乾燥農業では「灌漑するかどうか」よりも、同じ水量でどれだけ根域に届くか(適用効率)を軸に方式を選ぶと失敗が減ります。例えば、地表灌漑は施設費が比較的安い一方で適用効率が低くなりやすく、流去水が増えると損失が拡大します。対策として、流入量を途中で下げるカットバック方式や、断続的に流すサージフロー方式が紹介されています。
一方、散水灌漑やマイクロ灌漑(点滴灌漑など)は、適切な設計・管理が前提ですが適用効率が高く、損失水量が少なくなりやすい方式です。点滴灌漑は根元へ部分的に給水するため土壌面蒸発を減らせる、という説明もあり、「水を薄く広く」より「根の近くに細く長く」が乾燥農業の基本戦略になります。
ただし、設備導入だけで解決した気にならないことが重要です。灌漑が効率化しても、圃場の排水や地下水位管理が弱いと別の問題(塩類集積など)が後から出てくるため、後述する“副作用の管理”まで含めて計画してください。
(参考:乾燥地での灌漑方式、適用効率、点滴の特徴)
https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/desert/gijyutsu.html
乾燥農業=灌漑、と思われがちですが、天水農業(降雨依存農業、ドライファーミング)の技術体系は「雨を逃がさない」工夫が中心です。等高線栽培などで表面流水を抑え、ウォーターハーベスティングで雨水を土壌に集め、マルチで土壌水分の蒸発を防ぐという組み合わせが、原理として整理されています。
現場で取り入れやすい発想は、圃場の水収支を「降った雨は全部“畑の外へ出ていく”のが自然」という前提から、「降った雨は“できるだけ土に入れて、できるだけ出さない”」へ切り替えることです。たとえば、畝間に小さな集水帯(雨が集まりやすい形)を作る、微地形を均す、作物列の上流側に簡易な止水・減勢を入れる、といった小さな設計変更でも、短時間強雨が多い年は効いてきます。
また、乾燥地の小規模農業で見られる混作・間作にもマルチ効果がある、と説明されています。地表が常に裸地にならない作付設計は、蒸発抑制と土壌侵食の両面で効くため、天水農業の視点で“畑の露出時間を減らす”ことを意識すると改善ポイントが見つかります。
(参考:天水農業=等高線栽培+ウォーターハーベスティング+マルチ、混作・間作のマルチ効果)
https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/desert/gijyutsu.html
マルチは「乾燥対策の小技」ではなく、乾燥農業の中核に置ける技術です。乾燥地農業の解説では、植物や石などを利用したマルチで土壌水分の蒸発を防ぐ、と明確に位置づけられています。つまり、水源が限られている環境ほど、投入する水の量より“蒸発で失う量”の管理が効いてくる、ということです。
意外性があるのは、乾燥地で実際に行われている「小石(グラベル)マルチ栽培」です。小石を敷く目的は蒸発を抑えるだけでなく、突風でも表土が飛びにくくなる(風害・侵食の抑制)こと、さらに春先に石が早く温度上昇して生育促進につながる可能性がある、と現地観察ベースで説明されています。ビニールマルチだけが選択肢ではない、というのは現場にとって大きなヒントになります。
マルチの選定は「資材の値段」だけでなく、①蒸発抑制、②雨の入り方(雨が土に入るか、流れるか)、③土壌温度、④塩の動き、⑤作業性(回収・更新)まで含めて判断すると失敗しにくいです。乾燥が厳しい年ほど“回収の手間”より“水を守る価値”が上回る場面が増えるため、労力の見積もりも含めて体系化しておくと経営判断が速くなります。
(参考:天水農業でのマルチ、グラベルマルチの利点=蒸発抑制・表土飛散抑制・生育促進)
https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/desert/gijyutsu.html
http://www.tottorisakyusaisei.jp/html/kyou/world/world27.html
乾燥農業の“あるある失敗”が、節水のつもりで灌漑を続けた結果、塩類集積(塩害)が進んで収量が落ちるパターンです。乾燥地の解説では、必要以上に灌漑を続けると地下水位が上昇し、毛管力で地下水が地表へ上がって塩類が地表に集積するため、これを防ぐには地表水・地下水の排除(排水)が不可欠だと説明されています。つまり、灌漑は“水の投入技術”であると同時に、“塩を動かす技術”でもあります。
現場で効く実装ポイントは、畑の中だけで完結させず、灌漑と排水を一体で管理することです。乾燥地では塩類集積の危険性が高いので、灌漑地域全体に広域的な排水組織を整備する必要がある、という整理は、個人圃場の努力だけでは限界があることも示しています。農家単独で難しい場合は、土地改良区・行政・共同利用の排水路整備などと話を合わせることで、技術が“回り始める”ケースが増えます。
もう一つの意外な知恵が「畝間栽培」です。塩は土壌水分が上方向へ移動する過程で畝の高いところに集まりやすく、畝間は比較的塩分が少なくなるため、塩類化土壌で作物を成立させる工夫として紹介されています。乾燥農業では、品種や施肥より先に「塩が集まりやすい場所・集まりにくい場所」を畑の形で作る、という発想が武器になります。
(参考:灌漑過多→地下水位上昇→塩類集積、排水の重要性、畝間栽培の考え方)
https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/desert/gijyutsu.html
http://www.tottorisakyusaisei.jp/html/kyou/world/world27.html
検索上位の一般論は「点滴・マルチ・集水」で終わりがちですが、乾燥農業は“微気象を設計する農業”として見ると、現場の打ち手が増えます。乾燥地の事例紹介では、播種後に土壌表面をローラーのような農具で堅く固め、蒸発を減らし、さらに夜露が結露するという説明があります。これを現代風に言い換えると、「土の表面状態を変えると、昼の水損失と夜の水獲得の両方に効く可能性がある」ということです。
具体策としては、次のような“小さな地表設計”が考えられます(地域の土性・作物で最適解は変わるため、まずは小面積で試験推奨)。
- ✅ 表面の粗さを調整:中耕や鎮圧のタイミングを変えて、昼の蒸発と夜間の結露・浸透のバランスを探る。
- ✅ 風の通り道を管理:防風(防風林・簡易ネット)で乾燥風を弱めると、蒸発散のピークを削れる可能性がある(特に幼苗期)。
- ✅ マルチの材質を使い分け:黒マルチ=地温上昇、反射系=高温回避、石マルチ=蒸発抑制+侵食抑制など、目的別に整理する。
- ✅ “畑の裸地時間”を減らす:混作・間作、または被覆作物(カバー)で地表を守り、天水農業の基本に戻る。
この発想の良さは、設備投資よりも「作業の順番・畝の形・表面の作り方」で改善余地が出る点です。特に水利が厳しい地域では、灌漑設備を増やすより、まず蒸発・侵食・塩の動きを減らす方が費用対効果が高い年もあります。
(参考:鎮圧による蒸発低減・夜露の利用という乾燥地の知恵)
http://www.tottorisakyusaisei.jp/html/kyou/world/world27.html
(権威性のある日本語:乾燥地の水管理技術・天水農業・マルチの整理)
https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/desert/gijyutsu.html
(権威性のある日本語:乾燥地農業の現地事例(石マルチ、深播、畝間栽培、排塩渠など“知恵”の具体例))
http://www.tottorisakyusaisei.jp/html/kyou/world/world27.html