自脱型コンバインと普通型コンバインの最大の違いは、「脱穀部に何を入れるか」です。自脱型コンバインは、刈り取った穀桿(茎を含む稲の束)のうち穂先部分だけを脱穀装置にかける方式で、普通型コンバインは刈り取った穀桿の“すべて”を機械内部で脱穀します。
この違いが、機械の中の搬送や選別に連鎖していきます。自脱型では、刈取り部→搬送(フィードチェン)→脱穀部へ「穂先をそろえて供給する」ことが前提で、搬送しながら“こぎ深さ”を調整し、深こぎ・浅こぎを避けてロスや混入を抑える考え方が強いです。普通型は作物全体を取り込むため、作物の量(茎葉も含めた流量)自体が大きくなり、選別は「大量のワラ・茎葉と穀粒を分ける」方向に負荷がかかります。
ここで意外と見落とされるのが、現場の作業感に直結する“詰まり方”の質です。自脱型は穂先供給でワラの混入が少ない設計なので、選別系は比較的クリーンに回りやすい一方、倒伏や雑草(ヒエ等)で供給姿勢が崩れると、搬送・こぎ深さのバランスが乱れて「こぎ残し」「藁屑混入」が出やすくなります。普通型は茎葉もまとめて処理するので、条件が合えば一気に進みますが、湿りワラや青立ちが多いと“材料そのもの”が重くなり、脱穀・選別側の負荷増大がそのままトラブル要因になりがちです。
仕組みの理解ができると、カタログの馬力や条数より先に「自分の圃場で安定して流せる作物状態か?」を判断できるようになります。つまり、違いは単なる“機種名の違い”ではなく、作業条件に対する「処理思想の違い」と捉えると選定ミスが減ります。
参考:自脱型は穂先だけを脱穀、普通型は穀桿すべてを脱穀する定義や、搬送・こぎ深さ・脱穀部の考え方(各部の仕組み)はここが詳しい。
「籾の損傷」と「穀粒損失(ロス)」の出方が違う点は、農家にとって最も実害が出る違いです。自脱型コンバインは水稲収穫時に籾の損傷が少なく、穀粒損失も少ないとされ、普通型コンバインは水稲では籾の損傷や損失が課題になりやすい背景が語られています。
なぜこうなるかというと、選別工程に入ってくる“不要物の量”がそもそも違うからです。自脱型は穂先だけを処理し、藁(穀桿)が選別部にほとんど入り込まないのが最大の特徴とされます。つまり、選別が「穀粒と少量の屑を分ける」仕事になりやすく、結果としてきれいに仕上げやすい設計思想です。
一方で、注意したいのは「自脱型なら常にロスゼロ」という誤解です。自脱型でも深こぎに寄ると損失や馬力ロス、藁屑混入による選別悪化が起き、浅こぎではこぎ残し(穀粒が藁に残る)が起きる、と仕組みとして説明されています。つまり、自脱型は“調整で性能が出る”タイプで、オペレーターの段取り(倒伏対応、作物長に応じた調整、雑草混入時の手動調整)が品質を左右します。
現場向けの整理として、次のチェックが実用的です。絵文字つきで短くまとめます。
普通型が悪い、自脱型が正義、という話ではなく、「選別の負荷のかかり方が違う」ことを押さえるのが重要です。
参考:水稲での籾損傷・穀粒損失の差や、“穂先のみ処理”が自脱型の最大の特徴という説明はここが一次情報として押さえやすい。
日本の圃場条件(特に水田)で語られるのが、「サイズ」と「走破性」、そして「作業の自由度」です。一般に普通型コンバインは大型・重量級になりやすく、日本の小さな水田には不向きと整理されます。一方、自脱型コンバインは日本の小さな水田で作業しやすいよう小型・軽量な機種が多い、と説明されています。
さらに自脱型の特徴として、クローラ(無限軌道)で接地圧を軽減し、弱湿田でも作業しやすいという狙いがあります。湿田用の幅広クローラを装着すると接地圧を下げられる、という考え方も示されており、田面が締まりきらない年の“保険”として重要な論点です。
加えて、稲作は「倒伏」という厄介な相手がいます。自脱型の刈取り部は、普通型のリールヘッダに比べると倒伏しやすい稲などに適した刈取り部と言える、という説明があり、進行方向に対する倒伏方向(向かい刈り・追い刈り)で難易度が変わる点まで言及されています。ここは現場の肌感覚と一致しやすい部分で、機械選び以前に“刈り方の作戦”が収量ロスを左右します。
圃場条件での選び方を、判断軸として表にします(入れ子なし)。
| 判断軸 | 自脱型が合う場面 | 普通型が合う場面 |
|---|---|---|
| 圃場の区画 | 小区画・不整形でも回しやすい(小型が多い) | 大区画で直進距離を取りやすい |
| 地耐力(湿田) | クローラで接地圧を下げやすい | 重量で沈みやすくなりやすい |
| 倒伏対応 | 倒伏稲を意識した刈取り構成の説明がある | 条件が合えば速いが、倒伏はリスク要因になりうる |
この表の通り、同じ「稲刈り」でも圃場条件が違えば最適解が変わります。とくに中山間地や棚田のように“切り返しの回数が多い圃場”では、単純な処理量より「詰まらずに回し続ける」ことの価値が大きくなります。
参考:日本の水田に普通型が不向き、自脱型が小型で水田向きという整理はここが読みやすい。
https://noukiya.co.jp/blogs/column/konbain-chigai
「稲わらをどう扱いたいか」は、機械の違いを“経営の違い”に落とし込む重要ポイントです。普通型コンバインは作物全体を取り込むため、茎や藁が細かく砕けて再利用が難しいデメリットがある、と説明されています。対して自脱型コンバインは、穂先だけを取り込み、藁は残る/処理を選べる前提があり、運用によっては飼料・堆肥などに回しやすい話につながります。
自脱型の排藁処理は、現場的に“地味だが効く”差が出ます。一般的にカッタ(細断装置)が標準装備され、藁を5cm〜15cm程度に細断して散布し、後で田にすき込む流れが説明されています。また、藁の経路切替で細断せずバラ落としも可能で、結束機(ノッタ)で束ねる、立体放出で自立させるなど、複数の装備選択が示されています。稲わらを資源として使う経営ほど、この選択肢が効いてきます。
ここで“独自視点”として強調したいのは、稲わらの扱いが「翌年の作業性」にまで波及する点です。すき込み前提で細断散布すると、秋耕や春の代かきで藁の絡み(ロータリの巻き付き等)が出る年があります。一方、結束して圃場外へ出すと、土づくりの有機物循環は別途設計が必要になります(堆肥を戻す、緑肥を組む等)。つまり、コンバインの種類の違いは“その年の収穫”だけでなく、“次作の圃場管理の難易度”に直結します。
稲わら運用の整理(入れ子なし)です。
参考:普通型の藁再利用の難しさ、自脱型の排藁処理(カッタ、結束機など)の説明はここが詳しい。
https://noukiya.co.jp/blogs/column/konbain-chigai
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E8%84%B1%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%B3
最後に、導入判断を「現場で使えるチェック」に落とします。一般論として、自脱型は構造が複雑で定期点検や部品交換が必要になり、メンテナンス費用が高額になる傾向がある一方、普通型は構造がシンプルでメンテナンスが行いやすく耐久性も高い、と整理されています。ここは“どちらが得か”ではなく、「自分の整備体制(自社整備 or ディーラー任せ)で回るか」という話です。
また、機械選びは圃場規模と作物種類が最重要で、稲作なら自脱型、大豆・トウモロコシ等なら普通型、複数作物なら汎用型が適している、という方向性も示されています。狙いワードは自脱型と普通型ですが、実際の現場では“転作が混ざる”ケースも多く、汎用型を含めた俯瞰で考えると選定の納得感が上がります。
導入前の最終確認リストです(絵文字あり、入れ子なし)。
そして“意外な落とし穴”として、作業が早い機械ほど「運搬・乾燥調製側」が詰まります。コンバインの処理能力を上げたのに、籾運搬のコンテナ回しや乾燥機の張り付きで収穫が止まると、結局トータルの能率は上がりません。自脱型か普通型かを決める前に、運搬(軽トラ・運搬車・フレコン)と乾燥調製(乾燥機・籾摺り)のボトルネックも一緒に点検すると、導入効果が読み違いにくくなります。
参考:自脱型・普通型・汎用型の違い、普通型のメンテ性、自脱型のメンテ費用傾向、ランニングコストの考え方はここがまとまっています。
https://noukiya.co.jp/blogs/column/konbain-chigai