道路運送車両の保安基準では、自動車には前後30mの位置から見通せる場所に左右1個ずつ方向指示器を備えることが求められています。
この「左右1個ずつ」が個数の大原則で、一般的な乗用車や軽トラックはこの条件で構成されています。
一方で、大型貨物自動車など車体が長い車種では、側面にも方向指示器(いわゆるサイドウインカー)を追加で備える義務があり、前部側面に1個ずつ、さらに中央部などに1個または3個ずつ配置するよう細かく規定されています。
参考)平成20年3月実施1級小型問題50:最高速度が100km/h…
これにより、真横や斜め後方からでも進路変更の意思が分かりやすくなり、特に夜間や悪天候での事故リスク低減につながります。
参考)http://www.jfmma.or.jp/kodosoko/gl/koudousoukou-gbc-a3.pdf
普通車クラスでも、ドアミラーウインカーやフェンダーウインカーなどサイドの方向指示器は視認範囲に関する保安基準があり、横5度外側・後方方向から光が確認できる構造が求められています。
参考)車検時のウインカーの高さの基準は?大きさ(面積)や色、数につ…
純正でフェンダーとドアミラーの両方に方向指示器が付いている車種では、片方を外すと「補助灯」ではなく必須灯火を欠いた扱いになり、車検に通らなくなるケースもある点は意外と見落とされがちです。
参考)車検に通らないウインカーの保安基準や特徴
農業者がよく使う小型トラックや軽バンも、作業機を積んで幅が広がると方向指示器が荷台で隠れることがあり、この場合は追加のランプで左右の指示を確保しないと基準を満たさなくなります。
参考)作業機付きトラクターの公道走行について - アグリポートWe…
「車検は通ったから大丈夫」と考えがちですが、積載状態が変わると実質的に保安基準から外れることがあるため、農繁期の積み方を前提に配置を見直すのが安全です。
参考)https://www.tym-midori.net/imizusanroku/wp-content/uploads/sites/20/2019/11/dc3540eb8cd225c2a96b16f72bea31b3.pdf
道路運送車両の保安基準(方向指示器の個数・配置の公式基準全文)が確認できる参考リンクです。
参考)https://www.mlit.go.jp/jidosha/kijyun/saimokubetten/saibet_073_00.pdf
国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(別添 方向指示器の技術基準)」
農耕トラクタに作業機を装着して公道を走る場合、前照灯や方向指示器などの灯火器類が他の交通から確認できることが大前提とされており、作業機で隠れる場合は基準位置に灯火を追加で取り付ける必要があります。
農林水産省や各自治体の資料では、ヘッドランプ・車幅灯・尾灯・ブレーキランプ・方向指示器・反射器が見えるかをチェックする手順が示されており、農家自身による事前確認が推奨されています。
作業機によりトラクタの方向指示器が隠れる場合、最外側から40cm以内かつ地上35cm以上230cm以下の高さに新たな方向指示器を取り付ける、という具体的な目安が例示されています。
この高さ・距離条件を満たしつつ、昼間100m離れた位置から点滅が確認できる明るさであることも求められ、単に「付いているだけ」では不十分です。
参考)https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/S137.pdf
意外なポイントとして、農耕トラクタと農耕作業用トレーラを連結した際の全長が6m未満であれば、トレーラ後面の方向指示器を省略できるケースがあると地方運輸局の資料で示されています。
参考)https://wwwtb.mlit.go.jp/kyushu/content/000231913.pdf
しかし、この場合でもトラクタ側の方向指示器の灯火が側面から確認できることが条件となるため、連結時にどの角度からも点滅が見えるか実際に離れて確認する作業が欠かせません。
さらに、全長4.7m以下・全幅1.7m以下・全高2.0m以下かつ最高速度15km/h以下の農耕トラクタでは、車幅灯や尾灯、制動灯など一部灯火類の取り付け義務が緩和される特例がありますが、方向指示器が不要になるわけではない点に注意が必要です。
参考)https://www.vill.nishihara.kumamoto.jp/kiji003338/index.html
特に近年の大型・高出力トラクタはこの特例から外れるケースが多く、古い感覚のまま「昔は要らなかったから」で判断すると、公道走行時に違反状態になるリスクがあります。
参考)https://www.ja-atsugi.or.jp/resources/images/info/important/202002torakuta.pdf
農作業機付きトラクタの公道走行全般(灯火類のチェックポイントや図解)がまとまっている参考リンクです。
農林水産省「作業機付きトラクターの公道走行について」
方向指示器(ウインカー)の灯光の色は、原則として橙色系統と定められており、車検解説サイトでも「オレンジ色のみ」と明記されています。
ただし、1973年11月30日以前に登録された一部の車両については、当時の基準に基づき赤色リアウインカーが認められており、旧車イベントなどで「赤い方向指示器でも合法」という意外な例外を見ることができます。
明るさについては、昼間100m離れた位置から点滅が確認できることが条件とされ、光源のワット数はおおむね15W以上60W以下といった範囲が技術基準に記載されています。
参考)https://www.daytona.co.jp/files/co/manual/hoankijyun20120810.pdf
農業現場でよく行われるスモークレンズ化や暗めのレンズカバーは、この視認性要件を満たさないと車検だけでなく実際の危険にも直結するため、段階的に塗って確認するなど慎重な対応が必要です。
点滅回数(点滅周期)は、保安基準で「毎分60回以上120回以下」と定められており、多くの市販車は余裕を見て毎分90回前後に設定されています。
参考)ウインカーで車検に落ちる場合とは!?故障や自作に要注意 - …
LEDバルブへの交換や球切れがあると、ウインカーリレーの負荷が変わり「ハイフラッシャー」と呼ばれる高速点滅が発生し、この範囲を超えると車検不合格や道路上での誤解を招く原因になります。
参考)車検の不合格原因TOP3|ウインカー点滅回数60〜120回の…
農業機械で社外LEDウインカーを使う場合も事情は同じで、消費電力が下がることでリレーの動作が変わり、想定外の速さで点滅することがあります。
参考)車検に落ちるウィンカー7選!シーケンシャルウィンカーの車検対…
対策としては、抵抗入りリレーに交換する・専用品を選ぶといった方法が紹介されており、機械の振動や粉じん環境も考慮して信頼性の高い部品を選ぶことが重要です。
方向指示器の取付高さは、地上からレンズ上縁が2.1m以下(側面用は2.3m以下)、下縁が0.35m以上となるように取り付ける、といった基準が示されています。
また左右方向についても、レンズの最内縁の間隔が0.6m以上、最外縁が車両の最外側から0.4m以内という条件が紹介されており、「車体の端からそんなに内側に入れてはいけない」ことが分かります。
農耕トラクタや作業機の資料では、「最外側から40cm以内」「高さ35cm以上230cm以下」といった具体的な数値が例示されており、実務ではこのレンジに収まるよう取り付け位置を決めるのが分かりやすいやり方です。
とくに作業機の幅が2.5mを超えるようなケースでは、元の灯火装置の外縁から作業機の最外側までの距離が40cmを超えると追加の反射器や方向指示器が必要になるため、メジャーを当てて確認することが欠かせません。
高さ・位置の実務チェックでは、以下のような簡易手順をワンセットにしておくと、現場の誰でも判断しやすくなります。
このようなチェックを一度やって数値を把握しておくと、現場で「この新しい作業機はギリギリ大丈夫か?」と迷ったときにも、過去の記録との比較で判断しやすくなります。
測定結果をスマホで写真付きで残しておき、作業機ごとの「公道OK・要追加灯火」を一覧にして納屋の壁に貼っておくと、家族やパートさんにも共有しやすくなります。
高さ・色・点滅回数など、方向指示器に関する保安基準の要点を整理した表です(数値は乗用車・一般的な農業用車両で共通する代表例)。
参考)車検に通らないウインカーの色、数、点滅回数【保安基準6】
| 項目 | 基準の目安 | 現場でのポイント |
|---|---|---|
| 個数 | 左右1個ずつ(車種により側面等に追加義務あり) | 長い車体や作業機付きでは側面の視認性を必ず確認する。 |
| 高さ | レンズ下縁35cm以上、上縁2.1m以下(側面2.3m以下) | 畦や凸凹の多い圃場からの出入りも想定し、余裕を持たせる。 |
| 横方向位置 | 車体最外側から40cm以内、左右レンズ間隔0.6m以上 | 作業機の幅が広がったときに40cmを超えないか要チェック。 |
| 色 | 橙色系統(旧車の一部のみ赤リア可) | スモークレンズや着色は昼間の視認性を確かめながら慎重に。 |
| 点滅回数 | 毎分60〜120回(多くは90回前後) | LED化や球切れでハイフラになりやすいので、車検前に確認。 |
方向指示器の保安基準は条文で読むと難しく感じますが、農業現場では「どの角度から見ても、曲がる方向がはっきり分かるか」を毎日の点検ルーチンに落とし込むことが大切です。
朝のエンジン始動前後の点検に、左右の方向指示器・ブレーキランプ・尾灯の一括確認を組み込んでおくと、球切れや配線トラブルを早期に発見できます。
ルーチン点検を仕組み化するなら、次のような簡単なチェックシートを作ってトラクタに常備しておくと便利です。
点検結果の記録は、紙の点検表でもよいですが、スマホで「日付ごとにトラクタの後姿を撮る」だけでも価値があります。
写真なら作業機の組み合わせや灯火位置の変化が一目で分かり、後から「この状態で公道を走って大丈夫か?」と振り返る際の証拠にもなります。
意外と見落とされるのが、集落内の低速走行や農道の短距離移動でも方向指示器の役割は変わらない、という点です。
地元の人しか通らない道こそ、高齢者の歩行や自転車、子どもの飛び出しなど不確定要素が多く、「ゆっくり走るから安全」という感覚だけでは守り切れません。
最後に、方向指示器の保安基準は数値だけ追いかけても覚えきれませんが、「見えない方向指示器は意味がない」という原則に立ち返れば、現場での判断はぐっとシンプルになります。
農繁期の忙しさの中でも、機械を動かす前のほんの数分を点検に回すことが、結果として事故や行政指導、車検のやり直しといった大きなロスを防ぐ一番の近道と言えます。

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