサンゴ礁などの海洋生態系に負荷を与えることが懸念されている。
この課題に対し、国際農研と農研機構は「食の窒素フットプリント」の概念を用いて、島全体の食料システムから窒素負荷の見える化を行い、牛糞堆肥を農地利用することで化学肥料使用量を30%削減できるシナリオを提示している。
窒素フットプリントの研究は、一見すると農業現場から遠い学術的なテーマに見えるが、畑での堆肥投入量の目安や、施肥体系の見直しに直接つながる指標として応用できる可能性がある。

特に熱帯・亜熱帯の島嶼地域では、化学肥料価格の高騰リスクやサンゴ礁保全の要請が強まっているため、「島内の有機資源(堆肥・残渣など)を極力循環させ、島外からの窒素流入を抑える」という考え方は、今後の営農戦略の中核になり得る。

国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点から見た農業者への実践的ヒントと独自視点

国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点の研究成果を眺めると、「極端な条件を前提とした設計」という視点が一貫している。
高温・多雨・台風・塩害・水不足といった条件下で、「何とかしのぐ」のではなく、「その条件を見越した土壌・水管理や品種・作付体系」を事前に組み立てる発想は、近年日本全国で増える気候関連災害への対応にも通じる。
農業者にとってすぐに応用できるポイントとして、例えば以下のような着眼点が挙げられる。

  • 台風常襲地帯を前提にした樹形づくりや防風樹の配置を、単なる「被害軽減策」ではなく、光環境や作業性も含めた圃場設計の一部として考える。

    参考)第18回一般公開を熱帯・島嶼研究拠点(石垣市)で開催—令和6…

  • 傾斜圃場での排水溝・沈砂池の配置を、「土砂を流さないための施設」から一歩進めて、「堆砂を戻して土壌改良資材として循環利用する仕組み」として位置づけ直す。​
  • 堆肥や緑肥を「肥料の代わり」ではなく、「地下水・海域への栄養塩流出を抑える装置」として評価し、長期的な窒素フットプリントの削減効果まで見据える。​

また、熱帯作物遺伝資源の研究からは、「在来系統や海外品種の持つストレス耐性や多収性を、ローカルな栽培条件にどう翻訳するか」という視点が浮かび上がる。


参考)”Tropical crop genetic resourc…

単に「珍しい品種を導入する」だけでなく、国際農林水産業研究センター 熱帯・島嶼研究拠点のような公的研究機関の成果情報や一般公開イベントを活用し、現場の課題(高温障害、塩害、肥料コストなど)と結びつく技術・品種を見極めていくことが、これからの農業経営の差別化にもつながるだろう。


参考)https://www.jircas.go.jp/sites/default/files/publication/jircas_news/jircas_news-84_-.pdf

国際農研の概要パンフレットでは、熱帯・島嶼研究拠点を含む研究プログラムの全体像と、環境・食料・情報の3分野からなるプロジェクト構成が紹介されている。

この資料は、拠点のミッションや研究テーマを俯瞰したいときや、自身の営農課題とマッチするテーマを探したいときの入り口として有用である。

国際農研 概要パンフレット(熱帯・島嶼研究拠点を含む研究紹介)




熱帯果樹とその利用