農業用の乾燥機火災原因で非常に典型なのが、乾燥機内部に堆積した藁くず(わらくず)が温風で舞い上がり、バーナーに触れて着火するパターンです。特に厄介なのは「本格稼働の前の試運転」で起きるケースで、前回のシーズン終わりに残った堆積物がそのまま残存していると、再始動時に一気に燃えやすい状態になります。
郡山地方広域消防組合の資料では、穀物乾燥機(米乾燥機)の火災として、乾燥機内に堆積していた藁くずが温風で舞い上がり、バーナーに接炎して火災になった事例が示されています。使用前(試運転も含む)に、前回使用で発生した藁くず等を必ず清掃してから使うことが予防策として明記されています。
・現場で起きやすい「連鎖」
🔥 藁くず堆積 → 温風で舞う → バーナーに触れる → 着火 → 乾燥機内部の粉じん・籾がらへ燃え移る → 倉庫へ延焼
・作業者が見落としやすいポイント
✅ 「見える場所だけ」掃除して安心しがち(内部の角、ダクト側、落下部に溜まる)
✅ 試運転は短時間なので油断しがち(短時間でも接炎条件がそろえば出火する)
郡山地方広域消防組合(火災事例3:穀物乾燥機の火災/原因・予防策の根拠)
【農作業に関連する火災予防について】(PDF)
乾燥機火災原因は「故障」よりも、清掃不足・整備不足のような運用起因で発生しやすいのが現実です。もみ乾燥機は、搬送経路や熱源周りに籾がら・粉じん・藁くずが入り込みやすく、しかも乾燥運転で内部が常に高温になり、可燃物が“乾き切った状態”で堆積します。こうなると、ほんの小さな火種でも燃え上がる条件がそろいます。
消防機関の注意喚起では、使用前・使用後に乾燥機内の清掃を行うことが防火チェックポイントとして挙げられています。また、乾燥機の高温部分や周囲に燃えやすい物を置かない、使用中はそばから離れない、異音・異臭があれば使用停止して専門業者に点検依頼、という行動がセットで示されています。
・清掃で狙うべき“3つの溜まり場”
🧹 乾燥機内部:藁くず・粉じん(バーナー近傍、点検口の奥)
🧹 搬送部:下部コンベア・循環経路(詰まりがあると局所過熱の原因になりやすい)
🧹 周辺:乾燥機の周囲、集塵周り(落下した籾がら・紙袋・段ボールが二次燃料になる)
・清掃を習慣化するコツ(意味のない根性論は不要)
✅ 「使用前:点検口を開けて目視→エアブロー→残渣回収」の固定手順にする
✅ 「使用後:最後に5分だけ清掃時間」を工程に組み込む(翌日に持ち越さない)
石狩北部地区消防事務組合(もみ乾燥機の防火チェックポイント)
もみ乾燥機火災に注意!!
乾燥機火災原因の中には、清掃だけでは防ぎきれない「経年劣化」「摩耗」による機械的な異常が潜んでいます。とくに穀物乾燥機は、搬送系(コンベア等)で穀物を連続的に動かすため、摩耗が進むと搬送能力が落ち、穀物が“動かないまま”熱源の近くに堆積する危険な状態を作ります。堆積が起きると、局所的に温度が上がり、さらに高温部に接触しやすくなり、出火条件が成立します。
印西地区消防組合の注意喚起では、下部コンベアのらせん状の羽が摩耗(経年劣化)していたことで穀物が送り出せず堆積し、放射体(高温部)に接触して火災に至った事例が示されています。資料では、使用前・使用後の点検を行うことが呼びかけられ、同様の火災が全国的にも発生している旨も記載されています。
・摩耗起因の“見抜き方”(現場で使える観点)
🔧 搬送が遅い/循環が不安定:詰まりや摩耗を疑う
🔧 異音(擦れ音・金属音):羽・軸・ベアリングの異常を疑う
🔧 乾燥ムラが急に増える:循環不良→局所過熱の前兆になり得る
・点検で押さえる部位(専門業者の点検依頼にも役立つ)
✅ 下部コンベア(羽・摩耗・ガタ)
✅ 高温部(放射体・バーナー周りの付着物)
✅ 安全装置(温度異常の検知、停止系が動くか)
印西地区消防組合(摩耗→堆積→高温部接触→火災の具体例)
穀物乾燥機による火災に注意!(PDF)
乾燥機火災原因を「結果」ではなく「兆候」から潰すには、異音・異臭・排気の変化にいち早く気づいて止めることが重要です。農繁期は人手が足りず、乾燥機を回しながら別作業に移りたくなりますが、火災は“短時間で取り返しがつかない状態”まで進むため、監視の優先順位は想像以上に高いです。消防側の注意喚起でも、使用中はそばから離れないこと、異音・異臭を感じたら使用を止めて専門業者に点検依頼することが明確に示されています。
また、乾燥機周囲の可燃物管理も同時に効きます。乾燥機本体に問題が起きても、周囲が整理されていれば「乾燥機の小火」で止まり、周囲に燃えやすい物があれば「倉庫火災」に発展します。
・“止める判断”を迷わないための基準(例)
👃 焦げ臭い/いつもと違う燃焼臭:即停止→点検
👂 ガラガラ音/擦れ音/周期的な異音:詰まり・摩耗を想定
🌬️ 排気が弱い/粉じんが増えた:ダクト詰まりや内部堆積の疑い
・最低限の防火装備(倉庫内運用の現実解)
🧯 消火器を乾燥機の出入口付近に固定(探す時間をゼロに)
💡 夜間の見回り用ライト(停電時も想定して充電式)
📞 連絡手順(停止→ブレーカー→119→関係者)を紙で貼る
石狩北部地区消防事務組合(使用中はそばから離れない/異音異臭時の停止と点検)
もみ乾燥機火災に注意!!
検索上位で語られがちな乾燥機火災原因は「内部の清掃」「バーナー接炎」「摩耗」ですが、現場の運用で意外に見落とされるのが“粉じん(籾がら微粒子)の行き先”です。乾燥機や籾すり機の排出ダクトから出る粉じんは、近隣対策として袋を付ける運用が知られていますが、ここに「火災リスク」の視点を重ねると、別の注意点が見えてきます。つまり、袋やダクト先端まわりは粉じんが集中的に溜まりやすく、乾燥運転の熱・静電気・周辺の火気(溶接、喫煙、焼却)など、条件が重なると危険が増える可能性があります。
板倉町の案内では、乾燥機や籾すり機の使用時に、排出ダクトの先に袋を取り付けるなどの飛散防止対策が紹介されています。ここを「防火」の観点で運用するなら、袋の材質(耐熱性)、満杯になる前の交換、袋周辺に可燃物を置かない、ダクト先端の堆積物の定期除去、といった追加ルールが実務的に効きます。
・排出ダクト袋の“安全運用”チェック
🧺 袋が熱に弱い素材なら、排気温度で変形・溶融しないか確認
🧯 袋の周囲1mは可燃物ゼロ(段ボール、籾殻袋、ビニール、燃料缶など)
🧼 袋の交換時に、ダクト先端とクランプ部の粉じんを拭き取る
🚫 乾燥機周辺での火気作業(溶断・グラインダー火花)を避ける
・「近隣対策」と「防火」を両立する小技
✅ 粉じんが漏れやすい継ぎ目は、耐熱テープやクランプで確実に固定
✅ 交換済みの袋を倉庫内に積まず、密閉容器に一時保管(粉じん再飛散防止)
板倉町(排出ダクト先に袋を付ける等の粉じん飛散防止)
籾がらなどの飛散防止について
最後に、乾燥機火災原因を“作業として潰す”ための点検表を置いておきます。文章で理解しても、農繁期は忙しさで抜けるので、点検を「短時間で」「毎回同じ順序」で回せる形にするのがコツです。特に、郡山地方広域消防組合の事例のように藁くず堆積が原因になるなら、使用前清掃が最重要の一つになります。
| タイミング | 点検・清掃項目 | 合否 | メモ |
|---|---|---|---|
| 使用前(試運転含む) | 乾燥機内の藁くず・粉じん・籾がら除去(点検口の奥まで) | □OK □NG | NGなら稼働しない |
| 使用前 | バーナー周辺に可燃物なし/燃料・配線の見た目異常なし | □OK □NG | 焦げ跡は要注意 |
| 使用中 | 異音・異臭・排気の変化を監視(そばを離れない) | □OK □NG | 異常なら停止→点検 |
| 使用後 | 乾燥機内清掃、周囲の落下物回収、ダクト周りの粉じん拭き | □OK □NG | 翌日へ持ち越さない |
| 週1(または繁忙前) | 搬送部・下部コンベアの摩耗、循環不良の兆候確認 | □OK □NG | 摩耗は業者相談 |
この点検表を紙で乾燥機の近くに貼り、作業者がチェックしてから動かす運用にすると、清掃忘れが激減します。火災は「いつか気をつけよう」では防げないので、手順として固定するのが最短です。