医薬品医療機器総合機構 業務承認審査安全対策健康被害救済

医薬品医療機器総合機構の三つの業務を整理し、農業従事者が医薬品や農薬のリスク管理にどう応用できるかを具体例とともに解説します。あなたの作業現場ではPMDAの情報を活かせていますか?

医薬品医療機器総合機構 業務を農業現場でどう活かすか

医薬品医療機器総合機構 業務の全体像
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三つの柱と役割

PMDAは「承認審査」「安全対策」「健康被害救済」という三つの業務を一体運用する世界でも珍しい公的機関で、セーフティトライアングルと呼ばれる仕組みでリスクを総合的に管理しています。

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健康被害救済制度のポイント

医薬品を適正使用していても起きた重い副作用に対して、PMDAが医療費や年金などの給付を行う仕組みが整備されており、申請から医学・薬学的判定、給付決定までの流れが細かく定められています。

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農業現場でのリスク管理への応用

PMDAが公開する安全性情報やメール配信サービス「PMDAメディナビ」を活用すると、人用医薬品だけでなく、農薬や動物用医薬品の管理にも応用可能なリスクコミュニケーションの考え方を現場に取り入れやすくなります。

医薬品医療機器総合機構 業務の三本柱と基本フロー

 

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、医薬品や医療機器、再生医療等製品について「承認審査」「安全対策」「健康被害救済」の三つの業務を担う厚生労働省所管の独立行政法人です。これら三つを一体的に行う公的機関は世界的にも珍しく、日本独自の「セーフティトライアングル」として紹介されています。
具体的には、企業からの申請に基づき品質・有効性・安全性を審査する段階から、市販後に副作用や機器不具合の情報を集めて分析し、必要に応じて注意喚起や添付文書改訂を行う段階まで、製品ライフサイクル全体を通じた評価・監視が行われます。さらに、重い副作用などが起きた場合には健康被害救済制度を通じて給付を行い、被害者の生活を支えるところまでがPMDAの守備範囲です。

 

参考)医薬品医療機器総合機構とは

  • 承認審査:治験相談から申請資料の審査、製造所のGMP・QMS調査などを通じ、品質・有効性・安全性が基準を満たすかを判断する。
  • 安全対策:市販後の副作用・不具合情報を収集・評価し、緊急安全性情報や安全性速報などの形で医療現場や国民に情報提供する。
  • 健康被害救済:適正使用にもかかわらず生じた重い副作用・感染被害について、医療費や年金などの給付を行う制度を運営する。

農業従事者の視点から見ると、これら三本柱は「作物保護」「作業者の健康」「地域の信頼」を守る三角形に置き換えて考えると理解しやすく、PMDAの考え方をそのまま農薬管理や動物用医薬品の運用ルールづくりに応用できます。たとえば、自分たちの農場で使う薬剤についても「導入前の情報確認」「使用中のモニタリング」「万一の被害時の救済・補償の仕組み」という三段構えで仕組みを整えるイメージです。

 

参考)https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/8-1douga.pdf

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PMDAの業務 主な目的 農業従事者への関係性
承認審査 新しい医薬品・医療機器が基準を満たしているかを確認し、安全に世に出すこと 自分や家族が使う医薬品の「裏側のチェック体制」を理解することで、リスクを想像しやすくなる
安全対策 市販後の副作用・不具合情報を集め、必要な警告や使用方法の見直しを行うこと 農薬や作業用消毒薬でも「市販後に情報が変わる」ことを意識し、最新情報を確認する習慣づくりに役立つ
健康被害救済 適正使用にもかかわらず起きた重い健康被害に、迅速に給付を行うこと 副作用被害に遭った場合の相談先の一つとしてPMDAを知っておくことで、泣き寝入りを防ぎやすくなる

PMDA公式サイトでは、三つの業務の概要とセーフティトライアングルの図がわかりやすく整理されています。

 

参考)PMDAとは

医薬品医療機器総合機構 PMDAとは

医薬品医療機器総合機構 業務の承認審査で重視される安全性情報

PMDAの承認審査業務では、品質(製造工程の安定性など)、有効性(臨床試験で得られた効果)、安全性(副作用の内容と頻度)の三点をセットで評価することが基本になっています。このとき、治験計画の段階から企業と相談を行い、統計解析やリスク管理計画(RMP)の組み立て方まで含めて科学的な助言を行うことが特徴です。
市販前だけでなく、市販後の安全対策につながる情報も承認審査の段階から意識されており、どのような副作用が起きうるか、どの患者層で特に注意すべきかなどが「使用上の注意」やリスク管理計画として整理されます。これにより、発売後に新しい知見が出てきたときに、どの情報を優先的に集めるか、どのように警告を強化するかといった市販後戦略が立てやすくなります。

 

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/139/5/139_211/_pdf

農業の現場に近いところでは、殺虫剤・殺鼠剤の一部が医薬品医療機器等法の枠組みで管理されており、PMDAによる承認審査の対象になるケースがあります。家庭用殺虫剤などは農薬取締法ではなく医薬品医療機器等法の対象になるため、同じ「殺虫剤」でも、農業用と家庭用で評価・表示のルールが異なる点は意外と知られていません。

 

参考)https://www.pestcontrol-tokyo.jp/img/pub/073r/073-01.pdf

  • 同じ有効成分でも、農薬として使うのか、家庭内の防除として使うのかで、担当官庁や評価の観点が変わることを把握しておくと安全管理がしやすくなる。
  • 承認審査の資料には、毒性試験や環境影響に関する情報も含まれており、その一部は添付文書やリスクコミュニケーション資料として公表される。
  • PMDAは審査の質の向上のために、内部で系統的な研修や評価体制の改善を続けており、レギュラトリーサイエンスの拠点として機能している。

こうした承認審査の考え方は、農業現場で新しい農薬や動物用ワクチンを導入するときにも応用できます。たとえば、自分たちの農場で「有効性」「作物や家畜への安全性」「作業者の安全性」「周辺環境への影響」という四つの観点でチェックリストを作れば、PMDA型の科学的な目線で導入可否を判断しやすくなります。

 

参考)https://jvpa.jp/jvpa/wp-content/uploads/2025/04/r06_jigyouu.pdf

医薬品医療機器総合機構 業務と健康被害救済制度の仕組み

健康被害救済業務は、PMDAの三本柱の中でも「最後の砦」にあたる存在で、医薬品を適正に使っていたにもかかわらず重い副作用が起きた人を経済的に支えることを目的としています。給付の対象は、入院を要する程度の疾病、日常生活が著しく制限される障害、死亡などで、一定の条件を満たす場合に医療費・障害年金・遺族年金などが支給されます。
手続きの流れとしては、本人や遺族が必要書類をPMDAに提出し、PMDAが医学・薬学的な観点からその健康被害が医薬品等の副作用によるものかどうかを審査します。そのうえで、厚生労働大臣の判定を経てPMDAが給付の可否を決定し、不服があれば一定期間内に審査請求ができる仕組みです。

 

参考)Q8 副作用救済給付の請求はどのようにするのですか。

  • 対象になるのは「適正使用」していた場合であり、用量超過や明らかな誤使用は対象外になることがある。
  • ワクチンや生物由来製品など、感染リスクを伴う製品による健康被害も救済の対象として位置づけられている。
  • 制度そのものの運用状況や課題について、専門家による検証・提言が行われており、毎年度の給付件数・内容も公表されています。

農業従事者にとって、この制度を知っているかどうかは、長時間労働や重作業で医療機関にかかる機会が多い現場ほど重要度が増します。たとえば、鎮痛薬や抗菌薬を長く服用しているうちに重い副作用が疑われる症状が出た場合、「どこに相談するか」「どの制度が使えるか」を知っているだけで対応のスピードと選択肢が大きく変わります。

 

参考)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001h1mn-att/2r9852000001h1p9.pdf

医薬品副作用被害救済制度の公式ページでは、対象となる症状や給付内容、申請書類のひな型などが詳しく掲載されています。

 

参考)医薬品副作用被害救済制度の給付対象

医薬品副作用被害救済制度(PMDA)

医薬品医療機器総合機構 業務の安全対策と農業現場でのリスク管理

安全対策業務では、医療機関や製造販売業者から集まる副作用報告・機器不具合報告を分析し、必要に応じて緊急安全性情報や安全性速報、使用上の注意改訂指示などを発出します。これらの情報はPMDAの情報サイトや自治体の医薬品安全性情報ページなどを通じて、医療従事者や国民に広く提供されています。
とくに重要な情報については、メール配信サービス「PMDAメディナビ」を通じてタイムリーに提供され、登録者は回収情報や使用上の注意改訂、リスク管理計画(RMP)に関する通知などをリアルタイムで受け取ることができます。登録・利用は無料で、医師や薬剤師だけでなく、一般の医療機関・団体なども利用できる仕組みになっています。

 

参考)医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)の利用に…

  • 「PMDAメディナビ」では、緊急安全性情報、安全性速報、クラスI・II回収情報、承認情報など、多様な通知が一括して配信される。
  • 自治体のサイトからも、PMDAが公表した副作用・安全性情報へのリンクがまとめられており、地域の医療・保健担当者が住民向けに周知しやすい構造になっている。
  • 医療機器に関しては、専門家の意見を踏まえた「医療機器安全情報」が作成され、不具合の再発防止策や注意点が整理されている。

農業現場のリスク管理に置き換えると、PMDAがやっていることは「情報の一元収集」「リスクに応じた優先順位付け」「分かりやすい形での周知」という三つのポイントに整理できます。農薬・消毒薬・作業用保護具についても、農場内でヒヤリ・ハット事例や体調不良の情報を一元的に記録し、リスクの大きさに応じて対策を決め、掲示物やミーティングで共有するという流れを作ると、PMDA型の安全対策に近づきます。

PMDAメディナビの公式案内ページでは、配信内容の一覧や登録方法が詳しく説明されています。

 

参考)PMDAメディナビについて

医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)

医薬品医療機器総合機構 業務と農薬・動物用医薬品の境界を理解する

農業従事者にとって実務的に重要なのが、「どの薬剤がPMDAの管轄で、どの薬剤が農林水産省など別の機関の管轄なのか」という境界を押さえることです。殺虫剤・殺鼠剤の法規制に関する資料では、家庭用殺虫剤など一部の製品が医薬品医療機器等法に基づきPMDAの承認審査対象となる一方、農業用の農薬は農薬取締法にもとづき農林水産省で登録・管理されることが示されています。
海外の事例を見ると、オーストラリアでは農薬・動物用医薬品の登録を一体的に扱う専門機関が設けられており、日本とは制度設計が異なる点も興味深いところです。日本では動物用医薬品の所管は農林水産省が中心ですが、ワクチン製造などの一部ではPMDAによる監査や評価の枠組みが関わる場面もあり、複数の機関が連携して安全性を確保しています。

 

参考)https://cdnw8.eu-japan.eu/sites/default/files/%E3%80%90%E5%92%8C%E6%96%87%E3%80%91BRT%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%202016.pdf

  • 家庭用殺虫剤・防虫剤:医薬品医療機器等法の枠組みで評価され、PMDAの承認審査や安全対策の対象になる製品がある。
  • 農業用農薬:農薬取締法にもとづき農林水産省が登録・管理し、残留基準や環境影響を含めた評価が行われる。
  • 動物用医薬品:農林水産省所管である一方、品質管理やワクチン評価などでPMDA的な考え方に近いGMP・リスク管理の枠組みが用いられている。

この境界を理解しておくと、「この薬剤について最新情報を調べるなら、まずどこを見るべきか」を瞬時に判断できるようになります。家庭用殺虫剤であればPMDAの情報サイトやメディナビ、農薬なら農林水産省や関係機関の情報、動物用医薬品なら業界団体や農水省資料といった具合に、情報源を切り分けることで見落としを減らせます。

 

参考)https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/09/dl/02-07.pdf

さらに、医薬品の製造管理・品質管理については、PMDAや都道府県がリスクに応じて無通告立ち入り検査を行うなど、GMP調査の強化が進められています。この「リスクの高いところに監査資源を集中する」という発想は、農薬保管庫や薬剤混合場所の点検に優先順位をつける際のヒントにもなり、限られた人員でも効果の高い安全対策を打つための参考になります。

殺虫剤・殺鼠剤の規制やPMDAの役割を解説した資料は、農薬と医薬品の境界を理解するうえで実務的に役立ちます。

「医薬品医療機器等法」と殺虫剤・殺鼠剤の法規制(公益社団法人 日本ペストコントロール協会)

 

 


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