ヘソディム指導員の役割と農業での資格活用ガイド

ヘソディム指導員の資格制度や取得方法、農業現場での活用メリットをわかりやすく解説。土壌病害の低コスト管理に役立てるためのポイントとは?

ヘソディム指導員の役割と農業での活用

ヘソディムの知識がなくても、3級指導員として活動できます。


ヘソディム指導員とは?3つのポイント
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土壌病害を"診断"する新発想

ヘソディムは人間の健康診断と同じ発想で、発病前の圃場を診断・評価・対策する管理法。 農薬コストの大幅削減につながります。

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指導員は3級から取得できる

専門的な病害知識がなくても3級は受験可能。オンライン講習(90分×2コマ)を受講し、試験に合格すれば認定されます。

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農家のコスト削減に直結

圃場の発病リスクに応じた対策を選ぶことで、不要な土壌消毒を省き、農業経営の収益性を高めます。

ヘソディム指導員の概要と農業現場で求められる背景

日本の農業現場では、ベテラン農家や指導者が急速に減少しています。 土壌病害は一度発生すると深刻な被害をもたらすため、事前の予防管理が農業経営の安定に直結します。


参考)https://www.tohoku-hightech.jp/file/seminar/r4_220217_2.pdf


そこで注目されているのが「ヘソディム(HeSoDiM)」です。 ヘソディムとは「Health Checkup-based Soil Disease Management」の略で、人間の健康診断の発想を圃場に取り込んだ、日本独自の土壌病害管理法です。naro.affrc+1
この手法を農家の圃場に届けるキーパーソンが「ヘソディム指導員」です。 指導員が圃場ごとの診断・評価・対策を支援することで、農家は無駄な農薬コストを削減しながら安定収穫を目指せます。


参考)【リカレント塾】第11回ヘソディム講習会(3級資格試験実施)…


指導員が育たないと、ヘソディムは普及しません。


NPO法人圃場診断システム推進機構は現在(2025年時点)、全国で66名以上の3級指導員を認定しています。 しかし全国のすべての圃場をカバーするにはまだ大幅に不足しており、指導員の追加育成が急務とされています。


ヘソディム指導員の資格制度と3級・2級・1級の違い

ヘソディム指導員の資格は1級・2級・3級の3段階で構成されています。 それぞれに求められるレベルが明確に異なっており、段階的にスキルアップできる仕組みです。


資格名 試験区分 求められるレベル
ヘソディム指導員3級 初級試験 ヘソディムの基礎知識を有し、概要を指導できる。専門知識がなくても受験可能
ヘソディム指導員2級 初級・中級試験 やや高度な知識を有し、ヘソディムマニュアルを自ら作成できるレベル
ヘソディム指導員1級 初級・中級・上級試験 高度な知識・技術と3年以上の指導実績を有し、マニュアル作成およびヘソプラス活用を指導できるレベル


つまり、3級は「入り口」として機能します。


3級の大きな特徴は「必ずしも病害の専門知識がなくても問題ない」という点です。 ヘソディムの概要・考え方・マニュアルのない病害への対処法を理解し、必要に応じて専門家や上位資格者と連携しながら農家を支援する役割が想定されています。 JA職員、農業普及指導員、農業法人スタッフ、研究者、大学生まで、多様なバックグラウンドの人材が3級に認定されています。hsac+1

ヘソディム指導員3級の取得方法と受講費用

3級の取得には、特定非営利活動法人圃場診断システム推進機構が主催する講習会(リカレント塾)への参加が必要です。 講習会はZoomで開催されるため、全国どこからでも参加できます。


これは使えそうです。



受講の流れは以下の通りです。


  1. 公式フォームで事前申し込み(受講料を振り込む)
  2. 1コマ90分の講義を計2コマ受講(1コマのみの受講も可)
  3. 講義終了後、3級認定試験を受験(希望者のみ)
  4. 合格者には「ヘソディム指導員3級」が認定される

受講料は1人あたり5,500円(消費税10%込み)です。 NPO法人の会員または学生は2,200円と、大幅に割引されます。

2コマで5,500円という手頃な費用で資格が取れます。

講義は「ヘソディムとは」「ヘソプラスの使い方」の2テーマで構成されています。 これにより、現場で即活用できる診断アプリ「HeSo+(ヘソプラス)」の操作方法までを一度の講習でカバーできます。

参考リンク:ヘソディム指導員3級の資格制度概要・講習会の申し込み方法(NPO法人圃場診断システム推進機構 公式サイト)
https://hesodim.or.jp/news/13th-recurrent-lesson/

ヘソディム指導員が活用するヘソプラス(HeSo+)の機能と農家への使い方


ヘソディム指導員が現場で活用する最重要ツールが「HeSo+(ヘソプラス)」です。 農林水産省のプロジェクト研究を経て開発されたAIアプリで、2022年4月から現場での実証活用が始まっています。

参考)土壌病害リスク診断「ヘソディム」が実現する低コスト・安定生産

ヘソプラスの主な機能は以下のとおりです。


  • 🗺️ 圃場の病気リスクをマップ上に色分け表示(青=低リスク、黄=中リスク、赤=高リスク)
  • 診断結果の信頼度を★の数で表示(確実性の見える化)
  • 📸 病気症状の写真撮影+GPS記録機能(圃場のどこで発病したかを記録)
  • 🔗 グループ内での情報共有機能(指導員と農家の連携をサポート)
  • 📁 HeSo+EX機能(データが少ない病害にも対応できる全病害対応モジュール


指導員がこのアプリを使うことで、専門知識が浅くても診断結果を農家にわかりやすく伝えられるようになります。 データが蓄積されるほど診断精度が上がる構造のため、継続的な利用が指導の精度を高める好循環を生みます。

HeSo+は話し合いのツールでもあります。

農家と指導員が診断結果を画面で共有しながら対話することで、「なぜこの対策が必要なのか」を農家が主体的に理解し、納得して防除計画を立てやすくなります。 指導員はHeSo+を「結論を押しつけるツール」ではなく「合意形成を助けるコミュニケーションツール」として活用することが推奨されています。

参考リンク:ヘソプラス(HeSo+)の機能と活用事例についての詳しい解説
土壌病害リスク診断「ヘソディム」が実現する低コスト・安定生産

ヘソディム指導員が農家にもたらす実証済みのコスト削減効果


「ヘソディム指導員に相談するだけで、農業コストが下がるの?」と疑問に思う農業者は多いでしょう。

実際のデータを見ると、その効果は明確です。

長野県のブロッコリー栽培(約1,000ヘクタール規模)での3年間の実証実験では、ヘソディムの計画を参考にした圃場の83.9%が根こぶ病による収穫量の減少を回避しました。 一方、従来の防除を行った圃場では45.8%が収穫量の減少に至っており、ヘソディムの有効性は統計的にも裏付けられています。

群馬県のキャベツバーティシリウム萎凋病)の事例ではさらに明確です。 ヘソディムの対策を導入した圃場で、被害率が経済的損益分岐点(5%)を下回る確率が94%に達しました。 これは「ヘソディムを使わなかった場合の83%」を大幅に上回る結果です。

94%という成功確率は、高い安心感です。

三重県JAみえきた地区の事例では、根こぶ病対策として対象73圃場のうち71圃場で発病が抑制されました。 さらに、病原菌が検出されないレベルの圃場では、アミスロプロム粉剤の苗処理だけという最低限のコストで、その後も発病ゼロを継続できています。 土壌消毒剤を毎年使っていた農家にとっては、大幅なコスト削減です。


  • 土壌くん蒸剤クロルピクリン剤など)の使用を省いた圃場では、1作あたり数万円単位のコスト削減につながるケースもある
  • 必要な農薬のみを選定する「リスクレベル別の対策」により、無駄な薬剤コストが減少
  • 収穫ロスのリスクが大幅に下がることで、農業経営の安定性が向上

参考リンク:長野県・群馬県・三重県でのヘソディム実証実験の詳細データ
土壌病害リスク診断「ヘソディム」が実現する低コスト・安定生産

農業従事者こそ知っておきたいヘソディム指導員の「独自視点」活用術

ヘソディム指導員の役割は「専門家に任せること」ではありません。農業従事者自身が3級指導員の知識を持つことで、自分の圃場を自分で「健康診断」できる自律的な農業経営者になれます。


農業者自身が3級を取得するメリットは大きいです。


  • 🔍 自圃場の発病リスクを自己評価できる:毎年の診断結果をデータとして蓄積し、圃場の健康状態の変化を自分でトラッキングできるようになる
  • 💬 JA・普及指導員との対話が深まる:ヘソディムの語彙と考え方を共有することで、指導員からより具体的な対策アドバイスを引き出せる
  • 📊 農薬購入の判断基準が変わる:「例年通りだから」ではなく、圃場のレベルに基づいた根拠ある農薬選定ができるようになる
  • 🌐 HeSo+を自分で操作できる:専門家に依頼せずとも、スマートフォンやPCでアプリ診断を活用できる

農業者自身が3級資格を持つことは、外部依存を下げる手段でもあります。 ベテラン指導員が地域から減少する中、「自分の圃場のことは自分が一番わかる」という農業者の強みをデータと組み合わせることが、これからの農業経営の核心となります。hsac+1
ヘソディムは特定の農薬や防除資材に依存しない点も重要です。 病気リスクが低いレベル1の圃場では、高コストな土壌消毒剤を使わず、微生物農薬(例:ミニタンWG)や圃場衛生(発病株の抜き取り処分)などの低コスト手段で管理できます。 農業者が3級の知識を持っていれば、指導員の訪問を待たずにその判断を自分で行えるようになります。


農業者にとって、知識は最高の節約手段です。


農業従事者向けのヘソプラス(HeSo+)は圃場診断システム推進機構より提供されており、指導員認定と併用することで最大限の効果を発揮します。 まずは講習会(受講料5,500円)への参加から始めるのが最短ルートです。hesodim+1
参考リンク:NPO法人圃場診断システム推進機構 – ヘソディムの普及活動・指導員制度・HeSo+に関する最新情報
https://hesodim.or.jp