移植機(トランスプランタ)は、苗を圃場へ均一に植え付けて省力化するための農業機械で、水稲や野菜での利用が中心です。
大きく見ると「歩行型移植機」「乗用型移植機」「野菜移植機」「田植機」などに分かれ、機体の大きさだけでなく、苗の供給方式(人がカップへ入れる半自動/機械がピックアップする全自動)でも作業の性格が変わります。
選定の第一歩は“何を植えるか”を固定することです。水稲なら田植機、野菜苗なら野菜移植機を選ぶのが基本で、多品目の場合は対応トレーや植付ユニットの互換性まで確認すると後悔が減ります。
箇条書きで、現場で差が出やすい「種類ごとの向き不向き」を整理します。
参考)https://www.agriexpo.online/ja/seizomoto-agri/kiwado-713-_3.html
なお、全自動型は「操作者が楽になる」一方で、苗の出来が悪いとピックアップできず、結局は補植(人手の手直し)が発生しうる点が盲点です。
参考)野菜移植機なにを買う? 前に進むか、後ろに進むか|吉田拓実|…
ここを“機械のせい”にせず、育苗品質(根鉢の締まり、苗丈の揃い)を仕様の一部として管理できる経営ほど、全自動のメリットが最大化します。
移植機(トランスプランタ)の選び方は、栽培規模・栽培作物・作業能率(時間当たり能力)・扱いやすさ・メンテ性をセットで見るのが基本です。
特に「栽培規模で選ぶ」は外しづらい軸で、小規模なら歩行型、中・大規模なら乗用型が適するという整理が一般的です。
また、均一な間隔と深さで植付けできるか、条間・株間の調整が可能かは、収量や品質の“ブレ”を抑える上で核心になります。
現場目線のチェック項目を、購入前の確認リストとしてまとめます。
意外に見落とされるのが「機械が高性能でも、周辺のオペレーションが詰まる」問題です。例えば、苗運搬動線が長い圃場では、植付速度より“苗供給の詰まり”がボトルネックになり、結局は能率が伸びません。
この場合、機械の馬力や条数より、苗供給のしやすさ(ターンテーブル給苗など)や補助苗枠の扱いが効くため、カタログ数値だけで決めない方が安全です。products.iseki+1
移植の仕上がりは、ざっくり言うと「植付け深さ」「株間・条間」「姿勢(まっすぐ立つか)」の3点で決まります。
自動移植機の一般的な説明としても、植付間隔・植付深さ・植付密度を調整できることが精度の要素として挙げられています。
そして、深さ調整は“できる”だけでなく“再現性があるか”が重要で、うねの凹凸や傾斜で深さがブレる圃場では、機体の自動高さ・水平調節のような仕組みが効いてきます。
たとえば井関の葉茎菜類移植機では、うねの高さに連動して機体を自動で上下し、一定の植付け深さを維持すること、さらに機体を水平に保持してうね中心に植付けできることが特徴として示されています。
参考)葉茎菜類移植機[1条]
この“水平”は、単に見た目の問題ではなく、深さ・鎮圧・かん水(装置付き機種の場合)など周辺条件の均一化にもつながり、結果として活着差を減らす方向に働きます。
調整で失敗しがちなポイントを、作業前チェックとして短くまとめます。
参考:うねの高さ連動・水平保持など、植付け深さの再現性に関わる機構の説明(機械選定の観点)
井関農機|葉茎菜類移植機[1条](自動高さ・水平調節機構)
移植機(トランスプランタ)は泥・水・肥料粉にさらされるため負荷が大きく、シーズン直前に故障して作業が止まるケースがあるので、予防整備の価値が高い機械です。
よくある不調として、欠株・浮き苗など「植付けがうまくいかない」問題があり、植付爪の摩耗や変形、植付アームのグリス不足などが要因として挙げられています。
つまり、収量への影響が大きい“植付部”は、エンジンより先に点検の優先順位を上げるのが合理的です。
最低限ここだけは押さえたい、セルフ点検の具体例です。
ここで“意外と効く”のが、部品交換より前にやる「洗浄→乾燥→注油・グリス」の順番を固定することです。水洗いだけで終えると油分が抜け、次の作業で動きが渋くなって不調に見えることがあります(実際、洗浄後の注油・グリスの必要性が説明されています)。
また、メーカー資料では植付爪の交換判断として「A位置から先端までの長さが80mm以下なら交換が必要」といった具体的基準も示されており、現場で迷いにくい指標になります。
参考)植付爪の点検・交換方法|田植機のセルフメンテナンス|セルフ…
参考:植付爪の点検・交換の具体基準(摩耗判定の目安が明確)
クボタ|植付爪の点検・交換方法(田植機セルフメンテナンス)
検索上位の解説は「機械の種類・選び方・メンテナンス」に寄りがちですが、実務で欠株や手直しを減らすには、移植機(トランスプランタ)を“苗の品質評価装置”として使う視点が役立ちます。
全自動型はセルトレーから苗を自動で取り出せる一方、苗の出来が悪いと取り出せず、植えられないポイントができて補植が必要になることがある、と具体的に指摘されています。
つまり、欠株が増えたときに機械調整だけを疑うのではなく、「根鉢の締まり」「苗丈のばらつき」「トレー内の乾湿ムラ」など育苗側の原因を同時に洗い出すと、改善が早いです。
現場で使える“原因切り分け”のコツを表にします(メモ代わりに運用できます)。
| 症状 | 機械側で見る点 | 苗側で見る点 |
|---|---|---|
| 欠株が増える | 植付爪の摩耗(3mm以上で交換目安) | 苗の出来が悪いと自動ピックアップできず、植えられない点が出る可能性 |
| 植付姿勢が乱れる/浮き苗が出る | 植付爪の摩耗・変形、植付アームのグリス不足が要因になりうる | 根鉢が弱い苗は扱いにくく、活着ムラの起点になりやすい(補植増の背景) |
| 苗のせ台が動きにくい | グリス不足の可能性、支持シュー等の点検が重要 | 苗運搬時の土こぼれ・残渣が多いと汚れが増え、清掃頻度が上がる(作業停止が増える) |
さらに一歩踏み込むなら、「欠株率」と「補植時間」を毎回メモして、どの条件で増えるかを記録します。全自動型は苗の出来の影響を受けやすいという話があるため、育苗ロットごとに欠株率が変わるなら“機械ではなく苗”が主因の可能性が高い、と判断しやすくなります。
この記録が溜まると、来年の機種更新や育苗委託の見直しの材料になり、単なる“感覚の反省会”から抜け出せます。
参考:全自動型のメリットと、苗の出来によって失敗点が出る可能性(欠株・補植の原因分析に直結)
note|野菜移植機なにを買う?(全自動型と苗品質の関係)