過リン酸石灰 使い方 元肥 追肥 土壌診断

過リン酸石灰の使い方を、元肥・追肥の考え方と土壌診断の読み方から整理し、混用注意や効かせ方のコツまで現場目線でまとめます。リン酸を無駄にせず初期生育を伸ばすには何から見直しますか?

過リン酸石灰 使い方

過リン酸石灰の使い方:失敗しない全体像
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まずは「元肥」前提で設計

リン酸は土の中で動きにくいので、根が伸びる場所に先に置くのが基本です。

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土壌診断で「足りない」を確かめる

リン酸は過剰でも見えにくい一方、蓄積しやすい成分なので、数値で判断します。

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混ぜ方で肥効が落ちるのを防ぐ

石灰や草木灰などアルカリ性資材との混合は、リン酸の水溶性が減るので避けます。

過リン酸石灰 使い方 元肥 追肥 基本


過リン酸石灰は、速効性のリン酸を供給する「リン酸肥料」の代表格で、施用後の立ち上がりが早い一方、土壌に触れると不溶化(固定)しやすい性質を持ちます。
この性質から、基本は「元肥で根の近くに置く」設計が合理的で、作付け初期の根張りを後押ししたい場面に向きます。
追肥に使う発想もありますが、リン酸は土中移動が小さいため、ただ畝の表面に撒いても根域に届きにくく、効かせたいなら“根がいる場所(またはこれから伸びる場所)”へ寄せる工夫が必要です。
現場での基本パターンを、作型を問わない形で整理します。


意外と見落とされるのが、過リン酸石灰の“副成分”です。過リン酸石灰には硫酸カルシウム(石こう)が含まれ、土壌pHを上げずにカルシウムと硫黄の補給に寄与する、と整理されています。


参考)【今さら聞けない安い単肥の話】 石灰の話 - 現代農業WEB


つまり「石灰=pH矯正」の代わりにはなりませんが、“pHを上げずにCaとSを足したい”という狙いでは、過リン酸石灰が意味を持つ場面があります。


参考)http://bsikagaku.jp/f-fertilization/SSP.pdf


参考:過りん酸石灰の性質(pH、組成、混合注意、水溶性リン酸が減る理由)がまとまっています(特性の根拠)
BSI生物科学研究所「肥料施用学」過りん酸石灰(性質・混合注意)

過リン酸石灰 使い方 土壌診断 リン酸 過剰

リン酸は、過剰でも生育障害が目立ちにくい一方、施肥堆肥投入で土に蓄積しやすいことが指摘されています。
さらに、リン酸の過剰施用は作物体によって加里・苦土・亜鉛・マンガン等の吸収に影響する可能性がある、と土壌診断の資料で注意喚起されています。
「毎年入れているから今年も同じ」は、リン酸に限っては外しやすいので、圃場ごとに土壌診断の数値を一度“棚卸し”してから施肥設計するのが安全です。
土壌診断を使った判断のコツは、難しいことを増やすより、次の3点を守ることです。


ここでの現場的な注意点:リン酸を減らす決断は怖いのですが、土に蓄積したリン酸を活用できれば肥料コスト低減につながる、という方向性も示されています。

「不足が怖い→毎年入れる」から一歩進めて、「数値を見て、入れる年・入れない年を分ける」だけでも設計が安定します。


参考:リン酸の過剰が作物に出にくい/他要素吸収への影響の記載(診断の読み方の根拠)
日本土壌協会 土壌診断資料(リン酸過剰と他要素)

過リン酸石灰 使い方 水溶性 可溶性 石こう

過リン酸石灰は、水溶性リン酸(速効)と可溶性リン酸を含み、施用後の肥料効果が比較的早く現れる、と整理されています。
一方で、水溶性リン酸は土壌中で固定されやすく、強酸性土壌や強アルカリ性土壌では肥効が低下しやすい、と説明されています。
つまり「何を入れるか」だけでなく、「どんな土に、どのタイミングで、根域へどう置くか」が、過リン酸石灰の効きを分けます。
また、過リン酸石灰に含まれる硫酸カルシウム(石こう)は水溶性が低いが、石灰と異なり土壌pHを上昇させず、硫黄分とカルシウム分を補充する効果がある、とされています。

ここは意外と誤解が多い点で、「石灰が入っている=pHが上がる」は成立しないケースがある、という整理が有用です。

pH矯正(酸度矯正)が目的なら、別途石灰資材を検討し、過リン酸石灰は“リン酸+Ca/Sの補助”と役割分担するのが安全です。

さらに、過リン酸石灰を堆肥と組み合わせる発想も現場で効きます。過リン酸石灰は、堆肥に混合して植え穴に施すと、初期の根が触れやすく土壌に触れにくい状態になり、より効果が得られやすい、という紹介があります。

この考え方は「固定されやすい」という弱点を、“置き方”で補う実務テクニックとして覚えておく価値があります。

過リン酸石灰 使い方 混合 注意 石灰 草木灰

過リン酸石灰は、石灰や草木灰などのアルカリ性肥料(資材)との混合を避けるべきだとされ、混ぜると第一りん酸カルシウムが第二りん酸カルシウムへ変化して水溶性リン酸が減少する、と説明されています。
この「混合で水溶性が減る」は、過リン酸石灰を使う最大の理由(速効性)を自分で削ることになるため、現場での損失が大きいポイントです。
同じ“散布”でも、混ぜずに時期をずらす、資材は別々に入れて土と混和する、など運用で回避できます。
混合可否は「化学反応」と「保管中の吸湿・固結」の2つで考えると整理しやすいです。


  • 化学反応:アルカリ性資材と一緒に混ぜると、狙いの水溶性リン酸が減る。​
  • 物理トラブル:吸湿しやすい資材同士を混ぜるとダマ化して散布ムラが出やすい(結果として効きが不安定になる)。​

また、リン酸は火山灰土壌では金属と結びつきやすいことがあり、堆肥と石灰の同時使用が望ましいという整理もありますが、これは「過リン酸石灰と石灰を“混ぜる”」という意味ではなく、土壌条件に合わせて資材設計を組む趣旨として読んだ方が安全です。


参考)リン酸肥料の効果と種類について


“同時に使う”と“混ぜる”は別物で、混合による水溶性低下の注意は独立に守る必要があります。

参考:混合で水溶性リン酸が減る理由、石こうのpH影響の説明(混合注意の根拠)
BSI生物科学研究所「肥料施用学」過りん酸石灰(混合注意・pH・石こう)

過リン酸石灰 使い方 独自視点 定植 堆肥 植え穴

検索上位で「追肥に便利」「リン酸は元肥」といった一般論はよく見ますが、現場で差が出るのは“定植の瞬間に、根が触れる位置へ置けたか”です。過リン酸石灰は固定されやすいので、土に広く触れさせるほど速効性のメリットが薄れやすく、根の近くに寄せるほど効きが出やすい、という方向性が示唆されています。
そこで独自視点として、定植作物では「植え穴・植え溝での局所施用」を、やり過ぎない範囲で検討する価値があります。
ポイントは「局所=多肥」にならないよう、狙いを“初期だけ助ける”に絞ることです。


  • 目的:活着~初期生育の根張りを押す(初期の不足を作らない)。​
  • 手段:過リン酸石灰を堆肥に混合し、植え穴(根の近く)へ置くと根が触れやすい、という実務例があります。​
  • 注意:局所に置いた分、全面の元肥量を引く(総量が増えないように設計する)。​

このやり方は、リン酸が土壌に触れて不溶化しやすい点を、“堆肥というクッション”で和らげる発想です。

特に、苗の定植直後に根がまだ浅い時期は、全面施用よりも局所施用のほうが「根がリン酸に出会う確率」を上げやすく、効きの体感差が出やすい局面です。


逆に、直播で根域が広くなる作型や、すでに土壌リン酸が高い圃場では、局所施用にこだわるより“入れない判断”の方が合理的なこともあるので、最後は土壌診断で整合を取ってください。


参考)https://www.japan-soil.net/BOOKLET/H20_DS/A4/A4_WEB.pdf


表:過リン酸石灰を「無駄にしない」チェック表


























チェック項目 OKの目安 NG例(よくある)
施用目的 初期生育の根張り、土の不足分補充など目的が明確 毎年なんとなく同量
置き場所 根域(元肥・植え溝)に入る設計(リン酸は動きにくい) 追肥で表面散布だけ
混合 石灰・草木灰などアルカリ性資材と混ぜない(水溶性リン酸が減る) 倉庫でまとめて混合してから散布
土壌診断 リン酸の蓄積も意識して調整(過剰が見えにくい) 診断なしで増施




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